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【2007年第2回定例会】「議案関連質問」河治民夫議員

(実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。)

指定管理者の子会社を吸収合併した親会社をそのまま指定するのは問題多い

河治議員:私は、日本共産党を代表し、今議会に提案された市報第3号、市第6号、および市第11号議案について市長に質問いたします。

 市報第3号は、横浜市高齢者保養研修施設「ふれーゆ」の指定管理者に関するものです。「ふれーゆ」は、06年度から明治アクアスポーツ株式会社・株式会社山武グループが指定管理者になっています。ところが、明治アクアスポーツが親会社である明治スポーツプラザ株式会社に吸収合併され、消滅した明治アクアスポーツの権利・義務の全部を継承した親会社である明治スポーツプラザを、「ふれーゆ」の指定管理者に指定することを市長が専決処分し、議会の承認を得ようとするものです。
 両者の合併は今年の1月23日に合意し、2月14日の官報で報じられたにもかかわらず、本市への報告は3月20日までなかったと聞いていますが、報告が合併合意の時点で速やかになされていれば、第1回定例会での提案に間に合い、専決処分をすることもなかったと考えます。
 今回の事態は、吸収合併した明治スポーツプラザ株式会社が、本市への報告を怠ったことが原因です。そのことは、同社が指定管理者として求められる誠意がなく、指定管理者としての資格を疑わせるものと思いますが、市長の見解を伺います。
 本市と指定管理者との基本協定書では、指定管理者の権利・義務の譲渡の禁止についての取り決めはあるものの、今回の事例のように合併等による前・指定管理者の権利・義務の全部の継承については、明確な規定がみられません。合併や倒産などのリスクに対し、協定書は不十分だったと思いますが、いかがでしょうか。また、この点で今後の指定管理者との協定書においてはリスクに対して明記すべきと思います。あわせて市長の考えを伺います。
  専決処分とした理由は、議会の承認を得るまでの期間が、「ふれーゆ」の休館となり、利用者への迷惑を避けるためとしています。本事案は、とりわけ継続性が求められる施設において、指定管理者に指定された民間企業がその企業の合併という経済活動を優先した結果、指定期間が満了できないという重大な問題であり、指定管理者制度の持つ本質的な欠陥を露呈したものです。
 3月20日の明治スポーツプラザから市長への報告書は、「従前の運営方法や名称、契約内容に至るまで一切変更がなく継続」としていますが、一方的なものです。また、専決処分の事案では議会に図るが、仮に議会が否決をしてもその影響は及ばない、となっていることからも、専決処分は極力避け、議会の議決を尊重するやり方こそ、行政がとるべきではないでしょうか。指定管理者の指定は議決を要する案件です。親会社明治スポーツプラザが引き継ぐ4年間は改めて公募し、議決を得るべきものと思います。また専決処分を行うにしても、その公募・議決に要する最小限の期間とすべきと考えますが、いかがでしょうか。

中田市長:河治議員にお答え申し上げます。
  まずはじめに、市報第3号についてご質問をいただきました。指定管理者からの合併の報告についてでございますけれども、これはですね、合併の合意後に指定管理者が必要な社内手続きなどを実施して、3月20日に本市に報告があったものであります。
 「ふれーゆ」の協定書についてでありますけれども、協定書はこれは本市の事前承諾を得ずに権利義務を第三者へ譲渡・承継ということを禁止いたしております。今後もそういう意味で協定書の規定の趣旨について周知徹底を図って、適切な運用に努めてまいりたいと思います。
 指定管理者の公募などについてでありますけれども、今回の系列会社による吸収合併でありまして、従前の会社の権利義務関係が全て合併後の会社に承継されるということになり、指定管理者としての実態が同一であるということを確認できました。そのために公募は行わないで、また市会を召集して議決いただくという時間的余裕、これも先ほど来ご説明しているようになかったために、専決処分にいたしたわけであります。
 指定期間でありますけれども、指定管理業務の継続に支障がないことから、当初協定の残存期間としました。
 議員ご指摘いただいたとおり、議会の議決を極力得るということについては、これもうこれから先もしっかりやっていこうと思っておりまして、今回のことも指定管理者制度においては教訓にしてですね、市会としての決議をいただくということをお願いしてまいります。

