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【2008年度予算特別委員会】「まちづくり調整局」 関美恵子議員

高齢化の進む市営住宅のバリアフリー化、エレベーター設置を急げ

関議員:日本共産党を代表し、質問します。
 市営住宅の住戸改善事業について伺います。
 市営住宅での高齢化は、とりわけ深刻になっています。そのため、バリアフリー化や、階段の踊り場を活用したエレベーターの設置が急がれています。住戸改善事業はそうした課題に応えるもので、上飯田で終了し、勝田で行われています。
 対象団地である勝田、ひかりが丘、野庭の高齢化率は、市営住宅全体の高齢化率に比べ、それぞれどうなっているのか、伺います。

相原まちづくり調整局長:平成20年1月末現在、市営住宅全体の高齢化率は33.3%でございます。住戸改善対象団地につきましては、勝田団地では39.1%、ひかりが丘団地では36.6%、野庭団地では28.8%となっております。

関議員:勝田、ひかりが丘では市平均より高くなっています。ところが、新年度の計画は190戸で、今年度の320戸に比べ半減させています。理由は何か。また、勝田の終了の目途はいつなのか合わせて、伺います。

相原局長:住戸改善事業につきましては、すでに着手しております桜ヶ丘アパートや三ツ境住宅など建替え事業も含めた市営住宅全体の中で整備可能な戸数を計上いたしました。勝田住宅につきましては、平成22年度の事業終了を予定しております。

関議員:勝田は2年後に終了する予定とのことですが、高齢化率は年々あがります。ひかりが丘、野庭についても年次計画を明らかにし、必要な予算をつけて進めてもらいたいと思いますが、見解を伺います。

相原局長:住戸改善事業は大規模団地で建設年次の古い順に進めていくこととしておりまして、居住者の仮移転用空き家住宅の確保状況、本市財政状況や国庫補助等の状況を勘案しながら、順次進めていきたいというふうに考えております。

関議員:特に、エレベーターの設置は望まれています。ぜひ、年次計画も検討していただきたいと、必要な予算をつけて進めてもらいたいというふうに強く要望しておきます。

応募倍率15倍以上、市民要望の強い市営住宅の新規建設を

 次に、市営住宅の建設等について伺います。
 中期計画では建設戸数の計画は示されていません。2006年までの中期政策プランには630戸ずつの年次計画がありました。ところが供給数は、2004年は333戸、2005年度わずか45戸、最終年度も206戸で中途半端で終了しています。また、土地を購入しての直接建設は2003年度から、公募借上は2005年度から休止させたままです。今、増えているのは建替えによって増える程度で、その建替えも2010年には終了すると聞いています。これでは、市営住宅建設の市の責任はないも同然になりますが、見解を伺います。

相原まちづくり調整局長:中期政策プランの期間中は、この間の財政見通しや新たな住宅政策の枠組みを検討してきた国の動向などを踏まえまして、極力進めてまいりました。なお、この期間中には、高齢者の多様なニーズの対応が可能な公的賃貸住宅として、高齢者向け賃貸住宅の供給を拡大してまいりました。

関議員:市営住宅を建設していくべきじゃないかというふうに思うわけですね。
 貧困と格差社会のもとで、母子家庭などから「アパートの家賃を払いきれない。市営住宅には入れないか」という相談が増えています。過去3年間の新築・空き家への応募倍率はどの程度か。また傾向をどのように分析されているか、伺います。

相原まちづくり調整局長:平成17年度は新築で17.8倍、空き家で15.3倍、平成18年度は新築31.1倍、空き家17倍、平成19年度は新築24.5倍、空き家21.6倍の応募倍率がございました。新築は空き家住宅より倍率が高く、新築、空き家とも15倍以上で推移しているところでございます。

関議員:民間マンションの住宅情報があふれているにもかかわらず、市営住宅への希望は高いといえます。新規建設が必要ですが、市有地を活用し建てるとして一戸当たりの建設費と財源内訳はどうなっているのか、伺います。

