議会での質問・討論(詳細)
2022年2月18日

■現年度議案討論 古谷やすひこ議員 2022年2月18日

日本共産党 古谷やすひこです。党を代表して、本定例会で提出されています3つの議案「市第126号議案 横浜市保育所条例の一部改正」「市第136号議案 公立大学法人横浜市立大学が徴収する料金の上限の変更の認可」「市第142号議案 令和3年度横浜市港湾整備事業費会計補正予算」に反対し、また補正予算市「市第138号議案令和3年度横浜市一般会計補正予算」についての賛成の立場で討論をします。

市立保育園の民間移管は、低賃金の保育士に置きかわり保育の質に影響するもので反対

まず市第126号議案「横浜市保育所条例の一部改正」についてです。本議案は3つの市立保育園を廃止し、民間移管を行うものです。127園あった横浜市立保育所を毎年3~4園と廃止し54園までにしようとしています。公立園が民間園になることで、そこで働く方々が得る賃金が比べれば低くなることは避けられません。「令和2年賃金構造基本統計調査」から保育士の公民給与を比較すると、年収ベースで200万円民間園の保育士さんの給与は低くなることになります。給与がひくいために定着率も下がることになり、保育の質にも影響します。公立園では、平均勤続年数は16.7年に比べて、保育士全体の勤続年数は6.5年です。保育士の募集についても、大きな公民格差があり、公立園で保育士さんの募集をすれば、本市では3倍近い倍率で応募があります。かたや民間園では保育士さん集めに苦労している話は日常的です。これはひとえに給与が低すぎるためです。国でも低すぎる保育士給与が問題になり、ようやく不十分ながら賃金をあげられることになりましたが、最大でも年収で10万円程度の賃上げでしかなく本当に不十分です。これらのことから民間移管を前市政時代に策定した計画に沿って粛々と進めることには賛成できません。

市大病院の差額料金がいらない部屋を減らし、差額ベット料が必要な病床を増やすことに反

市第136号議案「公立大学法人横浜市立大学が徴収する料金の上限の変更の認可」について反対します。差額ベッド料金がいらない4人部屋を減らして、差額ベッド料がとれる個室部屋を増やすというものですが、公的な役割を持つ市大病院で、差額ベッド料がいらない入院ベッドを削り、差額ベッド料金を出さなければ入院できない入院ベッドを増やすのは、問題です。これだけ感染症が広がっている中ですから、個室に入りたい方が増えていることは理解できますが、そもそも医療上必要であれば、差額ベッド料金は取れません。いくら希望があるからと言っても、お金がある方だけが個室で医療が提供されるという差別を公立病院が率先して増やすことには反対です。お金のあるなしで医療が差別されてはなりません。

市費負担980億円もの新本牧ふ頭整備推進は次世代に負担を強いるもので反対

市第142号議案「令和3年度横浜市港湾整備事業費会計補正予算」の新本牧ふ頭整備負担金が3億4430万円増額補正されることについて反対します。新本牧ふ頭は、国際コンテナ戦略港湾としての横浜港の将来を見据え、コンテナ船の大型化や貨物量の増加に対応するため、大水深・高規格コンテナターミナルと、高度な流通加工機能を有するロジスティックス施設を一体的に配置した最新鋭の物流拠点を形成するものと聞いています。また併せて公共事業等から発生する建設発生土を受け入れる役割を担っています。しかし過大に見積もられた貨物量を前提とした国際コンテナ戦略港湾政策によって市費負担が大幅に増えることに私たちは反対しています。総事業費3200億円の巨大事業に対して、市債発行による980億円もの市費負担です。市長公約を実現する財源はないとしきりにおっしゃる自民党のみなさんが、市債発行による公債費が膨張することへの言及が一言もないのはどういうことでしょうか。またリニアの建設工事による首都圏発生土について、ここで処理をすることは、リニア建設事業の容認であり、環境破壊、コロナ禍による需要低下、気候危機対策に逆行する莫大な電力使用など建設中止を求めている立場からも反対です。

補正予算はコロナ対策に賛成するがまだまだ足りない市独自の対策

市第138号議案令和3年度横浜市一般会計補正予算についてです。コロナ対策を前に進め市民の命と健康守る立場で賛成します。コロナ対策の最前線にいる医療従事者の方々や保健所の職員さんたちには改めて敬意を表します。まずワクチン接種についてですが、前回の混乱を踏まえ様々な工夫がなされています。接種券を一斉に送らず、時間差にすることで予約受付を麻痺させない仕組みや、予約支援を区役所だけでなく郵便局や携帯ショップなどにも広げたり、予約システムも先々までの予約が取れたり、改善が図られました。しかしながら、このワクチン接種問題では国の方針の迷走ぶりがまた露呈しました。二回目接種から8か月で3回目ワクチンを接種できるように横浜市は準備しましたが、やっぱり7か月とか、6か月に前倒しするとか、とにかく国の方針がぐらぐら揺れて、地方自治体は振り回される様子は前回のワクチン接種で大混乱を引き起こした教訓に全く学んでいないのかと厳しく指摘をせざるを得ません。

