議会での質問・討論(詳細)
2013年3月8日

■2013年度予算特別委員会「建築局」古谷やすひこ議員(2013.03.11)

応募倍率15~20倍の市営住宅を増やせ

古谷議員:日本共産党を代表して質問します。
はじめに、本市の住宅施策全般について伺います。住のセーフティーネットという観点で、本市の施策が必要な人に必要な施策が届いているのかということをいくつか伺いたいと思います。
はじめに、住のセーフティーネットという観点で、建築局が果たすべき役割は何か、伺います。

坂和建築局長:住宅は市民にとって欠くことのできない生活の基盤だと思っています。横浜市ではその多くが民間の住宅市場を通じて供給され、その中から市民は生活に適した住宅を選択し、住生活を営んでいます。しかし、経済的理由などから住宅を確保することが困難な方、また所得、家族構成、身体の状況に適した住宅を確保できるよう、そういう方に対して様々な仕組みが準備されていく必要が考えています。
建築局は、市営住宅を始めとして多様な住宅を供給しており、重要な役割を担っていると認識しております。

古谷議員:2007年7月に施行された、いわゆる「住宅セーフティーネット法」で示されている「住宅確保要配慮者」とはどういう人をさすのか、伺います。

秋山住宅部長:「住宅確保要配慮者」とは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを育成する家庭、その他住宅の確保に特に配慮を要する者をいいます。

古谷議員:その「住宅確保要配慮者」のうち、「低額所得者」に対する配慮を本市ではどう具体化されているのか、伺います。

坂和建築局長:市営住宅を供給する取り組みに加えまして、民間住宅を活用し、低所得の高齢者や子育て世帯向けに、家賃補助付きの賃貸住宅等の公的住宅を供給しています。また、民間賃貸住宅への入居支援や公的住宅に関する情報提供を行うなど、総合的に住宅セーフティーネットの政策を進めています。

古谷議員:局長、いまおっしゃられた施策全体はニーズに対して足りていると、認識ですか。

坂和建築局長:本格的な施策である市営住宅については、これまでも土地取得による新規供給や木造市営住宅の老朽化したものの建て替えなどを進めてまいりました。また、市が直接建設する手法だけでなく、民間賃貸住宅を借り上げる取り組みなども行っています。これらにより、市営住宅の戸数につきましては、市内の県営住宅約1万7000戸を含め、一定規模のストック数が供給されていると認識しております。

古谷議員:いまおっしゃられた市営住宅っていうのは、いま本市の中で果たす役割っていうのは何ですか。

坂和建築局長:ただいま申し上げましたとおり、住宅セーフティーネットの根幹的な施策であると考えております。

古谷議員:そしたら、市営住宅のいまの倍率についてどう評価されているか、伺います。

坂和建築局長:まず近年応募倍率は15倍から20倍の応募倍率で推移しております。市営住宅の市民のニーズの高さっていうのは、私は認識していると思います。引き続き、既存ストックの長寿命化を図りながら、合わせて適切な入居者管理等を進めることで住宅に困窮する方々に対応していきたいと考えております。

古谷議員:適切な入居者管理でいま必要とされているものに対してニーズが足りているという認識なんですか、伺います。

坂和建築局長:応募倍率は15倍20倍、また民間マンションでも倍率15倍、20倍っていうところもございますが、市営住宅というセーフティーネットの中で15倍20倍っていうことは、大変大きな課題だと考えております。先ほど申し上げましたように、県営住宅1万7000戸を加えまして一定の規模のストックは横浜市は保有しているものと考えております。

古谷議員:一定のストックを保有していて、この倍率というのは、どういうふうに解消しようと思ってますか。

坂和建築局長:先ほども申し上げましたが、引き続き既存ストックの長寿命化を図り、合わせて適切な入居者管理等を進めることで住宅に困窮する方々に対応していきたいと考えております。

古谷議員:市営住宅を整備しないというふうに決めたのは、何が一番の要因ですか、伺います。

坂和建築局長:市営住宅の建設は22年で、いま25年ですから3年前で、建設自体を終わっております、新規のもの、建て替えも含めて。その当時決めた要因なんですが、市営住宅の新規供給からストックの活用に転換したということですが、まずは一定規模の住宅ストック数が供給されたということ、2つ目が木造等の老朽化した住宅、これ建て替え倍率が相当高くて、建て替えることによって供給戸数がぐっと増えたものでございますが、計画されてたものの建て替えがすべて完了したと、それから財政状況等のものがあるということが要因です。

