議会での質問・討論(詳細)
2011年2月22日

■「予算関係議案関連質問」 中島文雄議員(2011.02.22)

※実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。

中島議員:私は日本共産党を代表して、2011年度予算案、そして関連議案について、林市長に質問いたします。
 長引く不況で、市民の暮らしや中小企業の仕事・雇用は、好転するどころか依然として深刻な事態であります。この「閉塞状況」を打ち破るためには、思い切った“家計と中小企業を支援し、地域経済を元気に”する立場からの予算編成が強く求められています。

中小企業振興基本条例を予算編成にどう反映させたのか

 最初は、横浜経済の活性化についてです。
 市長は、「予算案と市政運営について」の施政方針で、「市内企業の99%を占める中小企業への支援にはとりわけ力を注ぐ」として、「中小企業振興基本条例の趣旨を踏まえた取組み」を強調しております。そこで、「条例の趣旨」を踏まえて、予算編成に具体的にどう反映させたのか、伺います。
 中小企業振興基本条例をどう活用するかは、横浜の経済活性化にむけての切り札とも言えます。「条例」でうたう公共工事や物品・役務の調達や指定管理者の選定等にあたっての「市内中小企業者の受注機会の増大」や、「市内中小企業者の参入機会の増大」は、いわゆる「仕事おこし」の施策であり、中小企業の振興策の柱となるものであります。条例制定から1年、市内中小企業の「仕事おこし」での成果はどうだったのか、そして今後取組みをどう発展させるのか、併せて答弁を求めます。

林市長:中島議員のご質問にお答え申し上げます。
 横浜経済の活性化について、ご質問いただきました。
 中小企業振興基本条例の趣旨を踏まえての予算への反映についてですが、市内中小企業の技術、経営革新に向け、新技術、新製品の開発に対する支援などを大幅に拡充します。また、商店街支援を強化するほか、経営相談、金融支援などの経営基盤強化を促進する施策についても、充実を図ります。さらに、22年度中の補正とあわせて、市内中小企業への発注が中心となる道路、公園などの修繕経費といった予算額を増額して受注機会を増やすなど、中小企業の振興に関する施策を総合的に実施していきます。
 条例制定から1年での成果と今後の取り組みの発展ですが、市内中小企業の振興の観点から、中小企業者の育成や受注機会の確保は非常に重要です。本市工事等の発注では、可能な限り分離分割発注等を行うことにより、市内中小企業者の受注機会の確保に努めてきました。また、指定管理者の指定に選定にあたっては、市内事業者を対象とした相談窓口を設けるとともに、地区センターなどでは地域特性を踏まえた提案を評価するなど、地域の状況を熟知する市内事業者の参入機会の増大に努めてきました。今後、副市長および区局事業本部長等で構成する横浜市中小企業振興推進会議などを通じて、条例の趣旨の徹底を図るなど、全庁的に取り組みます。

補助金交付規則改正による市内業者への評価は

中島議員:「条例」と合い通じるものとして、「市内経済・市内事業者の下支えに役立てることを目的」に、「本市補助金を活用して行う100万円以上の事業などは市内業者に発注」をめざして、「横浜市補助金等交付に関する規則」が昨年3月に改正されました。報告によると、4月から12月までの9か月間の「市内業者への発注事業」の実績は、件数は427件で85.2%、金額は12億6000万円で81.7%にとどまっていますが、これをどう評価し、今後市内業者への発注をどう向上させていくつもりなのか、お答えください。

林市長:補助金等交付規則改正後の実績の評価ですが、22年度から本市補助金を活用して行う100万円以上の事業等は市内事業者に発注することを原則としました。これは、市内事業者のみなさまを下支えするために行った改正であり、年度途中の現時点では最終的な検証はできませんが、把握しているデータからいっても一定の効果があったのではないかと思っています。また、今後についてですが、すでに規則では工事等の性質上、特定の事業者に発注せざるを得ない場合など特別な場合を除き、市内事業者に発注することになっていますので、一年間の実績も検証しつつ、現行の扱いを基本に対応していきます。

