議会での質問・討論(詳細)
2021年12月7日

■議案関連質問 かわじ民夫2021.12.7

かわじ議員:日本共産党のかわじ民夫です。党を代表し、本定例会への市長提出議案4件に関連し、質問いたします。

「旧市庁舎街区の地区計画の変更」について

かわじ議員:最初は、市第64号議案横浜市地区計画の区域内における建築物等の制限に関する条例の一部改正についてです。

関内・関外地区は、17世紀の吉田新田の開墾に始まり、幕末の外国人居留地誕生とともに、それを支える日本人街が形成され、併せて官公庁施設などの立地が進んだことで、横浜の原点として発展を遂げてきました。まさに、横浜の1丁目一番地です。開港以来の歴史と文化や個性豊かな商店街など、独自の魅力を有している地区であり、地区ごとの特徴を伸ばしていくために、都心機能を集積し、にぎわいを創出するため、「特別用途地区」として、横浜都心機能誘導地区に指定するとともに、質の高い景観形成を図るため、景観法に基づく「景観計画」及び景観条例に基づく「都市景観協議地区」と定め、高さ制限が行われ、住宅の建設はできないとの制限がなされるなどの運用を行ってきました。その結果、関内駅周辺から港へと続く地域は、市民にとっても横浜の顔として大切な場所として親しまれています。その一番の顔である旧市庁舎の保存はされるものの、建物の高さ制限は大きく緩和され170mもの高さにすることができることなどを条例に位置付けるのが今回の条例改正です。

今年8月27日の都市計画審議会では、「関内駅前地区地区計画」を決定し、併せて地区計画による新たなまちづくりを推進するため、地区計画の地区整備計画により建築物の用途の制限等を具体的に定める区域について、新たな計画でのまちづくりができるように、これまでの特別用途地区における「横浜都心機能誘導地区」から除外する変更も行いました。また、市の景観計画見直しも行われ、これらをふまえて、建築物の高さ制限を170mに緩和すること等が決められていきました。

これらの変更がたやすくできるのは、横浜市が旧市庁舎街区活用の公募において、新たなまちづくりの方向性を示すものとして作成した「関内駅周辺地区エリアコンセプトブック」に明記しているからであり、それは市が、これまでの長年のまちづくりの方針を覆し、企業が参画しやすくしたためです。このように今回の条例改正の議案は、林前市長が8月29日の任期ギリギリいっぱいまで使って準備してきたものといえます。

新市庁舎への移転が決められてからこの関内駅前地区の街づくりの検討が進められ、今回の、三井不動産等との契約となっていますが、三井不動産が提案してきたのは、2019年策定の「関内駅前地区エリアコンセプトブック」によるものです。街づくりのコンセプトとしての「国際的な産学連携」と「観光・集客」は、人が集まり魅力を高めることで地区の再生と都心臨海部の活性化につなげようとするものですが、このコンセプトは2019年時点、コロナパンデミック前のもので、その適否の検討・再考が求められています。当時は、三井不動産が賃貸床の約75%で賃借予定者を確保していることなどが大きく評価され高得点をはじき出しての決定となっています。しかし、今、コロナ禍により、テレワークの普及など働き方の変化により、オフィス需要が減退しています。また、横浜の景観に誇りを持っている多くの市民も超高層ビルが林立することを嘆いています。
そこで、巨大な集客力を目指した「国際的な産学連携」「観光・集客」という街づくりのエリアコンセプトは、コロナ禍の前に策定されたものです。コロナパンデミックを経験した中で、ゼロベースで地域全体のバランスの取れた街づくりになるよう提案しますが、いかがでしょうか。
山中市長市第64号議案についてご質問をいただきました。関内駅周辺地区のまちづくりのコンセプトをゼロベースから見直すべきとのことですが、国際的な産学連携、観光集客という街づくりのコンセプトは、関内駅周辺地区の特性を踏まえ様々な方々と議論をし、時間をかけて決定したものであり、関内関外地区の活性化につながる普遍性のあるものであると考えています。このため今後もこのコンセプトを継続してまちづくりを進めてまいります。

かわじ議員:旧市庁舎跡地の地区計画の変更決定は、開発事業者の事業提案を実施するための手続きでありますが、その事業提案にかかわっては、市有地貸付料について「関内駅前一等地、これはあまりにも安すぎる」との声が、多くの市民から聞こえてきます。土地貸付料について、市長は議会で「土地利用の制限をかけており、制限のない場合の価格と比較して安くなることは妥当」「2社の不動産鑑定評価をもとに議論された適切な価格」と、答弁されています。市長が言われるように土地利用に制限をかけていることから土地価格が通常より下がり、結果として貸付料が安くなるのは納得できます。しかし、市長の説明は、この土地を事業者が購入し、私有地となった場合に毎年支出する固定資産税・都市計画税より貸付料が下回っているのではないかとの市民の疑問には応えきれていません。そもそも土地に利用制限をかけたといっても、高さ制限を31メートルから170メートルにして大幅に緩和したことで、建築可能な床面積は、800%の容積率は変えていないことから、変更前と同じであり、事業者にとっては大きな不利益はないはずです。また、最終的に土地価格を決めた財産評価審議会が非公開であることも市民が疑念を抱いているところです。この説明では不十分です。そこで、土地についても市民の納得が得られるよう今からでも再鑑定することが必要と思います。それは政策判断にあたってはデータを重んじられる市長の立場と合致するものと思います。

