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(第1回)横浜市 待機児童ゼロのからくり

日本共産党横浜市議団がお届けするインターネットTV「JCPヨコハマチャンネル」。第1回めの今回は、「待機児童ゼロのからくり」についてお話します。


古谷:さあ、今日から始まりましたインターネットテレビ「JCPヨコハマチャンネル」。キャスターを務めさせていただきます日本共産党横浜市会議員の古谷やすひこです。この番組は、テレビや新聞などでなかなか知ることができない横浜市議会で行われている議論の実際、またそういったものをみなさんにお届けできればというふうに思っております。なかなか聞けない議会の裏話なんかもぜひお伝えできればというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 では、今日の番組、さっそく初めさせていただきたいというふうに思いますが、テーマはずばりこれです。横浜の待機児童ゼロの影で何が起こっているか、いま最も旬な話題です。

 今日のゲストは、横浜市議会の中でもその発言、他会派からの一目置かれているといわれております同僚の日本共産党、あらき由美子市会議員です。あらきさん、どうぞよろしくお願いいたします。

あらき:はい、こんにちは。南区選出のあらき由美子です。私は横浜市の保育士として12年勤めて、そして今この横浜市議会議員になっています。この横浜の待機児童ゼロということについての問題点、そして預けているお父さんお母さんたち、また、保育士の立場から、今回の問題についてみなさんと一緒に議論していきたいと思っています。よろしくお願いします。

古谷:どうぞよろしくお願いします。

待機児童ゼロというけれども・・・

 では、さっそく始めたいというふうに思うんですが、横浜市は今年の4月1日の時点で、保育所の待機児童がゼロになったと発表しております。しかし、その影で何が起こっているかということについて、話を進めて行きたいというふうに思います。

まず、そもそもこの横浜市が発表した表、これなんですけど、待機児童はゼロというふうになっています。だから、ここらへんのことからぜひ、ちょっと解説をお願いしたいというふうに思います。

(表1)

あらき:横浜市のもともと保育所に申し込んでいる人たちはこの数字にあるように、4万8818人です。そして、認可保育園に入れた人は4万7072人いました。ところが、横浜市は、横浜保育室とか家庭保育福祉員にみていただいているお子さん、そして育児休業を延長した方、また自宅で求職活動をされている方など、この人達を保留児童数としてカウントしていないんですね。その方たちがなんと1746人もいるんです。ですから、この人たちも本来であれば待機児童数に入って当然の人数なんです。

古谷:じゃあ、1746人は、つまり保育園に入所希望して、子どもたちが入れなかったというわけですね。

あらき:そうです、はい。

古谷:じゃあ、ゼロじゃないですね。

あらき:そうです。だから、実際にゼロではないんです。

株式会社立保育園の問題点

古谷:なるほど。続いて、横浜市は全国的にみても、突出して株式会社の参入率が高くなっているというのが特徴になっているといます。株式会社の保育園のある経営者の方が、競争した方がサービスがよくなるんじゃないかと、こういうふうなことを言っておりました。こういった営利企業が保育園の事業を行うことについて、考えられる問題点というのはどんな問題点がありますか。

あらき:今回3つにしぼって、問題点を考えてみました。

株式会社立の保育園の問題点

1.コスト削減と効率化重視で、保育士が育たない

2.ハードの面でも貧しい保育環境

3.収益が見込まれないと撤退の恐れ

安い保育士の人件費

まず1番目、コスト削減と効率化重視で、保育士が育たないということです。これはどういうことかというと、もともと認可保育園には運営費として国と横浜市から補助金が入っているんですけれども、保育士の給与水準て、その保育園の運営の仕方で決まっているんですね。任されているんです。ですから、私が見た株式会社の保育園の保育士は非常に若くて経歴も浅いなという印象が拭えなかったんです。ということは、長く勤めれば勤めるほど普通は金額が上がって昇給していくはずなんですけれども、もらっている給料はいったいどのくらいなのか非常に心配になりました。

古谷:なるほど。そうすると、横浜市の認可保育園で働いている保育士さんでも、働く保育園によって給与が違う、そういうことですか。

あらき:はい。特に、社会福祉法人の保育園だと、運営経費の7割から8割が人件費なんですけれども、株式会社の保育園の場合はだいたい4割から5割程度に抑えられているということが、私たちが調べた中でも分かって来ました。

