議会での質問・討論(詳細)
2010年10月14日

【2009年度決算特別委員会】「総務局(11日目)」 かわじ民夫

旧5大市で一番少ない人口当たりの民生費・児童福祉費

かわじ議員:日本共産党のかわじです。まず、21年度決算について伺います。
 全国統一の会計基準である普通会計で見た場合、本市の民生費4851億円は、歳出決算に占める割合、どのくらいになっているのでしょうか。

幸田財政部長:総務省に確認を取っている段階の速報値でございますが、21年度の民生費、歳出全体に占める割合は32%になります。

かわじ議員:福祉に直接関わる民生費は社会福祉、老人福祉、児童福祉や生活保護などに関わるものですが、人口1人あたりの歳出決算額を旧政令市で比較した場合はどのようになりますでしょうか。

幸田財政部長:旧5大市でお答えさせていただいてよろしいでしょうか。決算額が確定していますのが、20年度決算になりますので、そのベースでお答えいたします。
 横浜市が11万1000円でありますのに対しまして、名古屋市は12万円、京都市が16万円、大阪市は21万8000円、神戸市は14万5000円となっています。

かわじ議員:各都市、行政区のそれぞれの施策ですから一概には言えませんが、たとえば人口1人当たり、民生費の中の児童福祉費における2008年度の旧政令市比較では、金額の大きい順で、京都市4万6431円、大阪市4万6430円、名古屋市4万684円、神戸市3万7349円、そして横浜市はそれに対して3万5453円となっています。
 私は第3回定例会一般質問において、現在小学校入学までの小児医療の無料制度の拡充を求めました。市長は本市の遅れを率直に認められました。同時に中学校卒業まで実施すると77億7000万円が必要で、子育て支援施策における優先順位を考えていくとの答弁でした。ここで私が言いたいのは、大きな事業費を提示されたんですけれども、大きな行政であれば当然なんです。人口1人あたりでの都市間比較で、検討も重要だっていうふうに思うんですね。
 長引く不況で子育ても市民生活も大変ですし、民生費を伸ばしていくべきではないかな、こう思うんですが、見解を伺います。

鈴木総務局長:民生費には生活保護費など義務的な性格の強い経費が多く含まれてございます。市民所得や対象者数の状況などに大きく影響されますので、そういう意味で単純に、先生おっしゃったように、比較は、各都市の比較っていうのは非常にしにくい面がございます。たとえば、旧5大市での人口1人当たりの歳出額の比較っていうのは先ほどお答えしたとおりでございますが、一方、歳出総額に占める民生費の構成割合でみますと、政令市全体でみますと、政令市全体の平均を横浜市は上回っております。まあ、そんなような見方もできます。今後本市でも高齢化率の高まりや保育所定員の大幅な増加などに伴いまして、民生費の増加が見込まれますので、福祉、子育て関係の施策については、市民生活の安心安定を目指し、覚悟をもって取り組みたいというふうには思っております。

かわじ議員:住民の福祉と暮らしに責任を負う行政ですから、基本的に理念という点ではしっかりとそのところをもっていただきたいっていうふうに思います。

年々増加する差し押さえ件数

 次に、滞納整理について伺います。
 徴収業務というのは、市税収入の確保にとって重要なものだと理解しています。市税滞納額は、1989年度の494億円を最高に、年々減少して、2009年度は過去最低171億円にまで縮減しました。そこでこの間の徴収業務の特徴について、伺います。

宇都宮主税部長:厳しい経済状況や個人住民税の税源移譲の影響などから、新たに発生する現年課税分の滞納が多くなっております。そういうことで、21年度の滞納整理にあたりましては、早期着手、早期解決を検討して現年度課税分に重点をおいて整理を行うこと、それからまた財産調査を徹底して行って、納税資力がある場合には滞納処分を執行しますが、納税資力がない場合には執行停止などの納税勘案措置を的確に適応することとして、この2点を重視して取り組んでおります。
かわじ議員:それでは、滞納整理事務はどのように行われるのか、手順について伺います。

