議会での質問・討論(詳細)
2011年3月16日

総合審査質問主意書(3月16日)  大貫 憲夫議員

◎3月11日の東関東大震災の発生に伴い、総合審査は中止になり、それに代わる総合審査質問主意書を提出し、回答を得ました。

質問

1.市政での喫緊的課題について

1-1.地震・災害に強い街づくりについて
(1)東日本大震災は想定害の事態を引き起こしました。今後、総括がされると思いますが、現時点での想定外の事態についてどのように捕らえているか伺います。
(2) 今後、予想される南関東地震・東海地震等の地震にかかわり、今回の想定外の事態が続出したことを受け、本市の防災計画をもう一度見直しする必要があると考えますが、いかがでしょうか。
(3)災害に強い都市づくりを最優先の予算に組みかえる必要があります。高速道路や南本牧大水深バース・コンテナヤード整備など不要・不急の大型開発を凍結し、災害に強い都市づくり予算を選択と集中し、振り向けるべきだと考ますが、市長の見解を求めます。

1-2.人口動態から見える様々な課題について
(1)「横浜市市民生活白書2009」は、本市の人口動態からみえる特徴として30,40代の子育て層の転出傾向を指摘しています。特にこの層は東京区部・神奈川県央、千葉・埼玉県へ転出が転入を上回っています。この事実をどのように市長は認識されているのか伺います。
(2)東京都区部や県内など近隣地域への子育て世代の流出は、「調査季報165号」が《4》人口動態から見る横浜の結論は、子育て層の現在地選択理由として「子育て環境」「教育環境」をあげ、「若者や子育て層が安心して住み続けられる都市であるためには、東京圏の中でさらなる魅力を創りだす必要がある」として「戦略的な取り組みが求められている」と述べています。この結論について市長はどのような見解をお持ちか伺います。
(3)子育て世代への支援について、そのひとつとして小児医療費無料制度があります。東京区部では中学校卒業まで医療費が所得制限なしで無料化、つい最近では厚木市も同様の施策を行っています。なぜ、本市では所得制限を付け就学前にとどめているのか伺います。
(4)中学校給食についても遅れています。全国では80%を超える自治体で中学校給食を実施していています。なぜ、本市では実施ないのか伺います。
これから横浜を支える若年層の定住を戦略的に位置づけなければなりません。若者や子育て層が安心して住み続けられる都市であるために、喫緊の解決課題として遅れている小児医療費の無料化、中学校給食を実施することを求めます。

2.中小企業振興基本条例の徹底について

本市の財政状況を好転させるためには、行政のムダを徹底して削ることと同時に市税収入を増やす算段をしなければなりません。2011年度予算案では大企業を中心とした企業収益の回復が見込まれ113億円の増となる見込みとのことです。しかし、本市事業所の90%を占める中小企業は、そのほとんどが赤字で市民法人税を払っていないのが現状です。本市の中小企業の振興は本市財政を好転させる決め手です。
昨年、議員提案で横浜市中小企業振興基本条例が成立しました。
(1)中小企業振興基本条例では第3条市の責務として、中小企業の振興に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならないとあります。まず、市長ご自身が中小企業振興基本条例における市の責務をどう捉えているか伺います。
(2)本市の中小企業支援策を全庁的に進める組織として中小企業振興推進会議を設置したとのことですが、中小企業振興推進会議は、中小企業振興推進会議をより実効あるものにするためには、様々な団体の意見を取り入れPDCAをまわす必要があると考えますが、その手立てを伺います。
(3)中小企業の振興を本市の基本と考えると、中小企業振興推進会議設置の期間を「当面の間継続」としていることが分かりません。なぜ、当面の間としたのか伺います。その後はどのような推進のための組織を考えているのか伺います。
(4)推進会議の事務局は、経済観光局企業経営支援部としていますが、条例徹底のためにも組織を思い切って強化する必要があります。いかがでしょうか。
(5)中小企業振興推進会議は庁内の組織です。中小企業振興基本条例を絵に描いた餅にしないために、市内の産業界・金融界などを含めた外部の組織を作る必要があると思いますが、いかがでしょうか。
(6)中小企業振興基本条例が成立して初めての予算案です。全市一丸となって中小企業支援策を総合的に実行・推進しなければなりません。市長はどのように臨む決意を伺います。

3.高齢者住宅について

3-1.高齢社会の進展により、年金収入のみの高齢者が益々増えていきます。高齢夫婦や高齢単身だと、サポートが必要になった段階で、いきなり毎日の生活が成り立たなくなるなどの不安であり、年金収入だけでは、最近の有料老人ホームなどは入れる状況の高齢者世帯は少ないのが現状です。また、低所得で住宅に困窮する方達の公営住宅だけでは、大多数の高齢者が将来に不安を抱えたまま生活をしていくこととなります。平均的な年金で入れるケア付高齢者住宅建設は時代の要請だと考えるが見解を伺います。
3-2. 高齢者等が安心して高齢期を過ごせるよう、国の補助制度なども利用しながら、支援機能の付いた高齢者向け住宅の供給促進や、様々な支援機能の強化策に総合的に取り組んでいくべき時期に来ている。高齢者の住まい・生活支援事業の概要及び今後の進め方を伺います。

