議会での質問・討論(詳細)
2014年3月11日

■こども青少年局(白井まさ子)

ある株式会社保育園では保育士の在職年数平均2年未満

白井議員:日本共産党を代表して質問します。通告の順番を変えます。
まず、株式会社が経営するある認可保育園の保育士定着状況についてです。この園は開園5年目で、園長交代が続いて、すでに5人目です。今回、法人の意向で、年度途中の1月からの園長交代が昨年12月に発表されましたが、保護者は納得していないんです。今ちょうど年度末ですけれども、正規保育士12人のうち多くが退職希望を持っていて、すでにその半数の退職が決定しているということだそうです。12月以降に、法人本部の職員数人が毎日園に常駐していて、12月に私が訪問した際も異様な雰囲気を感じたわけなんですけれども。保育士以外の知らない大人が一日中、園にいるという事態を子どもたちは本当に敏感に感じます。保護者は「子ども心に傷を負ってしまうことになった」と大変心配をして、法人への不信感、不安感を募らせています。こういうこと、あってはならないことだと思うんですけれども、この園のこういった状況を局長はどう認識しておられるのか、伺います。

鯉渕こども青少年局長:ご指摘と思われます保育所につきましては、短期間での園長交替ですとか保育士の多数の退職希望により、保護者に不安を与えているため、改善に向け、法人に対し指導をしております。組織体制や人事管理は事業者の問題ですが、保育所の運営におきまして、保護者への不安や子どもへの処遇に問題がある場合には、市として適正な保育・運営が行われるよう改善指導を行う必要があると認識しております。

白井議員:指導しているということなんですが、保育士は辞めていく、保護者は法人への不信感を募らせる、何も改善されないままきているのは問題だと思います。深刻に受け止めなくてはいけないと思います。
この園で、多くの保育士が辞めていく現状は、この園のこの年度末に限ったことではないと思います。この企業は、現在、市内に認可園14園経営していますが、他園についても経年での保育士定着状況が気になるんですが。そこで、2010年度2011年度2012年度の3年間について、市内全園における保育士平均在職年数、説明していただきたいと思います。

田中子育て支援部長:当該法人が22年度に運営しておりました保育園全園の平均在職年数でございますが、22年度は1年8か月、23年度は1年9か月、24年度は2年となっております。

白井議員:平均して2年になるかならないかというのは、どういうことなんでしょうか。この企業は毎年のように新園を作りますから、経験ある保育士をそちらへ移動させれば、その分在職年数は短くなりますが、2006年に開園したところもあって、5年以上経っている園もあるわけですから、特別な事情がなければ普通はもっと長くなるのではと思います。
ある開園5年目の園では、2011年度に常勤職員の平均在職年数1年です。パート・アルバイトも含めて2010年11年の2年間で、新規に13人が入り、9人が辞めています。また、別の開園6年目の園では、2011年度に常勤職員の平均在職年数は1年11か月です。2年間で新規11人入って、9人辞めて、保育士はパート・アルバイト含めて21人ですから、2年で半数が入れ替わったということですね。
公表された数字で、厚労省の賃金構造基本統計調査というのがありますが、2012年に神奈川県内の保育士の勤続年数5.9年となっています。この企業の平均在職年数が2年になるかならないという数字、これと比較するとあまりにも短いと思います。そこで伺います、局長に。この企業の保育士平均在職2年で次々辞めていっている、その課題は何だというふうにお考えでしょうか。

鯉渕こども青少年局長:確かに先生おっしゃるとおり、2年というのは短いめの年数ではないかというふうに思います。人事上の課題ということでですね、運営面の課題、有しているのではないかということで、現在指導しているところでございます。

雨漏りあとまわして、保育運営費で東京の新しい保育園を建設

白井議員:それでは、この企業の保育運営費の使途に触れていきます。2012年度決算審議で古谷議員が明らかにしました。この企業は、横浜市から受け取った保育運営費を本来の使途以外に弾力運用して、東京に保育園、作っています。そこで、2011年度に弾力運用した金額は何園分で、総額いくらか、1園分はいくらか、お答えください。

田中子育て支援部長:当該園の23年度の弾力運用の事前協議で承認した額でございますが、総額として約2億1000万円で、事前協議を承認した園数は10園でございます。単純に総額を園数で割りました平均でございますが、1園当たり弾力運用の承認額は約2100万円となってございます。

白井議員:私たちの調査では、2億1000万円のうち東京都内に新規に6園を開園するために持ちだしたのが1億8000万円ですね。その9割方です。毎年毎年新園開園に必要な資金を捻出するために、市内の既存園の運営費から持ち出しているわけですね。
先にあげた園では、3.11の地震以降に窓を伝って雨漏りする箇所がもう何か所も出て、雨のたびに乳児さんのお部屋の畳がもうびしょびしょということで、園としては法人本部に何度も修繕を依頼してきましたが、放置されてきました。改修工事が行われたのは今年の1月になってからですが、このひとつをみても、本来この園に使われるべき保育運営費が削られているために起こっていることだと思われます。
そして、子どもたちの命を預かる責任感をもって働いておられる保育士さんが、運営コストをぎりぎりまで削る企業の経営方針にあわせようとすれば、板挟みとなって、良心の呵責に耐えきれずに、働き続けることができなくなる。保育士さんが辞めていくのは、こういった理由からではないかと思うんですね。
子どもたちにしわ寄せがきていることをみると、そしてまた保育士さんたちが働きがいをもって働き続けることができない状況に置かれていることをみると、その営利目的の企業頼みで待機児童を解消してきた本市の方針に無理があるということを実証したものといえると思います。保育園の運営費の使途には弾力運用が許されていますけれども、それはあくまでも例外規定です。しかし、一部の営利会社でこの例外規定が常態化していて、これではいけないと思うんですね。他都市への公的資金の流出を認めないなど、現行の弾力運用に対して踏み込んだ規制をかけるべきと思いますが、どうでしょうか。

鯉渕こども青少年局長:保育所運営費は、本来適切な児童処遇と職員処遇のための経費として使途が制限されておりますが、国の通知に基づきまして、一定の要件を満たしていれば、保育所運営の効率化と安定化を図るため、運営費の弾力運用が認められております。弾力運用が適切かどうか、事前協議や実地監査などで確認し、不適切な処理の場合には是正を求めております。一方で、保育の運営において問題があれば、事業主体にかかわりなく運営面での指導を行い、経費の使い方に問題があれば、会計面での指導を行っております。なお、本件につきましては、運営上の課題として別途指導・対応しておりますし、また施設修繕もすでに行われたところでございます。

白井議員:指摘したことについての再検討をお願いしたいと思います。
そして次ですが、保育士向け宿舎の家賃補助についてです。ここで、国の待機児童解消加速化プランのメニューですけれども。終わります。


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