議会での質問(詳細)

2008年3月25日

【2008年第1回定例会】「人事議案に対する質問」 大貫 憲夫議員

(質問と答弁は次の通りです。なお、実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。)

大貫議員:日本共産党を代表して、市第158号議案 横浜市教育委員会委員の任命について中田市長に質問します。

教育長が2名任期途中で退任は尋常ではない

 まずはじめに、押尾教育長が任期途中で退任する問題です。前任者の伯井美徳(よしのり)氏についても2006年3月に任期1年を残して退任しています。押尾教育長は伯井氏の在任期間を引き継ぎ、昨年3月に市会で再任され、残りの任期は2011年まで3年間でした。任期の大半を残して退任するになります。この3年間で教育長が2名、任期途中で退任することは尋常なことではありません。押尾教育長も伯井前教育長も中田市長が人選されたと聞き及んでいます。2人とも任期を全うできず、結果的に途中で任務を放棄したことに対して、この2人の教育長を教育委員として人選し、任命した市長の責任があると考えますが、見解を伺います。

中田市長:教育委員の選任に関してのご質問をいただきました。
 まず、教育長が任期途中で退任することに関して私の責任ということですが、これはもう教育委員に限らずすべての任命ということについて、私に責任があるのは当然のことでありまして、その中において伯井前教育長については、現場主義や開かれた学校づくり、こういったことを基本理念として、本市の地域特性や学校現場の実情を踏まえたまさに様々な改革に取り組んでこられました。また、押尾教育長については、それを引き継ぐかたちで発展をさせて、横浜教育ビジョンの策定や小中一貫教育などの具体的な施策というものを推進をしてきてもらいました。おふたりとも教育に関する豊富な知識、経験というものを我々以上にある意味では有して、そして外部の視点をいかんなく発揮してもらったわけでありまして、横浜教育改革の方向付けをしていただいたものであります。
 ちなみに議員わかっておられるわけでしょうが、私が市長就任以前も、これは教育長についても在任期間2年ということはたびたびあったわけでありまして、極度の緊張感を持ちながら、本当にこれだけ大きい教育委員会を引っ張っていくということは極めて大変なことでありまして、そこに私は敬意も表したいというふうに思います。

 大貫議員:今回の辞任に対し、押尾教育長は「横浜教育ビジョン」の推進プログラムを策定したことや、小中一貫教育の取り組みに道筋がついたことなどから「一定の成果を上げた。さらなる市教委の改革は次の人にゆだねたい」として退任を決めたという報道がありました。一方で、度重なる市教委をめぐる不祥事に対する「事実上の更迭」という見方もあります。この際、何ゆえ市長は、押尾教育長の任期途中の退任を容認したのか、その理由を伺います。

中田市長:任期途中の退任を認めるということについてでありますけれども、押尾教育長には2年という期間ではありましたが、教育長としての横浜の教育改革の推進に手腕を発揮してまさにいただいたというふうに思っています。
 本人も、横浜教育ビジョン策定するということなど、教育改革の方向性ということを見定めて、そして一定の区切りということをつけた上で、考えを整理して、本人の意向を伝えてきたところでありまして、それを尊重したものであります。

教育委員会の一連の不祥事を教育長のみに責任を負わせるのか

大貫議員:今回の途中退任が、この間の小学校教諭による盗撮事件、中学校で起きた女性教員に対するセクハラ事件、文化財関係資料調査事業をめぐる文化財課の予算「架空」計上問題、市立港南台第一中学校における砲丸事故など一連の不祥事に対する引責としてするならば、押尾教育長のみに責任を負わせることは出来ません。市政の最高責任者として市長にもその責任があると考えますが、どのように責任を果たすのか。教育長に詰め腹を切らせて蓋をするようなことは許されないと考えますが、いかがでしょうか。

