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年表盗作教科書使用状態の解消等を求める申し入れ

横浜市長 林 文子 様

日本共産党横浜市会議員団
団 長 大 貫 憲 夫

 日頃からの「共感と信頼」のある市政運営に敬意を表します。
 本市の中期的行政計画である「中期4か年計画」(2010~2013)の副題に、市民と歩む「共感と信頼」の市政を掲げられたように、市長が最も大切にされていることは、市政運営の原点に位置づけられている「共感と信頼」です。また、同計画では、市民から信頼される市役所であり続けるためにコンプライアンスの推進を謳っています。
 しかし、教育現場で、この本市の基本姿勢に背反し、解決を迫られている事態が起きています。それは、18区中8区の中学1・2年生が使用している自由社版歴史教科書の年表が他社の盗作であったという事実が今般判明し、出版元も「編集著作権を侵害する行為」と認めたことです。
 出版元の自由社は、中学校長宛の「お詫び」のなかで、現在、採択事務進行中の「新しい歴史教科書」の年表は訂正するとしながらも、「年表自体には誤りはございませんので、生徒様の学習上の支障はないかと存じます」として、現在使用中の歴史教科書の年表を修正する方針は示していません。
 問題は、文部科学省の態度です。「著作権上の問題や道義的問題があるとしても、当事者間の問題であり、文科省が何かする立場にない」として、盗作教科書の検定合格取り消しはせず、回収も求めていません。盗作という犯罪的行為で成り立つ教科書を、子どもたちに使い続けることに何の痛みを感じない国の姿勢には愕然となるばかりです。国に追随して、なんらの対策を打たないでは本市の教育行政に対する市民の「共感と信頼」を損ねることも危惧されます。盗作教科書使用を放置することは、盗作を問題視しないことであり、コンプライアンスにも抵触することです。
 学校設置者、教育予算編成者、教育委員の任命権者など市長は、本市の総合行政を担っておられます。その立場から、盗作教科書問題を、市政の重大問題として認識されて、市教育委員会と連携して、可及的速やかに、次のような手だてを講じられるよう要請するものです。

1.自由社版歴史教科書の検定合格取り消しと、同教科書の回収を自由社に国が求めるよう国に働きかけること。
1.歴史教科書の図表などの盗作疑惑が指摘されている育鵬社について、全容解明を国に求めること。
1.教育条件を整えることに責任をおっている行政の長として、子どもたちが安心して学べる環境整備にむけて、盗作教科書の使用継続を防止する必要な措置と盗作疑惑解明措置を、国の対応如何にかかわらず、市独自に講ずること。