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■「財政局」 岩崎ひろし議員(2013.10.18)

新労務単価が現場の労働者に反映されているか直接調査せよ

岩崎議員:よろしくお願いします。
現下の経済対策の中心課題は賃上げです。そこで、官製ワーキングプアといわれる状況の根絶の視点から伺っていきたいと思います。
公共工事の分野に、新設計労務単価を引き上げる特例措置がとられました。本市公共工事の現場では、職人・労働者の賃上げに効果が現れているのか、伺います。

友田技監:よろしくお願いします。
25年度の労務単価が急激に上昇しましたことによりまして、国からの要請に対応するとともに、本市独自の中小企業振興条例の趣旨も踏まえまして、特例措置を実施したところでございます。これによりまして、対象となる工事の9割以上を占めております市内中小企業の採算性が改善されるとともに、ご質問の技能労働者の賃金につきましても適切な水準が確保される環境が整ったと考えております。

岩崎議員:環境が整ったということですけど、労働組合が6月に行った賃金実態調査では、普通作業員の新労務単価は1万7700円ですけれども、実際受け取っているのは、1万3833円。前年同月比で1200円上がっていますが、これは需給バランスによるものということです。特例措置の現場への反映状況の把握は、どのようにしてやっていますか。伺います。

友田技監:公共事業の設計労務単価につきましては一時金を含んだ年間の総賃金の1日の平均というかたちになっております。反映の状況の把握についてでございますが、特例措置の対象に受注者には下請け契約の労務費の反映につきまして、工事竣工時に報告書の提出をお願いしております。提出された報告書には、下請けとの協議により一律数パーセントアップしたというものもございますが、また一方で下請けとの契約時点でもうすでに設計単価がもう上回っているため今回は変更しないといった報告もあり、特例措置の目的は達成されているというふうに考えてございます。

岩崎議員:建設現場というのはそうとう複雑な構造になっていると思うんですけど、いま技監言われた内容で、本当にしっかり現場の状況、把握できてるというふうに判断しているんですか。

友田技監:委員ご指摘のとおり、建設労働の関係、非常に難しい、構造的にも非常に難しいということで、私どもとしては賃金の実態を捕まえるということではなくて、労務単価がちゃんと2次下請けの方に反映されているかどうかということを主眼に、私どもとしては把握しているという状況でございます。

岩崎議員:いま説明のあった取り組みでは、実態把握はなかなかできないんじゃないかと思うんです。国は、賃金水準の引き上げ等について適切に対応するよう周知徹底を、元請け企業と地方自治体に求めています。これが国の公式立場なんですけど、しかし国の担当者は非公式の場では、特例措置される分はほとんど経営改善に回る見込みと言ってはばかっていません。とんでもないことです、これは。本市は特例措置の目的どおり、賃金引き上げにつながるように努力すべきですが、技監の認識を伺います。

友田技監:先ほどご答弁しましたとおり、下請け元請けとの関係のなかではもうすでに賃金が、私どもの労務単価、昨年度の10月の調査に基づいた単価でございまして、そういう意味ではもう賃金がすでに上がっているということで、元請け下請けの関係では私どもの労務単価より高い単価で契約されているということなんで、そういったことがいま委員がおっしゃった国の方のコメントとして出ている背景ではないかのというふうに考えてございます。

岩崎議員:今度の特例措置は、現場の労働者の受け取る賃金がやっぱり上がるということに主眼があるわけですよ。文書読んでもそうなってます。だから、この周知徹底ということを国が言っている以上、実態把握っていうのはどうしてもやらなきゃいけないことだと思うんですよ。いろいろ大変ですけどね、当局は現場に足を運んで、下請け企業や親方、現場の労働者等から、直接、聞き取るようなやり方が必要だと思うんですけど、この点どうですか。

友田技監:本市におきましては、国からの要請を踏まえまして、新労務単価の早期適用や特例措置の実施と、こういうことをやってきております。特例措置の対象となる実務者には賃金水準の引上げ等について適切な対応を要請するとともに、先ほどいいました対応状況の報告書の提出をお願いしているところでございます。賃金の問題につきましては、企業の労使間で決定するものであり、本市が直接関与すべきではないと考えており、まず発注者としては適切な予定価格で工事発注することが責務というふうに考えてございます。

岩崎議員:でも、特例措置の内容からいえば、やっぱり直接受け取る労働者がたくさんもらわないことには意味がないわけです。だから、難しいと言って、いまの話だと事実上手をこまねいているというふうに言わざるを得ません。当局は、実態把握と周知徹底のために、もっといろいろ工夫するべきだと思うんですよ。
例えば足立区では、発注する際に、元請けに適切な対応を行う旨の誓約書を提出させています。末端の下請事業者は、社会保険料もままならない劣悪な条件で請け負わざるを得ない境遇にあります。本市には、発注者権限があるのですから、元請けに対して、下請け事業者との契約は保険料等義務的経費を別枠で保障するなどの改善を義務付ける措置を取ることだと思うんですが、この点どうでしょうか。

友田技監:繰り返しのご答弁になりますけど、特例措置の対象となった工事につきましては、事業者の方々に下請け契約への反映も適切に行っていただくよう働きかけるとともに、これは本市としては独自の取り組みというかたちになりますけど、報告書の提出を求めているということで、できる限りの対応は横浜市としてはしているということで考えております。現在、各業界におきましては、国の指導もありまして、自主的な取り組みを進めているところと聞いております。本市としてはこのような取り組みが推進されることを期待しているという状況でございます。

