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【2008年第1回定例会】「現年度議案関連質問」 関美恵子議員

 実際には、質問と市長答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。

関議員:私は、日本共産党を代表し、5件の議案について市長及び交通局長に質問いたします。

パーティー券購入者の全体を明らかにすべし

 はじめに、市第121号議案は、市長の政治団体が開いた政治資金パーティーに職員が関与していた問題で、一昨年の政治資金規正法違反事件にならい、自らの給与を3か月間5割減額するというものです。
 市長は、1月25日の臨時記者会見と市長名での職員通知で、自らの政治資金パーティーのことなので、政治家として責任を明らかにし、自ら厳しい処分を考えたと述べていますが、消防団員のパーティーの出席要請について市長自身の関与は言及されていません。市長自身の関与はなかったのか、明確にお答えください。
 また、「横浜を発展させる集い」には消防団以外の様々な団体の方々が参加しており、市長は「今のところ、疑念を生ずるようなことがない」として、調査する考えはないと述べていますが、市民からすればそれを証明するものは何も示されていません。調査対象を広げ、改めて調査し、パーティー券購入者の全体を明らかにすべきと思いますが、伺います。

中田市長:お答え申し上げます。
 まず、市第121号議案についてのご質問でありますが、まず消防団員が「横浜を発展させる集い」に参加したことについてでありますけれども、今回の件に関しましては、とにかく包み隠さず出来る限り詳細に事実を調査する、そして正直に発表するということをひたすら指示をして、その通りに関係職員には遂行してもらいました。何よりもそれが自らの責任であると、こう考えたからであります。その結果が昨年12月25日に発表いたしました調査報告書でありまして、その報告書の通り事実関係を明らかにいたしたところであります。
 なお、私から消防団に対し集いに参加していただくというようなことについて働きかけたという事実は一切ございません。
 消防職員、消防団員以外に対する調査についてでありますけれども、具体的に公務員としての地位を利用して参加を求めるといったことなど、法令に触れることが疑われるような事実がない中においては、考えてはおりません。なお、個人としての思想・信条に基づいて、政治資金パーティーに参加するということには、これは法令に触れるものではありません。

環境破壊の高速道路建設は見直すべき

関議員:次に、市第134号135号議案2件についてです。
 134号は、高速横浜環状道路北線の生麦ジャンクションの工事変更について国土交通大臣の許可を得るに当たり、必要な本市の同意を求めるものです。
 首都高の民営化により、2006年以降の事業費が4170億円から3540億円と縮減されたことで、横羽線との連結路整備や馬場ランプの整備に関わり、本市負担が膨らむ危険がありました。生麦ジャンクションの工事変更で本市負担はどうなるのか、伺います。
 主要幹線道路が集中している生麦地区は、大気汚染、騒音等に特別の配慮が必要です。住民の命と健康を守る立場で、高速道路による環境負荷に対し、どのような対策を事業者に求めているか、今後の課題は何か、合わせて伺います。
 関連街路岸谷生麦線のトンネル工事による地盤沈下をみて、本線トンネル工事での被害を住民が恐れるのは当然です。事業者まかせでなく、住民不安を解消するよう本市の積極的な対応が不可欠ですが、対応はどうか、伺います。
 昨年12月開通した中央環状新宿線では、窒素酸化物の除去処理施設として「低濃度脱硝装置」が設置されたと聞いています。北線においても、「設置を事業者に対し働きかけていく」との従来の立場をもう一歩すすめ、本市の住民に対する最低限の責任として、事業者から設置の確約をとる絶好のチャンスと思いますが、市長の決意を伺います。
 市第135号議案は、栄区庄戸3丁目4丁目の市有土地を処分するものです。2月2日に取り交わされた地質調査をめぐる住民と市の協議合意事項では、今後NATM工法とシールド工法と平行し、「神戸橋下越」案を検討するとしています。仮に「下越案」が採用された場合、40m以上深い地下では地上の権利は及ばないとする大深度法の適用が可能で、土地の所有権に関係なくトンネルを掘ることが出来ます。そうなると市有地の売却も必要なく、市民のための土地活用ができます。そこで、土地の売却はその検討会の結論がでるまで延期すべきと考えますが、伺います。
 これまで、南線整備は1990年の市議会での付帯意見、2005年の公共事業の事業評価監視委員会の付帯意見にもとづき、住民との合意を事業の大前提として進められてきました。検討会の結論前の売却はこの大前提を否定するものと思いますが、伺います。
 今、道路特定財源や「暫定税率」が国会で問題になっています。福田内閣が継続を主張する根拠の「道路中期計画」は1万4千キロの高速道路建設も含まれ、その必要性と採算性が小泉内閣で大問題になり、「白紙に戻す」と表明せざるを得なかったものです。また、昨年3月には環境省が渋滞を理由にした道路整備が新たな交通量の増加を招くとする報告書もまとめています。市長は「CO―DO30」の推進をかかげるなかで環境破壊の高速道路建設は見直すべきと考えますが、伺います。

