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■「議案に対する討論」 岩崎ひろし議員(2013.9.26)

世界では「小さな学校」「小さなクラス」が当たりまえ

日本共産党を代表して討論します。

まず、市第40号議案についてです。
本議案は、横浜市立小学校及び中学校の通学区域の適正化及び弾力化並びに規模の適正化を推進する等の目的で、教育委員会の附属機関として横浜市学校規模適正化等検討委員会を設置するものです。
反対する理由は、学校規模の検討を行う際の方針である2010年策定の「通学区域制度及び学校規模に関する基本方針」の内容にあります。
「基本方針」は、学校の適正規模を小・中学校とも一校あたり12から18及び24クラスが適正規模とし、小規模校は効率性や経費縮減の観点から統廃合とする方針になっています。本市では、2012年時点で、小学校は11クラス以下の28校を、中学校では8クラス以下の13校を小規模校として、すでに統廃合を進めています。
学校規模がどうあるべきかについては、もっと広い視野からの議論が必要です。世界の国々では「小さな学校」「小さなクラス」が当たりまえになっています。今の時代、学校を統廃合して学校規模を大きくしようとしている国は、日本以外にありません。21世紀の世界で求められる学力を身につけるためには、「少人数のクラス」「小規模の学校」の教育効果が高いことが立証されているからであります。WHO、世界保健機構は、様々な調査研究を集約し、学校は「小さくなくてはいけない。生徒100人を上回らない規模」と各国に勧告しています。
小規模校の統廃合を前提とする「規模適正化基本方針」は、見直すべきです。

舞岡リサーチパーク構想の破綻に対する行政責任を明確にせよ

次に、市第49号議案についてです。
日本共産党は、今回の議案「公園の用地の取得について」は賛成です。しかし、無条件賛成ではありませんので、討論に加えます。
一つは、土地を取得した1994年から現在まで約20年間土地を塩漬け・放置したために、公社が払った金利が約16億円と膨大です。また、今回取得する約7ヘクタールの土地は、時価で計算すると17億6000万円ときいています。その差は、実に約55億円です。
1995年の時点で公園用地として取得していれば、取得費は大幅に低く抑えられたことは明らかです。リサーチパーク構想の破たんや結果として市民負担を増大させたことについて、市長は「見込み違い」と答弁されましたが、それで片づけられる問題ではありません。行政責任を明確にすべきです。
第二に、国の方針に無批判に従ったことへの反省がありません。本市は、国の制度化に伴い、「リサーチパーク構想」を横浜業務核都市基本構想に位置づけ、推進してきました。今回の土地活用方針転換の説明には、国の方針に無批判に従ったことへの反省はどこにも見当たりません。
「舞岡リサーチパーク構想」策定から、今回の「公園の用地の取得」にいたる全経過を総括し、行政として何を教訓として今後に活かすのかを明確にすることを強く求めます。

横浜市は国の方針どおり中学校給食の実施を

次に、請願3号についてです。
請願の要旨は、中学生の健全な食育のため、速やかに安全安心の中学校給食を実施することを求めるものです。
多くの市民の切実な願いである中学校給食の実施を求めるものであり、採択すべきです。
不採択に反対する理由は、第一に、中学校給食に対する当局の評価・認識が誤っていることです。国の交付税算定は、中学校給食実施を前提に行われています。中学校給食は学校給食法に基づき実施するというのが国の方針です。
教育長は、保護者からの「家庭弁当が良い」という意見に感銘すると答弁されました。しかし全国では、これまでやっていなかった政令市も「給食がいい」という判断になり、実施に切り替わっています。そのような時に、本市の教育長だけが「家庭弁当のよさのみ」に感銘していると言わざるをえません。
第二に、「家庭弁当」に、こだわりすぎることです。当局は、「横浜では家庭弁当が定着し、9割が持参している」と説明します。しかし、親はこどもに“お昼ごはんは抜きだよ”とは言えません。どんなに大変でも弁当を持たせなければなりません。その結果がこの数字です。中学校給食についてのアンケートでは、ほとんどの回答が「実施してほしい」となる事実を、当局は正面から受けとめるべきです。
また、「子どもの発達段階に応じた家庭弁当は優れている」とも言われます。この根拠となる「調査を行った」との報告は一度もありませんが、教育長はすべての保護者が子どもの発達段階を考慮して弁当を作っていると考えているのでしょうか。全く机上の空論です。
第三に、中学校給食実施に後ろ向きであることは、教育委員会の責任放棄だと思います。財政局に確認したところ、国が各自治体に地方交付税を配るにあたって基準財政需要額を算定する際には、「中学校給食は実施されているもの」として扱われるとのことです。
岡田教育長は、「交付税はこれだけに使われているわけではなく、教育のために適切に使われている」と答弁されましたが、中学校給食を実施していないことは、国が給食実施しているものとして算定したお金を他に流用しているに等しいではありませんか。
特に、本市教育委員会は、放射線副読本使用や自由社版歴史教科書の未回収などにかかわる問題では、「文科省の方針」にこだわっています。それなのに、なぜ中学校給食は国の方針どおりに実施しないのでしょうか。ダブルスタンダードではありませんか。
議会の対応も問われると思います。教育委員会が「家庭弁当方式」にこだわる背景に、議会の姿勢があると思います。
例えば、自民党横浜市会議員団の「平成25年度予算編成に際しての要望大綱」によれば、学校給食の項目で「中学校昼食の充実についても図られたい」となっています。教育委員会が最大会派の自民党の考え方の枠内で思考停止状態になっているとも見える状況です。民主党は、前回市議選届出ビラ2号で「中学校給食導入に向けて検討」としています。
中学校給食については、これまで実施していなかった大阪市、神戸市も実施に踏み出しました。県内では相模原が実施、川崎市では全会一致で中学校給食実施の決議をあげています。これらの都市にならって、横浜市も中学校給食実施に踏み切る時ではないでしょうか。
自民党のみなさんも「中学校昼食の充実」を求めておられます。民主党のみなさんは「中学校給食導入の検討」を主張されています。この際、国の方針通り中学校給食実施に舵を切っていただき、請願の採択に賛同されることを呼びかけ、請願の採択を求めます。

