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■「費用弁償復活議案に対する反対討論」 あらき由美子議員(2013.9.26)

障害者には負担、議員には交通費を新たに支給に、憤り

議第6号議案「横浜市市会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する一部改正について」、反対の立場から討論をいたします。
まず、これまで質問したことについて、どれも納得のいく答弁を得られなかったことは、とても残念です。議員提案である以上、私たちに納得のいく答弁を1つでも得られればと思いました。それをまず申し述べておきたいと思います。

費用弁償を復活する理由についてですが、「地方公共団体の自主性、自立性を高め、自らの判断と責任において行政を運営する地方分権社会の転換が進む中、二元代表制の一翼を担う地方議会は、首長等に対する監視機能、首長の政策の修正及び政策立案機能などを最大限に発揮していく」ということを第一の理由にしていますが、では廃止してきたこの間、私たちはそのことをしてこなかったというのでしょうか。費用弁償のあるなしにかかわらず、この点を踏まえて議員としての職責を遂行するのは当然のことです。また「議会の権限を適切に行使するためには費用弁償は必要不可欠であり、法の趣旨に則った改正」だとも主張されています。しかし、この間、費用弁償の支給がない期間であっても法に触れているという議論はただの一度もありませんでした。結局、費用弁償の支給を正当化するために、このような理由を述べているだけで、納得できません。

市民への説明責任については、「今後も継続的に費用弁償の支給方法など、市民の理解を深めて議論をしていくべきもの」としていますが、質問でも取り上げように、市の財政状況が厳しい事実は今も変わりなく、市民の暮らしでは、年金額は下がり、生活保護費も引き下げられ、生活するのに多くの方が支出を抑えるのに必死になっています。市民の暮らしや市の財政状況が好転しているとは思えない状況にありながら、なぜこの時期なのかという点でのお答えはありませんでした。

費用弁償復活について市民に知らせる期間も短く、10月1日から実施したのち、市民の理解を深めていく議論をしていくべきものという勝手な言い分自体が市民軽視そのものです。

また、10月から今まで無料だった障害者のみなさんへの福祉パスが1200円に有料化され、年収100万円以下という生活費が少ない方たちへ負担を求めることに賛成した議員のみなさんは、その痛みを感じないのでしょうか。障害者には負担を求め、議員は税金を使って交通費を新たに支給してもらうということに、私は憤りを覚えます。

条例改正は、今年の5月に「横浜市会基本条例の制定に関する調査特別委員会」での議論を踏まえて、団長会議や市会運営委員会で議論し、提案したとしています。しかし、そもそも市民がこの費用弁償復活について議案として知ったのは9月9日の市会運営委員会です。拙速に決定したものではないという答弁ですが、市民はそう思うでしょうか。この点でも市民には十分な周知期間もなく今日の本会議で即決するという手法について、拙速だと思うのは当然です。

方面別に1日当たり1000円、2000円、3000円を支給するその根拠について伺いました。その答弁は「実費請求することも考えられるが、交通費や諸雑費等の支出を想定し、かつ事務の煩雑、効率性などを考慮し、定額支給したもの」としています。しかし、市職員の交通費の支給は経済的かつ合理的な通勤の経路と方法で計算するという方法と比較しても、その根拠はあいまいです。さらには、事務の煩雑・効率性などを考慮する必要があるのでしょうか。自分の交通費を計算できない議員はいないはずです。この点でもあえて交通費に限定せず、諸雑費等の支出を想定していること自体が問題です。

私たちは、交通費を支給する必要性について議論することを否定はしません。費用弁償でも特に交通費の支給について、私たち議員が受け取っている議員報酬や政務活動費などが少ない自治体では、その必要性があると思います。しかし、横浜市のように政令市の中でも議員報酬と政務活動費が高い自治体の議員がこの費用弁償を必要とするのかどうかが一番の問題です。必要とするのであれば、まずは実費で計算し、総額が増えないように、議員報酬や政務活動費などの金額のあり方についても議論し、検討すべきです。

また、市民の税金の使い方という点では、議員1人につき4年間の任期中に120万円を上限としている海外視察費についてもやめるべきです。海外に行き優れた制度や取組みを調査してくることは大事です。そのことは否定しません。そのために月額55万円の政務活動費が支給されているのですから、その目的にかなった使い方ができるはずです。新たに別の財布から議員1人当たり120万円もの支出をすること自体が問題だと、私たちは主張しています。

9月19日山梨県議会海外研修費返還訴訟の判決が東京高裁であり、裁判長は住民側の訴えを全面的に認め、知事に対し費用全額の返還を参加した県議に求めるよう命じています。このような事例もあることから、海外視察費についても止めるべきです。
このことを申し添えて私の反対討論といたします。