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【2009年度決算特別委員会】「消防局(5日目)」 かわじ民夫

火災現場到着時間が遅い!データを取って検証を

かわじ議員:日本共産党を代表して、質問してまいります。
最初は、横浜市の消防力についてです。
国が示した「消防力の整備指針」の消防ポンプ自動車について、延焼阻止の条件として「出場から放水開始」までを6分30秒と定めていることに対し、本市の「再編計画」は、「出場から5分以内に現場に到着」できるようにしていますが、その基本的な考え方について伺います。

鈴木消防局長:国の消防力の整備指針では、1戸建ての占有住宅で発生した火災を1棟独立火災で抑えるということを目標といたしまして、延焼阻止の条件としまして、消防隊の出場から放水開始までの時間が6.5分以内と定めております。内訳は、走行時間4.5分、放水準備時間2分としています。本市の計画も、国の方針と同様に、6.5分、これは延焼阻止の条件として定めておりますけれども、内訳は本市の隊員の活動能力あるいは消防ポンプ自動車の水槽化によりまして、現場について直ちに消火活動ができるという即消体制の確立などに加えまして、国の指針よりも早く放水が可能と判断いたしまして、放水準備時間を1.5分としたため、消防ポンプ自動車の走行時間を5分と設定したものと思われます。

かわじ議員:では、整備指針で示している走行時間は、現場に駆け付けた消防ポンプ自動車隊全体の平均時間ですか、それとも第1着ポンプ隊の平均時間ですか、どちらでしょうか。

鈴木消防局長:第1着、最先着の消防隊の平均値だと思います。

かわじ議員:それは本市のやつであって、整備指針は違うんじゃないんですか。

鈴木消防局長:整備指針は全体の中を国が調べた中で平均的なものというふうなかたちでとらえているというふうに理解しております。

かわじ議員:そうすると、本市の計画は非常にずさんじゃないんですか。延焼阻止には出動する消防ポンプの全体の活動で行うわけですから、第1着の時間を再編計画の目標にしているということは、消防力という概念を構成しないと思いますが、どうでしょうか。

鈴木消防局長:国の指針では放水開始は6.5分として、市町村の人口において諸事情を勘案した中で署所の配置というふうなものを考えています。当局の計画におけます署所の配置基準でも、6.5分の枠を守りながら、火災の発生状況ですとか、木造建築物の密集度、それらを分析しましてやっておりまして、始動出場から現場到着の時間、これが伸びていると、これだけをもって、署所の配置を決定するものではないというふうに理解しております。

かわじ議員:それでは、この間の再編がどのように行われ、所要時間がどうだったのか、過去5年間について伺います。また、その評価についても述べてください。

鈴木消防局長:署所の再編の内容でございますけれども、19年度に山手消防出張所、それから磯子の水上消防出張所、そして20年度には入江町消防出張所、合計3消防出張所を廃止いたしました。19年4月の計画策定以降、概ね計画に沿った再編が進めることができたというふうに考えております。
また、過去5年間の最も早く到着する消防隊の現場までの平均時間でございますけども、17年が5分12秒、18年が5分42秒、19年が5分36秒、20年が5分24秒、21年が5分54秒となっております。

かわじ議員:再編計画で目標としている「出場から現場到着まで5分」を満たしていなんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。

鈴木消防局長:主な原因としましては、道路の混雑、あるいは違法駐車による道路交通事情が、これが大きく影響しているものと考えております。いずれにしましても、過去5年間をみますと、年によって現場到着時間が早くなったりあるいは遅くなったりということで、ばらつきがあることから、この要因を検証してまいりたいというふうに考えております。

かわじ議員:本来、計画にはこうした交通事情というものを想定して行うべきではないんですか。

鈴木消防局長:この計画自体が5年に1ぺん計画を見直すと、修正をするというふうなかたちになっておりますので、検証してまいるわけでございますけども、実際消防隊の活動状況からデータを抽出して検証する、これにつきましては、たとえば災害現場で火災対応しなきゃいけないというふうな、その場でデータを取るとなりますと、現場活動の職員の負担も増加してまいりますし、あるいはシステムを直すとなりますと多大な経費負担もありますので、工夫をしながらそれらについて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

