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2007年12月市会(第4回定例会)閉会にあたって

2007年12月21日
日本共産党横浜市会議員団
団 長   大 貫  憲 夫

はじめに

 12月7日から開かれていた第4回定例会(12月市会)は、12月21日の本会議で、今議会に市長が提出した一般議案23件、予算議案2件、人事議案3件を賛成多数で議決、また、議員提出議案1件を賛成多数で可決し、閉会しました。
 今回の議案のうち、市民病院のベッド数増(600→624床)、神奈川区大野町方面での保育所用建物の取得などは市民要望を反映したものです。しかし、市立高校授業料の値上げ、消防署所の削減など9件は、暮らしを脅かし、市民サービスの後退になるとして、党議員団は反対しました。
 一般質問は関美恵子(港南区)、議案関連質問は白井正子(港北区)、反対討論は河治民夫(旭区)の各議員が行いました。本会議初日に行われた06年度決算の認否には、中島文雄議員(鶴見区)が討論に立ちました。

1、一般質問について

 敬老特別乗車証制度、後期高齢者医療制度などで市長に質しました。
 「横浜市敬老特別乗車制度のあり方検討会」は「最終とりまとめ」を11月に発表し、市は来年からの敬老パス制度見直しをめざしています。
 関市議は、「最終とりまとめ」で、同検討会が実施したアンケートや市民意見公募でも多数をしめた現状維持・拡充をもとめる市民の声が無視され、6か月という短さで結論をもとめた市長に対し、「先に結論ありき」の拙速なやり方だと指摘し見解を求めました。また、利用回数に応じた負担や利用回数制限を盛り込んだことを「福祉とは名ばかりの重大な変質」と批判、高齢者へのさらなる負担増を課すことは許されないと指摘し、市長の見解を質しました。中田市長は、あり方検討会では「大いに議論したので拙速ではない」、「高齢者人口の増加や厳しい財政状況をふまえて持続可能にするために利用回数に応じた利用者負担などさまざまな角度で検討中」とのべました。
 関市議は、後期高齢者医療制度で、神奈川県の保険料が平均保険料で全国一の高さであることなどをあげ、県や市町村の補助金による減免制度は法的に可能なことを示して、その実現や、低年金者などへの軽減の実施や資格証の発行をしないことが必要と述べ、これに対する広域連合の副連合長である市長に見解を求めました。市長は、県や市町村に補助金を求めることも含め、後期高齢者医療制度に関することはあくまでも県広域連合で決めることだと述べるにとどまりました。
 他会派では、自民党が9月議会に続き、新市庁舎建設の早期着工と、高速道路、港湾整備など従来型の公共事業促進を要求。また、各党、教育問題に言及し、民主党ヨコハマ会は改悪教育基本法と日の丸・君が代を賛美、自民は横浜型学力テストの公表を主張。注目の敬老パス問題を取り上げたのは自、共の二党だけ、後期高齢者医療制度は共のみでした。

2、議案関連質問について

 横浜市救急条例は、傷病者の重症度によって出場させる隊員数などを弾力的に活用する救急トリアージを制定するものですが、消防任務に携わっている職員や消防車が救急業務を兼務することにより、本来の任務である消防力が低下します。河治議員は、増大する救急需要を直視するなら、全ての消防署、消防出張所に救急車を配置すべきと主張し、消防力の低下を素直に認めない市長の態度は問題と指摘しました。
 横浜市にある3つの動物園のうち、ズーラシアは横浜市緑の協会が指定管理者になっていますが、今議会で野毛山と金沢の2園を同協会を指定しようとしています。白井議員は、「『横浜市立動物園のあり方懇談会』でも指摘しているように、動物園は、娯楽、種の保存、教育、調査研究という4つの機能を持ち、その機能を発揮するためには、本市の役割は大きい」との立場から、「指定管理者任せ、丸投げはあってはならない」として、コスト優先から運営管理経費の一方的な削減を強いるのではないか、動物の飼育という専門性の高い技術や知識の継承の点でも3年間の指定期間はあまりにも短かすぎないか、野毛山動物園のネーミングライツについて、伝統ある「野毛山」の名を消してはならず、子どもたちが集う施設にスポンサー企業名やブランド名を付けるのはなじまないのではないか、質問しました。
 市長は、「本市と指定管理者の協定に基づき適正な運営が行われるように、モニタリングや事業評価などによって確認し、施設の整備など設置者として果すべき役割は適切に果たす」としたうえで、動物を適正飼育していくための経費を初め、指定管理業務を良好に執行するための必要経費について措置する、選考して指定管理者を導入した横浜動物園の指定期間に合わせるため3年間とした、ネーミングライツの収入は長年親しまれてきた施設を今後も維持していくために活かすと答弁しました。

