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■「横浜市会政務調査費の交付に関する条例の一部改正」に対する反対討論 あらき由美子議員(2013.02.27)

私は、日本共産党を代表して、今回議員提案された議第13号議案「政務活動条例」について討論いたします。
政務調査費については、議会活動に不可欠です。これまで日本共産党市会議員団としては、市民アンケートの実施、自然エネルギーの実態を知るための市外視察、東日本大震災後のがれき処理状況と復興事業の被災地視察、議会ごとに発行している市政新聞などに活用しています。また、その使途については、領収書に加えて、使途明細や成果物を自主的に公開してきました。もともと高額な報酬に加えて一人当たり月額55万円という政務調査費の支給をうける横浜の議員は、特にその使途はより適正に努めなければならないところです。

「その他の活動」に使途を広げていいのか
今回の条例改正の一番の問題は、昨年9月5日に公布された地方自治法改正に伴って、現行の政務調査費を政務活動費に改め、「市会議員の調査研究に資する」から「市会議員の調査研究その他の活動に資する」と使途の拡大を可能にしたことです。
政務活動条例制定について、「政務活動の原資は、市民の貴重な税金である。議会を長年にわたり監視してきた市民団体からは『およそ議員の調査研究と関係のない不適切な支出が増える恐れがある』などと、懸念の声があがっている。市民から不信感を持たれるような状況は避けなければならない。地方議員の一人一人に、『その他の活動』を支出の『抜け道』としないように強く求めたい」との報道もされましたが、世論の大勢を代表した声ではないでしょうか。
わが党は、政務調査の使途については現行の範囲が適切という考えです。住民への公開については、領収書だけでなく、その使途が具体的にわかる資料も対象にすべきで、制度化を議長に求めているところです。
条例制定について、先の市民団体から昨年の12月26日に「政務活動費条例改正を拙速に行わないことを求める声明」が都道府県議会議長、政令市議会議長、中核市議会議長あてに届けられています。そこでは、「その他の活動」に何を使途に加えるべきかは慎重な検討を要するはずであって、政務調査費の使途に対する市民の厳しい評価に鑑みれば、法が定める3月1日までに短期間で決定できるものではないはず」です。また、条例改正を名称変更にとどめ、その他の活動に何を含めるかは今後1年かけて決定することを定めた宇都宮市議会に関して、使途基準の変更については、1年にこだわらず、今後条例改正のための情報をできるだけ透明化し、市民の意見を取り入れる作業を行ったうえで慎重に決めるべきと主張しています。

市民の合意と納得を得ることが必要
横浜市議会においても、今回、条例改正で対象を広げるにしても、慎重でなければなりません。広げることへの市民の合意と納得をえることが絶対必要です。
条例案は、政務活動費の使途基準は別表に示しています。この別表が問題です。具体的には、研修費では、これまでの「市政に関する」がはずれて、どの分野の研修会でもよいとしていること。広報費、公聴費では、議員活動が新たに加わり、いわゆる議員の市政と係わりのない地域での諸活動にまで使途をひろげていること。人件費にいたっては、議員活動補助員への賃金等として議員秘書の雇用までも可能としている点などです。
政党活動、選挙活動、後援会活動または私人としての活動に要する経費に充てることができないとあり、会派または議員は、政務活動費を適正に使用しなければならないと条例案では明記しています。しかし、適正に使用しているかどうかの判断は最終的には会派または議員にゆだねられ、客観的な判断をする手だてがありません。
このように法改正に沿った改正とはいえ、現行の規定を大きくこえて税金が使われる恐れのある条例は、到底市民の理解は得られないものです。

名称変更にとどめ、時間をかけて内容の検討を
今回のように、27日上程27日に即決というスケジュールでは市民不在のままで、この手続のあり方そのものに無理があります。条例案の事前の公表、パブリックコメントの実施、公聴会など市民に開かれた議論が必要なのに、それがありません。市民に開かれた議論もなく、議会が自らの税支出に係る使途の拡大を決めるという姿勢では、議会の信頼・信用を失墜させるだけです。
法により3月1日まで条例制定という期限は厳守しなくてはなりませんが、改定は政務活動費という名称変更にとどめ、宇都宮市議会や東京都議会のように、「その他の活動」に何を含めるか、今後時間をかけて決定すべきです。また、この際、月額55万円という金額についてもその適正さについて市民討議に付すべきことも同時並行的に行うことが必要です。
以上の理由により、同案には賛成できないことを表明し、討論と致します。