議会での質問・討論(詳細)
2012年9月27日

■「総合審査」 岩崎ひろし議員(2012.9.27)

予算規模の大きな横浜では、年度途中でも大きな財源を捻出できる

岩崎議員:よろしくお願いします。
 2011年度決算が実質収支57億円の黒字となったことに着目して、質問します。
 市民目線で見れば、「お金が余るんだったら、くらし・福祉にちゃんと使ってほしい」ということになります。まず、実質収支57億円の黒字になった要因は何か、財政局長に伺います。

柏崎財政局長:2月補正時点の収支の見込みよりも、市税収納率の向上などによりまして市税が約27億円増収したこと、また地方消費税交付金などの増収によりまして県税交付金が約16億円増収したことなどが主な要因というふうになっております。

岩崎議員:それでは、予算編成開始時の不足額200億円は、どのように捻出したのか、財政局長に伺います。

柏崎財政局長:まず、歳入面でございますけれども、当初予算編成時におきまして企業収益の回復による法人市民税の増などにより、市税が約89億円増加と見込んだほか、国の地方財政対策を踏まえまして普通交付税が40億円ほど増額で見込むことができました。また、市内中小企業の事業量確保のための財源の一部をまかなうために、財政調整基金を9億円活用することとしておりました。また、歳出面でございますけれども、外郭団体の資産活用など事業見直しの徹底によりまして80億円の財源を捻出したところでございます。
 こうしたことによりまして、先ほど委員からご指摘ありました200億円の収支不足を解消し、予算を編成したところでございます。

岩崎議員:それでは、一般会計で不用額274億円となっています。この主な要因は何か。また、不用額というのは、補正等の手続きを踏めば、市長の判断で他の重要課題に活用できると私は理解しているんですけど、これでいいかどうか、この確認も合わせて財政局長、願いします。

柏崎財政局長:まず、23年度決算における執行残額でございますけれども、主な要因といたしまして、たとえばワクチン接種緊急促進企業におきまして接種者が想定よりも少なかったことなど事業対象人員等の減によるものが、様々な事業の中で約60億円ほどございました。また、利息が想定よりも減少して公債費に余剰が出たことなど、情勢の変化等により必要がなくなったものも約50億円ほどがございます。
 二つ目のお尋ねでございますけれども、当然年度途中でその収支で財源として活用できる要因があれば、これはこれまでもあるいは最後の2月補正などにおきましても補正予算の財源として活用するというようなことは、これまでも行っております。

岩崎議員:いま、ずっと伺ってきたこれらのお金は、いずれも貴重な財源です。
 去年は震災対策に重点的に配分されたところではありますが、より効果的に防災や福祉など重要な課題に活用するためには、議会や市民の声を反映させることが必要と考えます。そういった点でこれらの財源の活用についての市長の見解を伺います。

林市長:本市では厳しい財政状況の中にあっても様々な財源確保や事業の見直しに取り組むことで、毎年度の収支不足を解消して、緊急重要な施策について当初予算編成の中で判断し、事業を進めています。また、年度途中に確保した財源については緊急的に対応が必要となった事業に関しては、スピード感をもって進めるために補正予算の中でできる限り活用を図っております。

岩崎議員:今ずっと伺ってきたことをまとめますと、一般会計予算1兆4000億円規模の横浜では、お金の出入りや資産等、きちんと管理・工夫すれば、年度途中でも大きな財源を捻出できる条件があるということ、このことを確認しておきたいと思います。

市内業者に仕事が回ってこない高速道路工事

 次に、財源の使い方、「選択と集中」についてです。
 わが党が反対している高速横浜環状道路整備事業等の国主体の事業が、事実上聖域化されています。そこで技監に伺いますが、横浜市内公共事業発注者連絡会における国等関係機関の2010年度の発注総額、わかりやすくいうと国等が行った工事の発注総額のことです。そのうち市内企業の受注額及び割合はどうなっているか、伺います。

