議会での質問・討論(詳細)
2023年3月16日

■追加議案討論 かわじ民夫 2023. 3.16

河治民夫です。日本共産党を代表し追加議案について討論を行います。

1)まず、横浜市国民健康保険条例の一部改正についてです。

議案は、出産育児一時金を42万円から50万円引き上げるもので賛成です。一昨年の横浜市長選挙で山中市長が、出産費用ゼロをかかげて大きな支持を得られました。こうした動向が国の対策にインパクトを与えたことは間違いないと思います。

しかし、その財源確保策には重大な問題点があります。

国の措置として、少子化を克服するためには子育てを社会全体で支援することが必要とし、出産育児一時金の費用の一部を、後期高齢者医療制度で負担する仕組みにしていることです。こうした抱き合わせは看過できません。

2021年度に行った当局の試算では、標準的な出産費用は約61万円となっています。

50万円になっても、11万円の自己負担です。本市の2022年の出生数は23785人です。出産費用をゼロにするには26億円が必要となりますが、横浜市の予算規模1兆9000億円の1.4%弱です。新年度の実態調査・研究を踏まえ、全国に先駆けて出産費用ゼロの都市宣言に横浜市が踏み出すことを市民は切望しています。市長の公約でもあります。市長の決断と議会側の応援との両方が求められているのではないでしょうか、早期の実現を切に求めるものです。

2)次は、横浜市児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例等の一部改正についてです。

保育園の安全対策を強めることは大いに賛成するものです。

条例改正案では、児童の安全に関する事項として、安全計画の策定や研修・訓練等を定期的に実施すること及び、通園用の自動車にブザー等の見落とし防止装置の装備が義務付けられますが、安全計画の策定及び見落とし防止装置の設置については、2024年3月31日まで経過措置を設けています。可能な限り速やかに安全計画の策定、見落とし防止装置の設置ができるよう支援の手を物心両面から差し伸べることを要望します。

さらに園児の一人ひとりに寄り添った保育には、現行の保育士配置基準では本当に難しいことが明らかとなっています。配置基準とは保育士1人がみる子どもの人数です。

昨年、安全であるべき保育所で、子どもへの虐待や不適切な保育が全国各地で発覚し、保護者や保育士など関係者に衝撃を与えました。通園バスに置き去りにされた子どもが亡くなる事故も起きました。それぞれのケースで原因究明と責任の明確化、再発防止策を徹底することは言うまでもありません。同時に、背景として慢性的な保育士不足による現場の疲弊を指摘し、その打開を求める声が相次いでいます。保育士の配置基準の改善に背を向け、現場に矛盾を押し付けてきた歴代政府の姿勢が改めて問われています。国がこの低すぎる配置基準の見直しに踏み切ることが急務です。

国の配置基準では、0歳児3人、1・2歳児6人、3歳児20人、4・5歳児30人です。抜本的改善はされず、特に4・5歳児は基準ができた75年前から一度も変わっていません。ちなみにイギリスは3・4歳児8人、ドイツ・ベルリン市は3歳児以上10人で、日本が大きく遅れていることは明らかです。

本市は、民間の保育園については国の基準を上回る配置をしています。それは、国基準では必要な保育ができないことを市が認めているからです。しかし、公立保育所は国基準で、市の条例も国基準のままです。どこの保育所であっても子供たちが等しく良い条件で保育されることが求められています。

保育現場では、1人の保育士がみる子どもの人数が多くなるほど目や手が行き届きにくく、安全が脅かされます。近年、全国の施設内で骨折を含む重大事故が急増していることも、配置基準の低さと無関係とはいえません。人手が足りなくなる一方、コロナ禍などで業務が増え、保育士の疲弊に拍車がかかる園も少なくなく、保育の質にかかわる深刻な事態となっています。

愛知県の保育士や保護者でつくる「子どもたちにもう1人保育士を!実行委員会」が昨年実施した保育施設職員へのアンケートでは、2648人が回答され、84%の人が災害時に「子どもの命と安全を守れない」と答えました。また、「火事や地震が起きた時に、0歳児3人を、1人で抱えて避難できるだろうか」等との回答もあり、災害が多発する日本では、保育士が抱える不安は共通しています。

岸田文雄政権は2023年度予算案で、4歳児以上を預かる保育所のうち、保育士1人がみる子どもの人数が25人以上の施設を対象に、追加で保育士を雇える補助を拡充するとしました。対象を定員121人以上の大規模園に限る不十分さはあるものの、変化を作り出しつつあります。 どの子どもにも安心・安全な保育環境を保障できるよう、今こそ政治は配置基準の見直しに踏み出すべきです。大軍拡には巨費を投じるのに、子どもには冷たい政治を国民、市民は求めていないはずです。国の施策が不十分な場合は、地方が、横浜市が頑張ることが求められているのではないでしょうか。市長がこの分野でももう一歩踏み込んだ対策を打たれることを要望し、討論とします。

 

本会議の発言全文


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