申し入れ等
2022年8月24日

2027年国際園芸博覧会 基本計画案への意見・申し入れ

2022年8月24日

一般社団法人2027年国際園芸博覧会協会 会長 十倉 雅和 様

   日本共産党横浜市会議員団

団長 荒木由美子

2027年国際園芸博覧会 基本計画案への意見

2027年国際園芸博覧会(以下花博)が、2027年3月から9月までの半年間、瀬谷区と旭区にまたがる旧上瀬谷通信施設で開催されようとしています。地球温暖化の進行や生物多様性の損失といった世界規模の環境問題や、食糧問題の深刻化、都市部への人口集中等の社会的、経済的課題が顕在化する中で、限りある地球環境の持続という人類共通の目的に軸を移した環境社会の大きな転換の中にあるとの認識のもと開催されようとしています。

当地での花博開催には、現在市民からの多くの不安や心配の声と開催自体に反対する声が寄せられています。その最たるものが、その一部が会場となる当地が長年にわたりかつては旧日本海軍の戦後は米軍の通信施設として土地利用が制限されてきたことで、農地や緩やかな起伏の草地など豊かな自然環境が広がり、南北に川が流れ、また川の源流部、谷戸地形等の貴重な自然が残されていることから、花博開催によって貴重な自然が失われ、希少な生き物が生息する生態系が破壊されてしまうという懸念です。

また反対論では、公的負担の過大さと誤った優先順位の考えへの批判が目立っています。

花博開催に先行して行われる土地区画整理事業では、花博会場エリアにおいては、自然環境保全対策は一定程度講じられていますが、隣接する北側のエリアは土地が全面的に改変され、自然と生態系の破壊が不可避となっています。党市議団は同事業の抜本的見直しを横浜市に求めているところです。

現在、オランダのアルメーレ市で2022年国際園芸博覧会が横浜花博と同規模のA1クラスで行われています。当該地は、オランダのスキポール国際空港からも、フランスのパリから列車で3時間強の首都アムステルダムからも車で30分という交通アクセス至便地域です。ユーロ圏人口が3億4,000万人のアルメーレ花博が有料入場者数を200万人としているのと比べると、羽田空港から70分というここ横浜での花博の有料入場者数を後背人口が4,000万人ということから1,000万人とする設定は経験則だのみであり、客観性・合理性に欠け、過大ではないでしょうか。さらに、来場者のほとんどがシャトルバスや個人の乗用車を利用しての来場となります。パーク&ライドも考えられていますが、半年間で1,000万人来場という規模は、会場周辺地域の交通混雑を激しくするものとなり、参加者にとっても入場に時間がかかりすぎる懸念があります。これらの点からも、改めての有料入場者数の見直しを国と調整することが必要と考えます。

以下、市民が「やって良かった」と思える花博となるよう、土地利用でも企画においても英知を結集され、華美な取り組みとならないようにすることを求め、以下提案をいたします。

1, 有料入場者数は、オランダアルメーレの園芸博覧会開催に学んで、大幅に減ずることを検討すること。

2, 会場建設費を320億円と見積もり、このうち3分の2を国と市・県が負担し、残りの3分の1を民間が負担するとしていますが、民間負担については保証はされていません。会場の在り方・設営などSDGs未来都市にふさわしい動植物の重要な種をはじめ、生態系を保全するための環境保全措置として、現状の地形等をいかした会場づくりに取り組み、その後の公園にも生かされるようにすること。建設費については大幅に見直し削減すること。

3, 360億円とされている運営費は、過去博の運営から算出されているものです。有料入場者1,000万人の入場料と物販で賄うとしていますので、改めて規模と共に運営費は見直すこと。

4, 現在ある植生や水源、水の流れが壊されることなく、生態系の保護や、浸水被害を起こさないよう会場づくりを行うこと。

5, 海外からの多くの植物の持ち込みが行われることが予想されますが、日本の在来種が脅かされることなく厳格に取り扱うこと。

6, 会場内の移動については、徒歩を中心としているということですが、それと併せて3輪の自転車等を活用すること。

7, ゼロカーボン横浜を実践するために、博覧会終了後に会場施設を取り壊して廃棄物を大量に出すことは避けなくてはなりません。再利用可能な建材などの活用をすすめ、できるだけ大掛かりな施設はつくらないこと。

8, レストランなどで出る食品残渣についての活用、季節によっての植え替えによって大量の廃棄植物が出ることが予想されますが、できるだけ廃棄植物を出さない植栽計画とすること。

10,多大なる公費を投入し市の職員が大挙して行う事業であることから、市の外郭団体に等しい位置づけであると考えます。市民への積極的な情報公開に努めること。

11,全体計画が決まっても、情勢の進展状況に機敏に対応し計画変更する柔軟性をもってあたること。例えば、前売り券の売り上げ状況を鑑みて、運営費等の思い切った見直しを決断すること。

12,過大な有料入場者数のもと推進し、赤字が出た時には最終的に市民がその負担を被ることのないように国と厳格に調整すること。

以上。

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