かわじ議員:それでは、整備指針でいっている現場到着から放水までの時間、これはどうなっていますか。

鈴木消防局長:本市の場合は、指令から出場、それから出場から現場到着というようなトータルなとらえ方をしておりまして、先ほど申しましたように、21年度は5分54秒となっております。

かわじ議員:なぜ、放水時間を取らないんですか。その再編計画では放水時間を1分30秒と本市で定めているわけですよね。それなのに、このデータを取らないとはどういうことなんですか。
鈴木消防局長:再編計画の中では1.5分と放水時間を定めておりまして、現場到着から放水開始までこの時間ですませば、私どもの消防隊の保持すべき基礎的初動力の基準に基づく測定、こういうふうなものをやっておりまして、策定当時はそれが43秒でした。これは20メーターを走って、ホースを2本延長して、口先をかまえるというふうな活動でございますけども、それを43秒というふうなことで、そういうふうなものをベースとしまして1.5分というかたちで定めております。

かわじ議員:基本的なデータがあるからこういうのは取らなくていいという考えですか。非常にあいまいですね。

鈴木消防局長:当然データとして今後この消防再編計画を検証する中では必要なデータは取っていきたいと思いますけれども、ただ先ほど申し上げましたように、現場で活動する職員でございますので、そこでストップウォッチを持ってデータを取るというわけにいきませんので、その辺の工夫はしながら、必要なデータは取ってまいりたいと思っております。

かわじ議員:とにかく、再編計画、あとで述べますけどね、消防署所の削減があるわけですよ。そういう中で基本的なデータを取らないというのは、これは問題ではないかなと私は思うんですね。
再編計画では、走行時間を5分としていますが、この中でやっぱり確実にしっかりデータをもつことが大事だと思いますし、とりわけ消防力というのは市民の生命と財産を守る基本的な力だというふうに思いますし、そんなわけで、再編計画そのものは、消防署所の適正配置を決めるとして、来年度以降は結果として5か所の署所を減らすことにしているわけですけども、消防力がさらに低下するんではないか、こんなふうに私は懸念しています。消防力を検証する基本的なデータをしっかり取り、目標とする方向が満たされているのかどうか、検証することが非常に重要だと思いますし、いままでの答弁も含めて、私、この件について、副市長に見解を伺います。

大場副市長:横浜型消防力の再編計画、いまご懸念をいただきましたけども、この計画自体は消防需要に応じて適正な配置場所に出張所あるいは消防隊をバランスよく配置をし直すということで、速報性あるいは機動力を高めようということで、市民のみなさんの安全に寄与していこうと、こういう計画であります。計画上も概ね5年ごとに本市の人口あるいは災害発生状況等の基礎データを確認をした上で、必要に応じて修正をしていくということになっておりますので、今後適宜に適切に判断をしていきたいというふうに考えております。

かわじ議員:ぜひ、大事なところだっていうふうに思いますので、よろしくお願いします。

消防隊員が救急出場で負担増加

次に、横浜方式救急システムについて伺います。
本市は消防ポンプ自動車および救急自動車の搭乗隊員の兼務を横浜型救急システムに取り入れ、救急自動車の搭乗隊員を3人から2人に減らすことを可能にしました。そこで過去5年間の救急出場件数と救急出場1件あたりの出場人員はどうか、伺います。

阿部警防部長:まず救急出場件数でございますけれども、17年が16万2536件、18年が15万5317件、19年が15万2811件、20年が14万6145件、21年が14万8589件でございました。また、救急出場1件あたりの出場人員でございますけれども、17年が3人、18年が3.1人、196年が3.3人、20年が3.5人、21年が3.8人となっております。

かわじ議員:救急システムの運用で、現場の職員の負担が過重になっていないか気になるところです。現場の声を尊重し生かすことが救急隊に求められる士気の維持・向上につながると思います。救急隊員の声をどのように取り入れ、業務改善につなげていくのか、伺います。

鈴木消防局長:これは救急システム、コールトルアージにおきまして、緊急度が高い場合、消防隊も救急出場するということで、従来よりも出場時間増えているという方がいます。職員の負担というふうな考えでございますけども、市民の要請に応える救急出動でございますので、消防職員の使命、これは責務でもございます。消防職員の意見を聞きながら、中には活躍の場が増えたというふうな意見もございますので、そのへんをいろいろ聞きながら対応してまいりたいと考えております。

