議会での質問・討論(詳細)
2013年12月17日

■「議案反対討論」 白井まさ子議員(2013.12.17)

開発規制強化なしで市民にみどり税負担させるな

私は、日本共産党を代表して、18件の議案と4件の請願の不採択について反対し、討論を行います。
まず、 横浜みどり税条例の一部改正についてです。この条例改正は、個人市民税に一律年間900円、法人市民税に9%を超過課税する「横浜みどり税」を、さらに5年間延長するものです。
市内納税者の一人当たり総所得はほぼ毎年減っているなかで、均等割りで個人市民税に一律に課税する方式は「税の応能負担の原則」を無視するものです。また、2012年度における欠損法人は65.6%も占めているにもかかわらず、今後、欠損法人に課税することも経営実態を無視したものであり、問題です。
樹林地の買い取りは、みどり税を安定財源として活用した大きな成果だとしていますが、これまで4年間の樹林地買い取りは118件、そのうち71件は都市緑地法とその運用指針に基づいたものです。みどり税がなくてもこの法に基づき買い取らなければならなかった案件が大半を占めているわけです。
さらには、今後5年間の計画では、想定面積108ヘクタールの樹林地買い取り事業費は325億円で、そのうち国費と市債が86%の280億円を占めています。みどり税で充てる分は35億円で年間7億円ですから、みどり税がなければ買い取りが進まないということではありません。そもそも、みどりの減少の原因となった開発業者への負担金導入や開発に対する規制強化などない中で、市民のみに負担を課すもので公平性を欠くものであり、継続は認められません。

消費税増税分を公共料金に転嫁するな

次に、来年4月実施の消費税8%への増税に伴う料金値上げについての条例の一部改正についてです。
8%への増税で国の増収見込みは6兆円ですが、国は増税で景気が悪くなるからとして、法人税減税や投資減税に加え、これまで以上に国債を発行し公共事業をやるとし、5.5兆円の経済対策を補正しました。この事実だけでも、消費税増税の口実は破綻しています。
政府は、消費税増税は社会保障の充実と財政再建を両立させるものと説明してきましたが、社会保障削減の道筋を定めた社会保障プログラム法が強行されれば、年金切り下げ、医療・介護の負担増で、国民のくらしは一層困難となるばかりです。また、景気が回復しているから大丈夫と言っていますが、サラリーマン世帯の収入は連続して減り続け、雇用も正社員が非正規社員に置き換えられ、悪化しています。アベノミクスの波及は一部の大企業、資産家にとどまり、中小企業には及んでいません。このような社会状況のもとで消費税増税を強行すれば、消費をさらに冷え込ませ、景気をますます悪化させ、貧困と格差を広げるだけです。4月からの消費税増税は中止しかありません。
大量の水道を使って営業するクリーニング店や銭湯などをはじめ、入浴施設がある特別養護老人ホームや地域ケアプラザ、プールで大量の水を使う保育所などの社会福祉施設、そして病院、診療所など、上下水道料金だけを見ても経営と事業への影響は甚大なものがあります。こうした実態があるにもかかわらず、公共料金への機械的な転嫁は問題です。

保育の質の低下を招く規制緩和の小規模保育モデル事業

次は、平成25年度横浜市一般会計補正予算(第3号)についてです。
小規模保育モデル整備事業は、国の子ども・子育て支援新制度での給付の形態の一つとして新たに位置づけられ、10月に待機児童解消加速化プランの新しいメニューとして国から示されたことを受けて、横浜市が全国に先がけて0、1、2歳児の定員19人程度の保育施設を3か所整備するものです。
今回の事業は、保育室等の面積基準と保育士資格保有者の割合の基準を現行の認可保育所よりも緩和した低い水準で良しとしていることが問題です。具体的には、現行の0、1、2歳児の保育室面積は1人当たり3.3平方メートル以上が認可基準であるのに、2歳児は1人あたり1.98平方メートル以上とし、保育士資格者が保育者の2分の1以上いれば良いと、どちらも緩和されていることです。これでは、保育の質の低下を招くことは明白です。保育施設での死亡事故の多くが0、1、2歳児に集中している事実があることから、0、1、2歳児の保育は専門的知識をより必要としています。
待機児童解消を加速するために子どもの命が軽視されることはあってはなりません。国が認可基準を緩和したことをそのまま受け入れる姿勢そのものが問題です。横浜市として、子どもの命と発達を保障するためにも現行の認可基準は守るべきです。

利益をあげている保育所運営事業者に家賃補助はいらない

保育士宿舎借り上げ支援事業は、保育所を運営する民間事業者が保育士確保や離職防止のため、保育士用の宿舎を借り上げる際の家賃補助をするものです。
現在、横浜市で一番多くの保育所を運営している営利法人を傘下におく株式会社JPホールディングスは、2013年3月期決算で経常利益が約14億円、配当金総額が2億5000万円です。同じく多くの保育所を運営する株式会社こどもの森では、法人税を中心にした租税公課を保育運営費から約1200万円から2000万円支払っている園が、2010年度は6園中6園でした。2011年度は9園中8園が340万円から1700万円支払っています。
このような保育事業で利益を得ている民間営利事業者に、税金で家賃補助をするということ自体、市民の理解が得られるとは思えません。

