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■「都市整備局」 白井まさ子議員(2012.2.28)

貴重な自然の上郷に東急建設による都市計画提案

白井議員:日本共産党を代表して質問します。
 まず、上郷開発に係る都市計画提案制度の事前相談についてです。
 栄区上郷町に宅地開発を予定している大手開発事業者の東急建設が、先月1月13日、都市計画提案制度に基づいて都市整備局へ事前相談書を提出しており、来月には局長名でその助言書が交付される予定と聞いています。この事前相談書の提出に先立って、窓口へ相談があったのは昨年春ということですから、かれこれ1年間局として対応してこられて、もうすぐその局の手を離れると承知しています。この都市計画提案制度の事前相談に応じる局の基本的スタンスはどこにあるのか、伺います。

中田都市整備局長:提案に先立ちまして、相談および助言を行うことによる都市計画提案に対する可否の評価等を円滑に進める、このことを目的といたしまして、事前相談を行っております。

白井議員:都市計画提案制度というのは、地域住民ならではのアイデアを生かしたまちづくりの実現を目指すものです。事前相談の本来の趣旨というのは、地元の地権者など技術的なノウハウを持たない善意の市民に対して事前に相談して下さいというもので、そもそもこの開発事業というのは、2008年に都市計画審議会で却下された案件で、市民はこれでこの計画は頓挫して、貴重な自然が守られると安心したものです。一度頓挫したものを再提案することは、都市計画法の趣旨の逸脱で、関係住民の気持ちを逆なでするものと思うわけです。こういう提案に計画実施を前提として技術的に助言するということですけれども、こういうことは結果として計画が首尾よく行くように手助けすること、便宜を図ることになると思うんですけれども、見解を伺いたいと思います。

中田都市整備局長:都市計画提案に関します評価の指針に照らして、都市計画提案に必要な記載事項に過不足はないか、過不足がないようにするために助言を行うものでございまして、提案予定者に便宜を図るということにはあたらないというふうに思っております。

ノウハウもった開発業者の相談にマンパワー投ずるほど余裕あるのか

白井議員:それでは、この約1年間どのくらいの職員の数そして時間で業務を進めてこられたのでしょうか。これちょっと数字で都市づくり部長に伺います。

齋藤都市づくり部長:事前相談業務はその内容に係る複数の区局の関係者、関係課で提案予定者と個別に事前相談を行っています。職員数ですとか時間を把握することは困難でございます。

白井議員:複数ということなんですけれども、部長で、庁内のどれ位の部署が関わっているのでしょうか。

齋藤都市づくり部長:今の段階で12の区局、36課にわたります。

白井議員:たいへんな数のところが関係されているということなんですけれども、局長に伺うんですけれども、その十分な体力があって、技術的ノウハウも持ち合わせている開発事業者に、技術的な助言をすること自体が、公平、公正さを欠くと思うんですね。またそこにマンパワーを投ずるほど、局の職員体制に余裕はないはずだと思うんです。この事前相談は、住民発意でまちづくりを進めようという善意の市民に限定すべきと考えるんですが、見解を伺います。

中田都市整備局長:事前相談の趣旨からいたしまして、提案予定者が法人か個人かということの違いによってその取扱いを変えることはございません。

地震に備えて密集住宅市街地の防災対策急げ

白井議員:では次に移ります。「いえ・みち まち」改善事業についてです。
 密集住宅市街地のその防災対策として、国の指定を受けて8年前にスタートした事業でありながら、住民合意の協議会ができているのは660ヘクタールのうち、3割にとどまっています。首都直下型地震の発生率が70%とも言われて、またその切迫性が高まっております。そして、東京湾北部地震では震度6から震度7にアップされました。この事業の重要性と共に、市民の防災への意識も格段に高まってきました。今だからこそ、一気に進めるチャンスだと思うんですね。まだ協議会がない地域へはどのように働きかけているのですか。そして、その地域からは具体的にどのような意見がでているんでしょうか。ちょっとこれについては都市づくり部長に伺います。

齋藤都市づくり部長:先ほどもお答えをいたした部分と若干重複いたしますけれども、地域の実情に明るい区役所と一緒に、連合町内会それから単位町内会などに改めてお話をしているところであります。その中でいただいている意見ですけれども、協議会活動をしている地域を参考にして、防災まちづくり活動、自分のところでもやってみたいと、というご意見ですとか、一方で地域の合意形成に自信がないと、そんなご意見もいただいております。

白井議員:それでは局長に伺うんですけれども、その自信がないというところもあるようですけれども、消極的な地域に対しては、行政としては何が課題だと捉えているのでしょうか。

中田都市整備局長:この取り組みにつきましては地域の自発的な取り組みをはぐくみ発展させていただくということが趣旨でございますので、その中では活動の中心となる人材を発掘することが非常に難しいというふうに考えております。また、具体的な成果がすぐに見えにくいということとか、あるいは個人の資産に、道路の拡幅なんかにつきましては個人の資産に係るために、なかなか踏み込みづらいというようなことが課題だろうというふうに考えております。

局長自ら出向いて「いえ・みち まち事業」を進めよ

白井議員:事業が進んでいないことは重大な事態だと思うんですね。いま、課題言われたんですけれども、そのようなお答えではその重大認識というところがちょっと感じられないんですけれども、打開策、どう考えておられるのですか。

中田都市整備局長:やはり粘り強く地域に入って行って、その地域の方々の意識というものをきちんととらえて、きちんとした方向性を我々と共有して前に進めていくということが一番大切なことだろうと思っていますので、そういったような取り組みを区と連携しながら今後も継続的に続けていきたいというふうに考えております。

白井議員:対象地域に長年住んでいる住民に聞いたんですけれども、この地域が事業の対象になっているということを一度も聞いたことがない、長年ということ、まあこういう返事だったわけです。
 地域まちづくり推進条例、これに基づいて、住民協働の防災のまちづくりを推進するとされているんですけれども、行政の係り方として、あの住民発意とかその住民の合意を待つということでは限界が見えていると思うんですね。その打開のために、この事業のあり方そのものを見直す必要があると思うんです。話ありましたその地元の実情をつかんで、それから住民の意識の高まりに機敏に対応できるのは区役所で、午前の質疑の中でも副市長の方から区役所が大事だというお話もありましたので、対象となるのが8区ですから、区の職員体制の強化も含めて再検討を要望したいと思います。それから、最後にもう一度局長に姿勢を伺いたいと思うんですけれども、協議会ができていない地域には、局長ご自身出向いていただいて、その事業の重要性を伝えることも大事だと思うんですが、いかがでしょうか。

中田都市整備局長:私が出向いてそういうことをきちんとみなさんに伝えていくということも私の役割として重要なことだというふうに感じておりますので、機会があれば、そういうところにきちんと出かけていきたいというふうに思っております。