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■「一般会計予算案組み替え動議」 大貫憲夫議員(2013.3.26)

「発想の転換」で「選択と集中」する中身を変えよ

私は日本共産党を代表して、2013年度横浜市一般会計予算案の組み替え動議の趣旨説明をいたします。
今年度、2012年度同様2013年度予算案においても、公債費や生活保護費、高齢化社会を支える扶助費など義務的経費が増え、政策的一般財源が縮小し、何を予算上の政策的優先課題にするかが問われています。
わが党は昨年8月、2013年度予算編成に当たっての申し入れを行いました。それは、基本的には予算編成における「発想の転換」を求めるものです。
これまで本市は、「選択と集中」という手法で財源をかき集め、「将来への投資」として、厳しい財政下でも高速横浜環状道路整備、南本牧をはじめとする国際コンテナ戦略港湾整備、さらには大企業やグローバル企業誘致などによる国際戦略都市づくりに優先的に予算をつけてきました。そのことが本市の経済成長につながり、ひいては市民生活を豊かにするというものです。しかし、わが国内外の今後の経済構造の変化、少子高齢社会、人口減少といった時代の潮流を見据えたとき、この基本的スタンスを転換しなければなりません。福祉や教育、防災対策など市民生活を充実させるための予算に「選択と集中」し、これらに予算を優先的に投入することによって、結果的に市内の雇用と需要を喚起し、持続的な市内経済の安定的発展や豊かな地域社会を作り上げるという「発想の転換」が求められているのです。
今回の動議は、その立場に立ち、将来への投資として子育てや教育に優先的に予算をつけることによって、安心して生活をできる横浜を実現させ、生産年齢人口を増やしかつ定着させるために、より緊急的課題に絞って提案するものです。

遅れている子育て・教育環境を整えよ
横浜市では現在、30代から40代の子育て世代が市外流出しています。その主要な原因は、本市の子育て・教育環境の現状が他都市と比べて大きく立ち遅れていることであり、その打開は急務となっています。
まず、市立中学校給食の未実施・未検討の問題です。中学校給食は全国の約8割の自治体ですでに実施されています。未実施だった自治体でもこの数年で検討や導入が進んでおり、相模原市が旧市域で2011年10月から、大阪市が2012年9月から中学校給食を導入し、神戸市でも実施に向け具体的検討を開始しています。これで、中学校での完全給食の実施計画がない政令市は横浜市、堺市、川崎市の3市だけになりました。
神戸市では当初、本市と同様に中学校の昼食のあり方の検討を進めてきました。しかし、検討を進めれば進めるほど、「給食の実施が望ましい」という結論に至りました。中学校給食を「実施する」「実施しない」の議論は、全国的には決着がついています。時代にひと回りもふた回りも遅れている本市の事態を解決しなければなりません。
次は、35人以下学級と小児医療費助成の対象年齢拡大についてです。教育長は先の予算特別委員会で、わが党の古谷委員の質問に対し、「35人以下学級はきめ細かな教育の実現といったもので、結果として子どもをみる機会が増え、様々な発見ができるといった認識をしている」とその有用性を認めています。しかし、人件費の財源の確保などの点でその拡充を否定しています。
また、小児医療費無料化年齢の引き上げについても国・県任せにせず、市単独でも実施し、子育てに経済的負担の一番かかる30代から40代の子育て世帯を支援すべきです。
35人以下学級と小児医療費助成の実施拡大について市長は、財源問題を理由にその実施を拒んでいます。しかし、本市よりも厳しい財政状態でも自治体単独での少人数学級や小児医療費の拡大に踏み出している地方自治体がいくつも出ているではありませんか。これでは、市長の市政運営方針で「人への投資で、将来を担う子どもたちが健やかに成長するよう環境を整える」としたことは、まさに絵空事であったとしか言い様がありません。

