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■臨時議会 議案関連質疑 北谷まり 2022.6.21

物価高騰の影響を受ける業種ごとの調査・把握を

北谷議員:北谷まりです。日本共産党を代表して質問いたします。

市第26号議案 令和4年度横浜市一般会計補正予算第2号についてです。本議案は、国の「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」を踏まえ、物価高騰等に直面する生活困窮者への支援を実施するとともに、主に臨時交付金による原油価格・物価高騰を踏まえた経済支援の実施、ウクライナ支援にかかる事業費を補正するものです。燃料費高騰の影響をうけている事業者への直接的支援として、今回はタクシー事業者、乗り合いバス事業者、公衆浴場を対象としていますが、困っているのはこの3事業者に限りません。クリーニング業者や運送業者などからも悲鳴が上がっています。事業者のニーズに沿った支援を広く行うには、業種ごとの実態を調査・把握すべきと考えますが、見解をうかがいます。

山中市長:業種ごとの実態を把握すべきとのことですが、平成4年から四半期ごとに実施している横浜市景況・経営動向調査では、製造業9分類、非製造業9分類の計18業種ごとい、動向やニーズの実態も把握しています。
また、平成30年12月からは、中小企業の内数に小規模事業者を加え、企業規模による実態も把握しています。
これに加え、レシ活バリューの利用データを用いた、業種ごとの実態把握についても、検討してまいります。

市民のくらしの大変さに対する市長の認識について

北谷議員:物価高騰による家計と経済の危機をもたらしたのは、新型コロナウイルスのパンデミックとロシアのウクライナ侵略に伴う資源・原材料の価格高騰だけではありません。1998年以来の約24年ぶりの歴史的な円安が輸入品の価格上昇に拍車をかけ、生活用品の値上げラッシュを招いていることに日本的特徴があります。異常ともいえる円安の遠因は安倍政権以降続いている、異次元の金融緩和であることは明らかです。直接要因としては、日米金利差の拡大にあるとエコノミストは異口同音に指摘しています。国民のくらしを守るためには、自公政権による超低金利への固執、野放図に国債を発行する金融・財政政策のあり方を改めることがいま鋭く問われているのではないでしょうか。そこで、市民のくらしの大変さに対する市長の認識をうかがいます。

山中市長:コロナ禍の長期化に加えて、物価の高騰が生活を直撃し、様々な不安を抱える方も多くいらっしゃると認識しています。今後も必要な支援が行き届くよう、取り組んでいく必要があると考えております。

市民要望アンケートに切実な実態が次々と届いている

北谷議員:党市議団が実施している市民要望アンケートには、市民の皆さんの悲鳴が続々と寄せられています。70代の方からは、「年金が年々減って物価が上がり、介護にお金がかかり、コロナが続いて疎遠になり、老後がこんなに悲惨になるとは、想像もつかなかった。老々介護はたいへんです。助けてください」。別の70代の方からは「低額年金なので、コロナの前まで運転手としてアルバイトしていたが、仕事がへり、会社からもう来なくてよいと言われ、年金のみの生活で苦しい」。また、80代の方からは、「年金生活者として、病気の娘をかかえて、苦しい毎日を送っている。娘の医療費だけでも免除してほしい」。母子家庭のお母さんからは「昨年まで死ぬことしか考えなかったです。金銭的に厳しい母子家庭に住む所をください。」。30代の方から「子どもが6人いますが、低所得の枠に入れないだけで、生活は同じくきついのに、子どもが多い家庭への支援がないのが残念。子どもが多い家庭にも、もっと目を向けていただきたいです」。など、助けを求める声が多数届いています。市民のくらしに対する支援を国まかせで良しとするのではなく、市独自に上乗せするなど、求められていることにしっかり応えていくことが重要です。
物価高騰について、日銀総裁の「家計の許容度も高まってきている」との発言に対し、国民から「物価高を許容していない」と怒りの声が噴きだしたのは、当然です。物価高騰を止めるには「異次元緩和」からの転換は待ったなしで、賃金水準はOECD平均を下回り、韓国にも抜かれています。生活費に占める食費の割合、エンゲル係数はこの10年で23.5%から27.2%まで引きあがり、40年ほど前に戻ってしまっています。国民を苦しめる政策は改めるべきです。このような状況下で、くらしの大変さをわかっているのは、住民にとって身近な存在である自治体です。日本最大の基礎自治体である本市からの発信には、影響力があります。国に対し、くらしの実相を発信していくべきと考えますが、見解をうかがいます。

山中市長:市民の皆様の暮らしの実態を国に対し伝えていくべきとのことですが、日ごろ市役所・区役所の窓口で、市民の皆様からお伺いしているご相談や、本市の業務を通じて把握した状況をもとに、市民生活に寄り添った必要な対策を、今後も国に提案・要望してまいります。

