議会での質問・討論(詳細)
2012年3月23日

■「請願に対する討論」 白井まさ子議員(2012.03.23)

 私は日本共産党を代表して、7件の請願不採択に反対し討論を行います。

保育に行政が責任を持たない子ども・子育て新システムには反対を

 初めに、請願第59号は、国に対し、子ども・子育て新システムについて拙速な導入はせずに、関係者との協議を十分行うことを求める意見書を提出してほしいというものです。
 新システムの最大の問題点は、児童福祉法を改悪し、保育を国と地方自治体の責任による保障から、保護者の自己責任に変えてしまうことです。現行制度では市町村が保育実施の義務を負い、待機児童を把握して年度途中でも入所を決めているのに対し、「新システム」では市町村は保育費用の一部を給付するだけで、保護者が自分で保育所などを探して直接契約を結ぶことになり、待機児童に対する市町村の責任が後退します。これについて、3月16日の参議院予算委員会で日本共産党の田村智子議員が、「待機児童の人数をつかんで保育がなされるところまで市町村が義務を負うと法律に明記するのか」と質問したところ、小宮山厚生労働大臣は「人数をつかむとは書かない、ニーズをつかむ」と答弁し、不安が的中しました。幼稚園と保育園を一体化した総合子ども園が新設されることで待機児童が解消すると宣伝されていますが、待機児童の8割以上を占める3歳未満児童の受け入れを義務付けておらず、かけ声倒れになっています。新システムは保育所待機児童解消に逆行します。
 その上に、総合子ども園には営利企業がより参入しやすくなり、企業都合でいつでも撤退が可能となります。本市の例でも、身勝手な企業都合で年度途中に2つの園を閉園し、子どもや保護者に不安を与え、混乱をきたした園もあったことからも、もうけ優先で、子どもが犠牲になることが心配されます。また、保護者から教材費などの実費徴収が解禁となり、自治体が認定した利用時間を越えれば、その分、負担が加算される恐れもあります。新システムは保護者が願う保育・子育て支援充実の方向とはかけ離れています。
 これまで全国32都道府県議会、230を超える市町村議会から撤回や慎重審議を求める意見書が提出されています。北海道議会は昨年12月、新システムに実質的に反対する意見書を民主党議員も含めて全会一致で可決しました。本議会においても、子どもの健やかな育ちと安心して子育てできる社会を願う立場から、同様の態度をとろうではありませんか。

子育て世代に負担を強いる保育料値上げは子育て支援の充実に逆行

 次に、請願第60号は、本市の認可保育所保育料値上げ反対を求めるものです。また、請願第66号は、教育費の父母負担を軽減し、行き届いた教育を進めるために条件整備を求めるものです。
 保育園に子どもを預けて働く人の多くは30代です。他の年代よりも収入が減少し、負担増加が生活に重くのしかかっており、苦境が際立っているといわれています。子どもが学齢期になれば、教育費の負担も大変です。保護者や市民の切実な要求を不採択にすることは、子育て支援・教育の充実に逆行するものです。

公的年金の引き下げは高齢者に冷たい仕打ち

 次に、請願第65号は、国に対し、公的年金の特例水準解消、2.5%削減は行わないよう、意見書提出を求めるものです。
 過去の物価下落時に年金額を据え置いたことに伴う特例水準等を解消すると称して、公的年金額が今後3年で2.5%引き下げられようとしています。この特例は、もともと高齢者へ生活や景気への配慮から行われたものです。現在、国民年金、基礎年金は平均月5万円で、女性は4万円台です。満額でも6万6000円で、もらいすぎではなく、少なすぎです。年金への課税は格段に重くなり、医療保険料・介護保険料も改定のたびに値上げです。しかも年金額の引き下げは、東日本大震災の被災地の高齢者も含めて対象になるもので、冷たい仕打ちはやめるべきです。

一般会計からも繰り入れて介護保険料引き上げを抑えよ

 次に、請願第58号は、介護保険料引き上げ中止を求めるものです。
 65歳以上の介護保険料は2012年度から3年間の第5期介護保険事業計画期間において、基準月額を4500円から5000円への引き上げが予定されています。年間保険料は6万円となります。県下では川崎市に次いで2番目に高額です。年金支給額は特例水準の解消、物価スライドを口実に過去最大の削減です。この4月から後期高齢者医療制度の保険料に加えて介護保険料の値上げでは、年金暮らしの高齢者はたまったものではありません。
 今回、介護保険料引き上げを抑制するために、県の財政安定化基金の取り崩しと市の介護保険給付費準備基金全額の繰り入れ、保険料区分の現行11段階を13段階に増やすなど行われましたが、結果として500円もの引き上げです。
 介護職員の処遇改善を引き続き行う必要がありますが、国はそのための「処遇改善交付金」約1400億円を廃止し、その分を介護報酬に加算しました。介護報酬が上がると、介護保険料にはね返るしくみになっているため、今回の全国的な保険料値上げの要因にもなっています。国だけが責任を大きく後退させ、国民と地方自治体に肩代わりさせるものです。国が新たな公費負担を設けるとともに、介護保険は自治事務ですから、市の一般会計からの繰り入れも行い、介護保険料引き上げを抑制すべきです。

被災地がれきの広域処理は国が責任もった方策を

 最後に、請願第56号は、被災地がれきの焼却・埋め立てなどの受け入れを拒否することと並行し、被災地がれきの現地処分の積極的支援を進めることを求めるもので、請願第57号は、放射能対策として予防原則の立場に立ち対応することを求めるものです。
 東日本大震災により膨大な災害がれきが発生し、岩手県で約476万トン、宮城県で約1569万トンとなっています。速やかに処理することは被災地の復興にとって重要な課題ですが、ほとんど進んでいない状況にあります。それは、政府ががれきに放射性物質が含まれることへの対策を真剣に行っていないことが要因の一つになっているからです。
 がれきの焼却に伴う放射性物質の濃縮、排気による放射性物質の拡散、飛灰の処理方法、焼却灰の処分場での放射線量などへの懸念や不安に対し国は責任をもった対応をしていません。また、下水汚泥焼却灰の最終処分方法も定まっていない中で、広域処理について市民的合意が得られないのも当然です。
 国が責任ある対応を示していない中では、請願の趣旨に沿った採択が市民の願いと一致すると考えます。

 以上、7件の請願不採択に反対し、討論を終わります。 


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