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横浜市立図書館への指定管理者制度導入計画についての見解

2008年4月24日
日本共産党横浜市会議員団
団 長  大 貫 憲 夫

 横浜市は、2009年度から市立図書館の一部に指定管理者制度を導入する方針を打ち出し、第2回市会定例会に関係条例の改正案を提出する予定です。また、同制度が導入されない図書館についても、2012年度までに窓口業務を民間委託する計画です。日本共産党横浜市会議員団は、図書館の持つ大切な役割や意義を考えた場合、以下に述べる理由から、図書館への指定管理者制度の導入に反対です。

 反対理由の第1は、図書館に指定管理者制度はなじまないということです。図書館には、図書等を収集・保有して市民の利用に供するだけではなく、教育機関としての位置づけや、他の図書館との連携・協力などの役割があり、これらを持続的発展的に行うことが求められています。期間を区切って運営管理を行う指定管理者制度が、これらの事業を行うのに適しているとは考えられません。
 また、図書館法は「公立図書館は入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」と定めています。(社)日本図書館協会は、この「無料の原則」から「公立図書館に指定管理者制度を適用することには制度的な矛盾がある」と指摘しており、まさにそのとおりと考えます。
 さらに、指定管理者制度では司書職員を継続して雇用することが難しく、司書職員の育成、業務の継続・伝承ができなくなり、不安定雇用を生み出すことにもなります。「横浜の図書館の発展を願う会」から市会に提出された陳情でも、この点を指摘しています。
 指定管理者などに大型書店や物流会社、人材派遣会社などを想定していると新聞報道されていますが、重要な図書館業務である図書館間の連携・協力、学校や地域への出張サービスや読書普及活動、地域資料の発掘・収集などを、営利を目的とする民間企業が行うことが適切か、公正公平かつ効果的に行うことができるか、はなはだ疑問です。

 反対理由の第2は、指定管理者制度の導入は経費削減以外のなにものでもないことです。計画案が職員・嘱託員を削減し、運営経費の削減を図るためのものであることは、市も認めるところです。計画案では、土日祝日などの閉館時間の延長やこどもの読書活動の推進などの新たなサービスの取り組みをあげていますが、これらは直営でもできることです。

 反対理由の第3は、十分な検討がされないまま指定管理者制度を導入しようとしていることです。「横浜市立図書館のあり方懇談会」が6回の検討後にまとめた報告書でも、「管理運営手法としては、先行して指定管理者制度や外部委託を導入している他都市の状況を踏まえ、具体的な数値やメリット・デメリットを比較検討する必要がある」としています。市は、専門性が継続できないとして市直営に戻した島根県安来市や、導入計画反対の市民運動が大きく広がって導入提案を撤回した堺市などの例を十分に検討すべきです。

 日本共産党横浜市会議員団は、市民や関係者から寄せられている「専門職不在によるサービスや長期的・計画的な蔵書管理機能の低下への懸念」などの声にこたえるためにも、横浜市立図書館への指定管理者制度導入計画撤回に向けて、全力をあげるものです。