古谷議員:計画がされたものが終わったということですが、いまのニーズ、先ほどの倍率とくらべて足りているという認識ですか。

坂和建築局長:木造住宅については、あるいは老朽化した中古対策住宅、十日市場なんかありましたけれども、そういうものを、建て替え対象団地として計画してたものがすべて取り込むことによって、建て替えは終了したという意味で、足りてるかどうかという評価につきましては、一定規模の住宅ストックが確保されているものと認識しております。

古谷議員:住のセーフティーネットと、先ほど聞いたんですが、市営住宅整備ゼロという方針から、ぜひ転換するべきだというふうに要望しておきます。

市営住宅のエレベーター設置を急げ

本市の定めている住生活基本計画の中では、「バリアフリー化された誰もが住みやすい住宅が求められている」というふうに書かれています。これをどう具体化していくのか、伺います。特に、なかなか進んでいない5階以上のエレベーター未設置のところを速やかに進めるべきではないかと思いますが、局長の見解、伺います。

坂和建築局長:高齢化の進展や生活様式の多様化など社会環境が大きく変化する中で、いま先生言われたように、バリアフリー化された住宅が求められているという認識がございます。昨年12月には、横浜市福祉のまちづくり条例を改正し、新たに床面積2000平米以上の共同住宅を、バリアフリー化の義務化の対象といたしました。これ、条例を変更いたしました。合わせて、民間住宅へのバリアフリー化支援を行うなど、総合的に施策を進めることで、誰もが安心して住める住宅整備を誘導しています。
また、いま市営住宅についてもということで言われましたので、エレベーター設置等のバリアフリー化も合わせて推進しております。

古谷議員:市営住宅こそ、率先してバリアフリー化を進めるべきだと思いますが、いかがですか。

坂和建築局長:市営住宅入居者というのは一般の市民の方にくらべて、やはり高齢化が進んでいるということで、バリアフリー化っていうのは大きな課題だと考えています。その具体的な対応といたしまして、特に昭和40年代、ですからもう築50年位経ちますか、4・50年経つものについては、大規模団地を対象にエレベーター設置を優先して、いま進めております。25年度予算編成では、24年度予算の1.6倍で、480戸に対して48機のエレベーターを設置する計画としています。厳しい財政状況ですが、速やかに事業を進めていきたいと考えております。

古谷議員:いま、局長もおっしゃられたように、市営住宅入居者の高齢化が非常に進んでいると認識なので、早く対策をとっていただきたいというふうに要望しておきます。

子育て世帯向けの地域優良賃貸住宅事業を進めよ

続いて、若い世代に横浜で子育てして住み続けてもらうと、また若い子育て世代を横浜に呼び込むインセンティブとして、「子育て世帯向けの地域優良賃貸住宅事業」、これ大変重要な施策だと考えてます。しかしながら、いま中期計画で掲げられている目標の半分の100戸の供給を予定して、実際は80戸の供給。そして80戸に対して現在成約数は13戸。これ、なかなか進まないことについて、局長の認識、伺います。

坂和建築局長:制度が進まない原因といたしましては、民間住宅事業者から十分な数の住居の提供が得られなかったことが大きかったと思います。また、新規事業であるため、関係区局の協力を得ながら広報に取り組んでまいりましたが、結果をみると十分に周知されていなかったと、特に子育て世帯をターゲットにした周知が図られてなかったことが原因だと考えています。いま、先生おっしゃいましたけど、24年度は80戸を認定し、1月の入居募集では88世帯から応募があり、平均倍率は0.6倍という状況でございます。

古谷議員:先ほどは追及だったんですけど、ここはぜひ進めていただきたいということで質問します。
この事業を進めるために何が必要だと考えていますか。

坂和建築局長:先ほども申し上げましたが、制度を進めるためには民間住宅事業者の提案住戸を喚起して行くことに加え、子育て世帯を中心にさまざまな方法を用いて周知を図っていく必要があると考えております。

古谷議員:重ねて、この施策は本市の重要施策、横浜市の大きな売りになるものだというふうに認識しております。さらに拡充して、どんどん広報も進めていただきたいと要望しておきます。

木造住宅耐震化の目標達成に向けて具体的戦略を

次に、木造住宅耐震改修促進事業について、伺います。
本事業は、何を目標にして進めている事業なのか、伺います。

坂和建築局長:すいません、先ほどの子育て住宅で、1月の入居者募集で88世帯と私言ったということですけど、48世帯です。訂正お願いします。
木造住宅の耐震改修事業の件なんですが、住宅の耐震化につきましては、18年度に作成した耐震改修促進計画により、木造住宅とマンションを合わせまして、27年度までに耐震化率が90%になることを目標に、事業を進めております。

古谷議員:いま、東日本大震災をふまえて、ニーズが非常に高まっていると、新聞記事も出てました。来年度の計画はなぜ今年度予算プラス補正という実績ベースにとどめたのか、伺います。