相原まちづくり調整局長:戸当たりの額は、整備する住居の型別によってあるいはその面積の違いなど各住宅一律ではありませんが、平成20年度に着手する住宅では約1490万円でございます。その内訳といたしましては、国庫補助が約600万円、市債が約740万円、一般財源が約150万円となっております。

関議員:一般財源は150万円ということなんですよね。やろうと思えば可能だと思うんですが。
 市民一人当たりの管理戸数は、2006年度実績で17政令市中13番目の低さです。市民の要望に応え、建設計画を市民に示し、借上も含め、予算を増額し新規建設を進めるべきと思いますけれども、局長の見解を伺います。

相原局長:まず国の動きといたしまして、昨年公布されました住宅セーフテーネット法基本方針の中では、定額所得者などにつきまして公営住宅だけでなくその他の公的賃貸住宅や民間賃貸住宅を活用し、居住の安定を図るとされております。本市におきましても、国の動向を踏まえつつ、今後は様々な方法で限られた財源や資産を効果的に活用し、供給を確保できるよう努力してまいりたいというふうに考えております。

関議員:簡単に言うと、住宅のストックの活用という、どちらかというとマネジメントへの転換ということになるのかなと思うんですけれども、これでは市としての住宅政策の責任ははたせないということを意見として言っておきます。
 市営住宅内の歩道なども老朽化が目立ち、危険な状態です。一般修繕においても、予算を増額して、計画的に行うべきですが、伺います。

相原局長:厳しい財政状況の中でございますけれども、必要な修繕費については昨年並みに確保しております。限られた予算の中で、計画的かつ効果的効率的に修繕を行い、快適な住環境の維持に努めてまいりたいというふうに考えております。

関議員:ぜひよろしくお願いします。
 また、ごみ集積場の整備や外来者用を含めた駐車場の管理も、住民まかせにせず、市として積極的にすすめるべきと思いますけれども、いかがですか。

相原局長:ごみ集積場所や駐車場などの共同施設は、入居者のみなさんで組織する自治会や駐車場運営委員会が、共同生活を行う場をみんなで住みよいものにしようと、そういう意味で管理することが望ましいというふうに考えております。

関議員:ちょっと残念ですね。市としてもやっていただきたいと思います。

住宅は福祉、国の施行令改正による強制的な明け渡しはやめよ

 次に、公営住宅法施行令に関わって伺います。
 2009年度からの実施ですが、現行の入居収入基準や家賃算定の基準などが変更されます。入居収入基準が引き下がることによる応募資格を失う影響はどのくらいなのか、伺います。

相原局長:改正によりまして応募資格を失う世帯が、19年度の応募状況に基づいて試算しますと、応募者全体のうちの収入の高い方の世帯から約3.3%程度になるというふうに見込んでおります。

関議員:家賃算定基礎額や規模係数の変更で収入分位の仕分けが2分位上がる階層も生まれ、家賃の上がり幅が深刻です。家賃の変動幅と市平均でどのくらい上がるのか、伺います。

相原局長:今回の改正によります家賃の変動幅は、マイナス0.2%からプラス22.6%の範囲となりますが、このうち規模係数による影響につきましてはプラス7.7%程度というふうにみております。また、市平均では3.2%程度の家賃のアップとなるものと見込んでおります。

関議員:家賃算定の基準などの変更で、収入が変わらないのに今度の分位の変更で高額所得者と仕分けされ、明け渡しの義務が生ずる人が出てまいります。そうした人たちは何世帯ぐらいが想定され、全体における構成比はどのくらいなのか。また、そうした人たちに対する強制的な明け渡しを求めることになるのかどうか、伺います。

相原局長:高額所得者となる収入基準につきましては、経過措置により5年間は現行の収入基準が適応されますので、実際に改正法の収入基準が適応されるのは26年度となりますけれども、仮に現在の世帯の所得状況を前提に計算いたしますと、高額所得者の構成比は現行の0.1%から改正後は1%程度で、300世帯ほどになるというふうに見込んでおります。高額所得者につきましては、明け渡し義務が生じますので、自主退去を求めつつ、世帯毎の実情を考慮しながら明け渡しを求めていくということになります。

