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■討論 北谷まり 2021.6.4

北谷まりです。日本共産党を代表し、市第20号議案 令和3年度横浜市一般会計補正予算と議第1号議案 横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例の制定については賛成、市第13号議案旧上瀬谷通信施設における国際園芸博覧会招致検討委員会条例の廃止については反対、請願第3号IR統合型リゾート推進事業の予算執行の停止については、不採択に反対の立場で討論を行います。

まず、市第20号議案 令和3年度横浜市一般会計補正予算についてです。

日本の新型コロナウイルス対策のワクチン接種は、人口100人あたりの接種回数が世界の国・地域で130位と異常なまでの遅れです。全国の自治体は「高齢者接種を7月末完了」「1日100万回接種」など、突如掲げられた政府目標に対して、戸惑いと混乱を見せています。国が現場の実情を把握せず、無理やり期間の前倒しを押し付けたからです。

他の自治体の混乱ぶりが報じられるなか、本市でも市民に情報が行き渡らないまま、高齢者に接種券が送付され、その中にも接種や予約についての詳細な案内がなかったため、5月3日から始まった集団接種の予約に殺到するという事態となりました。予約方法が電話とネットしかないため、スマホやパソコンでのアクセスが困難な多くの高齢者は、電話しか手段がなく、「電話がつながらない」、「家族の協力でネットでアクセスしたが、つながらない」といった混乱で、「予約できない」という不安と怒りに右往左往することになりました。その後の予約についても、正確な情報が入手できたのはごく限られた方々だったため、連日、党市議団の電話は鳴りっぱなしで、現在でも市民の方からの問い合わせ・相談が頻繁に寄せられています。党市議団は、情報不足を補完するものとして、紙媒体の市会報告を連続発行し、予約の直接的間接的支援にも取り組んできました。このような混乱した状況について、党市議団の指摘で、「予約は順調」という市長の認識は改めざるを得なかったわけです。補正予算で、コールセンター体制強化がありますが、これだけで、この混乱が収まるわけではありません。5月27日午前時点での予約状況については「予約できているのは約22万4千人で、対象者約97万人の23%」とのことです。予約できていない高齢者がたくさん残されており、また、自宅療養、老々介護などで身動きが取れない方が大勢おられます。市の予約システムによる会場・医療機関は電話がつながらないという事態はいまだに解決していません。その上、ネット予約の仕方がわからない高齢者への支援は区役所のみです。個別接種については、かかりつけ医がいない高齢者に対して地域の医療機関が予約を受け付けない事例が続出しており、地域のどの医院で接種できるかの情報を市が個別に届けていません。また、接種券が届いていない人も散見されます。現状把握をして、円滑な予約の障害となっている要因を抽出し、具体的な解決策を立てていただくよう、要望いたします。党市議団もできることは協力するというスタンスは変わりがありません。ワクチン接種を迅速に進めていくには、個別接種できる医療機関を早急に増やさなくてはなりません。市が新たな目標として掲げる1700医院を一日も早く達成し、間髪入れずにこのことを周知することです。そのための協力金支給については、施設名を公表した場合に限って支給するとのことですが、接種する医療機関すべてに支給するのが当然です。公表の有無などについては、さらなるインセンティブとして、上乗せするなどで対応するべきです。個別接種医院の一覧表配布は6月中旬と聞いています。もれなく配布されるよう手立てを尽くされることを求めておきます。

次は障害者施設への定期的PCR検査事業についてです。党市議団はPCR検査の抜本的拡充を何度も求めてきました。ようやくその必要性が認識され、国の通知に基づき県が高齢者施設の職員に対する定期検査を2月から開始、その後、通所・訪問サービスにも拡充され、現在はすべての介護サービス事業所で実施されています。障害者施設職員への定期的PCR検査は、これまでクラスターが多く発生してきたことを振り返ると、もっと早く実施に踏み切るべきでした。これに留まることなく、PCR定期検査を引き続き拡充していくことを求めます。変異株スクリーニング検査のさらなる拡充も必要です。コロナ封じ込めには、迅速・安全なワクチン接種、大規模検査、十分な補償と生活支援の3本柱で立ち向かうことも求めておきます。

次は新型コロナウイルス感染症対応飲食事業者支援事業についてです。

内閣府が5月18日に発表した2020年度の実質GDPは前年度比4.6%減で、21年1月から3月期の速報値は年率換算5.1%減。新型コロナ対応への日本政府の的外れな政策が、世界の中でも経済の落ち込みがひどい状況に結果としてつながっています。いまだに政府がオリパラ開催に固執し、感染を封じ込める戦略を持っていないことが、国民を先の見えない不安におとしいれています。オリパラに関しては本市の対応も見直しが必要です。多くの観客を集めるライブサイトは人流を促すもので、コロナ対策と逆行するもの。中止を求めておきます。

民間調査会社による調査では、2020年度の本市中小企業の倒産・解散・休廃業は1513件に及んでいます。消費税増税などで体力が弱まっていたところに、コロナが直撃し、ひん死の状態に追い込まれている事業者は飲食事業者だけではありません。苦境に立たされているすべての業者に対し、消費税減税をはじめ、さらなる支援が求められています。

ところが、本市では、営業時間短縮などで大きな影響を受けている飲食事業者に対してのみ、新たに、融資と3万円の交付をセットにしたメニューを創設して資金繰りを支援するとしています。融資を受けることを条件に交付するのではなく、関連する業者も含めてすべての事業者が安心して事業が継続できる施策を打つべきです。