福祉の都市づくりは都市の品格を押し上げる
福祉の都市づくりは、都市の品格を押し上げます。これまで無料であった福祉パス制度は、移動に制限・制約を受けている障害児・者にとって、そのハンディをカバーする「障害児・者の足」であり、外出支援策として本市の誇るべき制度です。福祉の心が通い合う市政の象徴として継続すべきです。現年度議案で有料化の条例改定が可決されましたが、必要な財源を補填することによってその実施を先送りし、できるだけ早く無料化に戻すための条例に再改定すべきです。
特別養護老人ホームの待機者数は、家庭で待っている方だけでも5000人前後で推移し、民間の老健施設や病院等の入所者からの特養ホームへの入所希望を入れると、その数はさらに増えることになります。家庭での高齢者介護は、私も父と母とで経験しましたが、介護される側もする側も大変で、時間と労力を要します。さらには、本来、社会に出て働くべき年齢層が介護で家庭に縛られることは、生産年齢人口の確保という点からも損失です。
今後、高齢者人口はうなぎのぼりに増加していきます。このような時に、特養ホーム建設を900床ペースから300床ペースに整備水準を落としたことは、市として責任放棄に等しいと言わざるを得ません。

不要不急の大型公共事業をやめて教育・福祉に回せ
以上、緊急として取り上げた課題についての組み替えに必要な財源は、不要不急の大型公共事業の見直し等で捻出します。
わが国の将来人口は減少化の一途を辿り、80数年後の22世紀当初には5000万人以下と、1880年明治13年の水準になり、また高齢者人口は2050年頃には約40%となるという試算が政府調査機関から出されています。この時代の潮流は、今後のわが国の生活様式や経済・産業構造による物流の変化を引き起こします。本市の様々な施策、たとえば新市庁舎建設計画などもこの時代の潮流に沿って構築しなければならないのは当然です。これからの市政のあり方を反映したものでなくてはなりません。
少子高齢化、人口減少という時代では、市民の行政要求に応えるため、身近な区の役割は一層大きくなることは必至です。昨年12月に出された国の地方制度調査会の大都市制度についての専門小委員会の中間報告においても、区の位置づけについて、「都市内分権」により住民自治を強化するため、区の役割を拡充することを検討すべきであるとしています。都市内分権での市の権限や事務等を区に移管すれば、県との二重行政の解消に伴う受け皿づくりが必要としても超高層のビックな市庁舎はいりません。
高速道路も同様です。新たな高速道路を整備する時代ではありません。市長は、東日本大震災発災時の東北縦貫道が救援復旧に果たした役割を高く評価し、横環北西線についても防災上の必要性を強調されました。首都圏と比較して道路交通網が発達していない東北地方では、確かにその役割を果たしたと思います。しかし、それを世界に冠たる横浜港をもち、周辺都市との無数の交通アクセスがある本市に当てはめ、横環北西線整備に結びつけるのは飛躍しすぎであり、こじ付けです。
また、政府の国際コンテナ戦略港湾整備に基づく南本牧ふ頭MC-4整備についても時代を読み違え、採算の取れない過剰投資としか言い様がありません。MC-4整備における埋め立ては、横環北西線・南線整備のための残土受け入れに必要とも言われていますが、これらの高速道路の整備を中止すれば残土の処理は必要ありません。既に外周護岸が出来上がっているMC-4は、将来の行政需要のために凍結すべきです。

81億2000万円の予算組み替えを提案
以上の考えに基づき、横環北西線・南線の各整備事業に関わる市債39億6000万円、一般財源3億5000万円、南本牧ふ頭MC-4等整備事業の凍結で市債14億3000万円、一般財源6000万円、上大岡西口再開発事業費への繰り出し金を半減し、一般財源23億円を捻出します。さらに、新市庁舎整備計画立案経費2000万円を全額カットし、市債53億9000万円、一般財源27億3000万円を合わせ、81億2000万円を組み替えの財源とします。
財源の配分は次の通りです。市立中学校給食を2014年1月より開始し、5年かけて全校で実施する計画とします。新年度予算に施設整備費として国庫補助金5億3000万円を見込み、ほかに市債47億2000万円、運営費3億7000万円の合計50億9000万円を配分します。小学校3年での35人学級の実施に9億6000万円、学校施設整備費に6億7000万円、小児医療費助成を小学校2年生までに拡大するため9億円、福祉パス制度継続のため有料化に伴う歳入額を6000万円の補填、100人定員の特別養護老人ホームの建設3億7000万円に当て、7000万円を一般会計予備費に繰り入れます。

以上、議員各位の賛同を心よりお願いし、組み替え動議の趣旨説明を終わります。