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2022年度予算案賛成討論 かわじ民夫 2022.3.23

河治民夫です。党を代表し、市第100号議案、令和4年度 横浜市一般会計予算に賛成の立場から、また、市第104号議案 令和4年度 横浜市港湾整備事業費会計予算など、2件の議案に反対の立場から討論を行います。

討論に先立って、プーチン・ロシアによるウクライナへの軍事侵略、病院や市民施設への無差別攻撃、幼い子どもをはじめ一般市民への虐殺行為は国際法に反するものであり絶対許すことのできないものです。強い抗議と即刻の撤退を強く求めるとともに、ウクライナ国民に連帯を表明します。
山中竹春市長は姉妹都市提携のオデッサ市ゲネディー・トゥルハノフ市長とオンライン会談されるなど、いち早くウクライナ国民に寄り添うメッセージの発信、市庁舎をウクライナ国旗色でライトアップ、市庁舎一階に献花台・募金箱の設置と核兵器廃絶を求めるパネルとオデッサのパネルを展示、区役所に募金箱の設置、オデッサ市から送られた記念品展示を市会議事堂7階から3階入り口に移動等は多くの市民の共感を得ています。また市内在住のウクライナ人122人の方に頼ってこられる、ウクライナからの避難民受け入れに備え、市営住宅79戸確保を表明、更には在日ウクライナ大使館へ出向かれセルギー・コルスンスキー大使に対し、横浜市として2000万円の義援金を贈る旨、表明されました。本市のアピールは平和を願う世界の動きに呼応するものであり、高く評価するとともに改めて市長のリーダーシップ発揮に敬意を表します。

討論に入ります。
新年度予算案は山中市長が就任され始めて編成された年間予算です。
昨年9月、市長が就任されて初めて行われた本会議場での所信表明「これからの市政の方向について」では次のように述べられました。
「今後、生産年齢人口の減少や社会保障経費の増加が見込まれる中、持続可能な街を実現していくためには、医療費の抑制や子育て世代の転入、出生率の向上につながる施策が必要です。
そのために「敬老パス自己負担ゼロ」、「子どもの医療費ゼロ」、「出産費用ゼロ」の3つのゼロの実現を目指します。子育て、医療、介護、福祉の施策を、これまで以上に充実させ、「子育てしやすい街」、「健康長寿の街」を実現していきます。
未来を担う子どもたちの教育の質も高めていきます。家庭の経済状況による教育格差の解消、英語教育の充実、子ども一人ひとりの習熟度に合わせて学べる教育環境の整備などを推し進めていきます。
『横浜の公立中学校で、全員が給食を食べられるようにしてほしい』、そのお声を何度もお聞きしました。中学生に満足してもらえる給食を提供する。その目標を達成するために、中学校給食の全員実施に向けて、取組を進めてまいります。」と、ここには市長選挙で掲げられた公約実現の決意が強くのべられたもので、高く評価するものです。当日、議場は傍聴者席から大きな拍手が沸き起こりました。市長も感動されたのではないでしょうか。

2022年(R4年)度予算案においては「3つのゼロ」「全員喫食の中学校給食」についてはいずれも庁内横断検討チームを立ち上げ、実現に向けて推進するとされています。横浜市の置かれている財政状況から言って、これらを短期間で一気に実現することは容易でないことは明らかだと思います。本格実施に向けて検討するとした山中市長の判断は現実的だと思います。一方で予算案への計上が具体的になかったことに多くの市民が落胆したことも事実です。市長に一票を投じた市民は、カジノNO、コロナ対策への支持だけでなく、市長が掲げた「3つのゼロ」「全員喫食の中学校給食」などの政策に共鳴されて態度を決められているはずです。公約は市民への約束です。任期と重なる次期中期4か年計画において、これらの重点公約を実現する道筋が示されることが市民への約束を守る道であることを確認しておきます。
私たち党市議団は、市長の公約実現を積極的に推進する立場から、一層の奮闘を決意するものです。

2022年(令和4年)度予算案の概要では「暮らしやすく、誰もがWELLーBEINGを実現できるまち」を最優先に掲げ、すべての子どもたちの未来を創るまちづくりを掲げています。そして、全体として、こども青少年局、教育委員会、健康福祉局の3局の予算案は前年度より増額したことに、子育て支援、教育を重視し、介護・福祉に着実に取り組むと表明した就任時の市長の決意が如実に示されています。