手塚技監:国と関係機関の管内における平成22年度の発注総額は約1080億円で、そのうち市内企業の受注額は約37億円であり、割合は約3.4%でございました。この結果を踏まえまして、発注者連絡会などを通して国等に働きかけを行ってきた結果、横浜国道事務所で地元企業の受注機会拡大に資する工事の発注方式を実施するなど、取り組みの成果も現れ始めております。今後も横浜環状道路北西線等の大規模な事業が継続するため、引き続き市内企業の受注機会が確保できるよう、国や関係機関に強く働きかけていきたいというふうに考えております。

岩崎議員:一方、2010年度本市発注工事の発注金額及び市内企業の受注金額と割合について、財政局長に伺います。

柏崎財政局長:22年度におきます本市の工事の発注金額は、単独随意契約と大規模契約を除きまして約912億円となっております。このうち市内企業が受注した金額は約742億円で、割合は81.4%ということになります。

岩崎議員:次に、横浜環状北線工事における市内企業の受注状況はどうか、道路局長に伺います。

友田道路局長:北線の事業に伴いまして首都高速道路株式会社が22年度に発注した工事の総額は約294億円で、そのうち市内企業の受注額は約2億円となって、割合は約0.6%となっております。なお、下請けといたしましては、現在契約中の工事も含め延80社以上の市内業者が参加をしております。

岩崎議員:国等の工事は、ほとんど市内企業には回ってこない。一方、市の発注する工事は、そのほとんどが市内企業で受けてもらっているということが、非常にはっきりしました。この事態がはっきりしたのは、今回、中小企業振興基本条例に基づいて報告がされ、実態が見えるようになったわけです。そういう点で、わかるようになったということは大変いいことで、評価したいというふうに思います。
 そこで、技監につづいて伺いますが、首都高の工事では市内企業はほとんど受注できていないということがいま、わかりました。なぜそうなるのかということの実態と理由をお示しください。

手塚技監:やはり、首都高速道路公団が行う事業は工事の規模が非常に大きくて、高度の技術力が必要なものが多いということがございまして、大手企業が落札するケースが多いということを、首都高速道路株式会社の方から伺っております。

岩崎議員:その説明は全然納得できませんね。そんなの、どんな大きな工事だっていろんな仕事があるんですよ。分割発注すればどうにでもなる話なんです。だから、これは努力が足りないと。
 そうなんです。国なんですよ、問題は。だから、横環事業には巨額の市費が投じられているわけですよ。それが市内に回ってこないなんていうのはとんでもないことですよ。由々しき事態だと思うんですよ。だから、いま先ほど技監が答弁されましたけれども、国に改善を求めておられるようですから、それはいいと思うんです。どんどん改善申し入れたらいいと思うんですよ。特に、首都高に対して、本市の中小企業振興基本条例に基づいて、こんなことじゃだめだと、ちゃんとやってくれということを、抜本的是正を求める必要があると思うんだけども、どうします。

手塚技監:先生ご指摘のとおり、すでに6月に私が首都高速道路株式会社の担当役員と会いまして、発注方法の改善を申し入れております。具体的には、一つ目として分離分割の発注を推進すること、二つ目として国が試行実施している地元企業活用型の総合評価落札方式を採用すること、それから三つ目といたしまして本市が実施している技術習得型共同企業体方式を採用することということなどを申し入れております。この要請は、7月に国の制度および予算に関する提案・要望でも、国からも関係機関に働きかけるよう要望しております。今後も機会あれば国や首都高速道路株式会社に出向いていきまして強く要望していきたいというふうに思っております。