中田市長:教育委員会の不祥事などに関しての私の責任の果たし方でありますけれども、そもそも押尾教育長について、「更迭」とかいうのはそもそも失礼な話でありまして、私は当然ですがそういうことは全くないと明言をしておきたいというふうに思います。一人歩きの議論をするのは、人に対して失礼であります。
 不祥事に関しては、これは教育に限らず、市全体で再発防止に努めていかなければいけない課題であります。ひとたび不祥事が発生すると、やはり当然ですが、組織である以上、その組織の長という意味において、私の責任は重たいわけで、必ず問われるわけであります。私としては、不祥事を起さない職場風土をいかにつくりあげていくか、それが市政をあずかるものとして市民の信頼に応えていく、そうしたことだというふうに考えます。

人権・ジェンダー・軍隊に対して憲法否定の小浜逸郎氏は
教育委員に適当か

大貫議員:今回の議案は、退任する押尾教育長と任期満了の日浦美智江氏の教育委員の後任に、本市人事委員会事務局長の田村幸(ゆき)久(ひさ)氏と教育評論家の小浜(こはま)逸郎(いつお)氏を任命しようとするものです。田村氏は、本市教育委員会生え抜きの職員であり、「横浜教育ビジョン」策定に携わってきたことは承知しています。一方、小浜氏はこれまで本市の教育行政には何もかかわったことはなく、また今回の小浜氏の人事について、教育委員会事務局には一切の事前相談もなく、市長が人選されたと聞いていますが、市長は小浜氏とはどのようなかかわり合いをお持ちなのか、伺いたいと思います。

中田市長:小浜氏と私の関わりについてでありますが、これまで特段の接点はございません。教育委員の人選をするにあたって、多くの方に意見を求めたところ、以前から小浜氏の名前があがっておりまして、同氏がこれまで家族論、教育論など幅広く評論・執筆活動を展開をされていること、また大学で教鞭をとられるなど、理論と実践の両面から教育に携わっているということなどから、本市の教育行政に貢献していただけるものと考え、このたび人事議案として提案をさせていただいたものであります。

大貫議員:小浜氏の評論のいくつかを読ませていただきました。この際、氏の公教育等にかかわる見識に対して、市長の見解を伺いたいと思います。
 その第一は、「教育再生機構オピニオンの声」に掲載された「教育再生に向けて」と題した評論にかかわる問題です。小浜氏は、現在の小学校5年生から中学生とすることや、すべてを教科担任制にし、中学校の4年間は将来の職業選択のため、模索期間の意味を兼ねる4・4・4制にすることを主張しています。さらに、小浜氏は小中学校の公教育カリキュラムを主要教科に限定し、授業は午前中のみとし、午後からの空いた時間に多様な民間教育機関に参入してもらい、民間教育による科目は選択制にすることにより8年間で国民に必要な共通学力を効率的に教え込むとしています。これらの考えは、まさに現在の6・3・3制という教育制度そのものとのかかわりで齟齬をきたさないのか。また、こどもたちの人格形成という教育基本法の精神に照らし、問題はないのか。これらの点で市長の見解を伺います。

中田市長:小浜氏の主張と現行教育制度などとの関連についてのお尋ねでありますけれども、社会経済情勢が急速に変化をしていることはご案内のとおりでありまして、その中にあって、従来からの制度や考え方についてさまざまな角度からあり方について議論するということは、まさにいま必要なこと、意義のあることというふうに思います。従いまして、教育問題が社会的にも大きく関心を集めているわけでありますから、教育制度についても本当に多面にそして活発な議論が展開されることが必要でありまして、そこは多いに私は求めたいところであります。 
 いずれにしても、教育委員会は合議制でありまして、さまざまな考え方の委員で構成されるということによって議論が深まって、そして結果として教育の質の向上につながっていくものと考えております。

