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【2008年度予算特別委員会】「病院経営局」 中島文雄議員

過重勤務の軽減などの労働条件、職場環境の改善で、
医師・看護師の確保を

中島議員:日本共産党を代表して質問します。
 まず、病院の医師確保についてです。
 日本の医師数は、OECD先進30か国平均で、約14万人も不足をしているっていうことが言われています。昨年来、妊婦や救急患者の搬送問題など、重大な社会問題となっています。この医師不足は、“医師が増えると患者が増えてしまう”、そういう政府が計画的に医師の養成数を減らしてきた結果ではないでしょうか。そこで伺いますが、本市3病院の医師確保の状況について、伺います。

原病院経営局長:市民病院におきましては88名、脳血管医療センターでは21名の医師を確保しており、いずれも若干の欠員が生じておりますが、非常勤医師や臨床研究医を確保し、診療に支障を生じないように対処しております。また、指定管理者でございます日本赤十字社が運営いたしますみなと赤十字病院も109名の医師を確保しており、診療に支障が生じるような状態ではございません。

中島議員:予算で、市民病院における産婦人科医師への分べん手当の創設が提案されておりますが、その背景と、県内での主な公立病院の動向について、伺います。

原病院経営局長:産婦人科医師の不足を背景に、産婦人科医師の離職防止、確保を目的とし、市民病院における分べんを維持するために、手当の創設を行うものでございます。
 県内の公立病院では、分べん1件あたり、小田原市民病院では1万円、これは4月から3万円になるそうでございます。横須賀市立病院が2万円、大和市立病院が2万5000円を支給しております。

中島議員:こういう背景は一つの大きな流れだと思います。とりわけ、万年、医師確保に苦労している脳血管医療センターの対策はどうされていますか。

原局長:横浜市立大学の医学部など、関連大学に医師の派遣を依頼するととともに、インターネット等を利用いたしまして募集を行っております。

中島議員:医師不足のもとでも医師確保にあたって、病院ごとに24時間体制に応じた医療体制の整備や、勤務医の過重勤務の軽減だとか、あるいは女性医師でも働き続けられるような労働条件、あるいは職場環境改善、これらが本当に求められているというふうに思うんですね。この点についての対応はいかがですか。

原局長:医師不足への対応といたしましては、各病院として勤務条件の改善も重要だと考えておりますが、医師の偏在、患者さんとのトラブルの増加、あるいは訴訟リスクの高まりなど様々な要因により全国的に特に勤務医不足が生じております。従いまして、横浜市だけの対応でというのもなかなか困難な課題でございますが、先ほどの分べん手当の創設を初め、今年度から院内保育所の利用対象を医師にも拡大するなど、対応をしているところでございます。

中島議員:次に、看護師の確保についてです。
 全国的な看護師不足の中で、採用活動を強化するため、引き続き看護師確保業務を担当する係長職を中心に取り組むとされていますが、3病院の看護師確保の状況を報告して下さい。

原局長:市民病院では438名、脳血管医療センターでは199名の看護師を確保しており、いずれも若干の欠員が生じておりますが、非常勤の雇用により支障が生じないようにいたしております。また、指定管理者である日本赤十字社が運営いたしますみなと赤十字病院も、444名の看護師を確保しており、支障が生じるような状況ではございません。

中島議員:新規採用にしても再就職にしても、いまの看護師の過重勤務、大変大きな問題になっております。そういう労働条件や職場環境づくり、これは看護師の確保に、本病院だけでなくて、全国的にも求められていると思うんです。その点についての見解は如何ですか。

原局長:看護師に関しましては、定着率の向上が課題と考えております。そして、各個人の能力やライフサイクルに応じた人材育成、メンタルヘルス支援のための専門看護師の配置、院内保育所の設置などの対策を取っているところでございます。

