視察報告
2024年3月4日

【視察報告】4つの機能が有機的につながる 複合機能施設「武蔵野プレイス」を視察

2023年11月21日、日本共産党横浜市議団(5名)は、JR中央線「武蔵野駅」を降りてすぐ目の前に位置する、武蔵野市立 ひと・まち・情報創造館「武蔵野プレイス」を視察しました。

【視察の目的】
今回、「武蔵野プレイス」を訪問したのは、今後横浜市が図書館ビジョンを策定するにあたり、参考にするためです。また、図書館と他の施設との複合化も進めようとしている中で、図書館機能と他の施設や機能との関係を学びたいとの考えからです。

【視察行程】
①    「武蔵野プレイス」会議室において(公益財団法人)武蔵野文化生涯学習事業団の生涯学習事業部長兼武蔵野プレイス館長の、原島正臣氏から事業のレクチャーを受け、館内を案内していただく
②    原島館長と議員団との懇談
③    (公益財団法人)武蔵野文化生涯学習事業団の生涯学習事業部長兼武蔵野プレイス館長の原島正臣氏から事業のレクチャーを受け、館内を案内していただく
④    原島館長と議員団との懇談

【所在地・電話番号】
武蔵野プレイス:武蔵野市境南町2-3-18 ℡:0422-30-1900

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レクチャーと懇談から
人口14万8041人の武蔵野市は、生活の利便性が極めて高く、緑豊かで良好な住環境の街です。この武蔵野市にある3館の図書館のうち武蔵野プレイスの図書館と吉祥寺図書館は、武蔵野文化生涯学習事業団(公財)に指定管理されています。
※運営主体である公益財団法人武蔵野文化生涯学習事業団は、武蔵野市にある「武蔵野公会堂」「吉祥寺図書館」「武蔵野市立自然の村」「武蔵野総合体育館」など、文化・芸術・スポーツのスペースの運営を幅広く担っている団体。

 

①武蔵野プレイスの開館
武蔵野プレイスの開館までには長い経過がありました。1998年に国から払い下げを受けた武蔵野境食糧倉庫の跡地利用計画から始まって、市長が変わり議会の議論にも変遷があり何度も練り直しや計画見直しがありましたが、中途半端なものはダメということで、これまでの議論を活かすことが最終的に維持され、開館は2011年と13年もの時間を要しています。
駅前ということで、複合施設をとなりました。複合機能施設とは、複数の機能が集積されているメリットを最大限生かすということで、個々の機能を超えたこれまでにない新たな価値を持つ施設であることを目指しました。固定的なサービスを提供するこれまでの公共施設の枠組みを超えること。施設全体を一つの組織として捉え、一体的・有機的に管理運営することを基本にしました。人々が集い、交流できる場としての公共施設が持つ役割が以前にもまして重要との考えで、役割をそれぞれに入れ込む輪切りの建物ではなく、それぞれが役割を担うものとすることで建設され運営されています。

②武蔵野プレイスの建設
建築の考え方は、包み込むような人にやさしい空間であり、各階中央あたりに広場的スペースを確保して、より交流しやすい、出会
いが繋がる環境をつくるということでつくられています。また、シースルーエレベーターをオープンスペースに向けて導入し、自然と目に入る回遊性があり、年齢も目的も異なる利用者同士が、気づく出会い交流する場となっていくことを目指しています。地下3階地上4階の総7階建て。屋上緑化庭園があり、部屋の目の前に緑が広がります。地下3階が駐車場。28台の駐車場と236台の駐輪場スペース。サラリーマン・学生・子どもさん連れ・高齢者が気軽にアクセスできるようになっています。現在駐輪スペースに苦慮。

①武蔵野プレイスの運営その(1)
当該事業団として76名がプレイス全体の業務にあたっています。その中で、武蔵野市からの派遣職員は3名で、部長1名は原島氏、他は課長補佐1名、主事1名。正規職員は23名で、残りの50名は有期と無期雇用となって
図書館として市立図書館は3館。市直営は中央図書館で、他の2館は当該の事業団が指定管理している武蔵野プレイスと吉祥寺図書館です。3館は相互派遣してスキルアップに努めているということです。

②武蔵野プレイスの運営その(2)
図書や活動を通して、人とひととが出会い、それぞれがもっている情報、知識や経験を共有・交換しながら、知的な創造や交流を生み出し、地域社会の活性化を深められるような活動支援型の公共施設を目指しています。様々な学びの欲求に応える「生涯学習機能」、市民活動の「出会い」と「場」である「市民活動支援機能」、居場所づくりから地域へと、青少年同士が関係性を構築し合い、将来的に地域社会へ積極的に参画できる力を育てていけるようにと「青少年活動支援機能」と4つの機能が連携と融合を果すようにとのコンセプトで運営されています。

