議会での質問・討論(詳細)
2012年3月6日

■「政策局」 古谷やすひこ議員(2012.3.6)

なぜ今、大都市制度の議論なのか

古谷議員:日本共産党、古谷やすひこでございます。どうぞよろしくお願い致します。
 まず、大都市制度について伺います。今回の予算議会の中でも、従来の体制以上に担当課長を増やしたり、なぜ今、本市が大都市制度の議論を進めようとしているのか、あらためて伺います。

浜野政策局長:現在の指定都市制度は、本市のような大都市であっても、市町村という一律の枠組みの中で、権限を一部特例的に与えられているに過ぎません。権限に見合う財源措置もなされていないという状況でございます。本市は県から独立し、その能力にふさわしい役割を担うことで、結果として市民サービスの向上や経済活性化を図ることができると考えており、新たな大都市制度の実現を目指しております。

古谷議員:それでは、いま本市が進めようとしている特別自治市なんですが、それを実現することによって市民生活はどう変わるのか、伺います。

國原大都市制度推進室長:特別市を実現しまして、県から権限と財源が移譲されることによりまして、市民のみなさまが日常必要とする福祉や医療などのサービスを充実させることができます。たとえば、職業紹介などの県が行っているサービスと、本市が行っている就労支援を身近な区役所で一体的に行うことで、よりきめ細かく、総合的な住民サービスを提供することができると考えております。

古谷議員:今、大都市制度を議論している中で、私は3つ論点があるというふうに考えています。一つは、都市間競争に勝ち抜いて、本市が経済成長をどう遂げていくのかという点。二つ目は、財政状況が厳しい中で行政効率を上げるために、いわゆる二重行政を解消しようという点。三つ目は、大きくなりすぎた都市の内部での分権をどう進めていくのかと、こういう点があるのかなというふうに感じています。
 これらどれも大事な論点だと思います。しかし、それらの問題をひとくくりにして、大都市制度と、あるいは特別自治市の問題だとして、これらが実現すれば問題が解決するというのはなかなか難しいのかなというふうに感じています。
 そこで、お聞きします。本市が目指す特別自治市を実現された場合に、本市の経済成長にはつながりますでしょうか、見解を伺います。

國原大都市制度推進室長:22年5月の新たな大都市制度創設の基本的な考え方、これを策定する時に、民間のシンクタンクに試算を依頼しました。その結果ですけども、本市に新たに大都市制度を創設しまして、権限と財源を移譲され、たとえば仕事と家庭の両立支援や、高齢者・若者就労支援、こういったことを充実を行った場合、その経済効果は約4.3兆円に達するというふうな試算でございました。

古谷議員:はい、ありがとうございます。

県と市の役割の検討も必要

 次に、二重行政の解消という点で、少し具体的に伺いたいと思います。図書館についてなんですが、紅葉ケ丘にある県立図書館あると思うんですが、それと日の出町駅近くにある市立図書館があると思います。県単位でみれば大変近接しているというふうにみえるんですが、これについて、県立図書館と市立図書館のそれぞれの役割、同じでしょうか、違いますでしょうか、見解、伺います。

國原大都市制度推進室長:県立図書館は市立図書館とも図書館法という法律に基づきまして、条例で定める公立図書館としての位置づけであります。本市のような大都市におきましては、役割について県と大きな相違はないものというふうに考えております。

古谷議員:実は、こういった議論がいま、県議会の方でもされていまして、昨年の12月の県議会の中で、県の教育長がこう答えているんです。市立の図書館は一般に身近な図書あるいは収集し、住民のニーズに応えていると。一方、県立の図書館は、そういった直接貸し出すことに加えまして、専門的な図書を収集・提供することによって、市町村立図書館の支援も行っていると。また、そういった市立図書館の研修等も行うといったいろんなシステムを加えているといった回答を得ています。そこらへんのところで、一般的に県立市立というところで、図書館というひとくくりで考えるというのは、なかなか役割も検討していただきたいというふうに思っています。

教育行政のねじれ解消など先送りせずあらゆる努力を

 次に、教育行政についてですが、いま教員の任命権者と給与負担者が違うことについては、私も解消すべき課題だというふうに感じています。そこで、この教育行政のねじれともいえるこの問題を解消するために、今まで県に対して本市がどう取り組んできたのか、伺います。

國原大都市制度推進室長:いわゆる教育行政のねじれについてですけれども、これまでも神奈川県と意見交換をしてきました。その結果としまして、22年3月になりますけども、神奈川県教育委員会、それと横浜市および川崎市教育委員会、3者連名でねじれの解消のため、内閣総理大臣などへ、指定都市にかかわる県費負担教職員制度の見直しに関する要望書を提出したところでございます。

