議会での質問・討論(詳細)
2011年10月6日

■「こども青少年局」 白井まさ子議員(2011.10.6)

児童虐待対策として区に配置した心理職、専門性にふさわしい処遇の改善を

白井議員:日本共産党を代表して質問します。時間の関係で少しまとめる部分もあるかと思います。
 まず、児童虐待対策についてです。
 2010年度、児童虐待対策プロジェクトによる検討が行われて、局や児童相談所で職員を増やして対応部署が新設されました。また、児童相談所の虐待対応専門員の増員やスクールソーシャルワーカーが配置されました。
 それでは、区役所での新たな実施や拡充はどうでしょうか。

鯉渕こども青少年局長:区では職員への研修や広報・啓発の実施などを加え、乳幼児健康診査における電話かけや、家庭訪問による未受診者対策の強化、被虐待児の見守り機能を強化するための保育所への優先入所、新たに作成した虐待の程度を表す共有ランク表の活用、心理職の配置等を行っております。なお、4月にはこども青少年局長と健康福祉局長の連名で、児童虐待対策の推進について各区長に通知し、区福祉保健センター全員の感度の向上、センター内での情報共有と連携等を促しております。

白井議員:お話しいただいた中で、区に心理職が新たに配置されたということですけれども、非常勤の嘱託員ということですけれども、この配置された背景について、伺います。

鯉渕こども青少年局長:発達面の課題を抱える子どもの保護者や養育上の問題から心理的に不安定になっている子どもをもつ保護者は、保護者自身が大きな悩みや負担感をかかえていることも多く、そのことが不適切養育や虐待へと発展させてしまうリスクがあります。区のこども家庭支援課では、従来から心理職による個別相談を行っていますが、必要な時にタイムリーな対応が出来ない状況にございます。こうした状況を改善するため、保護者を早期に支援し、育児不安や育児による負担感を軽減できるよう、常駐の心理職を4区に配置することといたしました。

白井議員:業務の専門性にふさわしく処遇の改善も検討していただければと思いますので、要望しておきます。

区と学校など関連機関と連携をとってリスク発見、生活支援を

 続いて、児童虐待の多くは、育児不安や社会からの孤立や経済的困窮、そして複雑な家庭環境などさまざまな要因が絡み合っていると思います。今年4月5日付で局長から区長に出された通知では、こうした事例について区で具体的にどう取り組むよう依頼がされたのでしょうか。

鯉渕こども青少年局長:昨年度の事例の振り返りを踏まえ、専門職を中心とした人材育成、現在改定中のマニュアルに沿った組織的な情報共有の徹底等が必要であると考えております。
 また、区と学校との連携については、必要な児童・生徒について、出欠席の状況等を記載した書類により、定期的に学校から情報提供を受ける仕組みを導入いたします。
 加えて、児童虐待対策プロジェクトの報告書を踏まえ、区福祉保健センターの体制について、引き続き検討してまいります。

白井議員:連携をとっていただいて、福祉的な視点でリスクを発見して、その虐待につながらないよう、生活支援をお願いしたいと思います。

児童虐待対策の充実に向けて区の保健師や心理職の増員を

 そして、プロジェクトが設置されたのが2010年の9月で、報告書がまとまったのが年度末ですから、今年度反映できなかった対策もあるかと思います。報告書の中では、保健師と社会福祉職の体制強化を進めていくとされています。現状では、虐待対応を含め多くの業務を担う中で、23年度はその両職の増員はなかったようなんですけれども、虐待対応に専念できる体制はどう作るのでしょうか。

鯉渕こども青少年局長:そうしたことも含めて、現時点での検討内容ということでございます。今年度、区のあり方につきましては、事務のやり方も含めまして検討してまいりたいというふうに考えております。

白井議員:区のこども家庭支援課での担当業務としては、業務の中に児童虐待の対応がありますけれども、区役所の組織図をみてみますとそこになくって、責任を持ってやる位置づけとか体制がないようなんですけれども、この報告書の中の34頁のところに今後目指すべき方向性の提言が載っておりますけれども、区における虐待対応の体制整備については目指すべき姿と課題をどのように報告しているのか、ちょっとこの部分を説明いただけませんでしょうか。