河治議員:つぎに、市第6号議案についてうかがいます。議案は瀬谷公会堂へ指定管理者制度と利用料金制度を導入しようとするものです。瀬谷公会堂は瀬谷区総合庁舎及び二ツ橋公園整備事業に含まれるもので、同事業はPFI方式によるものであり、本年5月8日に事業者を公募しています。同事業の入札説明書では、「公会堂については、指定管理者制度の導入を前提とする」「指定管理者制度の導入は公会堂条例の指定管理者制度導入に関する改正の議決が前提となる」としています。これは、地方議会と首長は車の両輪という二元代表制ということから考えれば、あまりにも議会を軽視したものです。行政上の手続きを議会の必要な議決を得ることなく、市長の提案が議会で当然承認されるとして、それを前提に進めることは、原則としてはあってはならないことと考えます。本条例改正は瀬谷区総合庁舎及び二ツ橋公園整備事業の入札公告を行う前に行うべきと考えますが、何故そうしなかったのかをお答え下さい。
 指定管理者の管理期間は、横浜市の市民利用施設の場合、通常3~5年間となっています。しかし、PFI事業の今回の公会堂は15年間と長期にわたることになります。一社が長期間にわたって独占することは競争性・公平性の観点から問題があると考えますが、いかがでしょうか。

中田市長:次に市第6号議案についてご質問いただきました。入札公告の時期についてでありますけれども、瀬谷区総合庁舎耐震整備事業は、耐震や狭隘化対策など、早期に進めていかなければいかないために、平成22年度の竣工をめざしまして、PFI手法を用いております。
 また、公会堂の管理運営については、PFI事業者に行わせるために、指定管理者制度を導入いたしてまいります。
 PFI契約締結議案と指定管理者の指定議案は、平成20年第1回市会に上程する必要がありますので、このスケジュールを踏まえますと、本市会に指定管理者を導入する議案を上程しているわけでありますけれども、5月上旬に行った入札公告にあたっては、条例改定の議決、これを条件として行っていることであります。
 瀬谷公会堂の指定期間についてでありますけれども、PFI事業は事業期間が長期となることでトータルコストの削減や財政支出の平準化、さらには安定的に公共サービスを提供するといったことであります。今回PFI事業期間と公会堂の指定期間を同じ15年間ということで、業者などとの試験管理や効率的な運営を行うということになりました。
 指定期間中でありますけれども、これはもうモニタリングや第三者評価、業務会計の勧告といったことなどによって、適切な管理運営を行っていくようにいたしてまいります。