宇都宮主税部長:納税期限までに納税されない場合には滞納となり、納期限から30日以内に督促状が発送されます。法律上は督促状を発した日から、発送した日から10日を経過した日までに納税されない場合は差し押さえをしなければならないと規定されていますが、本市では自主的に納税していただくために、催告書などの文書は、電話による催告など折衝などを行っています。こういう折衝と並行しまして、納税資力を見極めるために、財産調査を行って、納税資力がないと確認できた場合、ないと確認できた場合は滞納処分になって、執行停止など納税緩和措置を適応します。
 一方、納税資力がありながら納税されない場合には、財産の差し押さえを行い、差し押さえでの催告等によってもなお納税いただけない場合には、公報処分等検討するといった手順で行っております。

かわじ議員:では、この間差し押さえ件数も年々増加傾向にあると聞いていますが、過去5年間の推移はどうだったでしょうか。

宇都宮主税部長:17年度1万4122件、18年度1万6872件、19年度1万9845件、20年度2万4123件、21年度2万6603件となっております。

かわじ議員:いただいた資料などをみて、差し押さえの件数が増加とともに、平均執行税が少なくなっており、いま厳しい取り立てが行われているのを感じ得ません。
 私は、重要な徴収業務であっても、納税者の生活を脅かすものであってはならないと思います。私たちのところへ「取り立てが厳しい、ひどすぎる」との相談が、そして苦情がよく寄せられます。そこで、過去5年間の納税相談の推移はどうだったでしょうか。

宇都宮主税部長:納税相談の件数でございますけど、過去3年間しかちょっと手元にないんで、申し訳ございませんけど、19年度については納税相談は個々の件数は把握してないんですけども、滞納者に関する納税相談、折衝の経過についてはすべて記録をしてございます。その特徴につきましては分納納付についてご相談を受ける件数が増加しており、19年度に約5万7000件あったものが、21年度には約7万1000件ということで分納が増えているということでございます。
 こうしたことから、本市としては納付相談についても誠意を持って対応するよう、引き続き努めてまいります。

かわじ議員:特徴的な相談の中身はどんなのがありますか。

宇都宮主税部長:やはり期限内に納められないということで、分納させてくださいという、税金分けて納めさせてくださいというような相談が多いと聞いております。

指定期限前に突然の差し押さえ

かわじ議員:今年の夏、空調関係の会社の代表しておられる港北区の人から、「特別催告書を交付された。指定期限までに払えばいいと思っていた。期限前にも関わらず、突然積立金が差し押さえられた。びっくりして、完納して差し押さえそのものを解除してもらった。しかし納得できない」と、怒りの相談が寄せられました。私も話を聞いてびっくりしました。指定期限を示しておきながら、それ以前に差し押さえを執行する、こんなことは許されるんですか。

宇都宮主税部長:催告書でございますけども、法令で差し押さえが可能となる督促状の発送後に納税者の方々に自主的に納付していただくために、便宜的に納付期限を決めまして、指定してそうするものでございます。しかしながら現行の催告書では、期限までに納付がない場合には、財産の差し押さえをせざるを得えませんというような表記がありまして、納期限などは差し押さえがされないと受け止められるような表現ございました。ただ、催告書の納期限が経過する前に、差し押さえ処分を行うこと、もしくは執行することは、法令で禁止するものではなくて、実務上の財産の差し押さえするまでやむを得ない場合には直ちに差し押さえ処分を執行することがございます。ただ、いずれにしましても、催告書の表現については誤解を与える部分がございましたので、見直しを行っていきます。

かわじ議員:見直ししていただくってことなんですが、ぜひお願いしたいんですが、その人からこんな話がありました。差し押さえの執行で、信用保証協会とか金融機関からいっきに返済を求められる、信頼関係が壊され、ひどいことになったと。だから、市税徴収対策の重点事項に、「滞納処分は相手に不利益な処分を行うことから、その執行手続きの厳格性が求められる」というふうに述べているんですよね。ですので、こういった意味からもこう一回具体的な検討内容について、教えてください。

宇都宮主税部長:一応、滞納整理につきましては、先ほど申し上げましたように、財産調査による納税資力の見極めを行って、納税資力がありながら納税されない場合には滞納処分を行いますけれども、納税資力がないっていうことが確認されましたら、直ちに滞納処分の執行停止など納税緩和措置を適応できるようにするということでやっておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

