議会での質問・討論(詳細)
2011年3月4日

■「都市経営局」 白井まさ子議員(2011.3.3)

白井議員:日本共産党を代表して、質問します。よろしくお願いします。

大学の教育研究条件の劣化をもたらさないよう市の運営交付金の増額を

 横浜市立大学の運営について質問します。
 2011年度の大学関連予算は、本市が定めた中期目標第2期間の6年間の初年度の予算です。まず、本市から市立大学法人への運営交付金についてですが、2010年度、約112億円から2011年度は111億円となり、1%の削減となります。国から国立大学法人への運営費交付金も削減されましたけれども、0.5%減にとどまっています。市大の大学部門のみでは3億5000万円の削減です。5%もの削減ということは、大学の教育条件、教育研究条件の劣化をもたらすことは必至と考えますが、これでは大学設置者として本市の責任放棄ではないんでしょうか、伺います。

青木大学担当理事:市大ではこれまで第1期間中もふくめてでございますけれども、実施しておりますすべての事業につきまして点検・見直しを行っております。その他一般競争入札の導入、複数年契約の推進、そういったものを通しまして管理費等の圧縮を図っております。大学研究費の獲得等につきましても精力的に行っていただいておりまして、研究経費の財源の確保等を図ってまいりました。一方で、教育研究費につきましては増額をしており、教育研究の質を落とさずに大学運営を行っていくこととしております。これらのことを踏まえまして、市大とも協議をいたしまして、予算編成を行って、今回の予算の額となったものでございます。

白井議員:適正で、責任の放棄ということではないということでしょうか。

青木大学担当理事:きちんと大学の方の教育水準を確保しながら行えるということで、責任放棄ではないと考えております。

白井議員:それでは、2011年度の運営交付金のうち研究推進事業費というのがありますけれども、額としては前年度と同額維持をされております。この研究推進事業の内容と、それから中期目標第1期中の予算額推移と、そして減額されているんですが、その減額した理由をご説明ください。

青木大学担当理事:研究推進事業でございますが、次世代を担う若手研究者の育成や大型外部研究費の獲得の推進を図るために、学内公募によりまして、研究費を交付するというものでございます。
 第1期期間中の運営交付金の計上額でございますが、平成17年度から20年度までは約1億5000万円、21年度には約9000万円、22年度以降は7000万円となっております。
 平成21年度に減額した理由でございますが、限られた予算の中で、国の補助金等の外部研究費が通りにくい若手研究者や、地域貢献に関する研究の重点化を図ったために、減額というふうになっております。

白井議員:その研究費、基準を重点化したということですけれども、結果的に対象が狭められて、それから2009年度に7000万円という大幅減額となっているんですけれども、本市が看板にかかげているのが、教養学とかそれから国際化へ目指すということになっていて、そのこちらへの配分が薄れることになって、この掲げている看板とその実際が逆になっていると思うんですけれども、理念を捨てたというふうにみえるんですけれども、予算をこの部分復元をして、その分野での研究促進を図る必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

青木大学担当理事:大学の方ではまず、基礎的な研究資金といたしまして、全教員に対しまして内部研究費が一定額交付している研究支援を行っていると聞いておりますので、それに加えて必要な研究の質の向上を目指す取り組み・絞り込みを図っております。その割合に応じまして、その必要額を支援しているということできいております。

外部研究費獲得のため大学教員の本業がおろそかになるのでは

白井議員:それでは、最初の方の説明で、外部研究費というお話も説明あったんですけれども、それについてなんですけれども、国や民間からの受託研究収入や国からの研究補助金など、大学法人としての自己収入を大幅に増やす見込みとしているんですけれども、過度な競争によって大学教員が資金獲得のための作業に忙殺されることは避けなくてはいけないと思うんですが、本業がおろそかにならないよう、その防止策はどうなっているのでしょうか。