中島議員:地方とか私立の病院というのは、本当に医師とか看護師の不足が大変だと思うんですね。本市の場合は市大の医学部を抱えていますしね、あるいは看護学校を持っているわけですから、原局長自身が付属病院の院長だったわけですから。本当に医師不足、看護師不足がいわれて病床があくようなことがないように、市民の付託に応えてしっかりやっていただきたいというふうに思います。

国の“押しつけは許さない”という立場で
本市病院の改革プランの検討を

 最後に、公立病院改革プランの検討について、伺います。
 総務省通知で「公立病院改革ガイドライン」を活用して「公立病院改革プラン」策定を2008年度中に求めていますが、その内容および局としてどう検討されるのか、伺います。

原局長:公立病院改革ガイドラインでは、公立病院の果すべき役割とそれに応じた一般会計負担を明確にしたうえで、経営の効率化、経営形態の見直し、再編ネットワーク化の3つの視点で計画を策定することが示されております。この趣旨を踏まえながら新たな計画の検討を行ってまいりたいと考えております。

中島議員:私も国のガイドラインみたんですが、ここから見えてくるのは、「改革」の名で、自治体に財政収支面だけの視点で計画を立てさせる、そういう内容だというふうに思うんです。いま本市では、経営形態の見直しについては国に先駆けてすでに公営企業法の全部適用だとか、指定管理者制度、こういう導入を図っています。私、これ以上公立病院としての機能低下を招くようなこういう見直しは行うべきじゃない、そういうふうに思います。
 そこで、いま問題となっている医療格差の是正、医師・看護師不足の解決策など、地域医療体制の充実・確保の視点でこそ検討すべきだと思いますが、いかがですか。

原局長:市立病院としての役割を踏まえつつ、効率的な運営をすることが重要だと考えており、そうした視点で検討を行ってまいりたいと思います。

中島議員:公立病院の果すべき役割との関係で見直しすべきだというふうにいったんですが、その点についてはどうですか。

原局長:救急医療などの政策的医療を含め、市立病院が担うべき医療については、新たな計画でも当然効率的効果的にその役割を果していく必要があると考えます。

中島議員:自治体病院は、いまこそ救急、小児、産科や精神・高度医療など政策医療を拡充し、住民のいのちと健康を守る役割を果たすべきだというふうに思うんです。そういう住民の願いにも「ガイドライン」の内容は逆行するものじゃないかというふうに思うんですが、この点についての見解を伺います。

原局長:国のガイドラインは、各地方・公共団体が公立病院改革を進める上の指針となるので、置かれている状況によって計画・内容は当然異なってくると考えております。本市といたしましては、この趣旨を踏まえて計画の検討を行ってまいりたいと思っております。

中島議員:私がいうのは、ガイドラインの内容が住民の願い、これに逆行するものじゃないかというふうに思っているんですが、その点についての見解、どうですか。

原局長:先生言われる視点と両方の視点を持って、今後検討していきたいと思っています。

中島議員:最後に副市長に伺いたいんですが、私が求めたいのは、“押しつけは許さない”という立場で本市のプランを検討すべきだと思うんですね。国会の論議を通じも、「プランの内容は一律なものとはなり得ない」とか「ガイドラインは強制ではない」などと総務省の担当は答弁せざるを得なくなっている。これについて、“押しつけは許さない”、この立場で本市の改革プランを検討すべきだと思うんですが、これ副市長から伺います。

佐々木副市長:横浜市では、これまで市民の医療ニーズに対応するということで、救急医療、精神医療、産科医療、小児科医療と、その充実に努めてきているところでございます。合わせて、病院経営ということでいいますと、ご承知のように平成17年から横浜市立の病院経営改革というものを作って、その計画に基づいて進めてきているわけです。従って、今後の改革につきましてもそういった基本的な考え方をとりながら、国でいうところの計画にも整合させるということを考えながらすすめていくということになっております。

中島議員:国のガイドライン、大変問題があるわけですから、自治体に押し付けるような内容については絶対に言いなりにならないで、しっかりまもっていただきたいと、そのことを申し上げて終わります。