かわじ議員:今回の空調の会社の人に対しての謝罪の思いはありますか。

宇都宮主税部長:先ほど申し上げましたように、法令上は可能ということでございますけど、ただ不適切な部分が、表現に不適切な部分があったっていうことは認めたいと思います。

「滞納分を完納か、差し押さえに応じるか」

かわじ議員:3年ほど前になりますが、私は印刷業を営む人の相談を受けて、一緒に区役所に行きました。担当者は、「滞納分を完納するか、差し押さえに応じるか」と迫ってきたんですね。業者の人は、「仕事量が減って大変だったが、ようやく上向いてきたので、分納に応じてもらえないだろうか」と、懇願したんです。しかし聞き受けてもらえませんでした。滞納金額をいっぺんに工面できるなら苦労はないんです。工場が差し押さえられたら、商売は成り立ちません。廃業に追い込まれ、生活を破壊することになります。こうした強引な滞納整理はあまりにもひどいんじゃないですか。見解、伺います。

鈴木総務局長:個別の案件について私どもの方で具体的に承知しておらない面もありますので、一般論としてお答えさせていただきます。
 滞納整理については、財産調査による納税資力の見極めを行い、納税資力がありながら納税されない場合には、滞納処分を行う。納税資力がないことが確認できた場合には、滞納処分の執行停止など緩和措置を適応しております。いずれにしても、滞納整理については、先生おっしゃったようなケースがあってはなかなか厳しい、そういうことについては不適切な面があるということがあってはいけないので、個人法人を問わず、法令の規定に基づく適正かつ公平平等に取り扱っていきたいと、規定いると思いますし、今後とも取り扱っていきたいというふうに思っております。

かわじ議員:自営業者からよく聞くんですけど、話されるんですけども、国税や県民税は滞納のとき、元金から整理してくれるけども、市民税は年度の元金・利息が一体処理となる、配慮がされていない、こういうふうな苦情です。
 また、年金が口座に振り込まれると、大事な生活費であるにもかかわらず、差し押さえられるとも聞きます。こんなことはひどいって思うんですね。やめるべきではありませんか。

鈴木総務局長:法律の趣旨でも先生おっしゃったように、生活を破壊するということが前提ではございません。もちろん生活を、最低限の生活をきちっと守っていただくと、生活維持を困難にする恐れがある場合などについては、それを十分猶予しなければ、考慮しなければいけないということが趣旨でございますので、私どもとしてはそういうことも徹底はしていきたいというふうに思っております。

生徒の名簿をもっていかれた塾の先生

かわじ議員:こんな話もありました。固定資産税が滞納になっている塾の先生から、生徒の名簿を持っていかれた。この名簿っていうのは、換価の対象になるんですか。授業料を直接滞納分に当てよということなんですか。私はそのことをきいてびっくりしたんですが、どうでしょうか。

宇都宮主税部長:すいません、私ども、それちょっと承知をしておらないんですけれども、名簿ですか。ということですか。通常、それ取り立て、差し押さえしないと思いますけども、ということでございます。

かわじ議員:現にあった話を私は紹介させていただきました。名簿は個人情報です。換価対象でもないのを取り上げるっていうことは、こんなことは絶対許せないと思うんですね。どうでしょうか。

宇都宮主税部長:許されないことはもちろんそうでございますけども、財産調査の資料として必要なものは差し押さえるったらあれでございますけども、差し押さえるっていうよりも提供いただくというようなかたちでやりたいというふうに考えてますけども、いま申し上げましたように、名簿を持っていくというようなことは許されないというふうに考えております。

常識を逸した強引な取立ては許されない

かわじ議員:こうした常識を逸した強引な取立て、許されない。この根底には、滞納者イコール悪者という発想が否めません。市長は「温もりある行政」と、繰り返し述べておられます。温もりを必要とする生活困窮者が、悪質納税者とかいうふうにされていることを感じます。納税者においても滞納になっている資力の人ほど温もりが求められているふうに思うんですが、抜本的な改善が必要だと思いますが、副市長、どうでしょうか。

大場副市長:多くの方々が適正に納税をいただいていますので、あとは資力をきちんと見極めて対処していきたいと思います。

かわじ議員:私は、こういう不況で厳しい状況が続いている中で、納税者への配慮、こうしたことを本当に真剣にこの立場からやっていくべきだっていうふうに思うんですね。そのことを申しあげて、終わります。


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