市当局からの回答

1.市政での喫緊的課題について

(1) 地震・災害に強いまちづくりに関して、現時点での想定外の事態についてどのようにとらえているか
東日本大震災の大津波がもたらした甚大な被害と、発電所の機能を著しく損ねた二次災害の発生は、想定しえないものであったと思います。
このうち津波については、内湾のみで海と接する本市の場合、今回の被災地のケースとは、要件が大きく異なるものと考えております。
(2)「防災計画をもう一度見直しする必要がある」についての見解
本市の防災計画は、阪神淡路大震災をはじめ、これまでの震災の教訓等を踏まえ、その都度、必要な見直しを図ってまいりました。
今回の東日本大震災についても、帰宅困難者に対する一時宿泊場所への誘導、そこへの物資の配送など、実際の対応から学ぶべきことがありました。
今後こうした点を踏まえ、計画等に反映してまいります。
(3)「不要不急の大型開発を凍結し、災害に強い都市づくり予算を選択と集中し、振り向けるべき」についての見解
横浜市では、これまでも地域防災拠点の整備や小中学校の耐震化など、災害に強い都市づくりをすすめてきました。2 3 年度予算においても、引き続き消防力の強化や建築物の耐震性向上に取り組むこととしています。
また、ご指摘いただいた事業は、いずれも市内経済の活性化や将来の横浜の発展のために、不可欠な投資ですので、これらについても着実に取り組む必要があると考えています。
(4) 30、40代の子育て層の転出傾向についての事実をどのように認識しているか
平成21 年の人口の社会移動の状況を30代から40代について見ると、全国との関係ではほぼ均衡している状況となっておりますが、近隣地域に対しては、転出超過となっています。
持続的な都市経営を考える上での一つの課題として、引き続きその傾向を注視し、対応を考えていく必要があると認識しています。
(5)「若者や子育て層が安心して住み続けられる都市であるためには、東京圏の中でさらなる魅力を創りだす必要がある」「戦略的な取り組みが求められている」についての見解
「横浜市中期4 か年計画」で示した成長戦略や様々な施策を展開することで、全ての世代が「横浜に住みたい」と思えるよう、人や企業から選ばれる魅力ある都市にしていく必要があると考えます。
(6)小児医療費無料制度について、所得制限をつけ就学前にとどめている理由
子育て世帯の皆様からの期待も大きく、制度の拡充についての必要性は十分認識していますが、例えば、中学校卒業まで所得制限を撤廃して年齢拡大するためには、70億円以上の費用がかかります。
本市財政は大変厳しい状況にありますので、子育て支援施策の優先順位を見極めながら、検討していく必要があると考えています。
(7)中学校給食を実施しない理由
中学校期は、体格や食事量など個人差が大きくなり、また、食事を管理する能力を育てることも重要であることから、中学校昼食については、家庭からの弁当持参を基本としています。
一方で、弁当を持参できない生徒や、都合により作れない場合の対応等について様々な観点から調査をし、より望ましい中学校昼食のあり方を検討してまいります。

2.中小企業振興基本条例の徹底について

(1)中小企業振興基本条例における市の責務をどうとらえているか
横浜市中小企業振興基本条例は市会議員の皆様の提案により全会一致で制定されたものであり、その背景には、市内中小企業の皆様からの切実な思いが込められたものと認識しています。
その趣旨を最大限尊重し、中小企業の振興に関する施策を総合的に策定し、実施していくことが市の責務であると考えています。
(2)中小企業振興推進会議をより実効あるものにするために、様々な団体の意見を取り入れ、P D C A を行う手だて
横浜市中小企業振興基本条例に基づく施策を実効あるものとするために、市会への実績報告などを通じて市会の皆様からもご意見をいただくとともに、市内経済関係団体や中小企業の皆様からも、様々な機会を活用してご意見を伺います。これらのご意見を参考にしながら、今後の施策に反映させていきます。
(3)中小企業振興推進会議設置の期間を「当面の間継続」とした理由。また、その後はどのような推進のための組織を考えているのか
横浜市中小企業振興推進会議は、中小企業振興基本条例の趣旨をより実効あるものとするために、全庁的、継続的な取り組みが不可欠であり、これに対応するため、特段期間を定めず設置したものです。
(4)「条例徹底のためにも組織を思い切って強化する必要がある」についての見解
庁内外に条例の趣旨を徹底し、中小企業振興施策を総合的に策定・実施できるように、体制の強化を図ります。
(5)「市内の産業界・金融界などを含めた外部の組織を作る必要がある」についての見解
市内経済関係団体や中小企業の皆様から、様々な機会を活用して中小企業振興施策に関するご意見を伺い、参考にしながら、今後の施策に反映させていきます。
(6)中小企業支援策に臨む決意
横浜市中小企業振興基本条例にもありますように、市内経済の持続可能な発展のためには、中小企業の意欲的で創造的な活動を支援することが不可欠であると考えていますので、横浜経済活性化の実現に向け、推進会議での取組を通じて全市を挙げて市内中小企業振興を推進していきます。

3.高齢者住宅について

(1)「平均的な年金で入れるケアつき高齢者住宅建設は時代の要請」についての見解
高齢者が平均的な年金収入で、安心して居住できる住宅の供給促進が必要であると考えており、民間活力や地域力の活用など様々な工夫を図りながら、積極的に取り組んでいきます。
(2)高齢者の住まい・生活支援事業の概要及び今後の進め方
高齢者の住まい・生活支援事業は、従来の高齢者専用賃貸住宅の費用では負担感が強い、平均的な年金所得水準の高齢者が、身近な場所で介護や医療、生活支援サービスなどを受けながら生活を継続できるよう、民間事業者と連携して「新しい住まいの創出」や「既存の住まいの強化」に取り組む事業です。
事業を進めるに当たっては、住宅事業者やU R 都市機構、区役所、建築局と密接な連携を図り、総力を結集して知恵を絞りながら、効果的な事業の枠組みを検討していきます。


新着情報

過去記事一覧

PAGE TOP