青木大学担当理事:教員のみなさまには研究を行っていただくための資金を獲得をしていただいて、教育と研究をバランスよく進めていただいて、その成果を出していただきたいっていうふうに考えております。そのため、大学におきましては、まず先ほど申し上げました全教員に基礎的な研究費を交付しております。さらなる研究の発展を図るために外部研究費獲得を目指す教員について、成果をあげている教員のノウハウを伝えていただくなどの説明会を開催して、支援を行うということになっております。そういったことで、本業がおろそかになることのないようにサポートはしていると考えております。

白井議員:基礎的研究費は交付しているということなんですけれども、大学部門の全体で3億5000万減るということなので、この部分も減って何か支障がきているのではないかと思うんですけれども。
それでは民間からの受託研究は、その研究成果が民間企業に専有されるわけです。それで、公立の大学が私企業に利用されることは問題だと思うんですが、そのチェックはどのようにしているのか、伺います。

青木大学担当理事:受託研究でございますけれども、市大の教員が研究を通じて得た知見につきまして、企業から協力を得て新たな薬の開発等新作業創出や市民の健康や安心につながるということというふうに考えて、受託研究をやっていると考えています。また、受託研究ということで、企業から依頼を受けて研究をしているというものでございますけれども、その研究の成果について、特許権、実用新案件、また意匠権等に知的財産につきましては、大学に原則として帰属いたします。教員自体の知的財産につきまして、大学が組織的に管理をするということでございますので、私企業に悪用されることはないんではなかろうかと考えております。従いまして、民間企業、市大相互にとって共同受託研究につきましては有益に今のところ働いていると考えています。このため、教員の知的財産を社会に還元する産学連携を進めていくというふうに、中では受託研究も必要なものと考えております。

白井議員:企業の中でもこちらの企業あちらの企業と、それを選ぶことになると思うんですけれども、中でそれを選ぶ際のチェック体制というのは、あるんでしょうか、大学の内部に。

青木大学担当理事:企業を選ぶ際に、利害相反、利害が相反するようなことのないようものも含めまして、大学の中でそうした審査委員会はつくってございます。その中で検討は進めさせていただいております。

市大まかせにせず市で授業料の減免分を措置し枠の拡大を

白井議員:それでは、授業料の減免のことについて伺うんですけれども、全国的に所得は減っていまして、経済的な困窮家庭が増える中で、2009年に実施された市大の学生生活アンケート、この結果の報告書で次のようにまとめが出ているんですけれども、「学生一人の生活費は全体的に減少し、家族からの仕送りや援助が減り、その分奨学金で賄うことになっている。家賃や食費を切り詰めて、4年前よりもさらに節約志向」だというふうにしているんですね。それで、学費のためのアルバイトなど学生生活の実態はたいへんになっています。市大には授業料の減免制度がありますけれども、基準はどのようになっているのか、伺います。

青木大学担当理事:第一に、世帯総収入、世帯総収入から必要経費、特別控除額、収入基準額を控除した家計評価額が一定の基準以下である。第二に、一定の成績基準を満たしている。最後に、日本学生支援機構奨学金もしくは横浜市立大学奨学金の公的奨学金を受給していると。これすべてを満たしていることが条件となりまして、市大のみなさんの範囲内で減免を決定いたします。

白井議員:それではその該当者の実態はどうなっていますでしょうか。減免者数とそれから全学生数に対する割合を、過去3年間経年で説明していただけませんでしょうか。

青木大学担当理事:減免者数でございますが、平成20年度につきまして、学生総数4500名強でございます。その中で全額の減免につきましては17人、半額減免が128人、合計で145人。21年度につきましては、学生総数4660名強でございますが。失礼いたしました。先ほどの20年度パーセンテージでいきますと、減額者の割合につきましては3.2%。21年度でございますが、全額の減免が32人、半額減免が154人、合計186人で、約4%。22年度でございますけれども、同様に学生数が4800人強でございますけれども、全額減免につきましては41人、半額減免191人、合計232人、4.8%の校正となっております。

