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【2008年第1回定例会】「現年度議案反対討論」 白井正子議員

 私は、日本共産党を代表して、今議会で提案された議案のうち4件について、反対の討論を行います。

パーティー券問題は購入先全体を明らかにしない限り疑念は晴れない

 はじめに、市第121号議案は、市長の政治団体が開いた政治資金パーティーに職員が関与していた問題で、2006年の町田市長選挙にからむ政治資金規正法違反事件にならい、自らの給与を3か月間5割減額するというものです。
 本会議議案関連質問では、「調査対象を広げ、改めて調査し、パーティー券購入者の全体を明らかにすべき」との質問に対して、「消防職員、消防団員以外に対する調査については、具体的に公務員としての地位を利用して参加を求めるといったことなど、法令にふれることが疑われるような事実がない中においては、考えていない」と答弁されました。問題なのは、法令違反についてではなく、市政関係者など購入先全体を明らかにしない限り、消防団以外にも同様な例があるのではないかという疑念を晴らすことはできないということです。購入先全体を明らかにしないまま、自らの減給だけで済まそうとする今回の処分は許されるものではありません。
 この際付け加えておきますが、市長は政治家としての側面と行政マンとしての側面をお持ちです。政治家としての行動は、市長としての行動に大きく影響します。もともと政治家としての立場と市長としての立場を分けることができない以上、市政関係者に参加を強要するような政治資金パーティーは自粛すべきです。

住民の不安、要望を無視しての
高速横浜環状道路の工事強行はやめよ

 次に、市第134号議案は、高速道路横浜環状道路北線の生麦ジャンクションの工事変更について、国土交通大臣の許可を得るに当たり、必要な本市の同意を求めるものです。
 市長答弁では、「岸谷生麦線の家屋被害は、工事の振動によるもので費用負担で了解を得る」とのことですが、家屋被害は井戸水の枯渇に現れているように、地下水位低下による地盤沈下が原因ではないかという住民の不安があるままで、生麦ジャンクションを含め本線工事を強行することは、住民無視です。
 排気塔への低濃度脱硝装置の設置については、「供用直前の大気質の状況を勘案しつつも脱硝装置導入の検討を進めると、昨年9月に事業者から報告を受けている」との市長の答弁でした。住民要望は、「供用時の測定結果で設置を判断するのではなく、環境負荷を軽減するために、基準いかんに関わらず、装置を設置してほしい」というものです。市長の「ひき続き働きかける」という姿勢では、住民の要望に添うものではありません。この際、事業主の首都高速道路株式会社に低濃度脱硝装置の設置を確約させるべきです。

構造・工法・環境対策等決定前での
高速道路建設関連用地の売却はやめよ

 市第135号議案は、高速道路横浜環状道路南線建設のために栄区庄戸3丁目4丁目の市有土地を売却するものです。
 現在、庄戸町会と事業者の間で、庄戸区間の構造・工法についての協議の場が設定され、NATM工法とシールド工法に加え、深い地下を通ることになる「神戸橋下越」案を検討するということが合意されました。構造・工法・環境対策等が決まっていない現時点で、土地を売却すべきではありません。
 横浜市で、3環状10放射を中心とする都市計画道路整備が進められております。市民生活にとって優先度の高い都市計画道路の整備を進めた上で、高速道路の必要性を判断すべきです。

新市庁舎建設よりも身近な区役所の整備を

 次に、市第146号議案一般会計補正予算、新市庁舎・関内地区等再整備事業についてです。これは、新市庁舎・関内地区再整備の「種地」として、独立行政法人都市再生機構が再開発計画を進めている約1.2ヘクタールの土地を取得するため、市庁舎整備基金135億円、都市整備基金32億8,000万円をあてようとするものです。
 そもそも市長は、市庁舎整備基金の積み立て見送りについて、2002年に行われた市会全員協議会で「厳しい財政状況の下、限られた財源のなかでは、今、私たちが市民から見て自分のことと思える事業を優先することは、市民の理解が得られないと考える。自信をもって市政の行き先を明確にできた段階で実施していくべきものである」と述べられています。ところが今回、新市庁舎建設に踏み出した理由のどこにも、これら財政状況について触れられていません。市長は、ことあるごとに財政状況の厳しさを強調されておりますが、市長が建設に踏み込まれたのは、財政状況が好転したとこれまでの評価を一転することとなるのですか。これでは、市長も述べられたように市民の理解が得られるものではありません。
 市民の市庁舎利用頻度のアンケート結果では、半分の人が殆ど市庁舎を利用していません。年に1回程度利用の人、月に1回程度利用の人も加えると、約9割にもなり、市庁舎の分散に不便を感じている市民はごく少数派です。市庁舎建設強行は、市長が否定した「自分のことと思える事業を優先すること」になり、多額の市税を使うのならば、身近な区役所等の整備こそ市民の理解が得られることは明らかです。
 もう一つの問題は、肝心な計画が明らかにならないままに、既成事実を積み重ねていることです。今年度、取りつくろうように整備検討費が計上され、矢継ぎ早にアンケートが実施され、新市庁舎整備構想素案がまとめられ、素案への市民意見の募集が行われましたが、この過程は市民から見れば唐突すぎます。しかも、意見募集の結果の公表は3月であり、あまりにも市民意見を軽視するものです。現段階では、どこに新市庁舎整備をするのか、また整備パターンについては3案が示されており、どのパターンになるのか全く明確になっておりません。
 また、市庁舎建設計画が急浮上した経過にも、不透明さがつきまとっています。2002年12月策定の「中期政策プラン」には2006年には事業化を検討するとあるものの、市長は1期目の2年目に当たる2003年度予算から市庁舎整備基金への積み立ては休止されており、2007年度予算にも未計上です。2006年の市長選挙でも市庁舎建設は公約されていませんでした。それなのに、突然2006年9月4日の都市経営戦略会議で市庁舎整備の検討が議題となり、「市庁舎移転の候補地として北仲通南地区を内部プロジェクトにより集中的に検討をすすめ、9月末までに方向性を固めたい」と当局から提案されています。その結果が、2007年度予算での整備検討費計上となったものです。
 この顛末は、どうみても一貫性、計画性が欠如しているといわざるをえません。北仲通南地区への移転を求める外からの何らかの力、たとえばここに市庁舎が立地することによって、恩恵や開発利益をうける者などからの働きかけがあったとの疑念すら生じる不透明さを、指摘せざるを得ません。
 以上で、反対討論といたします。