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2021年10月19日

NPO法人かながわ総研「研究と資料」が、あらき由美子団長にインタビュー

特定非営利活動法人・かながわ総合政策研究センターが発行している「研究と資料」10月1日号に党市議団、あらき由美子団長のインタビューが掲載されました。ご紹介させて頂きます。ぜひ、お読みください。

日本共産党横浜市会議員団荒木由美子団長にインタビュー

8月22日の横浜市長選挙では8人の候補が乱立し、そのうち6人がカジノ反対を掲げる中で、知名度が低かった山中竹春氏が投票締め切りと同時に当確が出るという劇的な結果でした。日本最大の政令指定都市で大きな変化はなぜ生まれたのか。共産党横浜市会議員団の荒木由美子団長にお話を伺いました。聞き手はNPOかながわ総研事務局長の石井洋二です。

―― お忙しい中お時間を頂きありがとうございます。今回、なぜ横浜であのような変化が起こったのか、そのあたりから伺いたいと思います。

2年前の8月22日に林市長がカジノ誘致を表明し、その後2019年11月に「カジノの是非を決める横浜市民の会」が結成され、ほぼ同じころ横浜商工会議所などが中心となって「IR横浜推進協議会」が発足しました。横浜市はIR横浜誘致を目指して市の広報特別号などで大宣伝を仕掛けました。その後ラスベガス・サンズなどが横浜進出を断念するなかで、「横浜市民の会」は住民投票条例制定の直接請求運動を昨年の9月4日から開始し、有効署名は19万筆を超えました。この署名運動というのは、「カジノの是非を決める横浜市民の会」の運営委員長岡田尚弁護士が言うように、主人公である市民が「主権者意識を高め、自立した市民をつくる運動」という重要な意義をもつものと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。

荒木由美子団長(以下、荒木) 第一に、住民自治。市民の意見を聞くという運動の大切さですね。住民投票条例を制定しようということを運動する人たちが提案してくださったので、これは非常にハードルが高いなと思いましたが、住民投票条例が制定できればそこで是非が問える、運動ができるということであの署名に旺盛にみんなと一緒に取り組んだわけです。

その時も結構街頭に出ていると、最初はどれだけの人が受任者になってくれるかというのが心配だったのですが、本当に多くの皆さんが受任者になることも含めて協力してくださった。最終的には20万を超える署名を集めて、精査をされた時に19万という数にちょっと下がりましたけれども、それでも20万近い方が、住所・氏名・生年月日も書いて印鑑まで押すというハードルの高さをクリアしたということが大きかったですね。それで、臨時議会を開かせたということは、私の経験でも今までにないことです。ですから、住民自治という、市民の意見を聞くというやり方の一つが今回の市長選挙の大きなステップになったのは間違いないと思います。

二つ目は、今年の1月に臨時議会を開かせて、それで私の先日の一般質問にあるとおり、その市民の意見を聞くって言ってなきゃいけない人たちが、議会があるのだから軽々に市民の意見を聞いて住民投票をやるのはありえないとか、前市長も、住民投票は行ってもあくまでも意見を聞くだけで拘束力もないとか、勝手なこと言い続けたわけです。それが皆さんの怒りになって、住民投票ができないのであれば最終的にカジノを止めるのは市長選挙だということになったわけです。それを皆さんが忘れないでいてくださったのと、今回の市長選挙で大きかったのは、率直に言うと小此木さんが大臣辞めてまで出るって事になりましたけども、やっぱり菅さんは私も地元(神奈川2区南区)なのですがそういう点では1年前の菅人気からもかなり急降下になっていてコロナ対策も全くやられてないというその2つの要因が重なって、それ(コロナ対策)ができるのは山中だということであの大きな変化が起きた。

当初、新聞報道では8人乱立して、しかもカジノ反対が6人もいるから票が割れて法定得票数の4分の1を超えないから再選挙、という話もちらほら出ていたぐらいで、山中さん自身の知名度もないので、こんな結果になるとは当初は誰も考えていなかったと思うんですよ。

だけどやっぱり選挙戦が始まってから、とにかくカジノとコロナの真っ当な主張をしているのは山中だということで、告示以降は日に日にその状況が変わってきたなっていうのは私も肌身で感じていましたし、やっぱり菅政権に対する批判というのも相当いろんな人たちからの声が出てきていて、「もう自民党に期待できないから山中さんですよね」って言ってくれた人が街頭でも何人もいました。そういう光景を見たのも今回本当に画期的な状況でしたね。それで、住民自治を守れる人も山中だということで若い人たち含めてあれだけの得票につながったのかなと思います。

