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■「消防局」 岩崎ひろし議員(2012.2.29)

大都市横浜の特性を踏まえた地震対策を

岩崎議員:まず質問に入る前に、消防局のみなさんが市民の安全を守るため、24時間365日尽力されていることにまず敬意を申し上げたいと思います。
 私の質問は、本市防災計画の見直しについて行います。
 はじめに、2月24日付け神奈川新聞に「東京湾の港湾対策 最大津波防護も視野」という記事が掲載されました。また、2月24日夜、NHK「首都圏スペシャル」で横浜駅周辺の地下街津波被害想定を報道しました。感想を伺います。

鈴木消防局長:神奈川新聞の報道につきましては、国土交通省は港湾関係者を交えて議論を行っている元禄型地震による津波のシミュレーション、こういうことで今後の動きを注視しております。また、NHKの報道における地下街の被害想定につきましては、発生頻度は極めて低いものの甚大な被害をもたらす最大クラスの被害として、県が想定いたしました慶長型地震による津波シミュレーションであるといふうに受け止めております。

岩崎議員:東日本大震災以降、国内各地で地震が活発化し、首都直下型地震の切迫性が言われています。大地震の切迫性に対する認識について伺います。

鈴木消防局長:文部科学省によりますと、南関東で発生するマグニチュード7クラスの地震、これは30年以内に70%の発生確率というふうに予想されています。横浜でいつ大地震が起きてもおかしくないというふうに認識しております。

岩崎議員:防災計画の見直しでは、新・現の地震被害想定の考え方の相違点を伺います。

鈴木消防局長:現行の防災計画では関東大地震の再来としての南関東地震とか、東海地震、横浜市直下型地震などを想定しております。今回の見直しにあたりましては、最大限の地震規模としまして、最新の知見を踏まえたマグニチュード7.9から8.1とエネルギーを従来の2倍程度と想定いたしました横浜直下型地震、あるいは東海、東南海、南海の三大連動地震、さらには先般報道になりましたが国が震源を従来よりも約10キロ浅く想定した東京湾北部地震、これらを検討しております。

岩崎議員:直下型も想定されているようですから、この切迫する首都圏直下型大地震の発生を想定して、質問を続けます。
 本市は、大都市として成熟して以降、大震災を経験していません。横浜市の現状に照らして、非常に心配をしています。
 そこで、関東大震災、阪神・淡路大震災、東日本大震災から、横浜が学ぶべき教訓を伺います。

鈴木消防局長:関東大地震では多くの負傷者が出た火災への対策、また阪神・淡路大震災では建物の倒壊によって多くの犠牲者が出たことから耐震性の確保あるいは避難所の確保、東日本大震災におきましては想定を上回る巨大な地震や津波への対応、これらがみられると思います。

岩崎議員:それでは、それぞれの大震災の発生のメカニズム、それからその相違点、伺います。

鈴木消防局長:関東大地震と東日本大震災は、マグニチュードが大きく、被害が広範囲となるプレート境界型の地震でございます。阪神・淡路大震災は、比較的震源が浅く、大きな被害が出る活断層による直下型の地震でございます。

岩崎議員:それでは、横浜市の防災計画は、横浜の特質、つまり横浜特有の自然および社会的条件を踏まえて作るっていうことになっています。そこで、本市の特質、つまり地盤や海岸線など自然条件、町並みや建物、人口などの社会的条件の認識を伺います。

鈴木消防局長:自然的条件といたしましては、内陸部は丘陵地や低地などからなっておりまして、海岸部の多くは埋立地で構成をされています。特に低地に分布する沖積層、これは非常に軟弱で、地震時には地震動を増幅したり、液状化現象、これを起こしたりいたします。
 社会的条件といたしましては、木造家屋の密集地、工場や事業所などが混在いたしまして、都心部では集客施設、高層の建物が集中しています。いずれにしても地震があれば甚大な被害をもたらすというふうに認識しております。

