議会での質問・討論(詳細)
2014年10月7日

■健康福祉局(白井まさ子)

白井議員:日本共産党を代表して、介護保険の第6期計画について質問します。
今年6月に成立した医療・介護総合法ですけれども、消費税の増税と一体で、社会保障改悪プログラム法、これに基づくもので、介護保険では2000年の制度が発足以来、かつてない大規模な改定で、国民負担増、そして給付削減が目白押しです。
先月末にNHKスペシャルで、「老人漂流社会、老後破産の現実」と題して、一人暮らし高齢者の厳しい生活実態が報道されて、先日、録画を見ましたけれども、高齢者の貧困化が、もう本当に社会問題となっています。私の住む港北区内では昨年、介護に疲れての介護殺人が起こって、ご近所では本当に心を痛めておられます。
こんな状況の中で、本市の介護保険の来年度からの第6期計画が策定中ですから、介護を必要とする人が介護サービスから排除されることのないように、そしてまた、事業者や介護労働者にしわ寄せのないよう、本市での介護サービスを後退させない、この立場で質問をいたします。

特養ホームに入所が必要な方が入所できるように市独自の基準を

白井議員:まず、特別養護老人ホームの入所制限についてですけれども、国では特養ホームの入所についてどう見直したのか、説明をお願いします。

細川高齢健康福祉部長:介護保険法の改正により、平成27年4月1日以降、新たに特養に入所する方については、原則要介護3以上とする予定です。これは、重度の要介護状態で特養への入所を希望しながら、在宅での生活を余儀なくされている高齢者が数多く存在していること等をふまえ、特養については、居宅での生活が困難な中重度の要介護高齢者を支える施設としての機能を重点化するという趣旨でございます。

白井議員:すでに入所している方が追い出されることはないですね。そこを確認します。

細川高齢健康福祉部長:すでに入所されている要介護1、2の方については、引き続き入所が可能となる経過措置が設けられる予定です。また、要介護3以上の方が27年4月1日以降に要介護1、2に改善した場合についても、継続入所が可能となる経過措置が設けられる予定でございます。

白井議員:では、現在の入所者数と、そのうち要介護1、2の方の人数を報告いただきたいと思います。

細川高齢健康福祉部長:入所者数は、26年3月末現在1万3689人で、要介護1の方が394人、要介護2の方が1,370人、それぞれ入所されています。

白井議員:いまの人数で、要介護1、2のこの層が今後、入れなくなるわけなんですけれども、その代わりになる受け皿をどう考えているのか、伺います。

岡田健康福祉局長:介護付き有料老人ホームや認知症高齢者グループホーム、さらには養護老人ホーム、またサービス付き高齢者向け住宅など、多様な高齢者のニーズに対応する施設や住宅の提供を進め、受け皿を増やしていきたいというふうに思います。また、住み慣れたご自宅で継続して生活することもできるように、在宅サービスについても充実を図っていきたいというふうに思っておりまして、まさに施設や在宅両方を含めて、多様な受け皿を考えていきたいというふうに思っております。

白井議員:いま、説明いただきましたこういう施設での入居一時金も発生しますし、月額利用料金など、負担金の実態はどうなのか、伺います。

細川高齢健康福祉部長:市内の、たとえば介護付き有料老人ホームは、入居一時金としましてゼロ円の所もございますし、約9,000万円、ゼロ円から9,000万円。月額利用料として、約8万円から約65万円となっております。サービス付き高齢者向け住宅では、敷金以外に入居時に必要な費用はありません。また、施設により、食事提供のあるなしなど、一概に比較はできませんが、家賃は5万円から約40万円、食費などまで含めた月額利用料の平均で約21万円となっております。

白井議員:それでは、特養ホームの月額利用料金の目安というのを、市のいただいた資料からみますと、居住費や食費や介護保険の利用料含めて、従来の多床室で8万円から12万円という数字みてるんですけれども。いま、入所者の大多数は補足給付を受けている実態がありますから、ほとんどが低所得者なわけです。特養以外にと、いま説明されましたけれども、これでは経済的に入所できない人がでますけれども、そこをどう考えておられるのでしょうか。

岡田健康福祉局長:介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅は、高齢者の多様なニーズに対応するため、施設により設備やサービスに特徴を持たせて、それぞれが運営しているという状況です。施設ごとの月額利用料や入居一時金には大きな差がありますので、利用者ごとに条件の合う施設を選択していただくという考え方が基本になってくるのかなというふうには思います。また、本市では介護付き有料老人ホームを公募する際には、できるだけ低廉な利用負担となるよう、利用料等の上限を定めたタイプの施設も選定しておりまして、こうした施設などを利用して、さまざまな利用者に配慮しているという状況でございます。