岩崎議員:国主体の事業でわずか3.4%、それで首都高に至っては0.6%という、とんでもない事態ですよ、これは。だから、よほどはっきりと要求してくれないとこれは困ると。これは市民の立場から言っておきます。
 これで見ればわかるように、市が発注しているような生活と密着な事業と、それから国主導の大型公共事業が市内経済に果たしている役割っていう点では、もうはっきりしていると思うんですよ。そこをしっかりみておく必要があると思うんです。
 高速道路については、さらなる建設が必要なのかどうか。防災上、本当に最優先すべき事業なのかどうか、原点に返って検証する時だと思います。国際化、都市間競争を理由に国が主導する地元に役立たない大型公共事業への「選択と集中」は、根本的に見直すべきだと思います。
 ここは、市長に伺います。「選択と集中」というのであれば、生活基盤の再構築・整備にこそ行うべきと思いますが、どうお考えでしょうか、市長に伺います。

林市長:横浜環状道路や港湾などの経済活動を支える都市基盤の整備については、市内経済の活性化のために必要な施策であると考えています。
 また、市民生活の安全・安心につながる施策についても、優先度の高い施策として位置付けてきました。厳しい経済財政状況にあるからこそ、これまで以上にしっかりと現場の声や社会経済状況の把握に努めまして、選択と集中によって真に必要なところに財政を投入していくことが大切であるというふうに考えています。

福祉施策の精神を象徴する福祉パスの値上げは絶対に行うべきではない

岩崎議員:本市は、厳しい財政を理由に、敬老パスの値上げや保育料値上げなど、負担増を市民に求めました。中学校給食や小児医療費無料化年齢引き上げなどは見送っています。その上、来年度、福祉パス有料化を検討しています。とんでもないと思います。
 敬老パスの値上げで、1億8000万円増収と聞いていますけれども、福祉パス有料化検討で予定している増収額はいくらですか。健康福祉局長に伺います。

岡田健康福祉局長:現在お示ししている見直し案では、利用者負担額を一律3200円としております。交付対象者数を約5万人と推計しておりますので、歳入は約1億6000万円というふうに見込んでおります。

岩崎議員:「決算黒字57億円」、「不用額274億円」、「予算編成時充当額200億円」等、大きな財源を実際にはこういうやり方でやりくりしているではありませんか。
 わずか1億6000万円で無料を継続できるのです。福祉パスの有料化は絶対に行うべきではありません。
 「作業所で月8000円から9000円もらうのが励みで毎日通っている。年額とはいえ一度に3200円は払えない。福祉パスは無料のまま続けてほしい」「市長さんは、障害者の生活実態を本当に知っているだろうか」など、私は、障害者団体の代表者のみなさんからも、何人もの障害者の方からも、このような声を直接聞いています。市長もきっといろいろお聞きだと思います。
 福祉パスは、本市の福祉施策の精神を象徴するような大事な制度です。有料化は市民の理解を得ることはできません。市長の姿勢が問われます。福祉パスの無料を継続することを強く求めておきます。

防災の取り組みは「人命被害ゼロ」を目標に

 次に、防災計画の見直しについて伺います。
 震災対策編の修正素案が示されました。これは、関係者のみなさんの努力がうかがえる内容であり、評価するものです。引き続き、策定に向け尽力していただきたいと思います。よろしくお願いします。
 まず、市長の認識をお聞きしますけれども、災害対策基本法や横浜市震災対策条例に照らせば、防災計画の目標は「人命被害ゼロ」であることは明瞭です。本市はこの目標をしっかり掲げるべきと考えますが、市長の認識、決意を伺います。

林市長:防災計画は本市の防災に関する基本的な姿勢を示すものであり、現行計画でも「人命被害も含めて被害を出さない地域・社会の実現」を目標としておりますが、修正計画においても同様に被害を出さないということを目指していきます。
 一方、現在、被害想定の検討を行っていますが、これは現状において大地震が発生した場合の被害を予測するもので、確定しましたら一定期間の間に到達可能な減災目標を定め、それを達成するためのアクションプランを作成します。