古谷議員:ちょっと確認なんですが、県とは歩調があっているということでけっこうですか。

國原大都市制度推進室長:教育委員会の連名ということで、教育サイドとしてはやはりねじれは解消すべきということで一致しているということで考えております。ちょっと他局のことなんで、いいきれるかどうかちょっとありますけれども。

古谷議員:こういうふうに、少し具体的に考えていくと、大都市制度という枠組みで検討すべきものもあると感じます。また、そうして現行制度の枠組みの中で、課題も解消すべきものも様々あるというふうに感じています。本当に、いまの市民のみなさんが望む実際のあり方を論じていく、その中で具体的に改善を阻んでいるものであれば、先送りせずにあらゆる努力をして解決すべきだと考えます。そこで、現行の制度の枠内でも、市民にとって実(じつ)をとるように解決を図るべき課題もあるというように感じますが、見解を伺います。

國原大都市制度推進室長:実際、これまでも県の方から事務処理特例制度を使いまして県への移譲を進めております。ただ、この制度におきましては、十分な財源がいただけてないということが課題となっております。また、大都市は事務配分の特例によりまして、本市は県に変わって多くの事務を行っておりますけれども、国の現行制度におきましては年間約300億円以上の財源措置が不足しております。こういうことで制度改正はぜひとも必要だというふうに考えております。

古谷議員:はい、ありがとうございます。
 ところで、二重行政の問題っていうのは、県と市ということだろう思うんですが、そういった非効率な部分について解消しなければいけない課題というのは、実は政令市はもちろん大きいんですが、政令市だけの課題とはいいきれずに、一般市でも当てはまるものいくつかあるというふうに思います。そこで、政令指定都市以外で県内市町村と一緒に、県との二重行政解消に向けて、本市で取り組まれてきた努力について、伺います。

國原大都市制度推進室長:本市の政令指定都市は、大都市特例によりまして県の権限の一部を特例的に与えられているために、二重行政が発生しています。そういった特例のない市におきましては、二重行政は本市ほど顕著には生じてないものというふうに考えております。ただ、特例市各市ありますので、そこは県の事務一部いただいているので、そういう部分あるかと思います。そういった意味で、直接の二重行政に関しての話を県内の各市とはあまり議論したことはないんですけども、逆に市の市長会の要望といたしまして、大都市制度の創設、新たな大都市制度、我々が目指すものは必要だということで、市長会として国に対して要望しております。

古谷議員:いまなぜそれを聞いたかっていうと、先ほどの12月の県議会の議論の中では、いま横浜市が大都市の制度を議論しているっていうことが、横浜市が神奈川県から独立するといった議論がされているようですがみたいなかたちで議論をされています。そういったことなので、ぜひこういったところでまわりの一般市等も含めて、こういった問題を、いまの自治制度の問題について議論していくっていうこと、問題を共有していくということが大事かなというふうに思っています。

市民への周知、市民参加で大都市制度の議論を

 続けて、都市内分権・住民自治の強化という課題なんですが、これも大変重要な視点だというふうに思っていて、大都市制度という枠組みだけに置いておく課題ではなくて、法改正なくとも今の時点でやれることをやるということと、各局が住民自治の視点をもって業務改善を進めるべきことも、いまの時点でも必要じゃないかというふうに考えますが、見解を伺います。

國原大都市制度推進室長:ご指摘のように、本市はやはりそういう視点からかねてからより身近な課題に柔軟に対応できますように、区への分権や区役所の機能強化を、他の政令都市よりもかなり積極的に進めてきたところでございます。

古谷議員:いま大都市制度について、これだけ本市がいま進めようというところなんですが、市民目線で一方では考えると、ほとんど周知されていないんじゃないかなというふうに感じるんですが、市民はほとんど知らないまま、このまま進められようとしているというふうに、ちょっと私は感じているんですが、いまの時点で本市が進めようとしている大都市制度について、市民が理解されていると思いますか。見解を伺います。

國原大都市制度推進室長:実際まだまだ不十分だというふうに意識しておりますし、大都市制度特別委員会の方でも今後積極的に進めるようにというご指摘をいただいております。