―― 日に日に状況が変わっていったということですが、選挙中にいろいろな局面があったと思いますが。

荒木:山中氏が市長候補に決まった時点では立憲民主党が推薦した方だし、共産党と政策協定はないと言われた。ただカジノに反対する住民投票の運動を行ってきた市民運動の人たちが、カジノの是非を問いながらカジノに反対する市長を誕生させるという運動を担ってくださったことで「その方たちとは政策協定を結びます」と立憲さん山中さん側からも仰って下さり、そこで私たちはカジノを止める、その一丁目一番地が取れればいいという風に考えました。それでそのこととコロナ対策をやって下さるということであれば、もう私たちはそれ以上のことはないと思って絶対勝つんだと選挙戦に臨んだわけです。

選挙戦中難しかったのは、立憲民主党の方がいるところで私達が一緒に宣伝できた区とできなかった区の両方あるんですよ。そういう状況があったのですけれど、私たちはもう今回の市長選挙はとにかく菅政権を追い詰めるっていうことも当然あり得る話だったので、そういうスタンスで街頭へ出ていった。

何で日に日に変わっていったかというと、やはり菅政権に対する批判がすごく大きくて、オリンピックも始まっている中コロナ対策もきちっと対応できていない。ワクチン接種も思ったより進まない。やっと高齢者は終わったけれども、これからの64歳以下の方たちの接種率も思うように進まない。

それから横浜でも全国でも軽症者は在宅でとテレビの報道にあったように、医療にかかれないで亡くなる方が出始めた。もう第5波が始まっていましたから。

そういう社会的な要因も重なって、山中さんの主張が非常に市民の気持ちに結びついていったのだと思うんですね。それが、選挙期間中に大きな山を越えられた大きな要因だったと思います。

―― 10日には白井議員が、16日には荒木団長が市会で質問に立ちました。市長の答弁についてのご感想等はいかがですか。

荒木:今まで私たちが何回質問しても、答えがまともにかみ合ったという経験が、まあ全くないかと言うとそうでもないんですけど、やっぱり少ないんですよね。だからどうしても、納得いかない質問に対しては第2質問をしてそこは違っていると指摘しながら、こう考えなきゃいけないのではないかと言い続けてきたのだけど。

全く変わったのは、市の職員の対応ですよ。職員が来た時に何を言うかというと、「丁寧にお答えしたいので質問の要旨はこれでいいですか」ってすごく気にして対応するようになったんです。

私たちは山中市長が掲げてきた公約と所信表明演説を受けて質問を作っているので、そんなにずれる答えは来ないだろうと当初から思っていました。山中さんはわずか就任後数週間の中であの答えをきちっと作れるかと言うと、横浜市の施策というのはものすごくたくさんありますから、大変なことです。だからそういう中で短時間であれだけの答えを本人の言葉で言っていくというのは、かなり厳しいと思うんですね。

ただあの3つのゼロにしても、中学校給食についても、やっぱり市民の皆さんからの切実な要望であることは間違いなくて、それをご本人も街頭で演説しながら聞いてきたっていうところが一番大きい要因だと思うのです。

だから私たちは市民の要望を聞いて、それをきちっと実行するのが地方自治体の一番の目的ですから、そこに市民の命と暮らしがかかっていることに対しては積極的に応援したいと思います。

それからすごく誤解をされて気の毒だなと思ったのは、自民党と公明党がものすごく市長の所信表明に対して突っ込んでくるんです。何を突っ込んでくるかというと、あの3つのゼロだけでも100億円超えるわけで、その予算をどこから捻出するんだと、言いがかり的なことを平気で言うんですよね。

私たちは中学校給食もそうですけど、4年間の任期中に方向性が出せればいいと思っていて、今の横浜市の財政状況を考えれば、実は財政調整基金など積立ているお金はほとんどないので捻りだす予算はないんです。私たちは何でそれを分かっているかというと、林市長の時から予算組み替え動議を出すのですけど、その時ですら私たちが組み替えようと思う予算も100億円単位の一般財源はどこをつついても出てこないんです。だからやるとしても数年で順番にやる。中学校給食もそうなんだけど、いっぺんにはできないから3か年とか4か年計画でという話をしなきゃいけないし、小児医療費は、これは国から、あるいは県から出してもらえれば少し改善する要素はあるのだけれども。

