見解/声明
2013年6月7日

横浜市議会での費用弁償の復活策動について

2013年6月7日
日本共産党横浜市会議員団
団 長 大 貫 憲 夫

今般、2007年4月から廃止された費用弁償が復活する動きが顕在化しています。日本共産党は、横浜の高額な議員報酬のもとで、費用弁償そのものに反対です。
横浜市議会における費用弁償は、議員が議会や委員会などに出席する度、支給されていたもので、2006年に1日1万2000円から1万円に減額され、2007年4月から廃止となっています。廃止の理由は「現下の社会情勢、本市の行財政改革への取り組み等を総合的に勘案し、議会の裁量、判断により日額の費用弁償を廃止」というものでした。当時の新聞には、「横浜市は交通網も発達しており、費用弁償は税金の無駄遣い」自民のベテラン議員(2007.1.7付神奈川新聞)、「長く続いた制度だが、時代の変化により市民の理解が得られなくなった」各会派の議員(2007.1.7付読売新聞)と報じられています。
復活策動の舞台となったのは、2011年に設置された「横浜市会基本条例の制定に関する調査特別委員会」です。同委員会での検討項目について、民主党から「通常ルートによる交通手段を設定し、実費相当の交通費を支給すべき」、公明党から「議員活動の制度的支援(議員活動費、秘書制度、交通費の支給)」という提案があったのがことの発端です。特別委員会の任期終了間際の2013年5月7日と同13日の委員会の中で、未検討であった費用弁償について議論がありました。委員会では、議会局からたたき台として示された費用弁償の支給方法についての3案について、議論がなされました。しかし、費用弁償復活の理由について各会派から説明も議論もなく、いきなり具体的な支給方法を検討するという審議方法自体が乱暴すぎます。市民への説明責任をまったく果たしていません。
(議会局の提案)
案1.実費支給:自宅から市会棟までの公共交通機関の往復運賃または車賃を支給 年間支給総額330万円
案2.実費相当分支給:市会棟のある中区を基準として、交通機関にかかわらず居住する区で定額を支給 年間支給総額約1,100万円
1,000円:神奈川、西、中、南、磯子
2,000円:鶴見、港南、保土ヶ谷、旭、金沢、港北、栄
3,000円:緑、青葉、都筑、戸塚、泉、瀬谷
案3.案1または案2による支給に加え、日当(横浜市旅費条例に定める特号の額3,300円)を支給
ア、案1+日当…年間支給総額約2100万円
イ、案2+日当…年間支給総額2800万円
13日の委員会で、各会派の集約された意見が表明されました。自民党・民主党・公明党は案2を、みんなの党は案1をベストとしています。
(各会派の主張)
●自民党「案1ではかなり実質弁償とはいえない」、
●民主党「電車で来るより車で来る。そうするとどうしても渋滞解消しようと思うと高速を使うので、高速をどうしても利用するケースが多いので、そうすると実態に近いのは案2」
●公明党「実費相当分ということで、距離によって違ってくる形にしていくのが自然」
●みんなの党「費用弁償は、実態に鑑みて支給というのがあり得ると思っている」
●共産党「横浜市の議員は、月額95万3000円の議員報酬と55万円の政務活動費が支給されている。本市の財政状況が議員提案した時期と比べて好転したわけでもなく、あえて費用弁償をこの時期に復活させる理由はない。市民の税金が原資である議員報酬、政務活動費、そして議員定数についても議論の対象とすることなしに、費用弁償の復活を優先する考えは納得できない。政令市20中、費用弁償を支給しているのは7市しかなく、廃止した自治体で復活しているところはない。これらの理由から、費用弁償を復活することについては納得できない」
このように、費用弁償支給を復活させることについては、交渉会派5会派のうち共産党以外の4党が一致しています。調査特別委員会は議決機関ではないため、この結論でもって、復活が決定したわけではありません。
今後、この費用弁償については、議決機関である議会運営委員会でこの特別委員会の議論をベースに他のテーマと合わせて検討され、採決で結論が決まり、最終的には本会議で議決されます。
そもそも、議会基本条例制定の議論のなかで、費用弁償の復活を議論すること自体、筋違いな問題です。議員報酬、政務活動費、海外視察費など、議員の処遇に関する全体像を議論すべきです。議員のふところにかかわることについて、一度決めたことを数年で反故にし、減額するとはいえ復活させることは横浜市会の見識が問われ、議会の信用失墜と政治不信の増長が危惧されます。
市民のみなさんが議会・議員を厳しく監視することがますます必要となっています。
費用弁償復活を許さないたたかいは、税の適正使用にとどまらず、横浜市会の品位を保つものでもあります。
議会内外でこのたたかいに全力をあげることを、ここに表明します。


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