今回のオミクロン株の猛威でいま医療現場はかつてなくひっ迫しています。発熱した患者さんが発熱外来に押し寄せ、受診したいと思っても、キットがない試薬がないということで検査ができない医療機関が続出しています。PCR検査の機械があっても試薬がないために検査ができない事態です。検査は基礎疾患がある人やリスクの高い人を中心に行い、それ以外の人は症状だけで医師の診断により「陽性」としている。PCR検査ができないと伝えると帰ってしまう人もいるということも聞いています。そのうえ医療機関内でクラスターが頻発し職員体制が厳しくなっています。医療機関で1~2月前半で31件のクラスターが認定されています。頑張って人数を絞りに絞って発熱外来を開いている所では、陽性率が7割8割とビックリするほど高い陽性率。入院ベッドも7割が埋まっています。厳しい職員体制の中、医療従事者のワクチン接種も体制が取れないために一時中止している所もあると聞いています。通常オペを先送りしたり、予定入院を先送りしたり、通常の医療が受けられない事態になっています。オミクロン株に立ち向かう最前線の医療現場はこんなに悲惨な状況です。

この状況を受け、2月15日に全国知事会が「全国的な感染拡大の早期抑制に向けた緊急提言」を出し、その冒頭に現在の危機的な状況が国民に正しく伝わるように国として強く情報発信することが求められているにも関わらず、昨日の岸田首相の会見では「第6波の出口に向かって徐々に歩み始める」と国民に対して対策が緩むような発言が冒頭から出されています。この情報発信は間違いです。亡くなられた数は、デルタ株の時を超え、このコロナ禍で最大を数えます。救急搬送困難事例も高止まりが続いていて、逼迫崩壊の危機が続いている状況です。とても対策を緩める発言をするときではありません。

議場の皆さん、そして市長、医療現場を救ってほしい。市中の現場で起こっていることを具体的に解決していきましょう。小さな争いをしている場合ではありません。今ボトルネックとなっている医療機関で検査が受けられない事態を全力を挙げて解消するために国にも県にも民間会社にも要請して、キットや試薬を確保すること市として取り組んで医療機関へ供給していくべきです。また熱が出た患者さんが安心して医療を受けられる体制を強化させるべきです。例えば18区にある休日急患診療所については、各区の医師会の皆さんにもさらにご協力をいただきながら、全ての区でPCR検査ができる体制にしたうえで発熱外来をさらに拡充させるべきです。検査キットの確保も進めてエッセンシャルワーカーへの定期的検査を進めましょう。

今までオミクロン株について、デルタ株に比べて重症化率が低いとされ、軽症例が多いことが強調されてきました。甘く見るべきではないと強調します。オミクロンでも高齢者の半分は重症化すると厚生労働省の公表データでも見て取れます。非常に感染力の強いオミクロン株で感染者が二倍になれば重症者の絶対数はデルタ株と同規模となり、感染率がさらに増えれば、重症化数も死者数もデルタ株を上回る規模になります。もう一刻の猶予もありません。

先日2022年の診療報酬の改定内容がでましたが、医療機関にとっては厳しいマイナス改定です。これは岸田首相が診療報酬総額をマイナスにしたためで外来でも入院でも個々の報酬も現場の切実な要求に応えない厳しい中身です。これでは新型コロナウイルス感染拡大で浮き彫りになった日本の医療体制の問題点が改善されずさらに悪化しかねません。横浜からもしない医療機関を守るために国に対して声を上げる必要があります。診療報酬は原則に年に一度改定されますが、今回はコロナ感染が拡大してから初めての改定です。二年にわたるコロナに直撃された医療機関を支えるために診療報酬の総額の引き上げを求める声は現場からは相次いで出ています。岸田内閣はその声を聞かずに総額を引き下げました。そのために、具体的な施策のところで様々な矛盾とゆがみが出ています。例えばPCR検査の報酬も大幅に引き下げてしまいました。また多くの医療機関で患者さんが感染していることを前提で対応しているにも関わらず、ごく一部の医療機関だけを差別化して加算をつけるようなやり方は現場の分断を生みます。看護職の処遇改善も対象はコロナ対応などに限定し全体の大幅賃上げを求める声には答えていません。今回の診療報酬改定では医療現場に希望は見えません。市長には、市民の命と健康を守るために国に対して改善を求めていただきたい。今回の補正予算では、ワクチン接種を中心としたコロナ対策には賛成しますが、まだまだ足りません。市長の情報発信も足りません。さらに今回の反省を踏まえて、先を見据えた対策を進めるべきです。先手を打った検査ができるように検査キットや試薬の備蓄も進めるべきです。

以上、日本共産党横浜市会議員団を代表しての討論を終えます。

以上


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