そうは言ってもやっぱり現物でお金を出さなきゃいけないのと、中学校給食施設みたいに市債発行してできるものとは違うので。そういう点での棲み分けも含めて私たちは将来展望をきちんと示すということが必要だと思っているので、そこは今後山中市長にもう一度丁寧に、お互いに意見交換しながら道筋をつけられると思っています。そのためにも財源をきちんと示す。今すぐやるという話ではなくて、どこから捻出して市民の暮らしを守って行くかという視点が大事だと思っているのです。

そこは山中さんもちゃんとわかっていて、カジノを止めた要因の一つというのはやっぱり、若い人たちに住み続けてほしい横浜市をつくりたいという彼の思いですよ。そのためにも、出産費用とか小児医療費を無料化して、若い人たちに住んで税金を払ってもらって。これは理にかなったことで、私達もそういうことを言い続けてきました。だから企業を呼び込むことももちろん否定はしませんけれども、一方でそこに住み続ける若い人たちに定着してもらうという政策が、中学給食もそうですけど、横浜は非常に林市長の時から弱かったので、そういう子育ての分野に視点を当ててくれたというのは大きな変化だと思っています。

―― 横浜に若い人たちが住み続けてもらうような街づくりという視点は大事な角度だと思いますが、市議団も懇談されている建築家の山本理顕さんが、成功している観光地に共通しているのは、住民たちが生活している場に観光客が来るという構図だと言っておられるし、住民自治の重要さを強調されています。また、横浜の住宅問題についても関心を示して若い人たちがどうすれば住み続けることができるかという問題にも言及されています。そういう中での横浜市会の力関係を見ますと、議案に対する各会派の賛否一覧を見ますと市長を支えるのは少数与党で、共産党としてもこれまで経験したことのない局面に臨んでいくわけですが、そのあたりについてはいかがですか。

荒木:これからのその対応についてはもう一つひとつ見ていくしかないですね。でも今回の第3回定例会の議案には頭から反対する中身ではないんですよ。だからこれから勝負になるのは予算議会だと思っています。9月議会の中身はほぼ前の市長の時に作っているものなので、ほとんど山中カラーは出ていない。実際に山中カラーが本格的に出てくるのは来年度の予算編成をした時だと思います。そこで自民党と公明党がどういう反応しめすかだと思いますね。

実際に例えば、中学校給食について現実的な話をすると、今のハマ弁で業者と契約しているのは5年間なんです。だから残念なことに山中さんが在任中は違約金まで払って中学校給食で自校方式とかやれるかって言ったら、そういう事を検討するだけで5年かかっちゃうんですよ。自校方式にするにしても親子方式にするにしてもセンター方式にするにしても比較検討しなきゃいけないですから。ただ、今まではそれすらしてこなかったですからね、与党会派の時には。ハマ弁でいいんだ、2割~3割の子どもたちが選択で食べるのがいいんだと、これが給食なのだというふうに言い続けてきたわけです。そこを山中市長が「全員で食べる方がいいでしょ」という話に切り替えたのは、まさに私たちが要望していることです。

それから敬老パスの問題、75歳以上の方はまだ数年は増え続けるんですね。今一番問題になっているのは事業者さんに払う負担金なんです。今は生産年齢人口が減っていて現金で乗る人が減っている。敬老パスで乗る方たちの回数も平均で言うと増えていく傾向にある。そちらの負担金をどうするかということも実は考えなきゃいけないんです。

だから、そのいろんなバランスを見て、そこをどう山中市長が判断していくのかというのが一番の大きな山になるかなと思います。そうは言ってもIRを撤回したので、もうやめたってことはその調査検討費もいらないですし、今後の山下埠頭再開発も山本理顕さんの話ではないけれど、そこをどう活用して町屋のような、人が賑わうような場所で少しでも税収が入る方法を検討するのか。それからもう一つは、花博の後のテーマパーク構想と言われている上瀬谷の跡地問題。

だから、横浜市としては都心臨海部の再開発も含めて、事業的に何を展開しながら企業に来てもらうかという視点も、それは大事だと思いますし私たちは否定しないので。ただそのために助成金をやたらにばら撒くというのは納得していませんが。

山中市長がデータサイエンスというご自分の得意分野で、市民にそこをきちっと情報提供しながら、どうやって今後のバランスをとっていくのかということが、これからの4年間に問われることではないかと思います。