坂和建築局長:実は本年度も、ちょうど2年前に東日本大震災がございまして、それを踏まえて、多くの応募がございました。これで、本年度も補正というかたちでやりました。それで、その実績をみて、それを踏まえて本年度予算ということで作成したものでございます。

古谷議員:なぜ、実績ベースでとどめたのかと伺ったんですが。

坂和建築局長:実績をみて、昨年度急激に増えましたので、その実績をみて、本年度も予算編成をいたしました。

古谷議員:先ほどたずねた住宅耐震改修促進計画と、いま本市で作成されております横浜市地震防災戦略概要で、住宅の耐震化率95%の指標が示されていますが、どちらがそれぞれの目標の中で高い目標なのか、あるいは優先される上位目標っていうのはどちらなのか、伺います。

坂和建築局長:耐震改修促進計画については、平成18年から27年度までの10年間で耐震化率90%を目標としております。また、いま言われました横浜市地震防災戦略は、東日本大震災を踏まえ、平成25年から34年、今年からですね、34年までの10年間を期間とし、住宅の耐震化率の95%を目標としています。目標の高さはどちらが高いのかというお話ですが、今後10年間の市民の方の危機意識の継続性だとか、住宅需要等を踏まえた建て替えや新築の進捗、さらには経済的な側面もありますので、単純に10年先の目標と2年先の目標を比較するのはできないという状況です。また、両目標の優先度ということですが、いずれも市民の命を守る減災防災の観点から需要な本市の計画でありますので、各々の計画目標の達成に向け取り組んでまいります。

古谷議員:市の地震防災戦略は、建築局として具体化する計画に当たらないということなのでしょうか。

坂和建築局長:市の防災戦略につきましては建築局だけじゃなくて、全市一丸となって取り組むべき課題だと考えております。

古谷議員:耐震化率のところは建築局に少なくとも関わるところだと思うんですが、いかがですか。

坂和建築局長:地震防災について、私ども大きな役割を担っておりまして、その耐震化率も私どもの役割だと思っております。

古谷議員:ぜひ、防災戦略で示されている目標を達成するために、建築局で具体化してもらいたいというふうに思います。

地震による倒壊での死亡数を限りなくゼロにするために

続けて、横浜市地震防災戦略概要で示されている住宅の耐震化率、34年度で95%と先ほど申したんですが、いまから10%上げる施策を具体化していかなければならないというわけですが、仮に来年度予算案で示されている耐震化施策を基本にした場合、耐震化率95%を達成するのは、いつごろだと想定されていますか、伺います。

坂和建築局長:10年間の計画でございますので、目標の34年までには達成していきたいと考えております。

古谷議員:倒壊の死者数については、できるだけ建築局としてはゼロに向かっていくという必要があるというふう思いますが、これからどう具体化していくのか、伺います。

坂和建築局長:地震による建物崩壊で亡くなる方を一人でもなくしていくということは、私どもの取り組むべき重点課題だと考えています。そのために、建物耐震化とともに、たとえ建物が仮に倒壊したとしても、命が守られるような防災ベッドや耐震シェルターの設置推進などを図っていくことが大変重要かと思っております。また、それに取り組んで参ります。

古谷議員:副市長、いま明らかに直下型地震が来た場合に、倒壊する可能性が高い住戸があるというふうにわかっているわけですが、対策のテンポ、上げる必要ないですか、伺います。

鈴木隆副市長:まさに、いま防災戦略の中で、そういった対策について議論をしているところでございますし、我々もこれから力を入れて全力で取り組んでまいります。

古谷議員:ぜひ本事業を積極的に推進していただきたいと重ねて要望しておきます。

震災ガレキのアスベスト対策の具体化を

最後に、震災ガレキが発生した際のアスベスト対策について、伺います。
新聞報道などで、阪神淡路大震災でボランティアをされた方が、いまじん肺を発症して苦しんでいる方もいらっしゃると聞いています。首都圏直下型地震が発生した場合、多くの建物が倒壊して、多くのアスベストが飛散する可能性があります。それによって健康被害の影響を少しでも低減させるための対策、検討する必要があると思いますが、どうか伺います。

坂和建築局長:平時より日頃から建築物のアスベストの使用実態を十分把握し、吹付けアスベストの除去などの対策を着実に進めることが、まずは重要だと考えています。また、建設関係業界においては、建築物の解体時におけるアスベスト対策に取り組んでおられますが、震災時にもこうした取り組みが確実に行われるよう、関係局とも連携し、業界団体への要請や情報提供に努めてまいりたいと考えております。

古谷議員:ぜひ、この問題は予想される被害だということですから、ぜひ対策を具体的に検討していただきたいと要望して、質問を終えます。


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