山中市長:旧市庁舎街区の土地貸付料について再鑑定すべきとのことですが、貸付料については公有財産規則に基づき、財産評価審議会へ諮問をし、適切に定めた価格です。諮問にあたりましては国が定めた基準により作成された2社の不動産鑑定士による鑑定評価書を元に不動産鑑定士や、弁護士からなる委員が公正かつ中立な立場で審議を行った上で価格を決定しております。なお、市民の皆様のご理解を深めるため、土地貸付料の鑑定の概要についてまとめた資料を、ホームペジ上で公表しております。これらのことから再鑑定の必要はないと考えております。


新劇場計画のようなデータ無視は繰り返すな

かわじ議員:次の市第65号議案及び、市第66号議案は事業の廃止に関わっての条例です。いずれも、政策決定のプロセス及び事業の検証は、住民自治・団体自治を基本とする地方自治体の行政運営に直結するものであり、曖昧にできません。今後の市政運営の教訓にすることが重要であり質問するものです。
まず、市第65号議案、横浜市新たな劇場整備検討委員会条例の廃止についてです。
文化・芸術は、人々に生きる力を与え、心豊かな暮らしに欠かすことができないものです。文化・芸術を創造し享受することは、憲法や文化芸術基本法に保障された国民の権利です。わが党は、すべての国民がもっと自由に文化・芸術をつくり楽しむことができる社会をめざしています。そのために市政が関与することは大いに賛成です。
しかし、前市長のもとでの「新たな劇場整備検討」についての進め方は、バレエ・オペラの真っ当な需要調査もせず、運営費の積算は過大な収入見込みと寄付金ありきを前提にしていることから、あまりにもずさんであり、わが党は、新国立劇場、東京文化会館の視察も踏まえこの計画を進めていくことについては問題があり賛成できないと一貫して指摘してきました。
2020年11月16日の検討合同部会の資料では、概算建設費で480億円、土地取得関連で130億円とされ、劇場の年間支出の試算は45億円。収入はチケット代で25億円、市債補助を15億円、寄付6億円と見込んでいました。チケット代の25億円はオペラ・バレエを上演する新国立劇場のチケット代の8割にもなるもので、その実現性は極めて不明瞭で、寄付金6億円の根拠もなく、市民の理解が得られていないものでした。また、芸術・文化事業の第一線で活躍されている識者で構成されている「新たな劇場整備を考える横浜市民の会」から「新劇場を2500席規模とした根拠」「多面舞台の必要性についての根拠」「観客動員の検討」等の、新たな劇場整備について疑問視する質問が出されていました。
そこで伺います。前市長のもとでの「新たな劇場」整備ついての進め方は、データ無視で結論ありきで、あまりにもずさん、独善的ともいえるものです。こうしたやり方は、住民自治の立場に相反するもので繰り返すべきではないと思いますが、市長の見解を伺います。
山中市長:市第65号議案ついてご質問をいただきました。新たな劇場整備の進め方のように結論ありきのやり方を繰り返すべきではないとのことですが、今後、市として政策を考えていく上では様々な関係者の意見をしっかりと踏まえながら、進めてまいりたいと思っています。

IR 誘致の経緯検証は第三者委員会で

かわじ議員:そして市第66号議案、横浜市特定複合観光施設設置運営事業者選定等委員会条例の廃止についてです。
議案は、執行予算の停止、減額補正とともに前市長が進めてきたIR誘致に終止符を打つもので、市長公約に沿った措置として評価します。IR誘致で最大の問題は、前市長による誘致決定過程が明らかにされていないことです。IRについてはこの間、前市長は2017年市長選では「白紙」としました。しかし、当選2年後の2019年8月22日の定例記者会見でIR誘致を表明しました。その間の経緯や、前市長が「白紙」を撤回した後の政財界やカジノ業界の意向など、事業の検証は市政運営の検証にもつながるものです。山中市長は11月26日の記者会見で、誘致に至った経緯の検証について「事業の振り返りにあたっては、IR誘致に至った意思決定の経緯、どういう検討を行ったのか、観光・依存症対策などの検討結果。経済試算等について取りまとめを行う予定です。これらの内容に関しては、外部の方にお考えを伺うことは予定しています。取りまとめたものに関しては、当然ながら市民の皆様にも、報告書という形で公表したいと考えています」と述べておられます。
検証で解明が待たれるのは何でしょうか。一つは、誘致決定に至るまでの間、市長サイドに政府、経済界からどのような働きかけがあったのか、二つは、最終決定がどこでいつどういう人たちでどういう議論のうえ、決めたのか、三つは、誘致決定後は政府とどういう折衝をおこなってきたのか、四つは、本市への財政貢献・経済波及効果は本当に可能であり、客観的で現実性のある数値であったのかどうか、五つは、2015年策定の山下ふ頭開発基本計画はIR誘致のための前提づくりではなかったのかなど多岐にわたります。
調査の担い手は市職員で、外部の方について意見を聞くとされています。市の職員がかかわるのは当然のことですが、市職員で市長、副市長、局長クラスへの調査には限界があります。政府やその関係者への聴取はもっと困難です。横浜市の重要な、そして市民の関心が大きい事業において、検証は、客観的・公平に行うことが必要です。そのためには市長直属の第三者委員会設置が必要と思いますが、伺います。

