議会での質問・討論(詳細)
2014年9月30日

■文化観光局(あらき由美子)

補助金交付団体として神奈川フィルの不当解雇の撤回を求めよ

あらき議員:日本共産党を代表して、質問します。
市民が文化芸術を身近に親しむ機会を提供することはとても大事なことだと思います。そこで、横浜市が神奈川フィルへこれまで毎年3,000万円補助金を交付していますが、その根拠について、まず伺います。

中山文化観光局長:神奈川フィルが、市内で実施する定期演奏会や横浜ポップスオーケストラのコンサートなど、公益的事業に関しての申請内容を精査して、予算の範囲内で交付額を決定させていただいております。

あらき議員:補助金を出していることで、神奈川フィルの運営について、横浜市側から要望を出すことは可能だと思いますけど、この点はどうでしょうか。

中山文化観光局長:神奈フィルに対する補助金の交付にあたっては、補助対象事業が適切に執行されているどうかを確認しております。また、神奈フィルは独立した団体でありますので、運営については神奈フィルの問題であるというふうに考えております。

あらき議員:では、2012年4月に神奈川フィルの楽団員であった2人が解雇されたことについて、市は報告を受けているのでしょうか。

中山文化観光局長:神奈川県を通じて、楽団員2名を解雇した旨、連絡を受けております。

あらき議員:解雇された2人は、県の労働委員会に、解雇撤回を求め、不当労働行為救済の申し立てをし、今年の7月24日、解雇取り消しと現職復帰などの救済命令を神奈川フィルに出しました。この事実については承知していますか。

中山文化観光局長:神奈川労働委員会から命令書が出たことは承知しております。

あらき議員:それは、どういうルートで知りましたか。

中山文化観光局長:7月にファックスで神奈フィルから連絡がございました。

あらき議員:その後、神奈川フィルはどういう対応したか、これはどこからどういうふうに聞いてますか。

中山文化観光局長:神奈フィルから、26年8月1日付文書、これは8月5日に郵送で受領しておりますけれども、中央労働委員会に対して再審査申し立てをしたことは承知しております。

あらき議員:横浜市は今年度も補助金を出しています。私たちは、この2人の解雇については、県の労働委員会の命令は本当に正しかったと思っています。神奈川フィルに対して正常な運営をしなさいということを横浜市側から言うことは可能だと思うんですけど、この点、見解を伺います。

中山文化観光局長:神奈川フィルは独立した団体でございまして、運営については、私は神奈フィルの問題だというふうに考えております。

あらき議員:そこから一歩も出ないんですけど、私はそこが一番問題だと実は思っています。県の労働委員会は、この解雇は不当労働行為の意思によるものという疑いを払しょくできないだけではなくて、その解雇理由に合理性を認めることができないから、杉本さんと布施木さん2人が組合員であること、または組合の正当な行為をしたことを理由にということで、労働組合法第7条第1号に該当する不利益扱いだという判断をしています。この点については承知していますか。

中山文化観光局長:承知しております。

あらき議員:そこで、この申立人2人の解雇をなかったということで取り扱って、同人らを現職に復帰させるなどという命令を、県の労働委員会はしています。ですから、県のそういう労働委員会という立場がきちんとこの2人のことに対して正当なことだと認めて、復帰を求めているわけですよ。
横浜市としても、そのことを受けて、何らか意見を言うことは、私は可能だと思います。改めて伺います。

中山文化観光局長:何度も繰り返して申し訳なんですけれども、私どもの立場としては、神奈フィルは独立した団体でございまして、運営に関しては神奈フィルの問題であるというふうに考えております。

あらき議員:神奈フィルの、やはり私たちが横浜市の中でも、楽団がいろいろ子どもたちのためとか市民のために演奏していただいているわけです。そこで、一番肝心な楽団員の人たちに対するこういう不当な扱いというのは、やはり、自治体としても私は意見を言うべき立場にあると思うんです。
文化芸術振興基本法には、文化芸術の振興に当たっては「第2条、文化芸術活動を行う者の自主性が十分に尊重されなければならない。2.文化芸術の振興に当たっては、文化芸術活動を行う者の創造性が十分に尊重されるとともに、その地位の向上が図られ、その能力が十分に発揮されるよう考慮されなければならない。」とあります。
いま、お話したこの基本法から基づいても、神奈川フィルが行った行為について、私は正しいとは思えないんですけど、この点についての見解を、では局長に伺います。

中山文化観光局長:何度も同じ立場で申し訳ないんですけども、神奈フィルは独立した団体でございまして、運営については神奈フィルの問題であるというふうに、私は思っております。

あらき議員:私はいま、この法律の概念から考えてどうかと聞いたので、神奈川フィルの問題だっていうふうに聞いてないんです。もう一回お答え下さい。

中山文化観光局長:私、法律家ではございませんので、多分これは、いまいろいろなかたちで、法廷で再審査申し立て中というふうに私は聞いております。また、解雇の件については係争中でございますので、われわれとしては推移を見守るということしかできないというふうに考えています。

