申し入れ等
2013年8月19日

算定方式変更に伴う国民健康保険料大幅引き上げ世帯への負担軽減の緊急並びに恒久的措置の実施要請について

2013年8月19日
横浜市長 林 文子 様

日本共産党横浜市会議員団
団 長 大 貫 憲 夫

6月に国民健康保険料の通知を受けた市民から、市だけでなく、党議員団にも「収入が例年と変わらないのに、なぜ額が増えたのか」「経過措置があるのになぜこんなに上がるのか」「なぜ制度を変えたのか」など苦情が子育て世帯を中心に多数寄せられました。

党議員団に寄せられた実例の一部です。港北区の夫婦(子ども3人)では昨年の保険料38.5万円が今年は51万円に、緑区の夫婦(子ども2人)37.8万円が50.6万円に、旭区の自営夫婦(子ども3人)30.7万円が51.1万円と、3割から7割という大幅負担増です。これらの3世帯の2011年度の年収は、順に450万、506万円、(基準総所得額)249万円です。300万前後の所得のうちから、その一割を超える保険料負担は、もともと限界に達していたところです。年収がほとんど変わっていないのに、算定方式の変更という行政側の都合だけで13万円から20万円もの負担増が強いられています。当然、負担増に見合う受益は一切なく、納得されないのも当然のことです。

これらの事例の共通点は、子どもを2人以上扶養している世帯が直撃を受けていることです。子育て中の世帯に対してあまりにも思いやりが欠けており、中期4か年計画の基本政策の第一に子育て安心社会の実現をかかげる本市の基本方針にも逆行しています。「子どもを減らして待機児童を減らそうという考えか」「子どもの多いことを市は嫌っているのか」など手厳しい声があがるのも当然です。障害児をかかえる世帯からも急激な負担増に悲鳴があがっています。

こうした事態を招いた主因は、市民税方式を採用する自治体に対し、政令改正で総所得方式に変更することを強要した、応能負担の原則に反する国の誤った政策です。この誤った政策による被害を最小にするのが地方自治体の役割ですが、横浜市の場合はそれがまったく不十分と言わざるをえません。

多人数世帯等の負担増を抑制する独自対策(賦課割合の変更と経過措置導入、市費繰入)が、いかに不備であったかをこれらの実例は示しています。上述した3実例とも、経過措置の対象にもなっていません。このクラスの世帯にとって、現行の軽減制度は有名無実となっています。国民健康保険事業という社会保障が、市民の暮らしを破壊するということは絶対に避けなければなりません。支払い能力に見合った保険料に是正する応急の手立てが必要です。

全国では、多人数世帯に対しての恒久的な軽減制度を新設した自治体が生まれています。一宮市は、子どもにかかる均等割の保険料を3割減額、名古屋市は、(1)住民税の配偶者控除・扶養控除(33万円)に替わるものとして、扶養家族一人につき33万円を控除、(2)障害者・寡婦(夫)本人については、障害者等に係る住民税非課税限度額(125万円)と基礎控除額(33万円)との差額の92万円を控除、(3)障害者を扶養している場合は、障害者控除に替わるものとして、障害者の扶養家族一人につき53万円を控除という対策を講じています(愛知県保険医協会調査)。本市においてもこうした負担増を抑える恒久的な対策の検討・実施が必要です。

保険料大幅引き上げ世帯への負担軽減の緊急並びに恒久的措置について、下記のとおり提案する内容に沿って、現実を直視した真摯な検討と速やかな具体化を強く要請するものです。

1.今年度、同一条件のもとで、負担増となった世帯にたいしては、負担増部分を全額免除すること。そのために必要な財源は、補正を組み、一般会計から繰り入れること。
1. 恒久的措置として、独自の所得控除を創設すること。それに伴う必要な財源は、保険料の枠内ではなく、一般会計から繰り入れること。


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