―― 敬老パスの問題では荒木団長が16日の一般質問でも取り上げていましたが、名古屋市が敬老パス制度の有効性について事業効果を分析し経済波及効果や医療費削減につながっていることを紹介していました。また横浜市では国民健康保険で資格証明書の発行を2016年に中止し、短期保険証の発行も2019年8月からやめ、横浜の国保はすべて正規の保険証が発行されるようになりましたね。

ところで、横浜港の真ん中にはノースドックという重要な米軍基地があります。横浜市の港の管理者は横浜市長ということになると思いますが、ノースドックが単なる港湾施設ではなく様々な艦船が入ってきて、基地の強化がなし崩し的に進められていますが、平和の問題についての山中市長のスタンスは。

荒木:平和の問題については公約に掲げていなかったことなので、触れにくいところですね。率直に言うと、山中さんとは政策協定を結んでいるわけではないので。「誕生させる会」との政策協定では「国際平和を発信する施策を進めること」と書かれていますが。林さんのときは、もう完璧に菅政権のパイプが繋がっている人というのは分かっていたから、被爆者署名の件もそうですが、推進してないからやりなさいと言い続けてきました。山中市長が今後そういうところでどういう考え方を持っているか、これからの課題ですね。

私たちは市政にプラスになるようにしたいんだけれども、今の議席の数からいうと当然倍の議席を持つ立憲民主党との連携をしなければいけないので、彼らともうまく話をしながら一つひとつ、こういうことお互いにやっていきませんかというボールを投げていかないと。共産党が単独プレイすることで逆に山中市長を追い込むことになるのも良くないと思っています。

だから今回の質問では初めて「市長の政治姿勢」という言葉を使うのをやめたんです。「政治姿勢」と言うと露骨に対決の言い方になっているのが気になったので、だからあえて「市政に対する思い」という優しい言葉に切り替えたのもそこにあるんです。

私たちは今後対決するのではなくて、より良く山中市長の思いが実現できる形で応援するっていうオーラを出そうと思っています。実は一番苦労したのが質問の組み立て方なんです。野党時代の対決姿勢が染み付いているからものすごく苦労しました。それは白井議員から始まって、「何何すべきではありませんか」という言葉はやめようと。「べき論」はやめて、さっきの名古屋の敬老パスの件もそうですが、そういう事例を引き合いに出し市長にお声掛けして検討してほしいということを言っていく。例えば、「質問」にする時と「要望」にする時と使い分けをする。とにかく市長に現状を知ってほしいという意味で、あえて答えなくてもいいけど、こういうことを要望しておきますよっていう使い方するとか。

自分たちが与党の立場になると質問の構成の仕方が変わるのだというそういう経験をしましたね。

―― 「市政への抱負について」という言葉を使っていましたね。そこにはこういう深い意味合いが込められているということですね。

荒木:そうなんです、実は。それから一番怖いのは、来年度の予算だって言いましたけど、そのせっかく組んだ市長の予算が、自民党と公明党は今も対決姿勢満々でやってきますが、本当に通さないと言って来たら、そこでまた大きな闘いをしなきゃいけない。その時にやっぱり50万市民が選んだっていうことと、その市長が組んだ予算とういう点で道理があるということを知らせながら、もしそこで通らなかったらどうするかということを考えなければならないという、今までに本当に経験したことがない局面もありうるということ。

もう一つ心配なのは、逆に言えば通すための予算にされちゃうと、本来の山中市長のスタンスと違う部分が出てくるかもしれない。これ全く予測ですからね。そうなった時に、50万市民の期待を裏切るようなことはさせちゃいけないという。両方あるんですよ。

だからこれからの闘いは本当に予測がつかない状況なので、どこまで山中市長がそこを踏ん張ってくれるかということも見ていかなきゃいけない。そういう点ではまだ今回は序の口なので、これから先自民党と公明党が何をやってくるか、ちょっと予測がつかない中で新年度の予算についての大勢、反対する勢力も見なきゃいけないなと思っています。

―― その場合、議会内だけの対応ではなくそれを支えていくものとしての市民の運動が野党時代の時よりも増して非常に大事になってきますね。

荒木:そうです。今回も最初の市長の所信表明の時から一般質問の時も、山中市長誕生直後なのでいろんな人たちが傍聴に来てくれている。それはそれで良かったと思っていて、やっぱりなかなか横浜市議会、県議会もそうですけど、地方議会に傍聴に来る方というのは限られていて、傍聴に来たことがないっていう方たちが本当に多いんです。そういう方たちや、山中さんに投票した人たちもすごく関心持って来て頂いているのはいいことなので、引き続き予算議会の時も各会派の質問を聞いてもらって、どんなことを言っているのか知っていただきたい。