中田市長:次に市第134号議案及び市第135号議案について、ご質問をいただきました。
 生麦ジャンクションの変更による本市負担についてでありますけれども、変更前の事業費は用地費のみ計上いたしまして、横羽線との連絡路の工事費を計上しておりませんでした。今回生麦ジャンクションのコンパクト化によりまして用地費の大幅縮減が図られて、これを計上していない連結路の工事費に充てるということが可能となりました。このことによって事業費の変更がないため、本市の負担は変わりはございません。
 横浜環状北線における環境対策についてでありますけれども、本事業の環境影響評価の予測結果から、鶴見区生麦1丁目においても環境保全目標が達成をされると考えております。なお、今回生麦ジャンクションにおいて横羽線への連結路を住宅地側から海側の工場地帯側へ変更するということになります。このことによって、大気、騒音、振動、日照阻害等の周辺住宅地に対する影響はさらに少なくなっております。今後も引き続き環境対策については関係者と協議をいたしてまいります。
 本線トンネル工事における地盤沈下に対する住民の不安解消についてでありますけれども、施工中の岸谷生麦線のトンネル工事においては、地表面の計測を行いながら慎重に施工をした結果、地盤沈下による家屋への被害は現在まで発生をいたしておりません。一部地盤沈下ではなく、工事の振動などによる被害が発生をしておりますけれども、これは速やかに対応をいたしました。また、全工事完了後原状回復に要する費用を負担するということで了解を得ております。今後実施する北線本線のトンネル部は、岸谷生麦線の工法とくらべて地下水位低下を生じさせないシールド工法を採用するため、地表面にはほとんど影響を与えないと考えております。
 低濃度脱硝装置の設置についてでありますけれども、本市においては環境の保全と創造に向けた取り組みを進めるという立場から、事業者である首都高速道路株式会社に対して環境影響評価準備書への意見を充分に踏まえて、環境対策を講じるようにこれまでも強く働きかけをいたしてきたところであります。その結果、本市の環境に対する基本的方針が充分理解をされて、供用直前の大気質の状況を勘案しつつも脱硝装置導入の検討を進めると、昨年9月に事業者から報告を受けております。今後も引き続き事業者に働きを行ってまいります。
 市第135号議案の土地売却を延期すべきとのご意見でありますけれども、当該土地は道路予定地として本市が先行的に取得をしたものでありまして、横浜環状南線の事業を推進するために早期に事業者である国へ売却すべきであると考えております。なお、住民の方からご要望によって設置をするということになりました技術検討会については、今後その具体的内容や進め方などに関して住民の皆様と調整をいたしてまいります。
 今回の売却が住民とのこれまでのやり方を否定するとのご趣旨でありましたけれども、横浜環状南線の事業の推進には沿線住民の事業への理解を得るということが何よりも重要でありますので、これまでも話し合いなどによって事業への理解、促進に努めてきたところであります。今後とも本事業に対する住民の皆様の理解を得るように努力をいたしてまいります。
 なお、先ほども申し上げましたけれども、技術検討会については今後住民の皆様と調整をしてまいりますが、工法・構造等を検討するものであるから、当該土地の売却の如何に関わるものではありません。
高速道路は見直しが必要ということでありますけれども、横浜環状北線、南線などの高速道路は本市の道路ネットワークの骨格となる重要な道路でありますので、早期完成に向け着実に事業を推進するということが必要だと考えております。また、市民の関心が高い環境対策については、必要な対策を講じるよう事業者に対して引き続き要請をいたしてまいります。