岩崎議員:いまあげられた特性といいますか特質をしっかり踏まえて対策立てるということは非常に大事だと思います。

海に囲まれた埋立地の横浜駅周辺と地下街の地震対策は

 そこで、横浜駅周辺の問題点がいまのお答えの中にはなかったように思います。そこで私は、不特定多数の人々が利用する横浜駅及びその周辺地区の特有の問題がやっぱりあるというふうに思っています。この点の認識をまず伺います。

鈴木消防局長:横浜駅及びその周辺地区の自然的な条件でございますけれども、川に囲まれた低地で、埋立で整備されておりまして、地震の揺れが大きくなりやすいなどの特徴がございます。また、社会的条件としましては、1日あたり約200万人が乗降する横浜駅を中心に、地下街ですとか商業施設などの都市機能が集積しているという特徴がございます。

岩崎議員:川で囲まれているというふうにいわれましたけど、あそこは、元々埋立地で、川の状態になってますけど、あれは東京湾の水面と同じ高さの水面をもった川ですから、海に囲まれているというふうに認識すべきだというふうに私は思っています。
 続いて、横浜駅周辺地下街について伺っていきたいと思います。まず、本市の防災計画で、地下街はどう位置づけられていますか。

鈴木消防局長:防災計画の風水害対策編でございますけども、護岸の崩壊等による浸水が予測される場合を想定いたしまして、事業者等の避難確保計画を策定しておくことや、スピーカーを活用した避難等に関する広報などの実施について規定をしております。また、震災対策編には、特に地下街を想定した対策の記載はございません。

岩崎議員:大変大事なお答えだったと思います。この震災対策編には地下街を要するに特別に位置付ける記述がないってことなんですよね。だから、これは非常に重要な問題だと思います。
 そこで、私は、実は昨日ですね、横浜駅周辺と地下街を半日かけて調査をしてきました。地下街は、大勢の人が平穏に往来していました。
 NHKのシミュレーションが、先ほどのお話にもありましたように、非常に衝撃的なものでした。その映像を見ましたし、現場を調査して、私の危機意識は一層強くなりました。
 横浜駅周辺の地区、そしてその地下街っていうのは、例えていいますと「海の中をコンクリートの壁で囲って、その中に大きな街を造った」と、こういう構造になっているわけです。別の言い方をしますと、コンクリートで造った巨大な船の底で、大勢の人が活動しているというのが横浜駅周辺の姿です。
 そこで、この地下街の津波対策について伺います。
 現防災計画で、地下街の津波被害を想定しているのか、先ほどは地震想定するものではなかったんで、たぶん答えはわかっているんですけど。

鈴木消防局長:現行の防災計画では、地震による津波の高さは1メートル未満を想定しておりますので、沿岸には大きな被害はないというふうに考えております。

岩崎議員:地下街に、横浜市がいま設置を急いでいる海抜標示ですね、ここは海抜何メートルですていう標示、あちこちにいまつけ始めましたけど、これ地下街についています。

鈴木消防局長:横浜駅周辺に約300か所つけてございますけども、地下街については設置をしておりません。

岩崎議員:ついていないと。地下街はいっさいついていませんでした。
 大地震発生時、地下街滞在者全員に、事態を緊急伝達できる警報システムの有無はどうですか。

鈴木消防局長:全体に同時にそういうふうな警報を伝達するっていうシステムはございません。

岩崎議員:次に、ちょっとしつこいようですけど、地下街の立地状況について伺います。地下街と海水面のレベルの状況を伺います。

鈴木消防局長:横浜駅周辺の地下街でございますけども、海面より下というふうな状況になっております。

岩崎議員:横浜駅周辺で一番深いところはみなとみらい線のホームのあるところが地下4階ですから、何十メートルという規模になります。そういう東京湾の水面下に街があるというのが横浜駅の地下街です。
 そこで、続いて伺いますが、自由通路、北側の自由通路ですね、その自由通路の西側出口付近、それから県民サポートセンター付近のその護岸と地下街との関係、どういう状態になっているかということをちょっとわかったら教えてください。

