議会での質問・討論(詳細)
2008年9月19日

【2008年第3回定例会】「反対討論」白井正子議員

これ以上の市立保育園の民間移管は公的責任の放棄

 私は日本共産党を代表して、今議会に提案された2件の議案と7件の請願の不採択について、反対討論を行います。

 まず市第38号議案は、鶴見区の駒岡保育園、南区の六ッ川保育園、磯子区の洋光台保育園、緑区の青砥保育園を2009年度から民間移管に伴い廃止するというもので、請願第52号は民営化中止を求めるものです。
 市立保育園の民営化が始まり5年目となり、すでに20園が民間に移管されました。移管先法人の所在地は横浜市内だけでなく、東京都多摩市、埼玉県、秋田県、兵庫県、鳥取県、長崎県、宮崎県と全国に広がっています。現在、横浜市内の認可保育園は402施設で、そのうち公設公営の横浜市立保育園は104施設となりました。
全国に先駆けて2004年度から市立保育園の民営化を始めた横浜市ですが、初年度移管された保育園の保護者らが、横浜地方裁判所に横浜市立保育園廃止処分の取り消しを求めた裁判では、横浜市の性急過ぎる手続きは違法と判決が出され、横浜市はこれを控訴し、現在、東京高裁で係争中です。係争中にも関わらず民営化を続けることは、司法判断など関係ないとする高慢な態度といわざるを得ません。来年1月判決予定ときいていますが、少なくともそれまでは民営化は凍結すべきです。また、大阪大東市の保育所民営化裁判で、保護者への損害賠償を市に求めた高裁判決を、最高裁が認めたことも考慮すべきです。
 また、一時保育など多様な保育ニーズにこたえることが大義名分で始めた民営化ですが、市立園でも35箇所で実施していることから、市立園でも一時保育ニーズには応えられることが明らかとなっています。民営化する大義がなくなった今なお続けることは、コスト第一主義としか受け取れません。
 常任委員会で局長は、市立保育園独自の役割として次のような認識を示しました。各区における民間保育施設の連携の核となること、保育園として保育の質の向上を図るための中心的な役割を担うこと、障害児保育や子育て支援の拠点であることなどです。だとするならば、これ以上の市立保育園の民間移管は、児童福祉法で謳う公的責任の放棄といわざるを得ません。これ以上行うべきではありません。
 この際、民間保育園への法外扶助費が、2006年度と2007年度の2年間で、約16億円削減されたため、安定経営が困難となっていることを指摘しておきます。

中央卸売市場手数料の自由化は
市場開設者である本市の役割や責任を後退

 次に、市第43号議案は、横浜市中央卸売市場業務条例の一部改正についてです。卸売市場法の改正に伴い、これまで全国一律に定められていた卸売業者が出荷者から受け取る委託手数料率を、卸売業者による届出制にするものです。
 卸売市場法改正の際、国は委託手数料率に関して、「市場開設者である自治体は一定の関与をすべきで、国の示す4つの例を基に定めること」と、しています。卸売業者の届出制、開設者が上限を定めた届出制、開設者が上限を定めた承認制、開設者が料率を決めるという4つの例の中で、本市の条例案は卸売業者の届出制を選択したものです。
 改正卸売市場法は、近年、卸売市場を経由する生鮮食料品が減少する中で、規制緩和をし、市場機能の強化をはかろうとしたものですが、消費者へ生鮮食料品を安定供給するという市場の役割や責任を充分はたせるよう開設者に求めているものです。
 北九州市・鹿児島市・福岡市などは、開設者が上限を定めた上で承認制とすることを選択すると聞いています。届出制を選択した本市は、条例で申告される料率が妥当なものか、開設者が経営などについても踏み込んだ指導をしようとしています。しかし、委託手数料率の届出制は、市場間の過当競争、業者の経営悪化をもたらすことが懸念されます。倒産や経営不振となれば、それだけで市場機能は、喪失されます。横浜市の条例案は、市場開設者である本市の役割や責任を後退させかねないものであり、納得できるものではありません。