古谷:そればちょっと安いですね。

線路や高速道路の下に保育園が

古谷:株式会社立の保育園の問題点の2つ目はどんなことですか。

あらき:二番目は、ハードの面でも貧しい保育環境ということで写真を撮ってきたので、ぜひ見ていただきたいと思います。

 この間、横浜市は必死になって設置する場所を探したんですけれども、まず、これです。これ、京浜急行の効果下なんですね。

古谷:どこですか。

あらき:黄金町の駅の下なんですけれども、ここに保育園があります。

 裏面を見ていただきたいんですけれども、これ園庭なんですね。

古谷:これが園庭なんですか。

あらき:特に柱がこういうふうにあるので、柱と柱の間が死角ですから非常に危険です。

 それから、当然日がさしませんので、子どもたちは常に日がささない園庭の中で遊んでいるという状況です。

 もっと私がショックだったのは、このオリです。オリの中に子どもたちがいるんです、フェンスの中に。これがとてもとても印象として悪かったですね。

古谷:すごい。すごい写真ですね。

あらき:まだあります。こちらは上大岡ですね。個々にちょうど電車が走っていますけれども、ここも同様です。

 高架下っていうのは当然振動も騒音も常にあるので、子どもたちにとって本当に影響がないのかどうかというのが非常に心配です。

古谷:普通に私たちが鉄道の高架下を歩いていても、振動とか騒音というのは相当ありますよね。こういったところに保育園があって、ここに当然ゼロ歳の子どもさんたちが寝ているんですよね。

あらき:そうです、そうです、はい。ですから、ゼロ歳のお子さんたちでも大丈夫なのかなあって。常に家にいる時でも振動や騒音のある場所にいたいと思いませんよね。

 最後は、これ、高速道路の下ですね。ここもそうです。常に振動、騒音に対しての対策はしていると言っていますけれども、この隙間もあんまり開いていないので、本当に大丈夫かなと思いますね。

古谷:排気ガスとか。

あらき:そうですよね。

 というところで、横浜市は必死になって場所を探して、こういう高速道路の下とか、鉄道の下に、保育園をつくってきました。

古谷:それはハード面で貧しい保育環境ということなんですね。

儲からなかったら突然やめることも

古谷:続いて、株式会社立の保育園の問題点の3っ目というのはどうなんでしょうか。

あらき:これが実は一番心配なことで、「収益が見込まれないと撤退の恐れ」って書いたんですけれども、当然株式会社であれば、儲からなかったらやめる可能性があるわけですね。

古谷:撤退っていうのは、ようは保育園をやめてしまうということですか。

あらき:実際に、子どもたちの人数が集まらないと当然補助金もその分削減されてしまいますから、経営的に成り立たないということで、やめてしまった保育園があります。

古谷:それちょっとびっくりですよね。自分が預けている子どもの園が、今日からやめますと、こういうことですか。

あらき:はい。あるいは保育士が全員入れ替わったりとか。それもいつやめるかわからないという現状があって、横浜市はその点でも担保をとっていないので、株式会社の自由に撤退する恐れがあるということでは、子どもたちにとっての環境も大きく変わるので、非常に心配です。

古谷:すごいはなしですね。

 いままさにあらき議員からお話いただいたのは、ほんとに影の部分のほんの一部の話です。

横浜保育ウォッチングのお知らせ

 そこで、あらきさん、お知らせがあるということなんですが。

あらき:はい。いま、国の方では今度「横浜方式」に学べということで、全国展開しようということで決めているのが、非常に私たちにとっては心配なことです。そこで、「横浜保育ウォッチング」ということを計画しました。ぜひみなさんの目で確かめていただきたいということで、今回の参加は市会議員あるいは事務局の方たちに限ってはいるんですけれども、8月9日共産党の私たち議員と一緒に横浜市内の保育所を見学していただきたいと思います。その後、パネルディスカッションの準備をしていますので、この間私たちが集めたデータですとか、先ほどの保育の現場の写真などもみなさんにお示ししながら、横浜の保育が本当に大丈夫なのか、これを全国展開していっていいのかどうかということを、みなさんと一緒に学習してしたいと思っています。

古谷:8月の9日金曜日ですね。横浜ウォッチング、ぜひ全国の日本共産党の市会議員のみなさん、参加していただければと思います。

あらき:お待ちしています。

古谷:インターネットテレビ「JCPヨコハマチャンネル」いかがだったでしょうか。ご意見ご感想はぜひこちらまでよろしくお願いいたします。

 では次回またお会いしましょう。今日はありがとうございました。

あらき:ありがとうございました。