学校へのエアコン設置はPFIではなく地元業者に発注を

中島議員:保育所や特養老人ホームの建設、校舎等の公共建築物の改修、生活道路の修繕等、いわゆる生活密着型公共事業を増やすことは、市民の切実な要望と同時に、地元の中小業者の「仕事おこし」に結びつきます。市立小・中・高校495校の全校に2011年度から3か年計画でエアコンを設置する事業について、教育環境の改善とあわせ、地元中小企業の振興策として評価をするところであります。整備手法について、先の本会議で、「2011年度の58校と2012年度の140校については市の直接施工で行うが、2013年度に施工する残りの297校については未定であり、早急に検討する」と答弁をしています。もし、市債発行枠の制限等を心配してPFI導入を検討しようと考えておられるのなら、それこそ、市長の言う「選択と集中」で、港湾整備など巨大事業を一時見直してでも、エアコン設置事業に回し、地元中小業者の「仕事おこし」に効果をあげる直接施工で行うべきですが、答弁を求めます。

林市長:市立学校への空調設備設置に向けた25年度の事業手法についてですが、全市立学校への空調設備設置事業は、できるだけ早く学校における教育環境を改善するため、3年間での全校設置を予定しています。この事業の推進にあたっては、可能な限り市内企業に対し受注機会を提供してしたいと考えていますが、25年度の事業手法については現段階では未定であり、今後早急に整備手法を検討してまいります。

地域経済活性化に向けて住宅リフォーム助成制度の実施を

中島議員:住宅リフォーム助成制度が全国に広がっています。私どもの調査では、昨年12月現在、県単位では秋田県、その他31都道府県にまたがる173市区町村で実施されています。地元中小企業の仕事確保とともに、地域住民からも喜ばれ、昨年3月から実施した秋田県は、助成額の24倍の経済波及効果があると推計され、地域経済活性化への効果が明らかになっています。神奈川県内でも、葉山町ではすでに実施されており、今年4月から相模原市、この相模原市では10万円以上の工事に対して一律5万円とする助成、そして寒川町、厚木市で4月から同時に行われます。5月からは湯河原町でも始まります。地域経済の活性化にむけて本市でも実施にむけた検討を早急に行うべきですが、市長の決断を求めます。

林市長:つぎに、住宅リフォーム助成の実施に向けた検討についてですが、本市では住宅リフォームに関する助成として、木造住宅やマンションなどの耐震化、マンション共用部のバリアフリー化など公益的な目的を持って助成を行っています。これらの多くは市内企業への発注となっていますので、市内経済の活性化につながっていると考えています。緊急経済対策だけを目的とした個人の住宅リフォームに対する新たな助成制度の導入は考えていませんが、引き続き公益的な目的を持った施策を推進することで、中小企業振興基本条例の趣旨に沿って市内企業の活性化支援に取り組んでいきます。

公契約条例の制定で適正な賃金と労働条件の保障を

中島議員:つぎに、公契約条例についてです。
 長引く不況等から低価格競争を余儀なくされている建設工事請負や業務委託などの公契約に、適正な賃金の確保等人間らしい労働条件を保障することを求める公契約法や条例制定の世論と運動が大きく広がっています。昨年12月の市会本会議で、「条例」制定にむけた検討を求める質問に対して、市長は、他都市の状況を踏まえて「引き続き研究してまいります」と答弁していますが、その研究の内容について、具体的な説明を求めます。
 2010年2月の野田市につづき、本年4月から川崎市で「条例」が施行されます。そして県内では、検討を続けてきた相模原市や厚木市も正式に2011年度中に条例制定を目指す方向と伺っています。このような情勢や動向の進展を踏まえ、本市としても積極的に関係団体等からのヒアリングや情報収集活動を検討すべきではありませんか。見解を求めます。
 「安ければ良い」とする公共事業市場での誤った風潮を打破するため、国会での超党派による公共調達適正化にむけた「研究会」がいよいよ動き出しました。本市ではこの間、最低制限価格の引上げなどが図られてきましたが、公共事業調達の品質や社会的価値の保持のためにも、ダンピング受注の防止など入札制度のさらなる改善が必要であります。また、公共事業調達では「建設工事入札」だけでなく、指定管理者など幅広く委託契約等が行われており、「適正な賃金・労働条件の確保」にむけた改善が強く求められています。公契約条例を検討しつつ、当面、これらの課題への対応として、関係団体からのヒアリングや実態調査等を強めるべきではないでしょうか。答弁を求めます。

林市長:公契約条例について、ご質問いただきました。
 これまでの研究内容についてですが、昨年全国で初めて千葉県野田市で公契約条例が施行されたことを受け、本市が発注する契約に関係する事業者団体や労働者団体から、公契約条例についてのご意見を伺うとともに、他の自治体の動きや国の動向などの情報を収集しています。
 公契約条例制定に向けた関係団体からのヒアリング等の検討についてですが、今後も事業者団体や労働者団体など関係する方々のご意見をお聞きするとともに、他の自治体の動きや国の労働政策等の動向を引き続き確認していきます。
 入札制度の改善等に向けた関係団体からのヒアリング等についてですが、本市の入札契約制度について、各事業者、団体との意見交換の場を定期的に設けて、可能な限り事業者の声をおききし、最低制限価格の見直しなどを行ってきました。今後とも、各事業者団体との議論を重ね、入札契約制度については適正な競争環境の整備を行うとともに、透明性、公正性の確保を前提に随時必要な見直しを行っていきます。