結核医療の中心的役割を担う南横浜病院の存続を

 次に、請願第47号は、独立行政法人国立病院機構南横浜病院の存続・医療の継続を求める意見書を国や県など関係機関へ提出することを求めるものです。
 港南区にある南横浜病院は71年前に県立結核療養所として創設され、その後国立療養所となり、国立病院として横浜市内の結核医療の中心的な役割を担ってきました。それだけでなく、一般内科、呼吸器科、消化器科を地域住民が利用しており、地域医療にも貢献しています。2004年、独立行政法人国立病院機構下の病院へと改編されていますが、それ以降経営改善を口実に病床削減が行われ、今般改善の見通しが立たないとして今年12月1日をもって完全に閉鎖するとしています。
 現在、横浜市内で新規の結核患者は年間約800人で、入院医療を必要とする約350人のうち約半数が南横浜病院への入院となっています。南横浜病院が閉鎖されれば、横浜市民が利用する結核病床が不足することになります。また、一般医療において、この横浜南部の医療圏は基準病床不足地域であり、病院閉鎖による市民不安が増幅されるのは当然です。横浜市は南横浜病院において、中区寿地区での結核服薬指導を行っており、罹患率減少に大きな役割を果たしてきました。また、新型インフルエンザ発生時の対応が世界的に問題になっている今、南横浜病院は技術的に対応可能な病院の一つとして、横浜市行動計画において優先的に受け入れる医療機関として位置づけがされている病院でもあります。
 病棟閉鎖による収入激減の一方、耐震工事やボイラーの更新による支出増の中での経営難です。国の社会保障費の削減こそやめ、国費を投入し、病院を存続させるべきであり、請願の不採択には同意できません。

市民生活を守るための緊急要望に応えることは市の当然の役割

 次に、請願第48号49号50号は、横浜市として市民生活を守るための緊急施策を実施するよう求めるものです。
 原油・穀物の高騰による物価高のもとで、多くの市民・中小業者は暮らしが立ち行かない危機的な状況に置かれています。
 わが党の一般質問で、原油物価高騰対策として、日曜品購入などの個人貸付制度のために1億円の補正予算を9月議会に提出した京都市の事例を示し、横浜市でも同様の緊急貸付を求めたところ、市長は「国においても総合的な対策を図る責任があると思う。京都市の事例は、一部の事例ということだ」と答弁されていますが、地方自治法の趣旨に則り住民の福祉の増進を図ることを基本としている地方自治体が、市民生活を守るための緊急要望に応えることは当然です。
 請願の趣旨に沿い、業種ごとの物価高による生活圧迫の実態調査を行うこと、住民税・国保料の減免や支払猶予措置、生活資金融資制度の創設など、緊急に対策を図るべきです。神奈川県も緊急対策の補正予算を9月議会に提案しています。市長に追随して請願不採択とすることは、反対です。

 請願第51号53号は、学校給食費値上げを当面凍結し、見直しを求めるものです。
 教育委員会は食材費高騰を理由に、学校給食費を来年1月から300円値上げし、月4,000円にすることを決定しました。
 教育委員会の試算では、学校給食会の価格調整等準備資金は、赤字補填のために取り崩しても、今年度末では2億3000万円は残ります。また、財政調整基金の昨年度末の残高は250億円に上り、この一部をまわすだけで今年度の給食原材料の値上げ分は十分賄えます。学校給食法で食材費は保護者が負担することとしている、これを根拠に公費負担は考えていないとのことですが、他都市では食材費の高騰に対し、公費を投入し給食費の値上げをしない自治体が広がってきました。千葉県野田市、東京都葛飾区、中央区、足立区、鳥取市などでは、公費で負担することを決めています。
 学校給食は教育の一環です。食教育の重要性が叫ばれている今、教育としての学校給食の役割は増すばかりです。他都市にも大きく影響を与える横浜市の教育行政のあり方が注目されている今、これからの横浜市を担う、子どもたち、子育て世代を応援することこそ、求められています。請願の不採択には反対です。


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