申し入れ等

2011年12月28日

リーフレット「放射線等について学ぼう!」の修正等についての申し入れ

2011年12月28日

横浜市教育長  山田 巧 様

日本共産党横浜市会議員団
団 長  大 貫 憲 夫

 東日本大震災に伴って起きた東京電力㈱福島第一原子力発電所の事故は、日本国民に放射能の怖さを見せつけました。野田佳彦首相は14日、原発事故の収束を宣言しましたが、実際には9か月たった今でも炉心の状態さえつかめず、汚染水など放射性物質の放出もとまらず、「収束」とは程遠い状態です。
 福島原発から約250㎞離れた横浜市でも、高い放射線量の計測されるマイクロスポットが見つかり、小学校給食の食材予定の干しいたけから放射性セシウムが検出されるなど、放射線に対する不安が広がっています。
 横浜市においては、小学校給食の全食材の放射性物質や、保育園や学校などの放射線量を測定し、12月議会の補正予算で公園や子どもの利用が多い施設の周辺道路の放射線量の測定を行うことを決めるなど、放射能汚染に対する対応が全体として進んでおり、一定評価しております。これらの対応は、市民、とりわけ放射能の影響を受けやすい子どもたちを守るため、また放射能不安から市民を救うために行われていると理解しています。
 ところが、このたび市立小・中学校で配付予定のリーフレット「放射線等について学ぼう!」では、放射線の危険についてはほとんど触れず、あたかも心配する必要がないかのようなタッチで描かれています。
 小学生用リーフレットでは、「8 身近に受ける放射線の量と健康」で、自然界にある放射線やレントゲン撮影などによる放射線は心配する必要はないとし、多量の放射線による影響は確認されているとしながらも、「一度に100ミリシーベルト以下の放射線を人体が受けた場合、放射線だけを原因としてがんなどの病気になったという明確な証拠はありません」と記載されています。ところが100ミリシーベルト以下の放射線について、発がん性が「ある」という明確な証拠もありませんが、「ない」という明確な証拠もなく、低線量の放射線については正確なデータが少ないのが実情です。
 「がんなどの病気を起こす色々な原因」というイラストでは、「年をとる」「遺伝的原因」「ウイルス・細菌・寄生虫」などの原因と同列に、しかも「放射線・紫外線など」と紫外線とひとくくりにされています。これでは、放射線の影響は軽度のもので、そんなに気をつける必要はないように思うのではないでしょうか。
 中学生用リーフレットも同様ですが、加えて「8 外部被ばくと内部被ばく」の項で、自然界から受ける放射線量が世界平均と日本平均にわけて円グラフで示され、被ばくは日常的なもので、しかも日本の線量は世界平均より低いから安全だといわんばかりです。
 私たち日本共産党市議団は9月の申し入れで、「広報よこはま 震災対策特別号放射線特集」について、低レベル放射線被ばくについての安全性は専門家の中でも見解が分かれている問題で、それに市が答えを出すようなことは誤りと指摘しましたが、今回の小中学生用リーフレットでは「広報よこはま」と同じ誤りを繰り返しています。
 放射能による健康被害には、急性障害とともに晩発性障害があり、放射線被ばくは、たとえ低線量であっても、将来、発がんなどの晩発性障害が起こる危険につながると多くの専門家が指摘しています。特に、内部被ばくについては除染方法も治療方法もなく、線量が少ないほど影響が少ないというものではないと指摘する医師もおり、洗い流すなどで除染できる外部被ばくとは異なります。
 放射能被害については、スリーマイル島やチェルノブイリの原発事故の際の被害状況を教えるべきです。特に、唯一の被爆国として広島・長崎の被ばく実態について、直接被ばくではなく原爆投下数日後に被ばく地を訪れた人たちに晩発性障害が多く出ていることなどを含めて、正しく伝えるべきです。
 その上で、体内に入った放射性物質は、その物質の半減期と体の代謝や排泄によって、時間とともに体から出ていくこと、水洗いや調理法の工夫で食品中の放射性物質を減らせること、マイクロスポットとなりやすい側溝や落ち葉などに気をつけることなどを、正しく教えることが大切です。
 そもそも、今回放射線が問題になっているのは、いうまでもなく巨大地震に伴う原子力発電所の事故によるものです。この際、原子力発電の危険性、今回の事故の概要、福島県をはじめとする被害の実態を、子どもたちに伝える必要があります。
 市教育委員会指導企画課は、「放射線等に関する教育について」という文書のなかで、放射線に関する教育の趣旨として、「科学的な根拠に基づいた判断ができるように放射線等に関する基礎的な知識・理解を養う」としています。私たち日本共産党市議団は、子どもたちが過大な心配と安易な安心を持たぬよう、横浜市教育委員会が正しい放射線の知識を教えることを切望します。
 ついては、下記の実現に向け、貴職の真摯な対応を要請するものです。

1.小・中学生向けリーフレット「放射線等について学ぼう!」は、放射線被害や福島原発事故などについて正しく記載したものに加筆・修正すること。
2.加筆・修正したリーフレットの活用にあたっては、一律に子どもに押し付けるのではなく、学校の裁量に委ねること。
3.同リーフレットの元本となった文部科学省作成の放射線副読本についても、上記と同様の指摘が当てはまるため、全児童・生徒分(約28万部)の注文を取り消すこと。

以上

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