個人情報の漏えいがからむ開発申請許可取り消し求める請願は継続審査を

次に、請願7号についてです。
請願の要旨は、市担当者による違法が疑われる行為をもとに、市長が与えた開発許可等の取り消しを求めるものです。請願が指摘する「違法が疑われる行為」とは、個人情報である地質調査データを、持ち主の同意を得ずに、本市の担当者が係争中の相手である開発事業者に渡してしまったことを指しています。
この事実について当局説明は、「職員は、陳情で来庁したみなさんの了解を得て、開発事業者にデータを提供した」というものです。
指摘されている事実は、大変重要なことです。私は、現地調査を行うとともに、データの持ち主に面会してきました。そこで、二つの問題点がはっきりしました。
一つは、自宅敷地内で地質調査を行った本人は、「自分はそのとき市役所に行っていない。したがって、開発事業者にデータを提供することを了解するはずはない」と、証言しています。問題の地質調査データは、開発行為に伴う危険性を軽減するために、開発区域内のボーリング調査個所を増やすよう当局に事業者への指導を求めたものです。周辺住民の命、財産を守るための重要な資料でした。結果として、事業者はこのデータを不当に利用して、追加のボーリング調査を行いませんでした。
個人情報が当局の担当者を通じて係争中の相手側に渡った事実は重大です。地方公務員法第34条・秘密を守る義務違反の疑いが濃厚であります。
もう一つは、開発許可を担当する部署と開発事業者の関係です。
審査の中で次のような答弁がありました。「今回、提供された資料は、いつもと同じように、提出された皆さんの了解を得て、開発事業者に提供した」とのことです。一般論として聞けば、問題はないようにも聞こえますが、正確ではありません。本人の了解はありませんでした。また、データは当局の指導強化にと提出したもので、事業者に渡すものではありませんでした。
地下室マンション建設をはじめ建築紛争では、関係者の利害の対立など深刻な問題を含んでいます。審査は、慎重に、厳格に行う必要があります。また、そこで扱う情報についても細心の注意を払う必要があります。
当局の指導に役立ててほしいと提出されたものが、相手側に渡るなどあってはなりません。「いつもと同じように、了解を得て事業者に提供した」という答弁は、日ごろからこうしたことが安易に行われていることを示しています。許認可権を持つ当局と事業者の関係が、ルーズになっているといえます。開発や建築の許認可にあたる関係部署は、事業者側つまり開発許可申請者の視点だけでなく、周辺住民の視点からも公正な対応に徹することが求められます。
本件・金沢区六浦5丁目地下室マンション計画は、今年4月23日付各紙が「開発許可取り消しを求め提訴」の見出しで報道したこともあり、注目の事案です。地元では、地域を挙げての運動になっています。周辺住民は、安全、安心、環境保全等のために、行政の適切な対応を強く期待しています。
本件、開発変更許可の背景には、違法性が濃厚な個人情報の漏えいと言う事実がある以上、請願は慎重に扱うべきです。少なくとも継続として、当局に再検証・再調査を求めるべきだと考えます。請願の不採択に反対であります。
以上で、日本共産党を代表しての討論を終わります。