学ぶ条件に格差をつけ、教育の機会均等を奪うな

中高一貫教育校整備推進事業は、付属中学校を有する市立南高等学校が、国が新たに100校予定している国際的に活躍できるグローバルリーダー養成のためのスーパーグローバルハイスクールの指定を目指すために、英語学習用のLL教室をもう一つ新規に整備するものです。整備そのものは来年度ですが、指定が確定していない中で、この時期に国にアピールすることが必要として、4000万円もの予算をつけておきたいというものです。
スーパーグローバルハイスクールの指定は安倍政権の成長戦略の一つとして教育再生実行会議で提言されたもので、結果的に一部の学校のみ優遇し、子どもたちの学ぶ条件に格差をつけることになり、教育の機会均等を保障する点からも重大な問題です。教育の機会均等の点でいえば、夜間中学の5校を1校に統廃合することや、朝鮮学校への補助金中止も、まさに教育委員会自ら、学ぶ条件に格差をつけ、教育の機会均等を奪うものとなりました。
国の意向に沿ったいち早い態度表明の予算よりも、横浜の子どもたち全体の教育をどうするかを主体的に考えた予算付けをすべきです。

33万筆の市民の願い、学童保育運営費の増額を

つづいて、不採択になった請願についてです。
まず、学童保育の運営費の増額を求めるものについて、請願の理由として、月額の平均保育料が1万6491円まで高騰し、経済的理由から学童保育に入るのをあきらめたり、途中退所している子どもが増えている、ひとり親世帯や多子世帯に対して、クラブ独自で保育料の自主減免を行っているため、学童クラブの運営に大きく影響をしていることなどがあげられています。また、今年度予算で大規模学童の分割準備金の増額と移転費用補助が新設されましたが、家賃補助の上限は月額15万円のままのため、条件に見合う物件がみつからず、新制度を利用することができないのが実態です。
常任委員会での議論で、各会派の議員は各区の懇談会に参加して意見交換し、生の声を聞いていると述べており、このような学童クラブの切実な要求を承知されているはずです。そうであるならば、これらの実態を一刻も早く改善するためにも、学童保育の運営費を引き上げてほしいというこの請願を採択すべきです。学童保育の充実を求める33万筆という多くの市民の要望に応えるためにも、この請願の採択を強く主張します。

食育の基本となる給食を中学校でも実施を

次に、中学校給食の実施を求めるものについてです。心身共に発達の著しい中学生の望ましい食事は、栄養バランスが整っていることが必須ですが、昨今、共働きやひとり親家庭が増え、弁当を作る条件がなかったり、栄養バランスまで気がまわらない家庭もあり、家庭の事情が弁当の中身に反映しています。現状の中学生の家庭弁当について教育委員会とし栄養バランスの調査を行っていないのに、家庭弁当の方が良いとする教育委員会の言い分は根拠がありません。
横浜市と同じく中学校給食未実施の川崎市は、先月、早期に中学校完全給食を実施することを決定し、今月から推進体制がとられました。これで20の政令市の中で、実施計画がないのは横浜市と堺市だけとなります。
1956年の学校給食法改正で、給食が中学校にまで拡大されて以降、全国で中学校給食が普及し、2005年の食育基本法施行、2009年の学校給食法改正で学校給食を活用した食育の充実が定められ、再び導入の機運が高まり、政令市では、北九州市、相模原市、大阪市、神戸市が実施に踏み切りました。いまだに中学校給食の実施計画さえない横浜市は、完全にこの潮流からはずれているわけです。
今回の請願に対して、自民党から「小学校のように画一化された献立で同じ分量のものを食べるということが、はたして発達段階の中学生にとって大切なことなのか」と疑問が呈されましたが、食教育としての教材を提供するわけですから当然、全員同じものであり、各自が分量の調整もできるわけですから、給食の意義や実態をふまえていないと言わざるをえません。
また、「横浜市がとった弁当に関してのアンケート調査にもでてきているとおり、弁当というものが親も子どもも多数が過半数が評価している。中学校給食の実施は多くの市民が望むものではない」と発言がありましたが、給食の選択肢を提示しないで、弁当を前提としてとったアンケートのため、弁当が評価されるのは当然のことであり、中学校給食の実施は多くの市民が望むものではないとするのは、あまりにも乱暴です。
請願を採択しようではありませんか。

国保料の大幅上昇に対する緊急的・恒久的軽減対策を

次に、国民健康保険料が算定方式変更により大幅に上がった世帯への対策を求めるものについてです。
市民税方式から旧ただし書方式に変更になり、主に子育て世帯で保険料が増えています。港北区の子ども3人の夫婦で保険料が昨年の38万5000円から51万円に、緑区の子ども2人夫婦37万8000円が50万6000円に、旭区の子ども3人の自営の夫婦で30万7000万円が51万1000円と、3割から7割という大幅な負担増で、払えない世帯が実際にでています。一般会計から繰り入れて、緊急的および恒久的措置を取ることが必要です。
実際の保険料は当局から示された試算表をはるかに超えています。他の会派からも市民から相談があったと聞いています。当局から示された試算表に瑕疵があったわけですから、その対策をとるのは当たり前で、請願は採択すべきです。

4割が受け取っていない費用弁償制度は実質破たん

最後に、市会議員への費用弁償の再検討を求めるものについてです。費用弁償は復活しましたが、実際には4割の議員が受け取っておらず、すでに制度は実質破たんしています。請願に沿った再検討が求められます。
以上で、討論を終わります。


新着情報

過去記事一覧

PAGE TOP