新市庁舎整備は市全体のあり方を考えて慎重に

関議員:次に、市第146号議案は、北仲通南地区の独立行政法人都市再生機構の所有地約1.2ヘクタール取得のため、167億8000万円をあてようとするものです。
 当該地は、都市再生機構が早くから再整備計画をもち、昨年8月には特定建築者を公募する予定のところ、本市が手を上げたことで公募はなくなったと聞いています。その後、12月には財産評価審議会の答申を経て、都市再生機構と協議してきたとのことです。
 一方、新市庁舎整備は市長の公約にもなく、市庁舎整備基金への積み立ても2003年度から中止したままです。ところが今年度、整備の調査検討費が計上され、矢継ぎ早にアンケートの実施、新市庁舎整備構想素案のまとめ、それへのパブリックコメントが行われるなど、市民からみれば余りに唐突な動きです。性急に新市庁舎整備に踏み切る理由は何か、しかも新年度予算でなく、なぜ補正なのか、伺います。
 咋年12月の新市庁舎整備構想素案で「新たに種地を整備する」ことが打ち出され、今回の補正ではこの種地を市庁舎整備基金135億円と都市整備基金32億8000万円をあてて購入することになります。市長は9月の本会議で、用地取得の財源として市庁舎整備基金を設置目的に沿った形で活用すると答弁されています。ところが、素案で示された新市庁舎整備のパターンの一つは、仮移転先に活用した後建物を売却し、市庁舎として利用しないものも含まれています。整備のパターンが明確にならないままの基金の活用は設置目的からはずれると考えますが、伺います。
 構想素案での新市庁舎規模は、12万㎡から16万㎡程度としています。種地は高さ制限190mと超高層建築物の建設が可能で、種地とはいうものの候補地の一つであり、新市庁舎規模の整備になると思われます。種地に市庁舎を整備するにしても、全部または一部売却するにしても市民に充分な説明が必要です。また、3月のパブリックコメント公表を待たずに購入を決定することも、市民意見軽視で問題です。仮移転先など様々に活用できる土地は必要との理由だけで進めて良いのか、市民の合意がないもとでの購入はやめるべきですが、伺います。
 また、昨年6月横浜市大都市制度検討委員会が立ち上げられ、国の第二期地方分権や道州制の議論に市として大都市制度創設を提案する目的で開かれていますが、まだ結論は出されておりません。新市庁舎整備は、こうした議論も踏まえ、市全体のあり方との関わりでとらえる問題であると考えますが、市長の見解を伺います。