3、中田市長のスキャンダルも議会で論議に

 中田市長を支援する「翔けヨコハマの会」が05年4月に開催した政治資金パーティーへの市職員の関与が発覚、消防団に要請されたパーティー券250枚のうち、172枚を18団が購入。18団中10団が、チケット代を消防団会計(2005年度)から支出しました。同会計2005年度の収入1億8000万円のうち、1億3500万円が「活動奨励金」という税金でまかなわれています。
 白井市議は、「市長応援を目的、しかも1100万円を寄付されたパーティーに関わってのことであり、市長として責任をとる必要がある」「少なくとも、消防団会計から支払われた分は、市に返却すべき」と、市長を追及。市長は「きちんと調査し、公表する」とのべるにとどまりました。 
マリンタワー再生事業でも疑惑が浮上。事業者に選定されたリスト㈱は1991年に設立された不動産会社で、上大岡のショッピングセンターの運営を行っていますが、観光集客施設のノウハウは持っておらず、本事業のための企画力や人材の不足は明らかです。さらに、社長とその妻は、06年3月に中田市長の政治資金管理団体に限度額150万円をそれぞれ献金、11月に事業者の公募、07年3月に優先交渉権者に、そして6月に同社が事業者として決ったものです。また、事業者の構成員の一人である横浜エフエム放送株式会社の社長は、中田市長を支えるトップとも言われる藤木幸夫(ゆきお)氏です。市長は、献金は合法、事業者選定も適切と答弁、疑惑を否定。
 この他に、看護専門学校での中国語講座受講問題、サンディエゴ訪問キャンセル問題も市長と当局側からの説明に対し、関係常任委員会のなかで、質疑が行われました。また、中山市議(民主党所属)どう喝事件に関連する請願を審査した委員会には、当事者の同市議と小幡市議(民主党ヨコハマ会)がそれぞれ経過説明を行い、質疑が交わされました。

4、学童をはじめとした請願ことごとく否決に

 学童保育の改善を求める請願は、39万6701筆もの署名数です。学童保育は、共働き家庭や一人親家庭の増加による子ども達の放課後生活の場として、また、放課後の安心・安全や、学校教育を補完する補修学習など、役割も多様化しています。学童保育の実態は、本来の施策が立ち遅れ、平均で放課後キッズの3倍近い高額な保育料、劣悪な施設、対象児童の年齢制限、不安定な労働条件で働く指導員など、課題が山積しています。特に、「委託方式」から「補助方式」の変更で運営費が削減され、おやつ費用の削減、行事費の参加者負担、2人目3人目の保育料割引の中止、指導員の休暇の削減など、保護者や指導員の負担増や保育の質の低下にもつながっており、運営さえ危ぶまれる状況です。
 学童だけでなく、保育予算の充実と公立保育所の民営化の中止を求める請願、ゆきとどいた教育実現のための条件整備についての請願、小港橋バス停留所の原状回復を求める請願、家庭ごみの収集回数の維持を求める請願など、切実な市民要望にかかわる請願すべてを自、民、公、民ヨコは否決してしまいました。

以上