かわじ議員:まあ、いろんな見方があると思うんですけども、やっぱり本来の任務の消防隊というふうなところに対しても、そこでの能力も、それから力をどう保障するかという点でも大事なことだと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

地域を守る消防団員の報酬を引き上げよ

最後に、消防団についてです。
消防団は地域に精通し、市民の生命と財産を守っていく大きな力です。本市の防災計画における消防団の役割は何か、伺います。

鈴木消防局長:これは平時、それからいざというときありますけれども、平常時は地域の防災、それから防火の担い手として活躍をしていただいています。災害発生時につきましては、消化、警戒などの消防活動、それから地域の防災リーダーとして、これは地域防災拠点の参画ですとか、そういうふうな役割も担っております。

かわじ議員:それでは、消防団員の規則定員数の算定方法と、本市の過去5年間の実員数の推移を伺います。

小高副局長兼総務部長:国が定める消防力の整備指針に基づき、消防団員の定員は、通常の災に対応するために必要な団員数と、大規模災害時に住民の避難誘導に必要な団員数などを基準に定めております。
実員数についてですが、18年は8052人、22年は7414人となっておりまして、5年間で638人減少しております。

かわじ議員:消防団員の平均年齢についてはどうでしょうか。

小高副局長兼総務部長:平均年齢は49歳となっております。

かわじ議員:この経過、推移。

鈴木消防局長:ちょっと資料ありませんけど、5年前は46歳代だと思ってますね。約5年間で2歳程度平均年齢は増えているということです。

かわじ議員:私いま机のところに資料、いただいた資料、置いてきたんですけどね。だんだん平均年齢あがって、もっともっと高いんですよ。
現在の消防団員も定員数に遠く及ばず、逆に年々減っておりますし、平均年齢は増加しています。こうしたことをどのように分析しておられるのか、評価しておられるのか、問題点は何なのか、また、基準定員数の消防団員をどのように確保していくのか、伺います。

鈴木消防局長:ご承知の通り消防団員は近年減少傾向にございます。また、平均年齢も高くなっております。消防団員は定員数は必要だろうというふうに考えております。そのため入団促進ということで、町内会を通じた団員の募集ですとか、事業所従業員への入団促進の働きかけですとか、あるいは各種イベントの広報活動、これで団員確保に努めているところでございます。

かわじ議員:消防団員は、地域のお祭りなどでも交通整理に借り出されたり、地域活動でも大変な任務をなさっておられるというふうなわけであります。こうした人の報酬が、国の基準を大きく下回っているわけですが、どのように見ておられるのか、見解を伺います。

鈴木消防局長:年額報酬は国の基準でいいますと団員が3万6500円、これに対しまして本市は1万3000円、出動報酬につきましても国の基準が7000円に対しまして本市は災害出動で3000円、それから訓練出動で2400円となっておりまして、いずれも国の基準を下回っております。これは取り組みの必要性というのを切々と感じているところでございます。

かわじ議員:国の定める消防団員の報酬の考え方と、本市の考え方っていうのは変わっているんですか。こんなに差があるのはなぜですか。

鈴木消防局長:これは平成20年から報酬制度を、先の他の都市と違いまして、後から始めたということもありまして、厳しい財政状況の中で、21年度は増額しましたけど、このレベル、この水準にとどまっているということでございます。

かわじ議員:いずれにしても大事な人たちです。魅力ある団員、消防団員にしていくことが重要に思うし、そのことが若い団員の後継者をつくることにもつながるというふうに思います。そのための条件の一つとして、計画的に報酬の引き上げることが大切だと思いますけども、このことについては、副市長に伺いたいと思います。いかがでしょうか。

大場副市長:20年度から報酬制度を開始をして、21年度に年額報酬を増額をしました。いま、局長からもお答えしたとおり、報酬については大きな課題だというふうに認識をしております。また、被服あるいは資機材等について、活動実績踏まえた中で、実態を見ながら合わせて検討していかなければいけないと考えております。

かわじ議員:ぜひぜひ、本市の大事な消防力の大きな力でもありますし、みんなが本当にそういう人たちの意欲にも沿うかたちでがんばっていきたいと思います。終わります。