鈴木消防局長:ご指摘の箇所、護岸、一部土嚢積みがされている状況になっております。

岩崎議員:私は昨日行って本当に、ちょっと肝を冷やしたんですけど。西口の出口のところのあたりは、1メートルほど護岸がずれているんです。そこに土が見えているわけですね。そこに土嚢で防護しているわけです。だから、震度いくつとかっていうレベルの話じゃなくて、水が上がったら間違いなく決壊すると。そこは出口に直結しているわけですよ。だから地下街に水がどっと流れ込む可能性は否定できない状態に今なっています。
 それから、県民サポートセンター付近はどうなっているかというと、護岸と地下街を作っているビルの壁との全部を合計しても5メートルちょっとないんじゃないかなという厚みしかありません。
 そういう状態です。だから津波の対策も大事ですけど、もうひとつは直下型地震ですから強烈な衝撃がくるわけですね。その擁壁になっているコンクリート壁がどこかでやぶれたら、津波と同じことが現実に起こるということなんです。そのことを念頭に置いておく必要があるということを指摘しておきます。
 そこで、ちょっとこれから市長の判断もいると思うので、副市長に何点か聞きますけど、お願いも含めて。

地下街対策として津波シミュレーションビデオを作り、危険性の啓発を

 市長の責任で、横浜駅及び地下街を含む周辺地区の詳細な実地調査、検証を行うことを要求したいと思うんですけど、どうでしょうか。

大場副市長:現行の地震被害想定では津波高は1.0メートル未満というふうな想定をしております。地下街だけを特定しての被害想定は実施をしていない状況であります。23、24年度の2か年で見直す新たな地震被害想定調査の中で、いまお話のあった地下街の被害についても検討していく必要があると感じております。

岩崎議員:二つ目は、防災計画に地下街対策が震災対策編に入ってないんですよね。これはやっぱりまずいので、ぜひ地下街対策の章を起こしてほしいと、でその章の中には、いま平塚市とか東京都が津波のシミュレーションを作って、それでわが町はこういう状態になるよっていうのを映像で見せる工夫しているんですよ。これは、このあいだのNHKのニュース報道でも非常によくわかったんだけど、いま自分はどうすべきかということがよくわかるのはやっぱり映像だと思うんですよ。いくら口でいってもなかなか分からないと思うんです。だから、そういう映像の伝達手段もそのなかには盛り込んで、できるだけわかりやすくこの編を作ってほしいというふうに思うんですが、どうでしょう。

大場副市長:大地震の際の津波からの避難対策の充実強化ということについて、防災計画修正をする中で対応していきたいというふうに考えております。

岩崎議員:横浜駅周辺地下街が、海水面下にあると、災害時に速やかに地上に脱出する必要がある地域だということですね。大変危険な地域だといくことを市民に周知する必要あると思うんですよ。先ほど聞いたように、海抜標示もないという状況ですよね。これだとやっぱりそういう危機感は絶対生まれません。すごく平和な顔してみな歩いていますから。そうじゃなくて、いま居るとこは危ない所なんだと、地震が起こったらすぐに対応しないといけないんだということを市民に知ってもらう必要あると思うんですよね。そういう点で、海抜標示は即刻つけるという方向を検討してほしいんですけど、これどうですか。

大場副市長:地下街は当然のことながら海面よりも低い場所でありますので、まずは安全な高い場所へ避難をしていただくことが一番これ大事なことであります。来場者のみなさんに迅速に安全な場所へ避難をしていただくということで、事業者のみなさんとも協力をして、ぜひ啓発にしっかりと努めていきたいと思います。

防災計画に啓発、訓練のしっかりとした位置づけを

岩崎議員:地下街対策は以上で、あともう時間がありませんので、時間が許す限りで、啓発、訓練、非常に大事だと思うんですね。減災を一つのテーマに取り組んでいるわけですから、やっぱり「自分の身は自分で守る」というこの大原則をすべての市民が身につけるように、そのためには相当がんばって本市は手をうたないといけないと思うんです。この啓発訓練というものの位置づけを防災計画の見直しのなかでも高くしてほしいということについて、この点はどうでしょうか。

鈴木消防局長:防災計画では、災害に強い人づくり、それから災害に強い地域づくりに向け、啓発訓練に取り組むことになっておりますので、これ、しっかり取り組みたいと思います。