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横浜市の2012年度予算案の発表にあたって

 2012年2月1日
日本共産党横浜市会議員団
団 長 大貫 憲夫 

 林文子市長は本日、2012年度横浜市予算案を発表しました。
 一般会計は1兆4,097億円(前年度比1.4%増)で、特別会計と企業会計を合わせた総額は、3兆2,905億円(同1.6%)(純計2兆4,932億円)です。市税収入は6,961億円と、対前年度比で0.5%減です。市債発行は、117億円を震災対策として上乗せした結果、前年度比4.2%増の1,327億円を計上。地下鉄事業等への経営健全化策としての一般会計からの繰り入れ期限を延長したことは、極端な財政再建路線の修正であり、かねてより党議員団が提唱していたことです。
 党市議団は昨年8月に、3・11大震災をうけて、予算編成にむけて市政運営の方向性を「防災の観点をあらゆる施策に貫くこと」と「自然エネルギーの本格的導入に踏み出すこと」におき、市民の「いのち、くらし、福祉の向上」を最優先する立場から、中学校給食実施、小児医療無料化年齢引き上げ、住宅リフォーム助成制度、放射線対策など9項目を重点要望として予算に反映するよう林市長に申し入れてしました。そのうち、小児医療費無料化の就学前から小学1年への拡大と給食食材等の放射線量の測定継続は、市民の声と運動のひろがりで実現しました。しかし、「必要な投資は惜しまず」行うとして、高速環状道路建設や国際コンテナ戦略港湾整備などの大型開発推進を優先し、中学校給食の実施など市民が実現を切望している要求については、予算化していません。また、自然エネルギーの転換では、積極性は見られません。

●震災・防災対策では、公共建築物等の耐震化として104億円計上し、保育所、個人住宅など民間耐震化への支援も拡充しています。しかし、密集住宅地の対策など想定されている直下型地震に対応するレベルとはなっていません。救急隊の増設など消防職員10人の増員は消防力強化につながるものです。放射線対策として22億円を投じます。財源に全額東電からの賠償金を充当することは、党議員団の提案が実ったものです。

●子育て支援では、2013年4月の保育所待機児解消にむけて、認可保育所定員を3,740人増とし、事業費を66億円計上しています。しかし、保育料平均8.4%の値上げは、市長が唱える「子育て安心社会の実現」に逆行しています。児童虐待対策では、区役所、児童相談所の体制強化が図られています。昨年の決算特別委員会での党議員の質問に応えた前進です。

●福祉では、特別養護老人ホームの新規建設280床は前年度の7割でしかなく、待機者数からみて抜本的な増設が必要となっています。介護保険料(基準額)は、現行4,500円から5,000円に引き上げです。負担増は国保料も必至です。小規模多機能型居宅介護事業所等の整備運営費を5割増しの7億円計上したことは重要です。市民病院の緩和ケア病棟の全床オープンは、昨年の決算特別委員会での党議員が実現を求めていたものです。

●中小企業・雇用では、中小企業振興や商店街対策の体制強化はなく、ものづくり業者支援の休業補償、家賃補助や、建設業者支援ともなる住宅リフォーム助成の創設には背を向けています。中小企業振興基本条例の趣旨からみて中小企業の体力アップ対策は十分ではありません。雇用対策では、大半が国の事業まかせです。
 その一方で、誘致効果の薄い企業立地条例は継続し、MM21地区等への誘致企業への助成金は29億円と前年度比5億円増です。

●教育では、児童支援専任教諭70人増、スクールカウンセラー・学校カウンセラー・保健室支援の増員・拡充をしています。しかし、「先生が子どもたちと向き合う時間をもっととれるよう」にしたとしながらも、市独自の少人数学級には踏み込んでいません。
  市大への運営交付金(大学分)を独立法人化はじめて増額したことは貴重な成果です。

●公共事業では、高速横浜環状道路建設に125億円、国際コンテナ戦略港湾推進に155億円、神奈川東部方面線24億円、「エキサイトよこはま22」2億円と、大規模開発は加速しています。
 その一方で、生活関連公共事業は削減です(主要地方道整備71億円→69億円、公園整備153億円→139億円、河川42億円→39億円、下水道整備373億円→363億円と軒並み前年度比で縮減)。

 日本共産党市議団は、2月2日から始まる予算議会において、不要不急の大型公共事業を見直し、あらゆるムダをなくし、防災と福祉のまちづくり、子育て、教育、経済・雇用対策など市民要望のつよい政策実施のために全力をあげるものです。

                              以上