岩崎議員:努力はされるということなんで、いいんですけどね。でもやっぱり、実態はなかなか現場の労働者に賃金がたくさん払われるという状況にはならないっていうのが事実なんですよ。だから、たいへんですけど、市はやっぱり現場をおさえて、事実はこうなんだということをやっぱり、業者の方もたいへんなんですよ、経営がね。だからそういうことも踏まえて、やっぱり全体としては契約のその金額を引き上げるようなことも含めて考えないといけないと思うんです。だから、引き続く努力を要請しておきたいと思います。

公共工事や公的事業の現場の賃金実態を把握せよ

次に、公契約条例について伺いたいと思います。
本市事業を公社や民間に委託する際に、労務費がピンはねされている疑いがあります。その結果、いわゆる「官製ワーキングプア」の状態がつくられています。
具体的には、あらき議員が本委員会で質疑した、資源循環局が資源循環公社に委託している資源選別センターの場合です。市から公社への委託契約書では、選別作業にあたる普通作業員の単価、一日当たり賃金は1万4400円となっています。ところが、公社が再委託する資源リサイクル事業協同組合では、常勤職員の普通作業員Aさんの賃金は支給総額から割り出して一日当たり7500円にしかなりません。市から公社に委託する労務単価は1万4400円。再委託・下請けに出すことで半分の7500円になる。こんなひどい話はないと思うんです。
同じく、古谷議員が質疑した保育の分野では、社会福祉法人立保育園で運営費に対する人件費比率が平均約71%であるのに対し、株式会社立保育園の園数上位3社では、平均43から49%になっています。株式会社立の人件費率の異常な低さが現場でどうなるかというと、日本保育サービスが運営する保育園の決算資料によると、常勤職員の平均月給は諸手当込みで18万から24万円にとどまっています。
資源選別センターも保育園もマンパワーで成り立っている事業です。その事業が、委託化・民営化されることで労務費が食い物にされ、ピンハネが疑われるという事実について、公金を管理する財政局長、これ、どう思われますか。

柏崎財政局長:ただいまの個別の事例についてお尋ねがございましたけれども、基本的に労働者の賃金等のいわゆる労働条件につきましては、個々の企業の労使間での自主的な決定が原則であるというふうに考えております。しかし、そうしたなかで、労働者の賃金等の労働条件につきましては、関係法令に基づき適切に確保されるべきということでございますので、本市の契約におきまして法令違反等があれば適切に対応していく必要があるということで、先般もご答弁させていただいたというふうに記憶しております。

岩崎議員:この問題は引き続き議論したいと思いますので。ただ、副市長にちょっと伺いますけど、この委員会で2つとも議論されている問題なので、この2つの事例が事実だということについてだけ確認してください。

大場副市長:すでに鈴木伸哉副市長からもお答えしていますけれども、委託先の業務が適正に行われているかという点については指導をしていくということでございますから、その結果をみて見極めていきたいと思います。

岩崎議員:そういうことじゃなくて、その労務費が下請けされることによって切り下げられてるということの事実だけ認めてくれればいいんです。そのことです。

大場副市長:資源リサイクル事業協同組合の雇用関係については、直接横浜市がいまタッチをする関係ではありませんので、もし不正があるとすれば、市としては公社に対して適正に指導していくということになると思います。

岩崎議員:質問に答えてくれてくれないんだけど、まあいいや。次にいきます。
公務や公共工事、公的業務等は、公金で運営されているわけですから、当局は、現場の賃金実態を把握してしかるべきです。どう考えるのか、この点も局長に伺います。

柏崎財政局長:先ほどのご答弁とも関わりますが、当然横浜市の契約におきまして法令に違反するような事実というものがあれば、これはそれぞれ職安局あるいは私どもも含めまして適切に対応していく必要があるというふうには考えております。

公的労働現場の賃金を保障する公契約条例を制定せよ

岩崎議員:こういう問題を解決するために、多くの都市で公契約条例を制定してがんばっています。本市は、このような取り組みを行う気があるのかどうか、ちょっと聞きたいんだけど、この種の問題はやっぱり法的に正さないとだめだと思うんです。だから、公契約条例を制定すべきだと思うんだけど、制定に向けてどのように取り組んでいるのか、伺います。

柏崎財政局長:すでに公契約条例を制定している自治体や、あるいは公契約条例によらずさまざまなかたちで賃金等の労働条件の確保を図っている自治体などの状況を、この間確認をしてきております。そのほか、労働条件を確保するための取り組みとして、さまざまな部門が関係するというようなことから、財政局契約分だけではなく、庁内の関係部署による勉強会を進めているところでございます。また、当然のことでございますが、このことに関係する方々のご意見を幅広く伺うために、本市関連の事業者団体あるいは労働者団体のみなさまからも公契約ということに関するご意見を伺うなど、研究を進めているところでございます。

岩崎議員:本市が、公務・公的現場の賃金引き上げを実現することによって、市内の他の全般的な賃金引き上げの流れをつくりだす必要があると思います。この点では、副市長、どういう見解をお持ちですか。

大場副市長:今日の厳しい経営環境を踏まえてですね、各都市においても労働者の賃金確保のためのさまざまな取り組みが行われております。本市契約における労働条件の確保については大変重要であります。今後も行き過ぎた低価格での入札の防止を重視しながら、引き続き関係するみなさまのご意見を伺いながら、対応をしていきたいと思っております。

岩崎議員:公契約条例ね、これはやっぱり効果あると思うんですよ。だから、ぜひこれは積極的に検討してもらうということを要望して、終わります。