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■「費用弁償復活議案に対する質問」 あらき由美子議員(2013.9.26)

◎実際には最初の質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。

状況が今どう変わり、費用弁償を復活する必要性がおきたのか

あらき議員:私は、日本共産党を代表して質問します。今回の条例改正の内容は、議員が本会議や委員会に出席するたびに交通費として費用弁償を復活する第6号議案「横浜市市会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する一部改正について」質問いたします。
その金額は1日につき、神奈川区・西区・中区・南区・磯子区は1000円、鶴見区・港南区・保土ヶ谷区・旭区・金沢区・港北区・栄区は2000円、緑区・青葉区・都筑区・戸塚区・泉区・瀬谷区は3000円としています。議会局の試算では、費用弁償で年間この新しい制度になると1200万円の支出になるといわれています。
まず、6年前の2007年度、この費用弁償を廃止したときに、今回復活提案している自民・民主・公明の3会派は記者会見で、「市の厳しい財政が続く中、時代の流れに対応した議会改革の一環」「横浜市は交通網も発達しており、費用弁償は税金の無駄遣い」と言っていました。その状況が今どう変わり、費用弁償を復活する必要性がおきたのか、明快にお答えください。

瀬之間康浩議員:ただいまのあらき議員のご質問に対しまして、提案者である市会運営委員会を代表いたしまして、私からお答えをしたいと思います。
まず、1点目の費用弁償を復活する必要性でございますが、平成19年4月1日の前回の改正では、当時の社会情勢、本市の行財政改正への取り組み等を総合的に勘案し、議会の裁量判断により、日額1万円の費用弁償を廃止したものであります。今回の改正に当たっては、地方公共団体に自主性・自立性を高め、自らの判断と責任において、行政を運営する地方分権社会への転換が進むなか、二元代表制の一翼を担う地方議会は首長等に対する監視機能、首長の政策の修正および政策立案などを最大限に発揮してくことを求められています。また、地方自治法の費用弁償の規定の趣旨は、議会活動において議員の職務の執行などに要した経費を支給するものとするとしたものから、本会議・委員会等での審議・審査のため、準備、連絡調整および移動等の費用についても本来支給されるべきものであります。このように議会の権限を適切に行使するためには、議会を構成する個々の議員の活動の充実は必要不可欠であります。そのための議会活動の支援の拡充を図るため、今回、法の趣旨に則った改正をするものであります。

2007年の費用弁償廃止は選挙前の市民向けポーズか

あらき議員:市の財政状況が厳しい事実は今も変わりなく、市民の暮らしでは、年金額は下がり、生活保護費も引き下げられ、生活するのに多くの方が支出を抑えるのに必死になっています。横浜市も支出を抑えるのに必死になっています。
市民の暮らしや市の財政状況が好転しているとは思えない状況にありながら、今回費用弁償を復活するには、それなりの根拠が必要です。3会派が費用弁償廃止の記者会見を行ったのは一斉地方選挙の改選直前であり、市民むけのポーズとして行ったようにも受け取れます。今回の議員提案で1200万円の負担を市民に求めることは議員の特権意識の表われであるとの声もあります。これらの意見についてどのように応えるのか、伺います。

瀬之間康浩議員:次に、2点目の市民からの声についてどう受け止めるかでございますが、費用弁償は私たち地方議会の議員に求められる活動の多様性や議員の扱う対象領域の広汎性および専門性などに鑑み、地方議会の議員として、議案の提案や審議等に必要な本会議、委員会などへの出席に伴い、その職責を充分に果たすための準備、連絡調整および移動等の費用を支出しようとするものであることから、議会活動の充分な成果を示し、市民の理解を得ていく必要があるものと考えております。今後も、費用弁償については、さらなる市民の理解を深めていくよう努めていくものであります。

市民提案9月9日実施10月1日ではあまりに拙速

あらき議員:今回費用弁償を復活するにあたって、お手盛りで収入を増やすとの批判もあり、市民に対してその説明責任を果たすことが必要です。この点については「横浜市会基本条例の制定に関する調査特別委員会」で話し合われてきたとしていますが、今回提案の内容が市民に公開されたのは9月9日の議会運営委員会であり、議案となって発送されたのは20日です。しかも今日の本会議で即決し10月1日から支給開始です。これでは市民に知らせる間もなく、受け取りありきで進めているのは見え見えです。市民に対し、私たち議員の報酬も含めた手当のあり方について、広く意見を聞き、それから改めて議論しても遅くはありません。市民への説明責任という点から、今回の提案の仕方はあまりにも拙速であり、市民不在で、議員のお手盛りで決めているといわれても当然ではないかと思いますが、この点どう説明されるか、お答えください。

瀬之間康浩議員:次に、3点目の今回の提案が拙速であるとのことでございますが、今回の改正は平成23年5月に設置されました横浜市会基本条例の制定に関する調査特別委員会において、議会活動のあり方の観点から様々な制度について議論し、費用弁償についてはその支給範囲、支給額を見直すことを本年5月に報告されたものであります。その後、費用弁償を所管している団長会からの依頼を受け、市会運営委委員会で議論し、提案をさせていただいたものであります。