それと選挙の時も思ったのはSNSの力なんです。すごく盛り上がっていました。山中さんを応援するTwitter、Facebookで私たちバンバン広げましたし。私たちのスタンスを伝えるという点では結構インターネット上のTwitter、Facebookが機能しているので、そうやって政策的なことをアピールすることも考えなきゃいけないと今思っています。

―― 大都市横浜が今直面していることで打開していかなければならない問題、いろいろあると思いますがいかがでしょうか。また政策的に深めていくべき問題、かながわ総研としても協力しながら研究しなければならない分野もあると思いますが。

荒木:難しい問題ですね。私達は地方分権が必要だと思っているんですけど、人口378万人なんていうこういう自治体もなかなか想定されていないので。横浜でいえば大都市制度っていうのを言っています。ただ、これが果たして良いのかという点では、県から独立すれば済むという話ではないので、むしろ住民自治とか各区の行政のあり方とかっていうところをもっと丁寧にやってほしいと思っています。特に横浜市では区長の権限がほとんどない、それから東京のような区議会もない。そういう意味では、私たちは東京都の23区のように本来行政区ごとにカラーがもっと出せる、予算ももう少し市民の目線で使えるような仕組みになっていたらいいなと思いますよね。

南区の人口が約20万人ですけど、そこで議員定数が減らされたから市会議員4人しかいないんですよね。同じぐらいのレベルの一般市であれば市議が20人ぐらいいても良いところですから、そういう意味でも市民の声が届きにくい部分があります。

それから今は、自治会や町内会の方たちも役員をやる方が減っていて、区から下りてくるいろんなものを配ったり、あるいは行政から言われるような災害対策の訓練を行ったりとかそういう実働できる人が現実にはいなくなっています。昼間の人間が少なくなっているとか、高齢者ばかりとか。今の災害対策のあり方を考えると、特別な体制を取らなくてもできるようにするためには、やはりマンパワーが必要だと思うんですよね。

そういうところに職員がどれだけ行けるかといったら、ほぼ連合町内会単位で言うと2人くらいしかいませんから。2人ないし3人。しかも本当に災害の時にちゃんと地域に備えた防災拠点に来られるかというと、これも厳しい話しでね。まあ24時間の中で何とか来るかもしれないけれど。

そういうことを考えると大都市横浜の課題っていうのは、防災ひとつとってみても脆弱です。それから子どもの貧困対策では、この間コロナになって子ども食堂もできなくなって、本当に子どもたちやそこにSOSを求めてきた普通の人たちが声を出せなくなっているという現状もある。日本の今の子どもたちを育てる環境ひとつとってみても閉鎖的になっている。昔のような誰もがご飯食べにおいでっていうような家はもうなくなっていて、オートロックで玄関まで入れないっていう状況になっている。そういう、隣近所が何しているか全く見えないっていうようなこともあって、それが大都市制度になったら変わるのかといったらそんなことはないわけですよね。

だから今の子育て環境といっても、一つひとつのハードルが高くなり、特にコロナの影響で母子家庭の方たちや女性の労働者、それからフリーターで頑張っている人たちや学生さんたちが厳しい状況に置かれているということも見ると、やっぱり根本的なところを直していかないと。これは横浜だけでは済まない課題ではないかと思っているんです。だから、一つひとつの地方自治体が地域の皆さんに根付いて動いている現状も、もっともっと私たちが分かるような仕組みを作らなきゃいけない。課題は見えているんだけど、でもそれはいろんな法律の規制があって思うように進まないこともあって、ではどれから解決するかという時には、それに気づく人をどれだけつくっていくかということになるんだと思います。そこは今すごく安倍・菅政権の頃からみんな疑問を持ち始めてくれていることだから、少し私たちからも発信をしなきゃいけないと思いますね

―― 370万を超える人口を有する横浜市ですが、欧州の都市などはかなり人口は少ないですね。それだけ住民からは行政が可視化できるのではないか。東京23区では区議会もあり自主財源もある。しかし、南区では人口は19万人で市会議員定数は4人でもちろん区議会もない。地方自治のあり方としてどうなのかという議論もある。また、高齢化で地域の自治会や消防団などの活動を担っていける方が少なくなっているという現実もあります。若い方々がそういった地域の活動にも参加できる街づくりということも大事な点だと思います。