鯉渕こども青少年局長:報告書では、目指すべき姿として、地域の情報を多く持っており、また市民にとって最も身近な相談窓口である区福祉保健センターにおいて、現在保健師が中心となって行っている予防的な地域活動や、育児支援、養育支援に加え、虐待通報の一時的な受付、対応窓口となる。分離や専門的な判定等を要しない虐待世帯については、区でコーディネイトを行う。分離が必要等、重度なケースについては、児童相談所に相談し、引き継ぐことが望ましいと述べられております。
 また、課題としては、こども家庭支援課職員、保健師・心理職の増員による体制強化が必要。こども家庭支援課の社会福祉職の業務の整理が必要。専門性の向上性が必要となっております。

白井議員:それでは、副市長に伺います。このいまのこの報告書の中で、保健師や心理職の増員による体制が必要とも書かれております。目指すべき方向性の提言がなされているんですけれども、この実施の可否は財政上の問題だといわれておりまして、局まかせにせず、市財政の全体の中でまさに選択と集中を行っていただいて、予算を確保していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山田副市長:区の福祉保健センターは、市民のみなさまにとってもっとも身近な窓口として、児童相談所、学校、保育所等と連携し、支援が必要な家庭を把握し、児童虐待の予防と早期対応を行っております。区の福祉保健センターの保健師や社会福祉職がそれぞれの専門性を発揮しながら、これまで以上に児童虐待の未然防止や早期発見、継続支援にかかわれるよう人材育成を行い、児童相談所など関係機関との連携がさらに強化され、より効果的な対応ができる体制について、検討していきます。

白井議員:ぜひとも、増員についても検討をお願いいたします。

民間保育所への保育運営費清算金訴訟は本市の勝訴、別件の不正流用も請求せよ

 次に、廃園となった保育所の保育運営費の処理についてです。
 2009年度に本市認可保育所2園の運営から撤退したエキスパートシステム社と本市の間で、2010年度に保育運営費の精算金の戻入れを巡って訴訟となって、先日判決が出ました。本市へ当然返還されるべき運営費がまだ返還されていないと聞いていますけれども、これまでの経過と現状と今後の見通しについて伺います。

鯉渕こども青少年局長:昨年6月に保育所運営費の返還を求めて、横浜簡易裁判所に支払督促の申し立てを行いましたが、相手方から督促異議の申し立てがあったことから、訴訟に移行いたしました。本市としては運営費の返還に関する証拠等を提出してきましたが、相手方は保育所運営に対する本市の対応に不備があったとして、債権の相殺を求める主張がございました。その結果、本市の請求が全面的に認められまして、運営費の返還を命じる判決となりました。控訴期限を過ぎたことで、本市の勝訴が確定したことから、相手方の財産の状況を確認し、早急に清算戻入金の返還に向けて法的手続きを進めてまいります。

白井議員:この件とは別ですけれども、前任の局長が議会で明らかにされたように、運営費が弾力運用の制限を2385万円越えて使用されておりまして、年度内に返還されるべきところまだ返還されていなかった貸付金が5250、失礼いたしました、この金額は億円ですね、5200、失礼しました、5253万円ですね。この調査がそれぞれ進んでいると思いますけれども、これまでの経過と現状について伺います。

鯉渕こども青少年局長:これまで保育所運営費の使途を確認するため、本市による運営費の使用状況に関する調査結果を22年7月に配達記録郵便で送付したほか、5月と8月には相手方に出向き、事実確認を求めましたが、社長に直接会うことができませんでした。その後、23年3月には相手方が裁判所に出廷したため、裁判所内で話し合いを行い、運営費の使途について確認結果の回答を求めてきましたが、相手側からは現時点まで明確な回答がでてきておりません。このため、現在も相手方に対して、運営費の使途等の回答を求めており、引き続き事実確認に努めてまいります。