1日1000円、2000円、3000円の根拠は何か

あらき議員:今回の提案では、3方面に分けて1日当たり1000円、2000円、3000円の支給とされています。たとえば、南区から通う私を例に交通費を計算するとバスと市営地下鉄を乗り継いで往復880円です。1000円でおつりがきます。時間があってバスだけを利用すると420円です。結局は、実費より多い額を受け取ることになります。
この方面別の金額について賛成した議員は、今回の提案額の理由について「この段階的な金額の差があることも、距離であるとか、そこにかかる時間であるとか、そういうことを考えれば、ある程度、私は多い少ないという議論よりは、そこに多少の妥当性はあるのではないか。実際に高速道路を使ったりとか、車で移動する議員が多いと思いますけれども、そういう場合にはこれ以上かかるケースもあると思います」と述べています。しかし、高速道路を使ったり車で移動するからという理由では根拠が明白ではありません。
実際、横浜市職員の通勤手当に関する規則第5条の運賃等相当額の算出基準には「運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法により算出するものとする」となっており、自宅から公共交通機関を使っての経済的合理的なルートにおける運賃が交通費を計算するもとになっています。高速道路やタクシーなどの利用は経済的合理的な方法には含まれません。この点と比較して、交通費を実費とせず、1000円2000円3000円とするのは何をもって妥当だとするのでしょうか。その根拠について説明してください。

瀬之間康浩議員:次に、4点目の方面別に1000円2000円3000円とした根拠でございますが、議員には議案等の審議審査、議員提案、委員会での発議による条例制定のための議員間の調整、民意の把握、地方公共団体の事務の調査など、種々の活動が期待され、その成果として議案の提案や審議等に必要な本会議、委員会等への出席に伴う費用、またその職責を充分に果たすための準備、連絡調整、および移動等の費用としての交通費や諸雑費などを含め、費用弁償として支給したものであります。費用弁償は費用を要した都度、その実費を請求することも考えられますが、議会棟からの距離や公共交通機関の状況などから議員個々の居住区ごとに地域を3方面に区分し、且つ事務の効率性などを考慮し、それぞれ定額を支給するとしたものであります。

議員に支給する総額として議論をすべき

あらき議員:私たちは、交通費を支給する必要性について議論することを否定はしません。しかし、そうであるならば、議員に支給する総額が増えないように、議員報酬や政務活動費などについて議論し、その上で交通費を支給することになったならば実費相当額とすること、これらを検討すべきですが、なぜそうしないのか伺って、第一回目の質問といたします。

瀬之間康浩議員:次に、5点目の実費支給とし、総額が増えないように議員報酬、政務活動費と合わせた議論をすべきとのことでございますが、費用弁償は議会活動において議員が職務の執行などに要した経費として支給されるものであります。従って、一定の役務の対価として与えられる反対給付である議員報酬や議会の議員の調査研究その他の活動に資するための必要な経費の一部として支給される政務活動費とは区別されるものであり、地方自治法で規定されているそれぞれの趣旨を踏まえ、適正な額を支給もするものと考えております。
以上、あらき議員へのご答弁を申し上げました。

障害者に福祉パスの有料化、議員は交通費を支給に矛盾を感じないのか

(第2質問)あらき議員
今、お答えいただきましたことで、3点ほどお聞きしたいと思います。
まず、費用弁償を復活する必要性ですけれども、いまのお答えは、地方公共団体に自主性・自立性を高め、自らの判断と責任において、行政を運営する地方分権社会への転換が進むなか、二元代表制の一翼を担う地方議会は首長等に対する監視機能、首長の政策の修正および政策立案などを最大限に発揮してくことを求められていますとおっしゃっています。
しかしみなさん、私たち自身がその点をはっきりと踏まえているのですから、費用弁償のあるなしでこの点を発揮していないとお考えなのでしょうか。費用弁償があるからこそできるという根拠についてはお答えいただいた点では不十分ですので、再度この点についてしっかりとお答えいただきたいと思います。
二点目は、費用弁償でも特に交通費の支給について、議員報酬や政務活動費などが少ない自治体では、その必要性があると、私たちも思っています。しかし、横浜市のように政令市の中でも議員報酬と政務活動費が高い自治体の議員が交通費として費用弁償を必要とするのかどうかが一番の問題です。
横浜市の議員報酬は20政令市中、減額前の95万3千円は大阪市の97万円、京都の96万円についで3番目に高く、政務活動費の月額55万円は一番高い額です。
また、費用弁償を実施しているのは20政令市中7市であり、川崎、相模原、静岡の3市は実費相当額、神戸、福岡、広島、熊本市の4市は居住地ごとの定額制としています。川崎市の政務活動費は月額45万円で、相模原市は10万円、神戸市は38万円、広島市は30万円、熊本市は20万円で、いずれの市も横浜市より低い額です。このように政令市で比較しても、横浜市の議員報酬と政務活動費があれば、自分たちのやりくりで交通費は賄うことは可能です。それでも費用弁償を支給する根拠はなんなのか、再度この点について明確な答弁を求めます。
10月から今まで無料だった障害者のみなさんへの福祉パスが1200円に有料化されます。福祉パスを利用する障害者の方たちは、わずかな障害者年金と働いていても年収100万円以下という方がほとんどです。生活費が少ない方たちへ1200円の有料化を賛成した議員のみなさんは、その痛みを感じないのでしょうか。障害者には負担を求め議員は税金を使って交通費を支給してもらうということに、矛盾を感じないのでしょうか。この点についての考えを伺って私の質問を終わります。

瀬之間康浩議員
あらき議員の質問に対しましてお答え申し上げます。
まず1点目のご質問でございますけれども、首長ですね、この点につきましては、先ほどの1点目におすすめ、そしてお答えしたとおりでございますので、ご了承ください。
2点目の質問でございますけれども、先ほどの答えと重複しますけども、議員報酬や議会の議員の調査研究その他の活動に資するための必要な経費の一部として支給されている政務活動費とは区別されるものであり、地方自治法で規定されているそれぞれの趣旨を踏まえ、適正な額を支給もすべきものと考えているところであります。
3番目のお答えにつきましても、先ほどご答弁した内容と同じでございます。
よろしくお願いいたします。