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1.図書館(地下2階、地下1階、1階、2階)
滞在型図書館である「図書館機能」は、ビブリオバトル・シネマプレイス(日曜の午後、夜の映画会)、武蔵野プレイス青空おはなし会、図書ラボ(青少年対象の本の修理やブックコート体験)他の取り組みをしています。赤ちゃんからお年寄りまで生活や学びに役立つ情報を提供できるようにと図書資料の収集を行っています。蔵書数17万冊。武蔵野市全体の図書館の蔵書数は約100万冊。年間資料貸し出し件数約100万件。67万9714冊の蔵書を要する中央図書館は年間貸し出し件数が79万です。武蔵野プレイスは年間来館者数が2022年度で144万人超。80万人を目指していたので、駐輪スペースも学習スペースも現在不足しています。

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2.複合機能施設として
地下2階は、これまで図書館になかなか足を運んでいただかない方々にも運んでいただこうということで、中高生とサラリーマンに向けて、地下2階のティーンズスタジオと銘打たれている「青少年活動支援機能」を持つ、まさに青少年の居場所として、防音機能のある地下にしてあります。アンケートでも「自分たちだけの場所を」という願いを受けて作られたとのことです。オープンスタジオやサウンドスタジオ、パフォーマンススタジオなど、青少年などが実際に踊り演奏し、活動する場となっています。大人の利用は午後2時半までです。図書館機能としては高額な芸術に関する本と青少年向けの本・雑誌が置かれています。

地下1階はメインライブラリーで生涯学習支援図書館施設です。静かに本を選び読む場です。レファレンス機能の充実をはかっています。

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1階は、パークラウンジ。武蔵野プレイスと一体的に計画・整備された、約2000㎡の市立境南ふれあい公園広場が目の前です。駅前商業地域に位置する市立公園で、盆踊りやマルシェといった地域のイベントはもちろんのこと、武蔵野プレイスと一体となったイベントにも利用されています。生涯学習支援図書館、総合案内、貸出機・図書検索コーナー、予約資料コーナー、新着・返却資料棚、視覚障害がある方のための対面朗読サービスを行う部屋もあります。1階の中央にカフェがあり、飲み物軽食が提供され、館内の図書を持ち込むこともできます。

2階はコミュニケーションライブラリー。市民活動支援の機能もありますが、おはなしの部屋、こどもライブラリーがあり、こども連れで安心して読書を楽しめる場です。

また、プレイス所蔵の約600タイトルの雑誌のうち350タイトルのバックナンバーが配置されています。図書カウンターでは、お子さんの読書の相談や、大人の読み聞かせの相談など、児童書関連の相談を受け付けています。レファレンス機能も充実させています。
 
3階はワークラウンジ。少人数のミーティングなどできる市民活動団体向けのオープンスペースと56席のスタディコーナー。小会議室も5部屋。生涯学習支援・市民活動支援の場です。

4階はワークテラス。生涯学習支援の場で、会議室、個人学習スペースが40席。予約で利用する学生・サラリーマンが大勢いて、常に待って使っている状態だとのことです。

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【視察を終えて】
 
私たちは、横浜市が新たな図書館ビジョンを策定するにあたって、提案もしてきました。しかし、取組として一度意見を述べて終わりとするのではなく、横浜市が新しい図書館行政をどのように市民とともに進めていくことが望ましいのか、どのような図書館が市民に求められており、かつ必要なのかを繰り返し考察するために、専門家の皆さんの意見を伺う事はもとより、各地の様々な図書館を見聞・調査し、これからも意見を言い、提案していきたいと思っています。
武蔵野プレイスの環境への配慮としては、屋上緑化約100%。18万人の自治体で、図書館が3館という事実。図書館機能を中心に据えた複合的機能を有機的に運営していく中で、若年者や労働者の利用などが当初の予想を超えて増え、年間来館者数が2022年度で144万人超となり、80万人を目指していたので、駐輪スペースも学習スペースも現在不足といううれしい悲鳴を上げておられます。駅が近いということで、仕事帰りの方々の利用も考えて午後10時まで開館しています。市民のためのプレイス。横浜でも大いに学ぶべきことがありました。

市会議員 みわ智恵美(港南区選出)

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