市立動物園改革は、動物園機能・役割を果たすために必要な人と予算を

河治議員:次に、市第11号議案、横浜市動物公園条例の一部改正についてです。本条例は横浜市立野毛山動物園、同金沢動物園を指定管理者に管理させるとともに、金沢動物園に利用料金制を導入するためのものです。
 これまで、横浜市の動物園入場者は年々減少し、財政的にもきびしくその解決が求められておりました。その解決を目的に、2005年4月に市立動物園のあり方懇談会が設置されました。あり方懇では動物園の意義と役割について、娯楽に加え、種の保存と保護、教育、調査・研究等、多様な使命を担い、図書館や美術館と同じく、大都市に不可欠のインフラであり、また、「動物園は美術館・博物館など他の文化施設と同様に、単独では採算は取れない」とし、「世界の動物園の経営形態は約半分が公立であり、その大半が市立」だと述べています。
 横浜市はそのあり方懇の提言、「横浜市立動物園の改革にむけて」を基に公園の改革整備を進めているとのことですが、その基本となる市としての基本戦略を形に出来ておりません。現場ではそれぞれが協議したり、個々の努力を重ね、入園者が大きく増加するなど改善が図られているようですが、どこに向かってどのように構築し、今どの段階なのかが、はっきりしません。
 そこで伺いますが、横浜市はなぜ提言で述べている「動物園の基本戦略」を持てないのですか、その理由を市長に伺います。
 また、あり方懇では横浜市立動物園の現状評価では、「施設の規模と質、職員の能力と意欲、入園者実績に照らし現状は他都市に比べ、全く遜色がないといえる」と、評価する一方で、「せっかくの施設と人材を活用しきれてないことも問題。特に集客・マーケティングに関しては予算、人員体制が極めて弱体である。現状のままではせっかくの価値を市民に理解されないまま、集客減と過少投資の悪循環に陥る」と厳しく批判し、過少投資の打開と投資戦略の見直しを急務としています。しかしあり方懇以降2年が経った中で、体制的には環境創造局に動物園課が設置され、若干の改善がされたものの、予算についても、現場の人員配置も増加したとはいえず、提言のいう打開方向は施策にほとんど反映されておりません。なぜ反映させないのか、市長にうかがいます。
 北海道、旭川市立旭山動物園の集客努力とその改善、そして入園者数が大きく広がっている事はあまりにも有名です。旭山動物園について、あり方懇の提言では、「こまめで継続的な投資、さらにそれを広く外に発信し、戦略的な集客努力を展開している」「97年以降大規模な投資を継続し、2003年度まで約10億円程度の累積」だと述べています。旭川市は人口36万人、2007年度の一般会計予算は1481億円だと聞いています。横浜市の約10分の1の規模です。旭川市の動物園事業は13億3000万円、横浜市の動物園費は14億6000万円で、行政規模が10倍なのに、動物園費は旭川市とほぼ同額です。単純にスライドできませんが、ここからその教訓を謙虚に学ぶべきであります。
 横浜市の動物園改革は、本来求められるべき動物園の4つの機能を総合的にとらえて改革を進めるという戦略ではなく、指定管理者制度の導入などスリムな経営形態の追求が突出しているように思えてなりません。
  横浜市は人も金もかけないで、動物園に本来求められる「娯楽」「種の保存」「教育」「調査・研究」の4つの機能・役割をどのように担おうとしておられるのか、市長に答弁を求め質問を終わります。

中田市長:最後に市第11号議案についてご質問いただきました。基本戦略についてでありますけれども、3動物園の経営の一体化をまずこれは進めていくということが動物園改革の一体化を図っていくという上でそれこそ基本であるというふうに考えて、現在も進めているところであります。今後の動物園改革の推進にあたっては、本市としましてはですね、指定管理者とそれぞれの役割の中で協力し合って、しっかりと戦略を持ちながら進めてまいりたいと思います。
 提言の趣旨を反映した予算や体制についてのご質問でありますけれども、提言の趣旨を踏まえて本市としての考え方に基づいて、動物園改革推進費など必要な予算措置などを講じてまいりました。市会でご決議をいただきながらこれを進めてきたことであります。
 どのように動物園の機能役割を果たそうとしているのかということでありますけれども、これからはお答えもいたしましたように、これまでも動物園改革の推進に必要な予算ということについては確保してきているわけで、動物の飼育・繁殖や来園者サービスの提供といったことなどを含めてですね、動物園の役割をはたしていくということについては一層の推進をしていきたいというふうに考えております。
 以上、ご答弁申し下げました。

動物園について第二質問を行いました

河治議員:第二質問にいきたいと思います。
  提言では、投資も人も打つことが大きく変える、これは旭山動物園から教訓を学ぶべきだ、こういうふうな思いでいるわけですが、そうした点の教訓が込められておりません。再度質問、求めます。

中田市長:具体的に申し上げますとですね、動物園改革推進費というは18年度は570万円の予算を組みました。19年度今年度でありますが、これは1857万円の予算を組みまして、すなわち昨年度に比べまして3倍以上の計上をしております。この予算を用いてですね、動物園の一体化のための準備経費、それから改革アドバイザリー業務、動物園の魅力向上対策、3園連携による集客向上経費、こういったものなどをまかなって、まさにこれから先、動物園の今後についてですね、しっかりと戦略をもってやっていこうと。そしてまたそれに対して予算を講じていく、これが戦略であります。


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