次に、個々の予算案の評価できる前進面について述べます。
〇保育所整備においては保育ニーズがある地域を対象に既存施設の中規模な改修において1・2歳児定員増を行う場合に改修費補助増額をモデル実施。
市独自に配置している保育士等への賃金上乗せ(月3%9000円)、学童クラブ等の放課後児童育成推進事業の前年度比17%増
〇特別支援教育の推進ではあらたに、人工呼吸器等の高度な医療的ケアへの対応に加え、福祉車両を7コースから20コースに拡充し、医療的ケアの必要な児童生徒の通学を支援します。横浜市立北綱島特別支援学校については分校を本校に戻します。
〇こども家庭総合支援拠点機能の設置事業では、児童虐待対応の専任化や心理職配置等が10区から18区へと全区に拡充強化されました。
「こどもの権利擁護課」と「ひきこもり支援課」の新設は市長の福祉への本気度の表れと確認できるものです。
〇子どもの貧困対策として、ヤングケアラーに関する実態把握調査等に1200万円計上されました。
〇特別養護老人ホームの整備等については、介護施設等の新規整備を条件に行う大規模修繕・耐震化整備費助成として4施設分8900万円計上です。介護施設等の大規模修繕の際に合わせて行う介護ロボット・ICTの導入支援事業として新たに25億1200万円計上です。
〇障害者総合支援法関連事業に関しても拡充です。
〇地域交通については、新たな地域交通施策の検討として、7300万円計上。これは地域交通を支える総合的な移動サービスのあり方検討、横浜都市交通計画の一部改定、新たな移動サービスの創出や細かな需要に対応する実証実験などです。
○Zero Carbon Yokohamaの実現に向けては、グリーンリカバリーの観点から新たな投資等につなげる設備投資助成、臨海部における脱炭素イノベーションの創出、集合住宅へのEV充電設備設置補助の拡充等、脱炭素ライフスタイルキャンペーンの新たな実施等に向け予算も増額です。

〇市長が最重視する新型コロナウイルス感染症対策についても感染症対策・健康安全室の設置職員64人を増員し、保健所体制が強化され、評価できるものです。
 
また、コロナ感染症に関わって、横浜市では救急車が配備されている消防署や出張所計71個所の中で、救急資器材などを消毒するための救急消毒室が未設置だった39か所について、救急消毒室とほぼ同等の機能を有し省スペース化が図れる「洗浄・消毒設備」の整備が2022年(R4年)度に完了することになりました。わが党は全ての署所の洗浄・消毒設備の整備を早急にするよう、繰り返し求めてきました。これまでは署所の建て替え時に整備するとのことでしたが、大きな前進です。また、老朽化した消防訓練センターの改修は、「市民の生命・財産を守る」責務に応える職員の養成や、新規消防職員の意欲に応えるものであり、大いに歓迎するものです。

国際局審査でも平和事業に対し、より積極的な姿勢を受け止めました。

また、建築局の市営住宅においては、コロナ禍により住居を失った方への支援に、今回から新たに照明器具、ガスコンロ、カーテン等の什器・備品を備えて提供されることになりました。

このように一般会計は、山中市長が市民の思いを汲みその立場で編成されたものと受け止め、賛成するものです。
以上述べた通り、党市議団は予算案を評価するも、市長の公約・3つのゼロや全員喫食の中学校給食の実現に一歩でも前進させることが、市長の公約に託した市民に対する私たちの責任と受け止め、予算組み替え動議を準備してきたことも述べておきます。

一方、3つのゼロや全員喫食の中学校給食などの財源を確保するためには、行政の継続の名のもとで引き続き進められている大型開発などの見直しがどうしても必要です。コンテナ貨物取扱量が低迷するなかでの新本牧ふ頭の整備、旧上瀬谷通信地区での巨大テーマパーク立地にむけた巨額な公費を投入する土地区画整理事業、民間タワーマンション建設への法外な補助金支給など、大型開発事業等の事業費会計は賛成することはできません。
 これらの事業はこれまで議会の賛成を得て進めてきた経緯からいって、また、国策色も強いことから、中止や縮小は生半可な構えでは出来ません。市長はこれからの横浜をつくるために、財政ビジョン素案のパブコメ等実施し、次期中期4か年計画を策定するとのことですが、市長の公約実現の保障となる財源確保を確実にするためには、国直轄で歴代市長が進めてきた大型公共事業は市債残高を膨らませ、財政悪化させた元凶であることを認識し、ここにこそメスを入れた歳出改革されることを切望し、討論を終わります。