横浜に住んで40年になりますが、飛鳥田市政はほとんど経験していません。市長選挙は何度か経験していますが、自分が名前を書いた人が市長になったというのは初めてで、選挙で政治が動くという、若い方々も非常に貴重な体験をしたのではないかと思います。

荒木:今回山中さんは、ゼロ打ちといって20時に投票を締め切ると同時に当確が出た。そんなことあるんだって思いましたよね、この経験はほんとないですからね。それだけ市民の期待も大きかったし、今回カジノを止めたっていうことでは、やっぱり大阪、和歌山、長崎の方たちもFacebookで繋がっているので、他県のカジノを阻止しようとしている人たちからもすごく喜ばれています。「トップが変われば止められる」という経験。だから自分たちも、簡単ではないけどやっぱりカジノは嫌だっていう人たちが日本全国にいるわけで、これは横浜だけを止めたのではなくて、やっぱり日本全国いらないっていう話に燎原の火のように広がる可能性はある。そういう点でもすごく大きな一歩でしたね。

このことが菅政権をどこまで揺るがしているのかというのは、菅さんがやっぱり総裁選挙に出られなくなった一つのきっかけになったことは確かですね。

不十分な形の野党共闘ではありましたけれども、私たちが自主的に支援をしたことでこれだけ大きな形になったというのは、私たち自身、自負していますし、立憲民主党だけの力じゃないよねっていうのは、本人たちもわかっていると思うんです。

だから今後の課題としては、そういう市民がつくってきた市長だからこそ、市民の声を聞いてっていう思いが有権者の側から出てくると思うんです。それをどれだけ山中市長が自分の初心として忘れないで貫いてくれるかというところが、これからの4年間試されることだと思います。

私たちも自分たちの選挙がありますから、一斉地方選挙でもそこがまあ、山中市長がどっちに向いているかで決定されてしまう部分があることもちょっと怖いんですけどね。

自分たちにも問われていると思うのでそこは常に、山中市長には初心を忘れないでと言い続けていかないといけないなというふうに思っています。

―― 少しでも横浜でのショックを小さく見せるために自民党は総裁選に入っていき、マスコミは総裁選にジャックされたようになっています。

一年前のちょうど今頃、学術会議での任命拒否事件が発覚した。その時、イタリア学会という学会が非常にユニークな声明を出しているというので、ネットで探したんですが、イタリア学会の会長の藤谷道夫さんという方が、民主主義にとって何が根本かというと情報公開と説明責任であり、それはジュリアスシーザーがローマ皇帝になったときにやったんだというあたりから説き起こしていて、説明責任を果たさないということは有権者に対しての暴力であるとまで言っているのですね。この1年余り、いや遡って安倍政権の時代から情報公開も説明責任も果たしていない。これからもやっぱり情報公開と説明責任というのは問われ続けなければならないテーマですね。

最後に、今後の横浜市政にどういうスタンスで向かっていくのかというあたりについてお聞かせください。

荒木:今までに経験したことがない、私たちが選んだ市長になってくれたということで、二人三脚でやって行こうと思っています。立憲民主党とも十分に話をしながら、今度の予算編成が本当に一番大きな山場だと思いますから、そこをどう乗り越えていくかということですね。

自民党と公明党から何を言われても揺るがずに頑張れるような形を、私たちも応援しながらつくっていかなければいけないし、市民の要望に背を向けるのがこの人達っていう形でわかりやすく伝えられればいいかなと思うんですね。

この間、野党が何回も憲法に基づいて臨時国会を開けと要求しているのに、それも聞く耳持たない今の自民党の体質をやっぱりきちんと伝えなきゃいけないし、私たちの側からすれば、議会で論議されるさまざまな問題についてきちっと一つずつ丁寧に議論しなきゃいけないと思っています。

だからそういうスタンスと、皆さんにもっと知ってもらう機会としては今回の山中市長の誕生ということですごく注目を浴びているので、そういう皆さんの意識を常に持っていてもらえるような議会運営もしていかなければいけないと思っています。一つひとつの山中市長が掲げた公約が、市民の皆さんの期待の声でもあると思うので、それをどう私たちが形に結びつけていくかということで、一緒に尽力していきたいと思っています。

―― お忙しい中、長時間にわたってありがとうございました。

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