議会での質問・討論(詳細)
2012年5月31日

■「議第1号議案に対する反対討論」 大貫憲夫議員(2012.05.31)

古紙持ち去りは窃盗行為で許されないが・・・

 私は日本共産党を代表して、議第1号議案「横浜市廃棄物等の減量化、資源化及び適正処理等に関する条例の一部改正」について、反対の立場から討論を行います。
 今回提出された改正案によって抑止力が高まり、町内会などが集団回収で集めた古紙などの登録業者以外の業者による持ち去りが減ることは、関係者に歓迎されると思います。町内会などが行う集団資源回収は、ごみの資源化と同時に、活動資金を得るための重要な活動です。皆さんが努力されて集めた古紙等を悪質業者が持って行ってしまうということは、窃盗であり、これは決して許されません。刑事罰が当然です。
 私は、今回の条例改正に当たり、市の行う資源回収と、町内会などの住民の皆さんが行っている資源集団回収とを分けて考えなければならないと思います。

アルミ缶集めのホームレスに犯罪者の烙印

 まず、市が行っている資源回収の場合です。
 廃棄物の減量化・資源化は、市民の皆さんの努力、協力によって実現します。まさに、市民の皆さんは、ごみの減量化、資源化に共感して、資源物の減量化を進めています。金銭的見返りということは何も考えてはいません。そういう市民の皆さんは、市の回収日にアルミ缶を出した場合、市のルートでも、ホームレスの人たちが集めてそれが資源化されるならば、どちらでも構わないのです。
 今年1月現在市内で600人を超すホームレスの人たちにとって、アルミ缶の回収は貴重な収入源になっています。ホームレスの人たちが集積場所からアルミ缶を選別して回収業者に運んだ場合、ホームレスの人たちにとって収入が得られ、生活の糧になるわけです。また、それによって市のルートで回収・選別・運搬した場合の経費が削減されることにもなります。額は少なくても、市財政の削減に貢献することは間違いありません。集積場所での後始末の問題はありますが、ホームレスの人たちがごみの集積場所からアルミ缶を収集することを犯罪行為として取り締まることは、あまりにも心が狭いのではないでしょうか。
 今回の改正は、循環型社会の形成を阻害する行為を防止するためには資源物全体を対象とする必要があるとして、回収ルートによる性格を無視しているところに問題があります。

アルミ缶集めはホームレスの自立までの生活の糧

 私は、先ほど行った質疑で、アルミ缶を集めているホームレスの人たちが、結果的に犯罪者の烙印を押される恐れがあることを指摘しました。それに対する答弁は、廃棄物を持ち去る行為にかかわる対策と、ホームレスの自立支援策とは別な問題として、福祉施策を進めることが重要というものでした。
 先ほど述べましたが、2008年に出された厚生労働省と国土交通省の公示は、ホームレスの自立支援施策の一つとして「常用雇用による自立が直ちには困難なホームレスに対し、雑誌回収やアルミ缶回収等の都市雑業的な職種に開拓や情報収集・情報提供等を行う」という国の方針を示しています。その方針に照らしたとき、ホームレスの人たちに集積場所からアルミ缶の回収を禁ずることは、彼らが自立に至るまでの生活の糧とするために現金を得る貴重な手段を閉ざすことになります。まさに、この条例改正によって影響を受けるホームレスの人たちに対する配慮を切り捨てることになります。本当にそれでよいのでしょうか。
 先ほど、答弁では、資源物の持ち去り行為の被害を受けるのは集団回収実施団体とされました。そのとおりだと思います。まさに、提案者が指摘しているように、今回の改正条例の対象を町内会等の集団回収による資源物の持ち去りに絞ることが必要だと考えます。市の回収も集団回収も一緒に対象とする今回の改正案は、あまりにも乱暴だといわざるを得ません。

犯罪人として前科をつける条例改正は慎重の上にも慎重に

 さらに、条例改正案は、結果的に市民に罰を課し、犯罪人として履歴に前科をつけ、一歩間違えばその人の人生に大きな影響を与えかねないという重大かつ危険な側面を持っていると指摘しました。したがって、条例改定にあたっては慎重の上にも慎重を期さなければなりません。
 しかしながら、改正案制定のための市民アンケートにしても、幅広い市民から意見を聞くという大切な手順が十分なされていません。あえて言えば、はじめから罰金ありきで進めたものと言わざるを得ません。
 以上、この理由で私の反対討論を終わります。


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