白井議員:2014年3月に横浜市高齢者実態調査アンケートの結果が発表されています。特養ホーム入所申込者に、特養に代わるサービスの利用の意向を聞いています。老健施設が最も多くって、介護療養型医療施設、そして認知症グループホーム、小規模多機能型居宅介護、こういう順ですけれども。
「特養以外は利用したくない」というのが44.7%です。その理由は、半数が「高いから」「高そうだから」これを上げています。これを見ても、市が受け皿として介護付き有料老人ホームなど、説明ありますから、誘導しようとしても、意向はないわけで、実際には高くて入れない。受け皿にはなり得ないことが明らかで、市の独自の対策が必要だと思います。
そこで、現行の特養ホームの入所判断の考え方はどうなっているか、伺います。

細川高齢健康福祉部長:入所判断につきましては、本市の特別養護老人ホーム入退所指針というものを設けております。その中では、要介護度、世帯の状況、主たる介護者である家族の状況、入所希望者、本市が市内に居住しているかなど、状況を総合的に勘案をいたしまして、入所者の優先順位を決定しています。

白井議員:国では、要介護1、2でも入れる特例入所を設けましたけれども、どんな内容か説明してください。

細川高齢健康福祉部長:国が示します指針の骨子案においては、認知症や知的障害、精神障害等により日常生活に支障をきたすような症状、行動や、意思疎通の困難さが頻繁にみられ、在宅生活が困難である、家族による深刻な虐待が疑われる等により心身の安心・安全の確保が困難な状態であるなどの特例入所の要件が示されています。

白井議員:この特例があっても、原則入所させないという方針は変わりないわけで、公的保険で介護を受けられる人を限定するという、国がそういう発想ですから、現行の対象者がはじき出されることになります。市の独自基準を設けて、必要な人が入れるようにすべきですが、どうするお考えなのかを伺います。

岡田健康福祉局長:現在、法改正を受けまして、本市の特別養護老人ホーム入退所指針の見直しを進めているという状況です。指針の中では、市町村独自の基準追加が認められるのか、現在、国に確認中ですが、特養入所が真に必要な方が入所できないということがないように、実態に則した指針としていきたいと、こういうふうに考えます。

白井議員:その点、ぜひよろしくお願いします。

特養ホーム入居者待ち解消に向けて、特養ホーム整備計画数を増やせ

白井議員:それでは、特養ホーム、待機者が多いということ、これまでずっと聞いてきましたけれども、約で大体、待機者、どれぐらいの人数でしょうか。

細川高齢健康福祉部長:待機者について申し上げますと、全体で5,290人でございます。

白井議員:いまの数字というのは、市内在住かつ在宅の方ということなんですけれども、市外在住とか施設入所中も含めた申込者の総数は何人でしょうか。

細川高齢健康福祉部長: 26年4月現在、市外在住の方も含め、入所申込受付センターに申し込まれた入所申込者数の総数は、1万2,271人でございます。

白井議員:これまで、整備計画を年間300床と定めています。そして、次期も300床としているんですけれども、入所者のうち、要介護3以上の方の平均待機期間は1年だと聞いているんですけれども、この待ち期間で、長い方ではどれぐらいになっているのか、わかりますでしょうか。

細川高齢健康福祉部長:長い方ではですね、要介護3以上の方でも、施設から順番がまいりましたというお問い合わせをするんですが、その際に、要介護3以上の方で、まだけっこうですという方もいらっしゃいまして、そういう方なども含めれば、たとえば3年とか、そういう意味では長い方がいらっしゃいます。

白井議員:まあ、平均で1年待たなければ入れないという、こういう現実があって、本人にも介護者にも無理がかかっていると思います。この300床を増やさないということは、1年待ちで良しと考えているということですけれども、もっと増やして待機期間の短縮を図るべきだと思うんです。平均1年待ちを少しでも短縮させようというお考えはないのでしょうか。

岡田健康福祉局長:その点については、やはり介護保険制度の中で特養を運用しておりますので、これをたくさん作れば介護保険料もたくさん必要になってくるというような状況にございます。そういう中では、やはり施設整備と、あとは待機待ち時間といいますか期間ですね、バランスなどを考えながら、いま横浜市はだいたい12月以内で入れるぐらいの整備量を目安にして整備を進めているという状況でございます。

白井議員:そもそも国が3以上に限定するということなんですけれども、本市として制度運用しているわけですけれども、限定しないでくれというようなやりとりはされていないんでしょうか。