山中市長:市第66号議案についてご質問をいただきました。第三者委員会の設置が必要とのことですが、IR事業の振り返りにあたっては、法整備など国の動向、誘致に至る市の意思決定の経緯、検討の経過、観光・経済への影響、依存症対策の検討結果、これらを事実に基づいて取りまとめを行ってまいります。これらについては、第3者の外部有識者にご意見ご評価を、いただく予定にしています。

新型コロナ感染対策をさらに前へ

かわじ議員:最後は、市第98号議案、令和3年度横浜市一般会計補正予算についてです。
コロナ対策においても、山中市長の誕生後、ワクチン接種の加速化や自宅療養者への支援、病床の更なる確保など医療提供体制の充実が図られてきました。また、12月1日よりコロナ専門病院を開設し、ハイリスクな自宅療養者には、入院による専門的な早期治療で重症化を防ぐとしています。現在、新規感染者が下げ止まりとなってはいるものの、新たな変異株「オミクロン株」の感染者が世界各国で広がっています。日本でも11月30日、空港検疫で入国者から国内初の感染が確認されました。WHOは「オミクロン株」の警戒の位置づけを高め、日本の国立感染症研究所も警戒度が最も高い「懸念すべき変異株」にリスク評価を上げました。
オミクロン株の感染力の強さや重症化リスク、ワクチン効果への影響など詳細はまだわかっていません。それだけに、監視の体制を強め、性質や危険性について解明することが急がれています。そうした中で、横浜市としては特にPCR検査をはじめとする検査体制の拡充・強化、ゲノム解析の徹底が求められています。また、感染状況が落ち着いているときにこそ保健所や医療が危機的な状況に機能するかをチェックし、備えを万全にしていくことも極めて重要ですその点で、以下4点について質問します。
かわじ議員:一つは、陽性者を早期に発見し、感染拡大を抑えるためのPCR検査体制の確保が重要です。希望者が「いつでも、どこでも、何度でも」検査できる体制にむけて、国の補正予算「検査促進費」も活用することが重要と思いますが、伺います。
山中市長:市第98号議案についてご質問をいただきました。いつでもどこでも何度でも、検査できる体制に向けて国の補正予算を活用すべきとのことですが、国の補正予算は都道府県が実施する検査を対象としております。具体的には、都道府県が経済社会活動を行う際の検査を無料化することや、都道府県の判断により完全拡大時に無症状者も含めた検査を無料化するものであります。このためまずは、国や県の対応状況を見極めてまいります。

かわじ議員:二つは、自宅療養者対策について、本市は自宅療養者見守り支援事業を創設し、神奈川モデルに上乗せしていますが、そのことについての市長の考え方を伺います。
山中市長:コロナ患者用の病床を拡充したうえで、さらに自宅療養者見守り支援事業を実施する狙いですが、自宅療養社に安心して療養生活を送っていただくためには症状が悪化した際に、医師につながり必要な時に入院できる医療機関があることが重要だと考えております。引き続き関係機関と調整をいたしまして、自宅療養社が必要な医療に、自宅療養社が必要な医療につながる支援策に取り組んでまいります。

かわじ議員:三つは、年末年始の発熱外来実施機関の市民周知は、医療機関の理解と合意を得たうえで公表することについて、市長の見解を伺います。
山中市長:年末年始の、発熱外来実施期間を公表すべきとのことですが、本市では年末年始も含めて休日に診療を受けられる医療機関を『横浜市新型コロナウイルス感染症コールセンター』において情報提供しております。また年末年始に診療を行う医療機関の公表については、横浜地域分も含め神奈川県がホームペジで一括して行う予定でございます。

かわじ議員:四つは、ゲノム解析の体制は1月開始を目指すとありますが、前倒しで進めるべきと思いますが、市長の見解を伺いまして質問を終わります。

山中市長:ゲノム解析の体制をできるだけ早めるべきとのことですが、今回予定している全ゲノム解析の体制は、オミクロン株に限らず、新たな変異株の発生や変異株の発生動向のサーベイランスを強化するために整備するものでございます。なお、オミクロン株のサーベイランスについては、国からの通知に基づき適切に対応してまいります。


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