白井議員:減免を受けている学生の数、増えてきています。2011年度は今年度と同等の予算を法人組むようですけれども、国立大学と比較すると、その減免学生の占める割合まだまだ低いのが実態で、国は国立大学法人への運営費交付金の中に、授業料減免分を措置しているんですけれども、ちゃんと法人まかせにせず、設置者責任として枠を拡大しているんですね。来年度の予算では7.3%に広げると聞いています。
 そこで、本市は法人への運営交付金の中で、その減免分を措置していない仕組みになっているんですが、その理由は何か、伺います。

青木大学担当理事:先生おっしゃるとおり、授業料減免についてはどちらも措置はしておりませんが、その理由でございますけれども、市大につきましては交付されました運営交付金のほかにも自己収入を確保していたり、事業の見直し等の経営改善を行っております。そういった中で、市大で努力を行っていただきたいというものでございます。

白井議員:努力を行っていただきたいといっても、法人の努力には財政的に限界があります。本市が責任をもって、減免分を運営交付金で措置すべきですが、どうでしょうか。

青木大学担当理事:減免基準等を含めまして、市大の方で全て策定をしていただきます。できれば市大の方で対応していただきたいと考えております。

市大独自の無利子貸与型の奨学金制度を創設せよ

白井議員:それでは、奨学金について伺いますけれども、市大独自の制度もあると聞いていますが、学生の受給の実態はどうか伺います。

青木大学担当理事:市大独自の奨学金もございますけれども、全般的な話といたしまして、貸し付け型の奨学金につきまして受給している方、日本学生支援機構、昔の名前でいいますと日本育英会でございますが、こちらからの奨学金の受給者が1577人いらっしゃいます。その他の団体からの受給者が95人、合計1672人の方が受給をしております。
 先ほど先生おっしゃった市大独自に横浜市立大学奨学金制度を設けておりますけれども、現在受給している方はいらっしゃいません。
 また、これは貸付型の奨学金でございますけれども、給付型の奨学金は市大独自の奨学金といたしまして、成績の優秀な学生に対する成績優秀者特待生制度と、伊藤正利奨学金制度がございます。今年度は32人交付をさせていただいております。
さらに平成22年度から給付型のスタートアップ奨学金を開始しておりまして、10人に給付をいたしました。

白井議員:それでは、多くのみなさん、その日本学生支援機構の奨学金を受けているということなんですけれども、この制度には無利子と有利子があって、無利子の貸与基準を満たしていても、募集枠が少ないので、そのために受けられない学生が全国で2万人とも言われていて、泣く泣く有利子で借りている状況になっているんですけれども、その市大生も例外ではないと思うんです。そこで、大学独自の奨学金があるということなんですけれども、これについて無利子なんでしょうか、有利子なんでしょうか。

青木大学担当理事:市大単独で設けておりますものにつきましても、に本学生支援機構第2種と同じように有利子となっております。

白井議員:この市大の奨学金制度を無利子に切りかえれば、国の制度で無利子の基準を満たしていながら募集枠に入れなかった市大生が救済されるわけです。市大の奨学金の制度を見直すべきと思いますが、いかがでしょうか。

青木大学担当理事:先ほども申し上げましたように、市大独自の奨学金制度につきましても、市大が検討して現在の制度になっているというふうに考えておりますので、市大の経営の方も考えて有利子というようになっているものだと考えております。

白井議員:それでは、給付型の奨学金があるということなんですけれども、寄付に頼るのではなく、本市で予算をつけて給付型拡充すべきと考えますが、どうでしょうか。

青木大学担当理事:市大の学生にどの程度経済的な支援を行うべきにつきましてはさまざまなご意見がありまして、現在は市の方からではなくて、大学の努力で対応をお願いしていると考えております。

白井議員:それでは、最後に局長と両副市長に要望なんですけれども。これではあまりにも、学ぶ意欲を持った学生に応える体制がとれる予算になっていないと思うんです。厳しい財政事情があったとしても、たとえば教育委員会は市立学校へのエアコン設置に踏み切りました。このように、市大の運営費交付金を増やすよう決断が必要と思います。しっかり研究できて、安心して学べるには、競争的な外部資金獲得をあおるべきではないと思うんです。本市からの支援を厚くすることをお願いをして、質問、終わります。よろしくお願いします。


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