特に生活困窮している世帯の支援を国に求めてほしい

北谷議員:水道光熱費、生活必需品、食品の相次ぐ値上げは生活保護利用者や低所得者のくらしをさらに厳しいものへと追い詰めます。生活保護基準額を2013年から3年間にわたって引き下げたことについて、5月25日、熊本地裁は、引き下げは生活保護法に反すると認定したことからも、生活保護利用者のくらしは、憲法25条、生存権に基づく「健康で文化的な最低限度の生活水準」とは言えません。その上での物価高騰です。特に電気、ガス代の値上げは深刻で、水道料金も引き上げられています。10万円の臨時特別給付金でカバーすることを求めるのは、酷ではないでしょうか。市として、生活保護利用者に水道光熱費の援助を行うとともに、生活保護基準額の引き上げを国に求めることが必要と考えますが、見解をうかがいます。

山中市長:生活保護について、市独自の補助を行うとともに、基準額の引き上げを国に要望すべきとのことですが、物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援策として、住民税非課税世帯等臨時特別給付金や、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金等を生活保護受給者も保護費を減額することなく受け取ることができます。
また、生活保護基準額の引き上げは、物価の状況等も踏まえて国が決定するものと理解しています。

就学援助の所得基準の引き上げを

北谷議員:党市議団市民要望アンケートで、新型コロナウイルス感染拡大による影響について、8500件を超える回答のうち約25%の2110件が収入の減少、失業、倒産・廃業と回答しています。また、生活費や学費が払えないとの回答が326件、退学・休学したとの回答が66件ありました。低所得の子育て世帯に対する特別給付金では、児童1人につき5万円を支給するとしています。しかし、物価高騰で苦しい生活を強いられている子育て世帯にとって、十分な支援であるとは言えません。そこで、小中学生の子どもがいる世帯に対し、就学援助制度の所得基準額を引き上げて対象者を増やすことは、有効な支援策であると考えますが、見解をうかがいます。

教育長:就学援助制度の対象者は、生活保護及びその程度に困窮している者となっています。そのため、本市の就学援助の所得基準は生活保護に準拠し、「横浜市就学奨励対策審議会でご議論をいただいた上で決定しています。また、本市の就学援助率は、12%~13%程度で推移しており、この割合は、国の調査に基づき算出される子ども貧困率と同程度であり、妥当な水準と考えています。

私立高校授業料に対する市独自の支援を

北谷議員:高校生世代で、低所得の子育て世帯に対する特別給付金を、昨年受給したのは約3000人と聞いています。高校生には、小中学生にある就学援助、児童手当や小児医療費助成はなく、その上、教科書やタブレット端末の費用などの負担が増え、特に私立高校生のいる世帯での負担は重たいものとなっています。市内高校生世代の子どもたちの学びを支えるために、私立高校授業料の国・県の支援金・補助金の対象外生徒に対する支援など、低所得世帯に限定しない、市独自の支援策が必要と考えますが、見解をうかがいます。

教育長:高校生世帯への就学支援についてですが、全国的な制度として、授業料負担を軽減するための就学支援金制度があり、県が窓口となっています。これに加え、私立高校の場合には、所得や条件に応じ、県が授業料補助を上乗せしています。本市においても、学業成績優秀で経済的理由から就学困難な生徒に奨学金を支給していますが、現時点では、国や県の対応が基本となっており、市独自の追加支援策は考えておりません。

市内の大学等で学ぶ学生に支援を

北谷議員:文科省の調査では、2021年度中に大学などを中退した学生数が、前年度比714人増の2738人で、経済的困窮を理由とするのは20.6%でした。休学者数は前年度比824人増の5451人で、経済的困窮を理由とするのは16.5%とのことです。市内では、若者のグループが大学生に対して無料の食料支援を行ったところ、100食分の食料が1時間でなくなり、「財布には88円しかない。食料支援があってよかった」という学生もいたとのことです。若者の学ぶ環境と生活の厳しさを表しています。市内の大学等で学ぶ学生に対する支援についても要望しておきます。

保育園の水道光熱費や給食食材についても支援を

次は、小学校・中学校の学校給食物資購入事業に関連してうかがいます。物価高騰が進む中、給食の質を落とすことなく提供するため、当初想定していた給食物資購入費よりも上回る、消費者物価指数の上昇率4.6%分の費用について、主に公益財団法人よこはま学校食育財団とデリバリー型給食事業者に対し増額補正するとしています。給食は、小中学校のほか、保育園、定時制高校、福祉施設などでも実施されており、食材費の高騰によって受ける影響は同じです。地元の保育園から、これから夏を迎えるにあたり、プール実施や換気をしながらのエアコン使用による水道光熱費上昇に対する心配、食材が高騰するなかで、給食の質を維持しながら保護者負担増とならない方法を思案していることなどをうかがいました。保護者負担増とならずに保育の質を保つために、保育園の水道光熱費や給食についても支援を実施すべきと考えますが、見解をうかがいます。

