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■「議案関連質問」 白井まさ子議員(2013.9.10)

◎白井まさ子議員の質問と市長および教育長答弁は次の通りです。なお、実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。

太陽光発電の普及啓発に向けて区役所に専門のセクションを

白井議員:私は、日本共産党を代表して、3件の議案と補正予算議案に関連して質問します。
はじめに、市第39号議案と補正予算議案は、再生可能エネルギー等導入推進基金及び当該基金事業に関する評価委員会条例の制定で、特別避難場所となっている地域ケアプラザ等約40か所への太陽光発電設備等を設置するものです。
国は、この基金での施設対象は防災拠点を主眼としているとうかがえますから、太陽光発電設備は地域防災拠点への設置も必要です。国への基金申請にあたり、事業計画の中に、なぜ地域防災拠点を対象としなかったのか、伺います。

本市で再生可能エネルギー導入を加速させるには、国の制度への依存だけでは限界があります。本市独自の施策の上乗せが必須です。施策展開には、市民、事業者の協力、協働事業が不可欠です。市民啓発と市民力を引き出すためには、区レベルでの支援体制の構築が必要となります。

横浜市の主な再生可能エネルギーは、太陽光です。太陽光パネルの設置費は、3.2KWで150万円と、設置工事中の我が党の大貫団長から聞きました。車1台分です。決して手の届かない金額ではありません。しかも買い取り価格制度による売電収入もあります。設置場所については、一般に5割の戸建住宅で可能と言われています。設置するハードルは確実に低くなっています。設置の加速化には、市民の意識変革がいよいよ重要になっています。それには、市民のやる気を引き出す市の姿勢を目に見える形で示すことが必要です。

長野県飯田市では、再生可能エネルギー導入条例を制定し、市民の住民の自発的自主的な導入事業を支援しています。また、世田谷区では、公社を作り、パネル設置を望む住民を支援しています。

横浜市で、飯田市や世田谷区のように、住民を支援しようとしたら、本庁だけの対応では不十分です。住民に最も近い区役所に、啓発と協働を行う専門のセクションを設けることが必須条件と考えますが、伺います。

本市では、2011年3月策定の地球温暖化対策実行計画区域施策編で、再生可能エネルギー普及目標は積極的で、2020年度に太陽光パネル導入が戸建住宅の50%、集合住宅の30%としていますが、進捗は2.8%、0.2%と低く、このままでは、計画倒れとなるのは必至です。当局のこの目標に責任を持つ部署もあいまいです。こうした到達点と実状にとどまっているのは、これまで市長が「原発に頼らざるをえない」と発言されているように、脱原発の立場に立っておられないことによると思われます。創エネ推進には、脱原発を前提とすべきと思いますが、どう考えておられるのか伺います。

国が、温室効果ガスを1990年度比で2020年までの25%削減するとした現行の目標を、今年11月の国連気候変動枠組条約締約国会議までに、ゼロベースで見直すとしていることから、本市の地球温暖化対策実行計画で定めている25%削減目標も見直し作業が行われています。太陽光パネル設置目標が、到達点に応じたレベルに切り下げられることを危惧します。計画の見直しにあたっては、基本的に目標は堅持すべきと思いますが、伺います。

林市長:白井議員のご質問にお答え申し上げます。
市第39号議案および市第56号議案について、ご質問いただきました。
国への基金申請にあたり、地域防災拠点を対象としなかった理由ですが、地域防災拠点である小中学校には発電機が備蓄されていますが、特別避難場所には備蓄されておらず、電力確保が課題でした。そのため、今回の事業では特別避難場所を対象としました。

長野県飯田市のように、再生可能エネルギー条例を制定し、支援体制を抜本的に強化すべきとのことですが、本市では市民、事業者、行政から成る地球温暖化対策推進協議会や横浜エコスクールを通じて、再生可能エネルギー導入への普及啓発を実施しています。合わせて、住宅用太陽光発電システムの補助金や生活環境の保全等に関する条例による一定規模以上の建物の建築に際しての再エネ導入検討の義務付けなどの取り組みを行っています。今後も再生可能エネルギーの導入に向けて様々な取り組みを行ってまいります。