大企業応援の立地企業への助成や税軽減「条例」の廃止を

中島議員:つぎに、企業立地促進条例についてです。
 みなとみらい21地区等への進出企業に対して、建設費の助成や市税軽減等の支援を行う企業立地促進条例が2004年に制定され、2009年に助成限度額を50億円から20億円に見直しはされたものの、現在までに支援総額は65件で、333億円に上っています。そのうち、日産など大企業への支援額は47件、305億円で、全体の約92%と大半を占めています。
 リーマン・ショック以降、助成金や減税の恩恵をうけた大企業の派遣切りや工場閉鎖、移転が全国で相次いでいます。この横浜でも、日産横浜工場等の派遣切りや、綱島地区のパナソニックグループ会社の閉鎖・移転が大きな問題になっています。
 野村総研レポートなど財界系シンクタンクからも、「企業誘致による成長モデルは、停滞する地域経済の現状を打破する解決策にはなり得ない」と指摘されています。多額の税金を注ぎ込み、「大企業を呼び込めば、そのおこぼれで地域が栄える」という政策の破綻は明らかであり、直ちに助成や税軽減の廃止等の「条例」見直しが必要です。明確な答弁を求めます。
 同時に、現在まで333億円を超える助成や減税を行っている企業に対して、「市民雇用の増大、横浜市経済の活性化に寄与する」とする「条例」の目的をしっかり果たさせることが当然求められます。この取組みと合わせ、とりわけこの3月末で閉鎖が予定されている綱島地区のパナソニックグループ会社への働きかけをどう行っているのか、答弁を求めます。

林市長:企業立地促進条例について、ご質問いただきました。
 条例の見直しについてですが、この条例による支援は、一定期間経過後に立地企業からの税収が上回るため、中長期的には本市財政を支える基盤になっています。また、条例は、雇用の場の創出や市内企業の受注機会の拡大などの成果をあげているとともに、企業誘致活動を積極的に行う際の有力な手段となっています。23年度末に現行条例の適応期間が終了しますので、その後のあり方についてはその成果を検証し、より戦略的な企業誘致ツールとなるよう検討していきます。
 条例認定企業に対する働きかけについてですが、認定書の交付に合わせて、横浜市民の雇用、市内企業への発注などを要請する文章をすべての企業に直接お渡しして、働きかけを行っています。また、認定後も10年間にわたって雇用状況等の報告を求めることにより、継続した取り組みを促しています。
 つぎに、パナソニック関連事業所の移転についてですが、移転する企業は条例で認定した企業とは別法人ですが、この地域は工業集積の維持、高度化を目指す工業集積地域ですので、これまでグループ企業などによる施設の継続利用をお願いしてきておりまして、今後も引き続き働きかけてまいります。

巨大公共事業費を福祉や生活関連事業に財源をまわせ

中島議員:最後に、巨大な公共事業の見直しについてであります。
 市長は、先の予算代表質問で、わが党が「公共事業の優先順位を大型開発から生活密着型へ切り替えるべき」と求めたのに対し、港湾や高速環状道路の整備、横浜駅周辺大改造などは「将来の横浜に不可欠な投資」と強弁しました。問題は、このことが、生活道路や橋、河川の改修、公園の整備、公営住宅などの生活関連事業を圧迫し、地域経済をいっそう疲弊させることであります。
 先々の経済・社会の動向が不透明の中では、巨大な投資を伴う公共工事は思いきって見直すこと、そして福祉や生活関連事業に財源をまわして、家計と中小企業の支援による「横浜経済の活性化」にむけた市政運営の転換を、改めて求めます。市長の答弁を伺って、日本共産党を代表しての質問を終わります。

林市長:公共事業について、ご質問いただきました。
 一部の公共事業を見直し、財源を福祉や生活関連事業にまわすべきとのことですが、いずれも市内経済の活性化や将来の横浜の発展のために、必要な事業であると考えています。なお、福祉など市民のみなさまの生活に必要不可欠な予算は23年度予算でも着実に計上しています。
 以上、中島議員のご質問にご答弁申し上げました。


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