申し入れ等
2021年7月8日

第2期横浜市子どもの貧困対策に関する計画素案への提案・要望

2021年7月8日

横浜市長 林 文子 様

日本共産党横浜市会議員団

団長 荒木 由美子

生まれる前から20代前半までの子ども・若者とその家庭を対象とした5年間の第2期計画素案に意見募集が行われています。計画策定にあたり行われたアンケート調査では、コロナの影響による家庭の収入減少が所得の低い世帯でより顕著な傾向が示され、非常に厳しい状況としています。政府のコロナ対策は、当初に突然の一斉休校や補償なしの休業要請が行われ、いまだに封じ込めの戦略を持たないままで、コロナ禍による経済低迷が長期化したことから、非正規労働の家庭、ひとり親の家庭、アルバイトがなくなった大学生の生活がさらなる経済的困窮に陥っています。コロナの影響は今後も長引くことを踏まえた計画策定が求められます。

本市として、子どもの貧困解消に向けて、子どもの権利の視点に立ち、自助・共助が強調された社会保障制度、子育て支援制度、教育制度を見直し、直接支援と貧困を防ぐ対策とを並行して、本市の予算の増額に向けた抜本的で総合的な実効性ある対策が求められます。以下、盛り込むべき施策を提案します。

1 子どもの貧困対策の基盤 「子どもの豊かな成長を支える教育・保育の推進」について

(1) 幼児教育・保育の無償化対象外の保護者負担軽減策を拡充すること。副食費の減免は低所得者層・多子世帯にとどまらず、対象者を拡大すること。

(2) これ以上の市立保育園の民間移管をやめること。

(3) 学校の健康診断で要受診とされた児童・生徒の未受診を家庭任せにせず、学校保健の体制を充実させフォローすること。

(4) 全員が食べられる中学校給食を実施し、公立小・中学校での給食費無償化をめざすこと。 

(5) 生理の貧困問題解消の取り組みが始まっており、女性が安心して学校生活が送れるよう、学校トイレにトイレットペーパー同様に生理用品を備えること。

(6) ICT教育推進においては、教育格差を拡大させないため、特に高校生のパソコン所有・ネット接続を含めて保護者負担に補助すること。

2 主要施策Ⅰ 「気づく・つなぐ・見守る」について

(1) 子どもの相談を受ける団体のネットワークを築き、かつ、団体を支援・育成する仕組みを作ること。

(2) 母子保健、地域子育て支援に携わる区役所職員を増員すること。

(3) 小・中学校へ対応するスクールソーシャルワーカーを増員し、特に高校へ抜本的に増員すること。

(4) 学童保育の安定運営には、保護者負担軽減、指導員の確保と処遇改善、小規模クラブの存続が不可欠です。そのための補助金を増額すること。

(5) 児童虐待の増加に対応するため、児童相談所、区役所の専門職員増員と処遇改善を行うこと。

(6) 家庭に居場所のない若年女性を支援する団体の相談窓口を支援し、安全に宿泊できる場所を公的に提供すること。

(7) 子ども食堂、学習支援などを行う子どもの居場所づくり活動支援事業は、補助要件を緩和し、補助金を抜本的に増額すること。

3 主要施策Ⅱ 「将来の自立に向けた子どもに対する支援」について

(1) 市の高校奨学金の学力要件を外して、さらに利用者数、利用額を増やすこと。 

(2) 生活保護家庭に更なる大学等進学支援策を講じ、児童養護施設や里親から自立する人へ市独自の入学金助成・奨学金など大学等進学支援策を作ること。

(3) 親からの仕送りが減り、アルバイト先もなくなった大学生の学業を保障するために、市による返済不要の 大学奨学金制度を創設すること。 

(4) ひとり暮しの若者への家賃補助制度を創設し応援すること。

(5) 地域ユースプラザを市内4か所から全区に設置し、引きこもりの本人と家庭へ支援が届くようにすること。

4 主要施策Ⅲ 「生活基盤を整えるための家庭に対する支援」について

(1) 就学援助の認定基準となる総所得額を引き上げ、対象者を増やすこと。

(2) 小児医療費助成の対象年齢を18歳まで拡大し、一部負担金をなくすこと。

(3) 妊婦健康診査費用補助券の枚数を増やすこと。

(4) 本市独自の出産費用助成を行うこと。

(5) 国民健康保険料の子どもの均等割りを一般会計の負担でなくすこと。

(6) 低所得子育て世帯の住まいの確保に向けて、「子育てりぶいん」の入居要件引き下げ、低所得世帯家賃補助制度創設、借り上げ型含めて市営住宅増設を行うこと。 

(7) 横浜市の公務職場の非正規雇用は一時的・限定的とし、公契約条例を制定しワーキングプアをなくすこと。

5 主要施策Ⅳ 「こどもの貧困の背景に留意した多面的な支援」について

(1) 健やかな成長と教育の機会を保障すべき若者が介護のためにその権利が奪われることはあってはならない。ヤングケアラーの実態を速やかに把握し、求められている支援は何かを調査すること。当事者及び関係者の相談・支援窓口を設置するなど支援の施策・体制を早急に構築すること。


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