中田市長:次に市第146号議案についてのご質問をいただきました。
 新市庁舎整備等についてでありますけれども、新市庁舎の整備はかねてからの懸案事項でありましたが、周辺の民間ビルの賃貸料として年間約18億円の経費が発生をしていること、分散化による市民サービスの低下といったことなどの課題に加えまして、候補地周辺の状況が変化をしているということも考慮して、新たなまちづくりの観点から検討に着手をいたしたものであります。
 本市会での補正についてということでありますけれども、これは北仲通南地区の土地所有者である都市再生機構が昨年8月に公募を予定していたことから、譲渡の申し入れを行ったものであります。このたび譲渡に関しての合意がえられたために、今年度中の取得を目指して予算を計上いたしたものであります。
 市庁舎整備基金条例に違反しないのかというご指摘でありますけれども、条例の設置目的は市庁舎整備に必要な経費に充てるためとされております。今回取得する土地は新市庁舎整備に関わって様々な活用を検討しているところでありまして、条例の趣旨に沿うものであります。
 種地の購入は市民合意がなく、やめるべきではないかというご指摘でありますけれども、新市庁舎の整備については、これは昨年の4月に新市庁舎等に関するアンケート、今年1月には整備構想素案に対する意見募集ということなど、様々な機会を捉えて情報提供や市民意見の把握にも努めてまいりました。アンケートの自由意見と素案に対する意見でありますけれども、合わせて約900人の方からご意見をいただいておりまして、そのうち約9割の方が建設的なご意見でありました。
 また、今回取得する種地を活用することで事業諸法のバリエーションも広がりまして、コストの縮減や関内地区の活性化の促進などにつながりますので、総合的観点から取得の判断を行ったものであります。
 市全体のかかわりで捉える問題ではないかというご指摘でありますけれども、新市庁舎の整備は管理コストの縮減ということなど、まさに本市の財政負担の軽減という市全体の観点からも取り組んでいくものであります。さらに市民生活と直接的に関係をしている区役所との行政機能の分担に配慮しながら、市全体の魅力と活力の創造、横浜経済の活性化につなげるということなど、おっしゃるとおり政治的な視点からの検討を進めているところでございます。
 残余の質問については、交通局長より答弁申し上げます。

市バスの子会社化で市民サービス低下が懸念

関議員:最後に、交第4号議案は、2007年6月策定の「市営交通5か年経営プラン」にもとづき、市バスの緑・磯子の2営業所の運転業務を子会社である横浜交通開発株式会社に委託するにあたり、計画通りに進まず委託料等を減額補正するものです。
 子会社化については、人件費を主とする経費削減がねらいであり、市民サービスの低下をまねき、人件費の削減は、今社会問題化しているワーキングプアを自治体が認めるようなもので、わが党としては賛成できません。
 その上で伺いますが、当初404人の公募嘱託員とバス170車輌を移すとしていた計画が、結果として正規職員の派遣も含む294人と120車輌に止まっています。市民サービスの低下を招かないか、引き続き運転業務の縮小が考えられますが、この先市民サービスの低下がないといえるのか、合わせて交通局長に伺います。
 子会社化により、市民の声がきちんと受け止められるのかどうかも不安です。これまでの市の責任はどうなるのか、伺います。
 子会社委託のキーポイントは人件費削減です。今回は、トータルコストは変わらないとも聞いていますが、職員も含めた嘱託員の待遇はどうなるのか、伺って、質問を終わります。

池田交通局長:交第4号議案について、ご質問をいただきました。
 当初計画に比べました車輌の削減についてでございますが、子会社へ委託します車輌数につきましては全体の車輌を営業所間で再配分したことによります減少でございます。
 また、今後の運転業務の縮小についてですが、今回の運行委託に伴いまして市営バスの事業規模を縮小することは考えておりません。従いまして、今回の運行委託や車輌の所管替えによりまして、市営バスの運行サービスが低下するものとは考えておりません。
 次に、委託しましたバス路線の交通局の責任についてですが、子会社にバスの運行を委託するもので、運賃、あるいは運行路線、さらには運行ダイヤ等につきましては従来通り交通局の責任において決定をするものでございます。
 次に、子会社へ移る職員の待遇でございますが、正規職員につきましては退職派遣となり、本人に不利益が生じないように措置いたしております。また、子会社で採用されます交通局の公募嘱託職員につきましては、これまでの一律の給与ではなく、正規の社員としまして昇給を伴う給与制度が適応されますので、身分も安定するものと考えております。
 以上、ご答弁申し上げます。