次は、議第1号議案 横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例の制定についてです。

経産省は昨年10月に公表した、エネルギー基本計画の見直しに向けてとする資料で、2030年の取り組み目標として再エネ電源の比率を22~24%にするとしており、さらにその比率を引き上げる形ですが、同時に現在は全電源に占める割合が6%の原発をも2割程度としており、原発の再稼働も狙っています。日本共産党は「国民世論に反し、脱炭素を口実にした原発再稼働は許されない」とたびたび政府の姿勢をただしてきました。また、日本で再エネの普及が進まないのは、原発が動けば動くほど、再エネの受け入れ量が減るような原発最優先のルールがあるためだとも指摘し、エネルギー政策の中心に再エネを据えてこそ、再エネ産業が発展し、導入も進むと訴えてきました。

条例案では、再エネと省エネに取り組むことで、2050年、脱炭素社会の実現を目指すとしていますが、実効性あるものとするには、小規模分散型発電を大幅に増やすための補助制度の導入、エネルギーの地産地消を実現するために、市民参加型の地域電力事業体などを具体化すること、緑を守るための市独自の規制などが必要と考えます。党市議団としても市の政策となるよう力を尽くしたいと思います。

次に、市第13号議案旧上瀬谷通信施設における国際園芸博覧会招致検討委員会条例の廃止についてです。

当該の検討委員会は、横浜市の付属機関として置かれ、横浜市が開催に向けて取り組みを進めている国際園芸博覧会の基本構想案の策定に関して調査審議等を行い市長に答申を提出しました。この答申を受けて横浜市は基本構想案を策定し、国が横浜における国際園芸博覧会の開催について検討するために2019年に設置した国際園芸博覧会検討会に提出し、審議されました。その基本構想案には、想定来場者数を1500万人以上、有料入場者数1000万人以上とし、30年前のバブル絶頂期に開催された大阪花博を参考に試算された開催経費としての会場運営費や会場整備が示されています。

AIPH(国際園芸家協会)において、横浜市で開催を予定している国際園芸博覧会が正式承認されたのは、コロナパンデミック前です。その後、国は、今後BIE(博覧会国際事務局)の認定協議に向け、計画案について充実すべき事項等についての検討を行うために有識者からなる「横浜国際園芸博覧会具体化検討会」を設置しました。

2020年10月27日に開催された第一回博覧会具体化検討会では、コロナパンデミックを受けて、「コロナ後の状況というのは、たくさんの人間に来てもらい展示をすることに対して、根本的な転換が図られる時代」「大都市の近くで里山的な自然が残っているこの場所は、コロナ後の新しい住み方、自然と人間との関係性を再定義するには、最も適した場所。万博とか花博というものの考え方自体をチェンジするものになり得る」など、コロナ後の豊かさ、幸せについてその定義は今までと変わらなければならない等、改めて花博のあり方について、深い検討が求められています。ところが、今回報告として出されているものは、建設費、運営費、参加者数等、それぞれの試算が前のものそのままです。今、横浜市として改めて、コロナ後の世界にどのような花博を提示していくのかの検討が求められており、この基本構想を作り上げてきた招致検討委員会で改めて審議することこそ必要です。コロナ禍を受けて、改めて国際園芸博覧会のあり方を見直すべきで、その場となる国際園芸博覧会招致検討委員会を、条例廃止で解散することは認められません。

最後は請願第3号IR統合型リゾート推進事業の予算執行の停止についてです。

横浜市に進出を表明していた海外IR有力事業者のうち、ラスベガスサンズ、ウインリゾート、ギャラクシーの3者が撤退を表明するなか、5月31日、審査通過者数が公表され、ゲンティンとメルコリゾーツの2グループとの報道がありました。世界的なコロナ感染拡大で、3密の典型であるIR事業者の財務状況の悪化は誰もが知るところとなり、コロナ前に算出された1兆円規模の投資や820億から1200億円の増収効果は、すでに根拠を失っています。にもかかわらず、事業者からの提案審査書類を6月11日まで受け付け、事業者選定等委員会での審査を非公開で行うとし、答申が市長へ提出されますが、その答申も公開されません。そして、市民には何も知らされないまま、市長は市民に見えない庁内で協議を行い、事業者を決定します。密室で進められるやり方に市民の理解と納得が得られるはずはありません。その上、決定した事業者と横浜市が結ぶ基本協定は、内容も明らかにはされず、議会での審査もありません。市に負担が生じる可能性のある基本協定書の内容が市民に明らかにされることなく、協定を結ぶことは行政の越権行為です。しかし、市長はIRの誘致を進めている他都市が公表していない、本市にとって不利益になる可能性があるとして本市も公表しないと言われました。説明責任を全く果たさず、市民の見えないところで秘密裏に進めていこうとすることは、市民への裏切り行為であると言っても過言ではありません。

IRカジノは、アフターコロナに大変有益な政策と市長は言われますが、コロナの渦中で苦しんでいる市民の姿は、見えないのでしょうか。

請願は、カジノ誘致推進費として計上されている予算を、市民生活悪化、収入減少で苦しんでいる市民のために、コロナ対策として振り向けることを求めています。市が最優先に行うべきはカジノ誘致ではなく、市民のくらしを守ることです。そのためにも、本請願の採択を呼びかけます。