山中市長:保育所等の水道光熱費や給食への支援についてですが、今回の補正予算案は、原油価格・物価高騰に苦しむ方々への支援を迅速に行うために、制度設計等が速やかにできるものなどを中心にとりまとめています。
現在の原油価格・物価高騰により、ご指摘の保育所等も含め様々な分野に幅広く影響が及んでおりますので、必要な対策を今後検討していきます。

障害者福祉施設への食材費や資材費などへの支援を

北谷議員:地元の障害者施設の作業所では、お菓子とコーヒーを販売していますが、コーヒー豆の価格高騰、小麦粉、砂糖、卵、輸入冷凍フルーツの高騰で、やむなく販売価格を値上げしたところ、売り上げが落ちてしまい、コロナ禍で販売個所や機会が減っているところに、売り上げ減というダブルパンチとなったことをうかがいました。売上減少は利用者の工賃・給料が下がることになります。利用者負担である昼食は350円で、20日間利用すれば7000円です。これ以下の工賃では、昼食代もまかなえず、持ち出しです。せめて1万円の工賃を利用者に支払ってあげられるよう、売り上げを確保したいと話しておられました。また、昼食の質を維持することについての心配もしておられました。弱い立場の方に、これ以上の犠牲を強いることはあってはなりません。作業所における食材や資材の購入に係る補助など、障害者福祉施設への支援を行うべきと考えますが、見解をうかがいます。

山中市長:地域作業所の食材等に対する補助など、障害者福祉施設への支援を行うべきとのことですが、物価高騰の影響は、地域作業所の運営等にも少なからず影響していると認識しておりますので、本市では、現在、作業所で作られた商品の物販支援に力を入れています。
引き続き、どのような支援ができるのか、検討していきます。

定時制高校夜間部の給食利用促進策を

北谷議員:最後に定時制高校夜間部で提供されている給食についてです。令和4年5月1日現在、横浜市立の夜間定時制高校には合計297名が在籍と聞いています。夜間部には、選択制の給食がありますが、過去3年間の生徒喫食率は最高で6.6%。1食300円で給食費は注文した分を月ごとに前払いする必要があります。生活保護利用世帯以外の低所得世帯の生徒には補助制度があり、利用すれば最終的に1食120円となりますが、利用者は令和元年度に1名で、それ以降はいません。利用した給食の1年分の給食費補助を年度末に申請し、その後、償還される方式のため、使い勝手がよくないのではないかと考えます。給食は安価で栄養バランスのとれた食事で、給食が唯一まともな食事という児童生徒がいることは、こどもの貧困対策に関する計画でも述べられています。低所得世帯では、物価の高騰によって、必然的に食費を切り詰めることになります。このような状況だからこそ、生徒の栄養と健康に、給食が必要となります。定時制高校生夜間部において、食育を推進するとともに、給食費の負担を先に軽減するなど、利用しやすい給食にしていく必要があると考えますが、見解をうかがいます。

教育長:定時制高校の夜間給食利用促進についてですが、入学説明会等の機会を捉え、夜間給食の仕組みや料金、経済的に支払いが困難な方のための扶助制度などの周知をしています。
栄養バランスのとれた給食を選択してもらえるよう、学校生活の様々な機会を通じて食育を推進するとともに、給食の魅力を伝えられるよう広報に力を入れ、必要とする生徒に適切に給食を提供できるよう努めてまいります。

暮らしと経済を壊す政治をおおもとから切り替えるために力尽くす

北谷議員:6月14日に発表された共同通信の世論調査では、物価高騰が「生活に打撃」と答えた方が77%、岸田首相の物価対策を「評価せず」と答えた方が64%、物価高騰への対応を「参院選で考慮」すると答えた方が71%にのぼりました。国民が切実に求める消費税減税を緊急に実施するとともに、「賃金が上がる国」への転換が急がれます。アベノミクスと新自由主義という、暮らしと経済を壊す政治を、おおもとから切り替え、「やさしく強い経済」をつくる提案は、財界中心の政治のゆがみにメスを入れる日本共産党ならではの提案です。国民の暮らしを何より大切にする政治の実現を目指し、全力で奮闘する決意を述べて、私の質問を終わります。

本会議.発言と答弁お全文