白井議員:運営費の弾力運用の制限を越えている部分とその貸付金が帰ってきていないということは、保育所運営以外に目的外に使用されたということですから、不正流用です。逃げ得になってはいけません。早く金額を決めて、精算金の返還を請求しているのと同様に、本市からきちんと請求をすべきと思いますが、どのようなお考えでしょうか。

鯉渕こども青少年局長:現在使われ方がどうかということで、事実確認に努めているところでございます。事業者に支払われる保育所運営費は、保育の提供に対する委託契約の対価と解釈され、保育の提供が行われているという状況があれば、たとえ残余金があった場合でも、法的に直ちに返還の対象とはなりません。保育が提供されていた場合、今回の場合保育が提供されているわけですが、保育所運営費の使途が適切でなかったとしても返還を求める根拠とはならないとの見解が、国や私どもから委託しております弁護士から示されました。本市としては非常に不本意ではありますが、現状では保育所運営費のこの部分での返還を求めることは難しいと考えております。

保育所運営者としての資格のない法人を認可しないようなシステムを

白井議員:それでは、今後このような問題、ほかでも起こさないようにするためには、本市としてどのような対策を講じたんでしょうか。

鯉渕こども青少年局長:保育所認可にあたっては、全ての申請案件について、市立保育園の園長など経験豊かな保育士を起用して面接を実施し、法人代表者や施設長予定者から法人の保育方針や保育理念等を詳細に確認し、保育の質の確保に取り組んでいます。また、運営が適切でない保育所に対しては、国からの通知等に基づき、民間施設給与等改善費の支給を停止することや、運営が不安定な施設に対しては運営費の支払いを四半期ごとから月払いに変更することができるよう制度改正を行ったところです。さらに、指導監査にあたりましては、今回の事案を踏まえて、保育所運営費の弾力運用や貸付金の資金移動について、本市の要綱等に基づき、適正な会計処理が行われているかどうかを重点事項とし、厳正な監査を実施してまいります。

白井議員:エキスパートシステム社の代表者が結果として能力も資質も資格もないことが判明したわけですけれども、なぜ認可になったのかというところで、認可の際のチェックできなかったのかというところが疑問なんですけれども。法人の代表者と直接面接して理念や運営方針などをしっかりと確認したうえでなければ認可しない、このことが方向性ではあるんですが、要綱で定めることが必要と思いますが、いかがでしょうか。

鯉渕こども青少年局長:現在、保育所の設置委員会につきましては、保育所経営に必要な経済的な基礎があるか等、国の通知に即した審査基準に基づき、審査をしておるところでございます。

白井議員:国の基準では不十分な点もあるということで、その面接のことについては、本市の要綱なりつくるなりしていただきたいと思います。
 続いて、私のところに相談が寄せられまして、このような保育士募集の求人広告のチラシを見たということなんですけれども、この募集している株式会社、新規に設立をされて、保育士を募集していて、本市の認可を得ようとして、いま手続きを進めているそうです。事もあろうに、その実質的な代表者は、エキスパートシステム社の代表者です。廃園した園で多額の運営費を不正に流用したまま、さらに別の園を作って運営費を得るための認可を得ようとしているということ、こういうことはあってはならないと思うんですけれども。これまでの市の対応が少し甘すぎるのではないかと思うんですね。いままでの経過をみてみると、請求をしても返還に応じる可能性も低いというようにもみえますが、対応としていかがでしょうか。

鯉渕こども青少年局長:その団体に、どういう人が関与しているかということを、現実の問題として把握するということはかなり難しい問題かなとは思っておりますが、当然のことながら、役員名簿等申請書類で出てきますればもちろん確認いたしますし、事前相談ですとか現地調査ですとか、そういった場で、いろんな機会を通じて、そうしたことが確認できるかどうかということを、私どもとしても努力して、認可にふさわしい法人であるか、総合的に判断してまいりたいと考えております。

白井議員:よろしくお願いいたします。保護者の保育料の値上げの方向性が言われておりますけれども、運営費が増大するということですが、一方でこういうことも許してはいけませんので、よろしくお願いいたします。


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