古谷議員:はい、ぜひ周知の方はぜひ進めていただきたいと思います。
 私は、この大都市制度のことについて論議すべきことっていうのは、ぜひやっていくべきだというふうに感じています。しかしその際に、議論の方向性として、日本の自治制度の大枠を変えていくということで、大きな構えの議論をぜひ進めていく必要があるんじゃないかというふうに思っています。また、現状の不合理な制度については具体的に解消を図るべきだというふうに思います。しかし、単に行政効率だけを追求して市民サービスを後退させるようなことは認められないというふうに主張しておきます。
 議論を進める際にも、今のように、一見政令市の覇権争いのようになって、空中戦の議論をするだけではなくて、十分に市民への周知、そして市民参加の視点をもって取り組んでいくべきと指摘して、次の質問に移ります。

基地担当理事“市内米軍基地がまちづくりに悪影響”

古谷議員:次に、米軍基地の問題についてです。
 まず、本市の米軍基地および関連施設についての基本的な姿勢を伺いたいと思います。本市がいま米軍に土地を摂収されているということについて、今まで本市についてどんな影響がありましたか。伺います。

三好基地担当理事:本市は戦後、港湾施設や中心市街地の広範囲が摂収されたことによりまして、戦後の復興・再建は他都市にくらべて遅れました。現在におきましても、市民生活をはじめ、道路等の都市基盤施設の整備や計画的な土地利用を阻害するなど、まちづくりに影響が出ているというふうに受け止めております。

古谷議員:続けて、本市の基本的な米軍基地問題での対応のスタンスというのは、全面返還を求めるということで間違いありませんか、伺います。

三好基地担当理事:米軍施設は、日米安全保障条約および日米地位協定の目的のために必要でなくなった時には無条件で返還されるというふうに考えております。基地の返還は市民共通の念願でありまして、市政の重要課題としまして、市民、市会、行政が一体となりまして、市内米軍基地の早期全面返還、これを国に求めております。

古谷議員:はい、ありがとうございます。

根岸米軍住宅に空き家激増、池子米軍住宅建設計画の見直しを

 次に、池子について伺います。先ほどの基地の全面返還という方針と、池子の米軍住宅建設は一見矛盾しているように思えますが、見解を伺います。

三好基地担当理事:米軍の施設の返還と池子での住宅建設に対する考えでございますけども、米軍施設の返還、これは先ほども申し上げましたが、日米安全保障条約および地位協定、これの目的で、必要でなくなったときには無条件で返していただくということでありまして、住宅の建設とは切り離して、返還の環境が整ったものから逐次返還すべきというふうに本市は国に訴えております。しかし、国は一方で、住宅の建設と施設の返還につきましては一連の案件でありまして、一括して処理すべきというふうな考えを傍らに持っております。こういった一連の経緯を踏まえ、本市としましては、平成16年9月に発表いたしました市内米軍施設に係る第3回施設調整部会の協議結果に対する本市の考え方で示したとおり、横浜市域での住宅等の建設、施設の返還にかかる具体的協議に応じるという基本的な姿勢をとってまいりましたし、今後もこの対応方針に基づきまして引き続き国の動向を見極めながら適切に対応してまいります。

古谷議員:では、確認なんですが、2月9日に開催された基地対策特別委員会、この中で、議事録の中で、三好理事が「この385戸ということについては日米間で合意された数字であるので、ほぼ妥当な数字だろうと思います」と発言をされております。この「妥当な数字」という意味について、どういう意味なのか、伺います。

三好基地担当理事:平成22年8月に開催されました日米合同委員会第5回施設調整部会におきまして、池子住宅地区における住宅の建設戸数におきましては、当面の措置としまして根岸住宅の移設分約400戸程度とすることで、日米間の認識が一致しました。その後23年3月に国から提出されました基本配置計画案では、具体的に385戸を建設する計画であることが明らかにされました。以前から根岸住宅地区の既存の住宅戸数は385戸でございまして、これらは国から聞いておりますが、池子住宅地区に建設される住宅の戸数が根岸住宅地区の移設分に相当するのであるということが確認できた、つまりこの基本配置計画の385戸はいま根岸住宅にあります385と同じものであると、そういう意味を申し上げたことであります。

古谷議員:3・11以降、多くの状況が大変変わったということから、根岸住宅で空き家が激増しているというふうにきいています。そういった理由を国にぜひ求めることと、また政府とアメリカで戸数や付帯施設についての再協議をするように本市からもぜひ積極的に働きかけるべきと思いますが、副市長の見解を伺います。

小松崎副市長:これまで横浜市は市内の米軍施設のことにつきまして、状況の変化等があるたびに国や米軍に様々なかたちで働きかけてきたところでございますので、いまご指摘ございましたけども、いろいろな状況の変化に応じて私どもとしては適切に判断をしていろんな働きかけをこれからも繰り返していきたいと、そのように思っているところでございます。

古谷議員:終わります。


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