創エネ推進への意気込みについてですが、厳しい進捗状況と受け止めていますが、直近1・2年間の本市の住宅用太陽光発電システムの補助金の申し込みや、普及状況は、国の固定価格買い取り制度とも相まって、非常に大きな伸びを示しています。これらの動向を的確に捉え、市民のみなさまへの普及啓発に努め、目標の達成に向けて積極的に取り組んでいきます。

地球温暖化対策実行計画の温室効果ガスの削減目標を堅持すべきとのことですが、東日本大震災以降、わが国の環境エネルギーを取り巻く状況は大きく変化しており、国においても地球温暖化対策の計画やエネルギー基本計画について議論されています。このような状況を踏まえながら、地球温暖化対策実行計画の改定について、現在環境創造審議会において目標設定も含め、ご議論いただいています。

メリット多い小規模学校を教育的観点から尊重せよ

白井議員:つぎに、市第40号議案、学校規模適正化等検討委員会条例の制定です。
学校規模の考え方は、2010年策定の「通学区域制度及び学校規模に関する基本方針」により、小中学校とも1つの学校で12から24クラスが適正規模とされています。小学校は11クラス以下が小規模とされ、2012年現在28校であり、全体の8.1%、中学校は8クラス以下が小規模校とされ、13校であり、全体の8.8%で、統廃合の対象になっています。この方針に沿った統廃合がこれまでも粛々と進められてきました。その根底にあるには、小規模校デメリット論です。
しかし、1学年1クラスで全校100人ほどの小規模小学校の先生から聞いたのは、メリット論です。先生も子どもも全員を知っているので、縦割り活動でも、個別級の子どもとの交流でも、丁寧な活動ができる。大規模校から転校してきた子どもが、国語での発言が増え、「僕、こんなに勉強したの、初めてだ」とお母さんに話したという例もある。子ども同士の問題が発生しても、先生同士で共有して対応できるので、問題が深刻にならない。子ども全員の成長の度合いがはっきりわかる。他の学校との交流では、はじめは少人数で負い目を感じることもあるようだが、すぐに解消し、問題を感じたことはない。先生が少ない分、先生一人に負担があるが、集団で子どもに接するので、小規模校の方が新任の先生にとっても成長できる場となっている、といわれ、デメリットは聞けませんでした。教育的効果は、小規模校の方があがっています。
そもそも、国は、予算補助の目安として、小中学校の学級数の適正規模の条件を12から18および24クラスとしていますが、教育的な基準を意味しているわけではありません。学校教育法施行規則では、小学校の場合12から18クラスを標準としていますが、これにこだわってはいません。また、学校の適正化基準の検討がされましたが、教育的観点からの基準作りは困難として、民主党政権のもとで研究が中止されました。
ヨーロッパの学校規模の実態は、1学年1クラスで卒業までクラス替えがないのが一般的です。1校当たりの人数がアメリカは461人、日本は322人に対し、イギリス190人、フィンランド101人、フランス99人です。WHO世界保健機構では、学校規模100人以下を勧告しています。国際的な流れは小規模校です。
学校規模適正化等検討委員会が条例で位置づけられるこの際、小規模校を教育的観点から尊重するよう、基本方針の見直しを行うべきと考えますが、見解を伺います。

岡田教育長:市第40号議案について、ご質問いただきました。
小規模校に関する基本方針を見直すべきとのことですが、小規模校には子ども同士よく知り合えるなどのメリットがある一方で、クラス替えのできないことによりまして、人間関係などに問題が生じた場合、解決が困難になりやすいことや、部活動や体育の種目が限られること、一人の教員が担当する指導業務が多岐に渡るなどの課題があります。小規模校の課題を解消し、教育環境を改善していくことは重要だと考えます。以上、ご答弁申し上げました。