岩崎議員:防災の取り組みの目標ですよね、何を目標にこれをやるのかということについて、私は「人命被害ゼロ」ということをいっているんですけど。この「人命被害ゼロ」っていうことをはっきり掲げると、それを目標にするということについての市長の決意っていうのはどういうことになるんでしょうか。

林市長:先生のさらなるお問い合わせでございますが、現行計画でも人命被害も含めて被害を出さない地域・社会の実現を目標としているわけでございます。修正計画においても同様に被害を出さないということを目指してまいります。
防災計画の実行計画はアクションプランで具体化
岩崎議員:次に、修正素案は減災目標の達成に向け5年から10年の計画期間を設定しています。こういう期間を設定していますから、実行計画のような具体化が必要だと思うんですけど、どのように取り組もうとしているのか、危機管理監に伺います。

立花危機管理監:まず減災目標を設定したあとに、庁内横断的なプロジェクトを作りまして、人的・物的被害を軽減する効果などの観点から、各区局が行う地震防災に関するいろんな施策の優先順位付というのを行ってまいります。
 その上で、たとえばすぐにやらなければいけないこと、あるいは5年後、それから10年後、そういったいろんな期間を見据えながら、プランを作ってアクションプランとしてまとめていきたい、このように思っております。

岩崎議員:ぜひ、しっかりした計画を作っていただくようお願いします。

横浜駅周辺地下街に海抜標示と緊急情報伝達システムを

 次に、海水面の下にある横浜駅周辺地下街に海抜標示が設置されていません。地下街全体に、緊急情報を瞬時に伝える本市独自の設備が未だに設置されていません。加えて、横浜駅西口地上部に海抜標示が見当りません。
 横浜駅周辺地域の災害危険性についての認識が、当局に欠如しているんじゃないかと思います。直ちに設置すべきだと思うんですけど、危機管理監の認識を伺います。

立花危機管理監:横浜駅の周辺の地下街は、その全域が海面より低い場所であります。発災時にはとにかく近くの地上に上がっていただくということが大事だと考えておりますので、深さが何メートルの地下の場所にいるかということはさほど問題ではないのではないかというふうに考えております。
 また、地下街への情報伝達につきましては、本市からJR横浜駅の駅事務所へ情報提供して、そこから西口・東口の各防災センターに連絡をして、館内放送を行う。そのことで買い物などにこられた方々に情報を伝えて、従業員が避難誘導する仕組みがすでにこれは構築されております。この仕組みによりまして、火災や地震発災時に備えて、各事業所の責任において日頃から訓練を現に行っているわけであります。なお、地上におきましては、横浜駅東口とそれから西口、合計8か所程度に津波警報システムを設置する予定でおります。

岩崎議員:質問時間あんまりないんでこれで議論はできないんですけど、いまの危機管理監の発言は大問題だと私、思いますよ。みなとみらい線のホームは地下21メートルの所にあるっていうこと知っているでしょ。そんなものは知ってなかったら直ちに避難なんかできるわけないじゃないですか。これは、局別審査も含めて引き続き議論したいと思います。こんな態度じゃ、危機管理監としてはだめですよ。

しっかり財源の裏打ちをして実行性のある防災計画に

 最後に、修正素案で示された防災計画の実施には、多額の財源が必要となると思います。財源の裏付けがないと、「仏造って魂入れず」になってしまいます。そういう点で、修正計画の実行に責任を負う市長としての考え、決意を伺いたいと思います。

林市長:修正計画の実行にあたりましては、計画に盛り込んだ様々な対策をいつまでにどれだけ実施するのかを明確にするためのアクションプランを作成いたしまして、国費を積極的に導入するなど財源確保の工夫を行いながら、確実に実行する決意でございます。

岩崎議員:市長のいまの決意、しっかり実現していただきたいんですけど、人命第一ということだし、人命被害ゼロにしようということですから、その立場で徹底した立派な計画作ってもらって、しっかり財源の保障も裏打ちもしていただくことをお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。 

 


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