関議員:結局、経過措置はあるものの、明け渡しをしてもらうと、こういうふうな状況になるというふうに思うんですけれども、300世帯となると、全体の管理戸数は多いにしても、やはり相当な数だと思うんですよ。これまでにも、高額所得者の明け渡しについてはかなり市としてはその比率を高めてきているっていうふうに思うんですけれども。こういう人たちはいままで住んでいたわけですからね。それを、国の方が変えたからといって出なきゃいけないという、こういう事態について局長はどういうふうに思っていらっしゃいますか。

相原局長:市営住宅の入居資格や家賃につきましては、法令に基づく全国一律に決定しておりますので、本市においても施行令の範囲に合わせて平成21年4月から実施していきたいというふうに思っております。

関議員:法令順守ということも結構ですけれども、やはり横浜市の住宅政策をあずかる唯一の局ですからね。そういった人たちに対する住宅を失うっていうことに対して、心の痛みはもうぜんぜんないんでしょうか。どうですか。

相原局長:やむを得ないというふうに、私は思っております。

関議員:非常に冷たいお言葉だということで、残念です。
 今でも、入居者の構成比の76%が政令月収12万3000円です。15万3000円まで含めると82%。施行令の導入では2.9%に増え、全体として居住者の政令月収は引き下がります。これでは、ますます市営住宅を低所得者の貧窮対策に落としめるものではないでしょうか。また、家賃の値上がりや高額所得者とすることで、先ほども伺いました、居住者から住宅を奪うことにもなってまいりますけれども、この救貧対策になるのではないかという点での局長の見解はどうでしょうか。

相原局長:公営住宅法は、先生もよくご存知の通り、低額所得者を対象としておりまして、いま先生のおっしゃられた方も低額所得者の定義の範囲の中に入るというふうに、私は思っております。

関議員:低額所得者といっても、やはり程度がありますよね。本来住宅は福祉です。その目的からいうと、やはり良好な住宅を市民に提供するということだというふうに思うんですよね。今回の導入について、見直すべきと思うんですけれども、どうでしょうか。

相原局長:先ほども答弁させていただきましたけれども、法律に基づき全国一律に決定しておりますので、本市においても施行令に合わせて平成21年4月から実施していきます。

関議員:とても認められません。

がけ崩れの整備を早急に実施するよう事業者へ実効ある指導を

 次に、がけ対策について伺います。
 2004年10月の台風でがけが崩れ、そのまま現在まで放置されています。がけ崩れへの対策を求める住民の声にどう答えてきたのか、また放置状態があまりにも長く、市として住民の安全を守る考えがあるのか疑問です。どう受け止めているのか、伺います。

相原局長:平成16年のがけ崩れの整備は、本市といたしましてはシート掛けや土のう積み、水路の復旧および集水ますの設置、隣接地へ流出した土砂の搬出などを随時応急的な対応として実施してきております。また、がけの改善が必要なことから、事業者に対しましても防災工事の実施を指導してきているところでございます。

関議員:この間、事業者の住民への誠意が全く見られないようですが、事業者ががけ所有者として急傾斜地崩壊危険区域の条件を満たしているという認識を持つこと、住民に状況を説明し、早急に対応を行うことなど、事業者へ実効ある働きかけを強めるべきと考えますけれども、伺います。

相原局長:事業者に対しましては、再三にわたりまして復旧工事の計画および設計の実施、工事施工のための関係権利者の調整などを要請してきておりますけれども、いまだに実現には至っておりません。がけの安全性の確保や復旧は土地の所有者が対応するのが原則でありますので、早期にがけの改善が行われるよう、引き続き事業者に強く指導してまいります。

関議員:しっかりお願いします。終わります。