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「こんにちは横浜市議団です」11.07号  

横浜市教育委員会編集 ・中学生用副読本「わかるヨコハマ」
「朝鮮人虐殺」は歴史的事実、再改訂は必要なし

 今春、中学1年生に配布された副読本「わかるヨコハマ」2012年度版の改定を巡って、問題が起きています。

産経新聞が問題視
 横浜市教委は、「わかるヨコハマ」の関東大震災の記述について、2011年度までは「自衛団の中に朝鮮人を殺害する行為に走るものがいた」としていたものを、2012年度では「朝鮮人に対する迫害と虐殺を行い」「朝鮮人や中国人が虐殺される事件が起きた」と改訂しました。

 

 これについて、6月25日付産経新聞が「横浜市教委 書き換え」というタイトルの記事で、ノンフィクション作家の工藤美代子氏を登場させて、「議論のある」部分にもかかわらず、改訂したと批判したのが、問題の始まりです。

教育長「誤解を招く部分がある」
 7月19日に開かれた市議会のこども青少年・教育常任委員会で、自民党議員がこの記事を取り上げ、「虐殺」という表現は問題だと市当局を追求。山田巧教育長は、改訂の手続きに問題があり、内容にも誤解を招く部分があると、来年度版で「虐殺を殺害にもどすなど」再改訂するなどと答弁しました。

「朝鮮人虐殺」は歴史的認識
 「虐殺」とは、「むごい方法で殺すこと」(岩波国語辞典)です。関東大震災時に、東京・神奈川を始め関東各地で朝鮮人や中国人、社会主義者や労働運動指導者などが虐殺されたことは、膨大な証言と研究で明らかになっています。わが国の代表的な辞典類でも、「朝鮮人虐殺事件」の名称を使って、「朝鮮人と見ると迫害、虐殺した」(世界大百科辞典、平凡社)、「全国で数千人に及ぶ朝鮮人を虐殺した」(日本国語大辞典、小学館)、「数千人の朝鮮人が虐殺された」(広辞苑、岩波書店)、「全国で6000余人の朝鮮人を虐殺」(角川日本史辞典、角川書店)と書かれています。
 元横浜市立中学校教員の神谷幸男氏は、週刊新聞「新かながわ」で、軍隊や警察による虐殺の記録や証言が明らかな東京方面などと違って横浜ではそのような記録はないが、多くの証言があり、「この点で今年度の改訂は実態に即していると思われる」と述べています。

再改訂不要と大学教授などが市教委に要請
 歴史を研究する大学教授など山田昭次立教大学名誉教授ら30人は10月31日、横浜市教委に要請文を提出し、「『虐殺』を『殺害』に書き換えるなどの再改訂は、中学生の正確な歴史の理解を妨げるだけではく、犠牲者にかかわりをもつ人びとを傷つける行為」として、再改訂を行わないよう要請しました。要請書では、今年度版の記述はすでに実証され定説となっており、「わかるヨコハマ」の今年度の記述はより正確な記述を行ったものと評価しています。

市教委職員が懲戒処分など
 「わかるヨコハマ」は、郷土横浜の歴史・自然・社会などについての副読本で、横浜について学ぶ際の補助的資料として活用され、毎年、必要に応じて改訂されています(市教委HPより)。
 市教委は、今年度の改訂にあたって、指導部指導企画課長を教育長の決済を得ていなかったとして戒告処分に、また局長級職員ら3名を文書訓戒などの処分に処しました。市教委によると、副読本の改訂にあたっては複数で議論・検討しており、従来は文書決済は行われておらず、今回の処分は異例とのことです。
 自民党議員は決算特別委員会で「戒告では甘い」と追求、ヨコハマ会の議員も同調しました。

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「こんにちは横浜市議団です」2012年11月07日(PDF版)(2面もあります)