大貫議員:第二は、2005年8月号の雑誌「正論」に掲載された「中学公民教科書を読む」での「人権」、「ジェンダー」、そして「国家と安全保障」について次のように述べています。
 「人権」では、小浜氏は「たとえば、死刑囚、服役者、知的障害者、精神障害者にも普通の市民と100%同じ人権があると平板に断ずるのは実態にあわない」として、知的障害や精神障害を持っている人を死刑囚、服役者と同列に論じています。
 また、女性の年齢別就労率を示すM字曲線を例に出し、「わが国のM字曲線は、むしろ豊かな国の健全な生活者感覚の表れであり、平坦になってしまう他国の方が、出産、早期育児にも外で働かなくてはならない無理が現れているのだ」として、女性の社会進出を全面的に否定しています。
 さらに「憲法第9条の平和主義の立場に立って、世界平和に積極的に貢献をしていくことが、わたしたち日本国民に求められています」と記述した教科書に対し、「これはただの護憲スローガンであり、『9条改正に賛成』が国民世論の多数を占めているにいたっている現状を隠蔽するものだ」と9条を否定し、国軍を持つべきと主張しています。
 これらの事例は憲法を擁護し、憲法に従って行動すべき教育委員の主張として、また、本市の進める男女共同参画への施策推進に対し、市長は適切なものと考えていらっしゃるのでしょうか。見解を伺います。
 もちろん、小浜氏の思想・信条の自由は保障され、尊重されなければなりません。この際、市長が小浜氏のこれらの考え方を知っていて、横浜市の教育委員として適切だとし人選されたのか、また市長の教育にかかわる考え方とどのようにリンクするのか明らかにしていただくと同時に、知らずして人選したのならば、その人選が本市の学校教育に重大な禍根を残すものであり、その取り消しを求めて、私の質問とします。

中田市長:小浜氏の主張と教育委員としての適正ということでありますけれども、小浜氏のこれまでの活動や教育を早い時期から社会に開かれたものにしていこうと、そうした必要があるという基本的な考え方などは、私は本市教育委員にふさわしいというふうに考えております。先ほども申し上げたとおり、教育問題は今日的に大変大きな関心をよせられておりまして、これからの教育委員会に求められていることでありまして、今後教育委員会において活発な議論が展開をされることを期待をいたしております。以上であります。

扶桑社の歴史教科書を高く評価の小浜氏選任は
教育委員会への大きな干渉

(第二質問)
大貫議員:お答えありがとうございました。
 教育委員会の中で、さまざまな意見を活発に論議することは当然だというふうに思います。そのことについては私は何の異論はありません。
 ただですね、戦前の歴史の中で、軍国主義が侵略戦争を起した精神的主柱になっている、このことを考えた時に、この教育に対して政治権力がそこに関わってくる、干渉することはやはりさけなきゃいけないことだと思うんですね。その点で、今回、この地方自治体でまた同じことだと考えます。
 その点で、今回小浜氏の考え方の中で、実は特定の教科書に対して予断を持っている考えを私はみています。ただいま、これは「新ゴーマニズム宣言スペシャル戦争論」小林よしのりさんが書いた評論に対して、こういうふうに小浜氏は論評しています。「大東亜戦争」が一方的に日本の悪しき侵略とは言い切れない面を持つ」、もうひとつ「日本以外のどの民族も残虐さや差別意識において優るとも劣らないこと、日本軍の蛮行を証拠立てる「写真」の多くが出所の怪しい代物である」と、こういうふうに言って、さらには中学校の公民教科書に対する彼の評論の中でも、あの扶桑社の歴史に対する教科書に対して高い評価を与えている、こういう予断をもって、特定の教科書を選定するという予断を持った方が、教育委員として選任されることは、やはり権力なり、また市長の持っている考え方で、教育委員会に対するひとつの大きな干渉だというふうに思います。
 その点でも、今回の小浜氏の教育委員の選任については、みなさんの同意を得ていただいて、これを反対をしていただきたいと思います。以上です。ありがとうございました。

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