あらき議員:渡辺副市長、林市長はこの楽団の顧問でもあります。それから、ブルーダル基金を応援する時でも非常に旗を振ってがんばっていただいていました。そういう点から考えても、私はこの不当労働行為に当たることについては、横浜市といえども言える立場にあると、私はあると思うんですけど、副市長の見解、改めて伺います。

渡辺副市長:神奈フィルさんが公益的な事業を行っているということから、その補助すべき事業を行っていらっしゃるかどうかということについては、私どもよくお話をお聞きして、これまでも補助金を出してきておりますが、その運営につきましては、再三局長が申し上げました通り、これは基本的には当事者間で解決すべき問題でございますし、ましてやいま中央労働委員会にさらに神奈フィルが申し立てをしている状況とか、ほかに訴訟も提起されている状況を考えますと、いまそれについて横浜市が意見を申し上げる段階ではないなというふうに思いますので、ご了解たまわりたいと思います。

あらき議員:せっかく補助金を出していて、よりよい音楽家たちを育てるというのが、私は公共の立場だと思っているんです。ですから、推移を見守るだけではなく、では最低限、神奈フィルからどういう状況になっているかというのを逐次報告を受け、そしてこの二人がいまどういう状況かということを把握することは可能だと思うんです。この点、どうですか。

中山文化観光局長:神奈フィル、先ほども言いましたように、自立的な団体でございますので、多分その都度、連絡は来るだろうというふうに思っております。

あらき議員:そこはもう、ぜひ主体的に関わっていただきたいと思いますから、検討の余地あると思います。

東アジア文化都市として、若者の日中韓の交流を進めよう

あらき議員:次に、東アジア文化都市について伺います。
昨年度東アジア文化都市に横浜市が決定したことに伴い、昨年度どういう事業を行ったのか、また今年度までどういう事業を行ったのか、事業費とともに伺います。

矢野創造都市推進部長:25年度は、文化庁とともに、オープニング式典および音楽イベントを実施しました。このうち、本市が負担した事業費は約930万円です。
26年度は、ヨコハマ砂の彫刻展、東アジア・ユース・バレエ・ウィーク横浜など、日中韓の文化を紹介する主要19事業を市内で展開しております。これらの事業の実施のため、国からの補助金2億円を含めました総事業費4億円のうち、3億7,500万円を負担金として実行委員会のほうに拠出しております。

あらき議員:今年の夏休みを利用して、3都市の青少年が交流を行った事業は参加者からも、とても評判が良かったと聞いています。この内容について詳しく説明してください。

中山文化観光局長:横浜市、泉州市、光州広域市が高校生を中心とした青少年を相互に派遣しまして、お互いの国や都市の文化芸術を共に体験する交流する事業を実施いたしました。私も、横浜で集まられた時に参加させていただきましたが、私どもが心配する以上に、彼らのコミュニケーション能力というのはすごかったです。すばらしかったです。言葉を越えるというのはこういうことかと思いました。そして、参加した高校生からは、多くの人が日本に興味・関心を持ってくれてうれしかったとか、私が言ったとおりですけれども、言葉のスキルよりも一緒に過ごした時間や思い出の方が大切だといったような感想が聞かれました。

あらき議員:今後、このアジアの国々との交流、大事だと思います。
赤旗8月24日付、(映画監督の)山田洋次さんがこういうふうにいっています。「ぼくは旧満州で戦前の軍国主義の教育をシャワーのように浴びながら育った世代です。あの頃の日本人は、中国、朝鮮の人たちに恐ろしいような差別意識を持っていた、中国の兵隊が殺されるのは当たり前だし朝鮮の娘さんが慰安婦になっていることは小学生のぼくまでが知っていて、それを当たり前のことのように考えていた。あの恥ずべき差別意識は、資料では残されていないし残しようもないけど、それがあの戦争の根底にあったことを、戦争は多民族に対する憎しみや差別視というおぞましい国民感情をあおり立てることから始まることを、ナチスのユダヤ人排斥の例を引くまでもなくぼくの世代は身にしみて知っているのです。差別され迫害された側の記憶はいつまでも消えないということを、戦後生まれの日本の政治家はよく考えなければいけない。そしてなぜ戦争したのか、どうしたら平和を守れるのかをアジアの歴史学者が集まって研究をする、そのための費用を日本政府が出す、戦闘機を1機買う費用で簡単にできることです。そういう努力をしないとぼくたちの国がアジアの国々と仲良くつき合っていくのはますます難しくなると思う。」私もこの通りだと思います。
これからのアジアの交流という点でも、この3か国で交流していった事業を続けるということをお答えいただいています。でも、やっぱり根本的にはその歴史から学ぶという視点に立って文化観光局動いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中山文化観光局長:私どもは、まずは相互に若い頃から交流すると、これがやっぱし重要だと思います。それは隣近所でも同じだと思います。交流して、お互いを知る、これが基本にあると思います。その上で、みなさんがそれぞれの意見をお持ちになるのはそれぞれの自由だとは思いますけれども、こういったような交流を繰り返すことによって、お互いの誤解というものが解けてくるのではないかというふうに考えております。


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