岡田健康福祉局長:そのへんは、やはり国の方がそういう制度をするということに関して、実際、法整備をするにあたっては、各自治体やいろいろな事業者さんから意見を聞いているというふうには伺っております。ただ、そのことに関して、横浜市として個別にお話を聞かれたということはございません。

白井議員:聞かれたということはないとしても、運用しているのは本市ですのでね、ぜひ本市の実態に合わせたものにしていただきたいと思うんですけれども。
 鶴見区で古谷議員に相談があった例のことなんですけれども、要介護2の認知症のお父さんと息子さんの世帯で、夜勤を昼の勤務に変えてもらって、デイサービスを利用しながら特養ホームの空きを待ったということで。そのお父さんの症状は進んで、失禁したまま過ごすようになって、要介護4になっても入れず、かれこれ4年間待機中です。相談後すぐにグループホームへ入所となりましたけれども、これが特養ホームへ入れない実態です。300床を増やすように、再検討をよろしくお願いします。

上昇する介護保険料、生活実態をしっかりとつかんだ対応を

白井議員:それでは、いろいろ飛ばしますけれども、介護保険料の上昇についてです。
国は、第6期では2025年を見据えた保険料と位置付けることとして、2025年に8,200円程度と示されています。第6期は、給付費の5割の公費に加えて別枠で公費投入して、低所得者の保険料の軽減割合、拡大することは承知をしていますけれども、現行、市の基準額は5,000円です。基金の残高も含めて、第6期の保険料の見通しはどうなのか、伺います。

細川高齢健康福祉部長:要介護認定者数が増加をし、サービスの利用者の方も増加をしていく中で、介護給付費が著しく増大をいたします。第6期保険料基準額も高くならざるを得ないものというふうに考えています。
また、介護給付費準備基金につきましては、第5期で全額取り崩したため、第6期においては活用できる基金が見込めません。県の財政安定化基金につきましては、第5期は特別に国の指示により一部取り崩しができましたが、今回そのような措置は予定されておりません。

白井議員:次期の保険料、高くならざるを得ないということなんですけれども、新聞報道では全国で低所得者が保険料滞納となっています。そこで、市の2013年度の普通徴収率を所得段階別に報告してください。

細川高齢健康福祉部長:平成25年度の現年度普通徴収における所得段階別の収納率ですが、世帯非課税層である第1段階が97.9%、第2段階が78.6%、第3段階が84.5%、第4段階が84.7%となっています。

白井議員:払えていない、収納率低いという階層があるんですけれども、低所得でそうだということなんですけれども、その滞納の場合に、償還払いとなったり、給付額が減額されますけれども、その人数を伺います。

細川高齢健康福祉部長:26年5月時点で、償還払い対象者数が127人、それから給付額減額対象者数は314人となっております。なお、保険給付の一時差止は対象者、おりません。

白井議員:高齢者、生活を全体でみますと、年金が引き下げられてる。そして医療の保険料も上がって、医療費上がっている。そして、介護の保険料が上がって、介護料もあがる。そこで、滞納があったらもっとお金がかかる。こういう実態があるわけなんですけれども、こういうことになっていること無慈悲だと、局長お考えないでしょうか、どうでしょうか。

岡田健康福祉局長:無慈悲かということなんですけど、介護保険というのは、社会保障制度であるわけです。保険料を滞納している被保険者が他の被保険者と同様に保険給付を受け続けることは、公平性に欠けるということや、また納付をしている他の被保険者の理解が得られないことから、保険給付制限の仕組みが設けられていると、こういうものでございます。なお、保険料を一時的に納付できないなど個別の事情がある被保険者の方については、引き続き丁寧な納付相談に、われわれとしても努めております。

白井議員:私が港北区で対応した例でも償還払いとなっていて、すぐに介護サービスを受けられなかった例もありますので、専門部署が対応して、生活実態をしっかりとつかんだ対応というのもお願いしたいと思います。
そして、その保険料上昇して、滞納者が出て、機械的な給付制限で、半ば破綻と、この制度思うんですけれども。一般財源を投入できる仕組みを国へ要望したり、そして公費の増額を国に要望すべきと考えますが、どうでしょうか。

岡田健康福祉局長:介護保険制度については、市町村の一般会計から負担する割合は介護保険法で定められておりまして、これを増額するということは制度上、予定されていない制度ということになっています。また、国費として、自治体が受ける調整交付金が、この横浜市は満額受けられていないという状況のために、この点については満額交付されるように国に要望を続けているところでございます。

白井議員:いまの法の枠組みそのものが半ば破綻だと考えますので、しっかりと高齢者の生活、本当に無理がかかっていると思いますので、対応をよろしくお願いして、質問を終わります。


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