塩漬けの土地を利息も含めて72億で取得

白井議員:市第49号議案は、土地開発公社が保有する戸塚区の地下鉄舞岡駅北側の樹林地約7ヘクタールを、公園用地として本市が帳簿価格72億円で買い入れるものです。今回買い入れる土地の周辺も併せて、緑地を保全した都市公園や墓園などを一体的に整備するとしており、土地利用は市民要望に合うものですが、公社保有から約20年間、事業化されなかった経緯に問題があります。
公社が本市からの取得依頼を受けて、1994年に県から用地を取得したのは、公園用地としてではなく、バイオテクノロジー等の企業誘致をして研究開発拠点を整備するとした「舞岡リサーチパーク構想第2期」用地としてです。
2012年に土地開発公社解散決定に当たり、これまでのリサーチパーク構想という土地利用方針を転換し、公園に整備するとされ、2013年度予算に計上されています。実に20年間もの間、土地が塩漬けとされていました。公社が金融機関に払った金利も膨大なものです。今回、公社から取得する約7ヘクタールについて、時価は17億6000万円ときいていますが、県からの取得価額と20年間の金利負担額について、それぞれ伺います。

そもそも、企業誘致用の土地であったために、土地取得時点で高い買い物だったこと。加えて、結果的に計画は実現せず、土地塩漬けで金利負担が増大し、公社からの買い取り価格がはねあがってしまったこと。さらに公社がゆきづまり、解散にあたっての不良債権の買い取りとなったことなど、二重三重に行政運営の汚点の産物と言えます。最初から公園計画であれば、市民負担は大幅に削減できたのです。市長としての責任をどう感じておられるのか、伺います。

今回の計画の見直し、土地買い取りという対応は、国の政策に乗っかることの危うさを実証したものです。舞岡リサーチパーク構想の方針は、国が業務核都市整備の考え方を示した第4次首都圏基本構想と策定時期が1986年で一致しています。国が制度化したことに伴って市が策定した横浜業務核都市基本構想の中に、この構想が位置づけられました。
横浜業務核都市の8集積地の一つにあたる上大岡駅周辺地区の再開発ビルも赤字事業となり、その穴埋めに多額の税が投入されました。日本の産業構造から、今後物流が飛躍的に増えることは考えられない中で、現在推進中の高速道路建設や国際コンテナ戦略港湾整備は、国の政策に沿った大型公共事業の危うさという点で同じです。本牧沖にもう1か所の港湾整備計画は、平成30年代後半の横浜港のコンテナ取扱量をマックスで520万TEUと見込んだものです。過大見積もりという間違いを繰り返してはいけません。今回の土地取得から、何を教訓とするのか伺って、質問を終わります。

林市長:市第49号議案についてご質問いただきました。
平成6年度の取得価格と比べた負担増についてですが、舞岡リサーチパーク第二期用地は平成7年3月に県から取得しましたが、この内今回取得する7ヘクタール分の当時の取得価格は約55億6000万円となります。現在までの支払い利息などで約16億7000万円を加え、約72億3000万円で土地開発公社から取得することとになります。一方、今回公社解散前に公園用地として取得することによって約6億5000万円の国費が導入できます。
今回、計画を変更し、本市が取得することの責任についてですが、舞岡リサーチパーク構想は昭和61年に方針決定し、その後平成5年2月には多極分散型国土形成促進法に基いて本市が作成した横浜業務核都市基本構想などにも位置づけ、平成6年8月に第一期地区の事業が完了しています。第二期地区の用地については、平成7年3月に取得しましたが、長引く景気の低迷などで企業進出が見込めなくなったことから、当初計画を断念せざるを得なくなりました。一方、緑に対する市民意識の高まりなどを受け、今回公園として用地を取得することとなりますが、多くの市民のみなさまに親しまれ活用される施設となるよう、責任感をもってしっかりと取り組んでいきます。
今回の土地取得からの教訓についてですが、公共事業等で用地取得を行う場合は、事業の実現性や取得時期等をしっかりと見極め、スピード感をもって進めることが重要であるとあらためて強く感じます。今回は、社会経済情勢の変化や本市の厳しい財政状況などから土地利用を見直すこととなりましたが、現在計画を進めている様々な事業についても市民のみなさまの信頼に応えられるよう、内容をしっかり見極め、取り組んでいきます。
残りの質問については、教育長より答弁いたします。